6月27日質問事項8
8人口減少
○毎日新聞:済みません、先日、25日に総務省がことしの1月1日現在の人口動態調査を発表してますけれども、全体的に見ると、やはり首都圏の都市部、東京圏への一極集中がさらに進んでいるというような分析がされているようなんですが、先日、4月の段階で県の場合、70万人、人口、推計人口が切ったというところで非常に話題にもなりましたけれども、改めて知事として、県としてやらないといけないことにどんなものがあるのかというのを、人口をふやすために、もしくは今もまだ続いてる東京圏への一極集中を解消するために、これまで知事もいろんなことをおっしゃってると思う、なかなか解消されてないわけですが、その現状をどう見てらっしゃるかということと、解決策、何があるのかというところを教えていただけませんか。
○溝口知事:一つは、やはり国の政策ですね、そういうものが大都市集中に向かわないように、かじ取りを変えてもらいたいということがありますね。地方に分散が進むような、あるいはそれを支援するような措置ですね。例えば地方のインフラの整備を早く進めるとか、あるいは企業なども地方での企業立地がしやすくなるような、例えば優遇措置をとるとか、国の政策にかかわる部分と、そういう中で県自身も産業振興を進めたり、あるいは子育て支援を行ったり、子育て支援だって、国のレベルでも少しやろうとしてますけれどもね、そういうことにも、国、地方合わせて、日本全体としてそういうことに取り組んでいく必要があるということであります。
○毎日新聞:島根として何ができるのかというようなところを1点。あともう1点、全国的に見ると、人口減少が続いているということで、例えば東北ですけれども、秋田県とか岩手県だと、県として人口減少問題についての対策本部を設置して、知事が本部長になって、県として、地域として意思統一を図って人口問題に取り組んでいこうというような姿勢を見せている県もあるんですけれども、島根県としてそういうようなところで何か対策を、対策本部をつくるとか、そういうような意向というのはあるんでしょうか。
○溝口知事:この問題は人口そのものをどうするというのはなかなか難しいことなんですね。だから、一番大事なことは、やはり島根の場で若者が働けるような雇用の場をつくるということが一番大事なわけですね。それはある意味での目標、目的ですけども、しかし、それに伴う手段は、例えば観光の振興であったり、あるいは企業誘致であったり、あるいは都市で売れる県産品づくりであったり、あるいは若者が子育てをしやすいような施策をとるとかありまして。県の重点的な施策はそういう方向にずうっと向かってやってきておるわけでありまして、人口そのものに何か、人口がどうなるかというのは、そういうもろもろの施策のいわば結果のようなことでありまして。大事なことは何をやるかということで、私としては、いわゆる産業振興とか、あるいは観光振興、IT、ものづくり産業、あるいは農林水産業、そういうことに力を引き続き入れていきたいというふうに思います。
○毎日新聞:人口に関しては、人口が減ることに対する懸念の一方で、人口が減ることはそんなに悪いことでもないというようなことをおっしゃるような学者さんとか有識者もいるように思うんですけれども、知事としては、人口が減っていくということはどういうふうに捉えていらっしゃいますか。いいことというような表現はないかもしれませんが、悪いと捉えてらっしゃいますか。
○溝口知事:まずそこは、人口というのは、ある意味でいろんな活動の結果のようなところがありますからね。例えば明治維新になるまでは、農業中心の時代は、余り人口の変動というのはなかったわけですよね。例えば明治の初めごろは東京の人口が大体、若干今と行政区域が違いますけれども100万ぐらいですよ。そのとき島根と鳥取を合わせた人口が100万ぐらいですよ。だから、そこは変わってないわけですよ。何が変わったかというと、近代技術が西洋から入り始めて、近代産業が日本で発達し始めて人口が変わってくるわけですね。それをさらに戦後になりまして、敗戦の後の復興の後、西欧の、欧米の自動車でありますとか電気製品でありますとか、そういう技術が入ってきて、大都市で工業化が進み、人口がどんどん増えていったわけですよ。それで、そのときも、それが始まる前なんかは、島根なんかも90万人ぐらいで人口が多かったわけですけれども、工業の発展が大都市で起こると、若者が、いい雇用の場ができてきますから、そちらに出ていきますから、島根の人口はあまり増えないことになる。若者がいなくなると出生率が減るといったことで、今度は人口の減少が起こり始めるということで、そういう経済成長が進んでいるときは人口の減少などというものはそんなに関心の的にならなかったわけですね。むしろ人々の生活が豊かになるということでありましてね、あるいは大都市集中も悪いことではないと。都市で高い給料があったり、企業が大きくなることによって仕事もふえるとかね。それが大局的に見ますと、日本の産業発展がそのような急速な成長ができないような成熟した経済になって、さらにIT技術とかで工業化が非常にしやすい、どこの国でもしやすいような時代になったから、日本の企業も外で生産ができるし、外で需要が増えますから外に行くようになったと、そういうもろもろの結果が人口という面にあらわれてきているわけでありましてね、だから、それは人口の減がいいかどうか、増えるのがいいかどうかというのは、そういう発展がいいかどうかというのをどう見るかという問題なんです。
○毎日新聞:都市への集中で考えると、今、アベノミクス効果もあって、だんだんと景気はよくなっていってるというふうな方向に向かってるというようなことだと思うんですけれども、そうすると、島根の場合はまたそこから人口が、じゃあ減っていくのかということも考えられる、もっと人口減が進むんじゃないかというようなことも考えられるとは思うんですが、その辺はいかがですか。
○溝口知事:そこら辺も、若い人も今度は大都市に集まっていったわけだけれども、日本の企業社会も厳しい状況にさらされるようになりましたね。それによって雇用環境も雇用の条件も変わってきましたね。多くの人がどんどん高いポストにつけるように産業が拡大しないような時代になってきたわけだし、雇用も非常に厳しいことになってきてるし。そうすると、大都市の生活がいいのかと思う人も随分出てきてますわね。そういう中で、自然に近いところで暮らしたいという人も出てきてるわけであって、そういう若い人も出てきて、Iターンしよう、Uターンしようという人も出てきておるわけですね。だから、人口だけでいいということじゃなくて、発展の仕方がどういうふうに、それは一人の人のあれや一つの政策で決まったというよりも、大きなそういう力関係、あるいは技術の発展とかによって影響を受けてるわけでありましてね、だから、その評価をするというのは非常に難しいことですが、そういう流れの中で、若い人々も自然というものが大事だとか、あるいは子育てをするような場合に、自然の食材なんかが大事だとか、そういうふうに考え方も変わってきておりましてね。そういうことで地方に住みたいという人も出てきておると。それはまた一つの流れだと思いますね。そういうことが進むということは、人々の幸せにもつながることでありますから、それはいいことですし。ただ、そういう中で、日本全体として活力のある経済を維持するためには、やはり先端を行く企業もどんどん大きくならなきゃいかんという面もあるわけですよ。外との競争に負けないような企業が日本にあって、それが増えるということも必要なことなんですね。だから、非常に簡単にこれでいいという評価をするのは非常に難しいと思いますね。
島根の立場ですと、例えばIT産業のようなものは地方でもできるような時代になりましたから、そういうものを島根で拡大するというのが一つの方向ですし、あるいは自然のものを人々が好むようになっていますから、農林水産品を都市で売れるようなものをつくるとかね。あるいはものづくり産業など、伝統がありますから、そういうものを生かすとか。そういうことをやっていくということで、だから人口から入ろうと思ってもなかなかできませんね。
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