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知事定例記者会見(6月7日)

質問事項

5.広島県農林振興センター破綻

○中国新聞

 済みません、御存じかと思うんですが、広島県の農林振興センターというのが経営破綻しまして、分収造林事業というやつをやっているものなんですけども、全国にそういう公社みたいなものがあって、島根の場合は県の林業公社というのがあります。で、昨年度末時点の負債が530億ぐらいで、広島よりも、広島は468億円で破綻したわけですけど、それよりも多いと。非常に厳しい状況にあるというのは、もう周知の事実だと思うんですが、この前の経営計画を決めたときに、大体4年前なんですけども、赤字を徐々に圧縮できるということで存続を決めておられるんですけども、県の方は。今時点でこの500億の負債がある中で、県のトップとして、県知事として、何らかの法的整理とか、そういうお考えはまずないのかどうかということを、まず確認させてもらっていいですか。

 

○溝口知事

 林業公社につきましては、平成20年に外部検討委員会を設けまして林業公社をどうするかという議論をしていただき、幾つかの理由で、国の支援を受けながら継続していくということが必要だということでありました。そのときの理由は、公社の債務を県が引き受けるだけでは、収支の問題は変わらないわけでありまして、それが一つ。それから林業公社の形態ですと、地方財政措置でありますとか交付金等の国からの支援が得られるということでありますし、それから7,000人の森林所有者との契約変更とかいろいろなことがありますし、それからこれまで、もともと日本の経済の再生ということで、林業を再生していこうということで、これは全国的に始まったわけです。造林が行われたと。その間に外材が入るようになって、国産材の価格が下がる、売れないということで全国各地でそうした公社による林業再生というのが難しくなりました。最近の動きとしては、やはり森林が持つ価値を見直すとか、あるいはバイオマス発電をこれにどう活用していくかとか、あるいは外材の方も、ロシアなどでは輸出の抑制を行うとか、そして内材と、国産材と外材との価格差もかなり縮まってきたりしております。それから木材の輸出というようなことも起こり始めているわけですね。近隣の諸国が発展をする、木材が足らないというようなことがあります。そういう意味で、林業そのものも変革期にあり、国の方も林業の、循環型林業をつくっていくということで、新たな支援の枠組みなどを設けてやっておりますから、だから、そういう中で、県は平成21年から平成30年までの第3次の長期計画で執行中であります。新しい動きなども踏まえながら、今後、その計画をどのように見直していくのか、近々といいますか、来年度から後半に入ってきますから、それに備えて検討していきたいということでありまして、今の時点で県の林業公社をどうするこうするということについては決めておりません。しかし、基本的に10年計画がありますし、さっきのように変化がありますから、そういうものの中でどういうふうにして島根の林業を育成、強化していくかということを検討するというのが県の課題ではないかというふうに思います。

 結局今まで生じた損失というのは、もう起きちゃった、デイトレスというようなもので、そこは経営形態を変えても何も変わらないわけですよね、自治体経営にとっては。ということであります。

 

○中国新聞

 だから、基本的には30年までの計画に沿ってやるということですね、当面は。

 

○溝口知事

 だから、その見直しが必要かどうかというような検討をこれからやっていくつもりです。

 

○中国新聞

 今までの定例的な流れでいくと、5年に1回見直してまして、26年度からの計画を、だから今年度じゅうに決めないといけないという。

 

○溝口知事

 そういう過程で、そういう広い問題についても、それは議論があり得ると思いますが、そういうものを踏まえて対応していくということです。

 

○中国新聞

 ちょっと基本的なとこに戻りますけども、今言われたのは、多分今後、その状況が好転するような可能性があるということですよね、言われましたのは。

 

○溝口知事

 そういう要素が出てきておりますからね。

 

○中国新聞

 要素があると。

一方で、負債が500億ぐらいあって、県の方としても貸付額として毎年7億円とか8億円ぐらい、もう出ていって、返ってくるお金はゼロという状況がずっと続いているわけですけども、その今の状況に対する認識は、やはり知事としても、これはかなり厳しいものだということは......。

 

○溝口知事

 厳しいですね。しかし、それは公社をやめても同じことなんですね。その状況は変わらない。経営形態の問題じゃないんです。

 

○中国新聞

 広島県なんかは、結局県が引き受けるというような格好で、一たん要は負債を清算して身軽になった上で県がやっていくというふうに......。

 

○溝口知事

 身軽にならない。同じなんです。

 

○中国新聞

 だから同じ、その......。

 

○溝口知事

 要するに実態は変わらないわけです。要するに実態は、林業という実態は変わらないと。

 

○中国新聞

 だから、知事の意見としてはそういう、今回の広島県のような、だから民事再生というのは、根本的な解決になってないということですか。

 

○溝口知事

 根本的に変わらないわけですよ。

 

○中国新聞

 それであれば、例えば出資を続けていく中で収入をふやしたりとか、そういう......。

 

○溝口知事

 いずれにしても、公社の形態でありましても林業の再生だとか県の事業はやっていきますから、それは国の支援もありますから、いずれにしても林業公社の形態であり、県が引き受けるんであれ、そう大きな違いは私はないと思います。

 

○中国新聞

 それは経営の形態が何であってもということですか。

 

○溝口知事

 ええ。だから、県産材も伐採期に入っていますしね、そういうものをどうするかとか、いろいろ考えながらやっていくしか、県の大事な課題ですね。

 

○中国新聞

 林業公社の件ですけど、今後、知事として今、形態はあんまり重要じゃないということで、むしろ今後、好転する可能性もあるということだったんですけど、今、じゃあ、要は経営をよくしていくために大事なことはどういうことだと思われますか、知事において。

 

○溝口知事

 そこは、林道を整備したりですね。

 

○中国新聞

 林道。

 

○溝口知事

 林道を整備したり、やはりコストを下げて木材が活用できるというふうにするということがありますね。それから間伐材などをエネルギー源として活用するとか、そういうこともありますね。それから問題は伐採した後に植林をしなきゃいかんということですね。それはやっぱりコストがかかりますね。だから、そういうものについては、林業が持つ、森林が持つ外部経済ということがあるわけですから、CO2の吸収だとか、あるいは清らかな水の水源であるとかね。そういう意味で、林業の中で完結するんじゃなくて、国全体として森林を保つような努力も必要なわけですから、そういう面について国に要請をしていくとか、そういうことがあると思いますね。

 

○中国新聞

 ちょっと関連になりますが、林業そのものでは、もう現状ではそれほどもうからないというか、お金を、もうけを出す、収支を好転させるということは難しいと。

 

○溝口知事

 いやいや、林業も値段が上がっていけば可能ですし......。

 

○中国新聞

 現状は難しいですよ。

 

○溝口知事

 現状は難しいです。

 

○中国新聞

 だから、山の......。

 

○溝口知事

 いや、それとは別に、そのためには林道なんかをつくって、安いコストで搬出ができるとか、そういうことが必要だと。

 

○中国新聞

 環境整備が必要であると。

 

○溝口知事

 うん。それで、ただ、林業そのもの、森林そのものは材木としての価値じゃなくて、CO2の吸収とか、あるいは水源であるとか、そういう外部経済的なことがありますから、そういう面で国全体として負担をする、支援をしていくということは合理的なわけでして、そういう面での要請なんかを県などがやっていくということも大事な要素だと。

 

○中国新聞

 来年度以降の計画については、本年度内にまとめるという方向でよろしいんですね。

 

○溝口知事

 まだそこは会議を始めてませんから。

 

○中国新聞

 いつもの流れでいくと、そうなんですが。

 

○溝口知事

 まだ、だから正式に決めてませんから。

 


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