• 背景色 
  • 文字サイズ 

知事定例記者会見(4月4日)

質問事項

5.将来推計人口について

 

 

○毎日新聞

 済みません、話変わって人口減少のことでお伺いしたいんですけれども、先月27日になりますけれども、社会保障・人口問題研究所が2040年の人口推計というので出してますけれども、島根県の場合、現在2010年のベースで71万7,000人が、2040年で52万1,000人と、20万人近く減る、現在の松江市の人口分ぐらいの人間が島根県からいなくなるというような数字が出てますけれども、かなり島根県にとっても影響は大きいと思いますし、島根県の存亡の危機みたいな部分にも、というのも、ところまでも考えとしてはなるかもしれませんが、知事として、この数字というのはどういうふうに受けとめられましたか。

 

○溝口知事

 その問題は、島根の問題であると同時に日本全体の問題なんですね。戦後の発展の中で経済が豊かになると。しかもその発展が太平洋側の大都市圏を中心に産業構造が発展をし、そこに新しい雇用の場がふえますから、地方から大都市部に出ていくということで、島根など、あるいは東北の県などは社会減が生じて、早く人口の減少、あるいは少子高齢化が進んでいったと。そして大都市部では人口がどんどんふえていったと。

 

 しかし、日本全体を見ると、一つは地方部で子供を産む世代が少なくなる。他方で大都市部では若者、子供を産む世代の人口はふえますけども、大都市は通勤が不便であるとか家が狭いでありますとか、いろんなことで1人当たりに平均した出生率ですね、合計特殊出生率が低いから、若者がいても都市で子育てをする場合には、核家族で1人ぐらい、あるいはせいぜい2人とか、そういう事態が生じ、地方部では合計特殊出生率は高いけども、若者自身が少ないから生まれる子供の数が少ないということで、日本全体での特殊合計出生率が低いということが起こったわけですね。

 

 ところが、今起こっているのは、新興国などが発展をし始めましてね、企業の方も海外に工場を移転をすると。そうすると雇用もふえない、成長もしない。そういうことになると、全体として将来に対して活力が日本全体として少なくなってくるということがあり、全体の出生数がふえていかない。しかし、高齢者の方々の数はむしろ絶対数でもふえていくということになるわけですけども、これまでは医学の進歩だとかで寿命の長命化が起こりましたね。しかし、それも一定の限度があるわけでして、そうすると大都市の方でも高齢化が進み、少子高齢化が島根等を追いかけるように進んでいきますから、日本全体でも人口が減るということなんです。

 

 社会的な増減というのは、日本の国を例えば県別に分けた場合にはそういうことが起こるんですけども、日本全体としては社会減というのは外国に住むということですから、そういうのはあんまり多くないですね。それから社会増も、外国人が日本に住むというのもあんまり多くないんで、日本全体で見れば社会増減は多分ゼロぐらいだろうと思います。結局人口構成の高齢化による、あるいは若者の減少による出生率の低下というものが日本の人口を規定していく大きな要因になるわけです。それは人口構成が変わると、そこを変えるというのは容易なことじゃないですね。私はいつも重力のようなものではないかというふうに言いますけども、そういう状況が起こっているということであります。

 

 そういうことはヨーロッパなんかでも社会が成熟する過程では起こるわけですね。そういう中であっても、国民全体が平安で安心して暮らし、生活を築いていくということが日本全体にとって大事な課題でありますし、それから日本の経済そのものを活性化していくと。新しい技術の開発が行われる、生産性が上がる、そうすると所得も上がりますからね、そうすると子育てなどもしやすい環境になってきますし、そういうことを日本全体として考えていかなければならないと、そういう時代になっておるということであります。

 

 島根など、既に少子高齢化が進んでいるところにつきましては、やはりこれは日本の中の社会増減に関連するわけですけども、おくれている社会インフラを整備をしたりして、企業誘致が島根のようなところでもやりやすくなると。それによって雇用がふえる、そういうことを進めていくというのが一つですね。

 

 それから、県内にあるいろんな資源、特に観光資源などたくさんあるわけですから、それぞれの地域の持つ資源を活用して社会を活性化して雇用をふやして若者が都市に出なくても、島根で生活できるようにする。そういう施策を粘り強く展開していく。それが大事なことだと。ちょっと長くなりましたが、そういうふうな考えでおります。

 

○毎日新聞

 あと30年弱ぐらいで人口が20万弱ぐらい減るというのは、それは統計上の数字ですけれども、知事の中では想定内ですか、このくらいになるだろうというような。

 

○溝口知事

 いやいや、想定内かどうかは別として、あれは人口問題研究所でしたか。

 それはいろんなデータを見て、あるいは過去の推計なんか、傾向なんかを見て推計されているわけですから、それはそういう方向でいくでしょうね。だから、日本全体が少子高齢化で人口構成がピラミッド型から狭くなっていきますからね、それは短期間ですぐに変えるというのは難しいですよ。

 

 それで、日本の人口がふえたのも、明治のころから高い西洋の技術が入ってきて、産業がどんどん拡大していったからですよ。あるいは戦後は、終戦のころは7,000万人とかそのぐらいだったでしょう。でも、それがふえたというのも、また戦後の復興の中で、大きな流れでいえば欧米の高い技術が入ってきて、それで人々が欲する魅力的な消費材ができる、そういうものが今度は輸出されるようになる、そういうことが人口をふやす原動力だったわけですけども、そういうことが変わってきたわけですね。それは、一つはさっき言った国内での人口移動が過密と過疎という形でなったということが一つの要因であり、それから国全体としては、やはり新興国が発展をするようになって、成熟した国になると、なかなかかつてのような高度成長を行うということが容易でないからです。だから、問題は非常に根が深いわけでありまして、人口の増加自身も未来永劫に続くようなことじゃなくて、やはり低いレベルから経済の豊かな時代に進むというのが短期的にできたことに大きな要因があると思いますね。そういう技術の進歩がないときは、江戸時代なんかも、そんなに人口はふえたり減ったりしてないですよ。

 

 だから、県としては、そういう中で、今言いますと、大体自然減ですね、出生率を超える死亡者数の数が大体年3,000人ぐらいあるでしょう。それで社会増減が大体マイナスの2,000人ぐらいで、まあ5,000人ぐらいということでありまして、自然増減の方はそういう人口構成にほとんど依存していますからね、短期的には変わらない。変更可能なのは社会増減ですけども、やはり流出が少なくなり、流入がふえるように、そういう施策を展開していくということが県にとって大事なことだと。

 

 ただ、みんなが同じようなことをやりますからね、そうどこかが飛び抜けてというのはなかなかこれ、容易じゃないですよね。一つの要因はそういうことでありまして、若い人の世界観、あるいは価値観なんかも変わってきて、大都市に出なくても地方に住みたいという人も、都市の方でも出てきておりますからね。だから、そしてまた、自然のものが大事だとか、あるいは古い文化、歴史が大事だというような考え方も出ておりますから、そういうものを島根などは活用していくと。それで社会減を減らす、場合によると社会増になるように頑張っていくということが大事な課題だというふうに思いますね。

 


お問い合わせ先

広聴広報課

島根県政策企画局広聴広報課
〒690-8501
島根県松江市殿町1番地   
【電話】0852-22-5771
【FAX】0852-22-6025
【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp