知事定例記者会見(12月26日)
○溝口知事
それでは、会見を始めます。
今年、最後の会見でありますので、若干今年を振り返った所感を述べます。
いろんな分野がありますけれども、経済はなかなか難しい年であったという感じがいたします。やはり世界経済全体が欧州の金融不安の継続、アメリカ経済のやはり停滞気味な動き、そうした先進国の停滞が新興国からの輸出の減退ということになって、新興国自身も以前よりも成長率が低下をするといったことがありました。そういう影響が日本にも出てまいりましたし、また、経済に関連するわけでありますけれども、中国との尖閣諸島に関する問題が、中国での日系自動車企業の販売・生産の減ということになって、それが国内にもかなり大きな影響を及ぼしているといったようなことがありました。
県内の製造業も、そうした日本の大企業に部品を納めるとか、あるいは大企業の中でも自動車部品などがかなりあるわけですけれども、そういう影響を受けて、県内の有効求人倍率などはそれまでかなり上昇を続けましたけれども、やはり全体として見れば厳しい状況になったというふうに思います。
それから、政治、外交というようなことになりますと、やはり8月の韓国大統領の竹島上陸を契機としまして、竹島問題や尖閣諸島など、日本を取り巻く情勢の変化もあり、これにどう対応するかということが日本にとって非常に難しい状況になったということがあります。
そういうものに関連して、日本の今後の中・長期的な安全保障といったようなものをどういうふうに考えていったらいいのかと。沖縄の問題も絡みまして、国内政治において大きな課題となっております。こうした課題は、いずれにしても新政権に引き継がれていくわけであります。
そういう新政権ということでいえば、夏前までに消費税、社会保障の一体改革といったことについては3党合意によりまして一定の進展を見たわけでありますが、その後の衆議院の解散をめぐっての対立などがあり、年末の12月16日の選挙によって、多くの人が必ずしも予想しなかったような大きな変化が起こったということがあると思います。
県内におきましては、県の仕事の関連でいいますと、やはり「神話博しまね」の開催、そういうものに関連しまして、全国に向けた観光PR、あるいは県内におけるおもてなしの体制づくり、いろんなことがありましたが、神話博そのものは予想を上回る、70万人を超える多くの方々がおいでいただいたということであります。来年の出雲大社の大遷宮に向け、さらに観光のPR、県内各地の魅力づくりを行っていかなければならないというふうに考えております。
原発に関しましては、原子力規制委員会が9月に発足をして、新しい体制のもとで安全基準、安全対策の検討が行われておりますけれども、その検討には、まだ若干時間がかかる情勢でありますが、そうした中で、衆議院選挙の前から各政党とも原発をエネルギー政策の中でどう位置づけていくかといった議論もし、政党としての考えなども発表されてきておりますけれども、そうしたものにつきましては、具体的にどういう手順で行っていくのかとか、あるいはそれによって、そういう政策をとることによってどういうふうな影響が国民生活、あるいは日本全体の経済活動に出てくるのかといったようなところまでの展望は示されていないように思われます。そうした意味で、選挙の過程でも余り議論の深まりがなかったといった、アンケート調査結果などもございますね。そういう意味で、原発の安全性確保の問題等、原発を今後、中・長期的にどう位置づけていくかということが大きな課題として残っておりますし、また、いずれにしましても、原発を停止しても万が一の事故が起こり得る可能性はずっと残っていくわけでありますから、万が一の場合の避難対策といったことが大事でありまして、県は鳥取県、あるいは周辺6市とも連携しながら避難計画の作成を行ってまいりまして、11月の末でしたかね、避難する側と受け入れてくださる側の一定のマッチングというようなものはできましたけれども、まだまだ要援護者の避難の仕方でありますとか、避難先での運営の仕方でありますとか、いろいろさらに詰めていかなければならない課題が残っておると。そうした問題につきましては、政府自身が関与しませんと実際の作業は進まないということがありまして、引き続き国の方針の決定でありますとか、そういうことを求めていく必要がある状況だということであります。
そういう中で、島根の若い人たちがスポーツ等々で活躍をされているということが我々にとってうれしいニュースであった年でもあるわけでありまして、テニスの錦織圭選手は、日本人で初めて世界のツアーで2勝目を上げ、世界ランキングも自己最高の15位を記録されたとか、あるいは将棋の里見香奈さんは女流四冠を維持をされているということで、現在、奨励会に入会して棋士を目指して研さんされております。
大相撲の隠岐の海関は、三役をねらえる地位に行きながら、先場所のように、そこで大きな壁に当たるということがありましたが、まだまだ活躍されることが大いに期待される関取さんですから、さらに初場所でも頑張って三役を目指していただきたいというふうに思っております。
そういうことでありますけども、県としては、県民の方々の安全・安心な生活、そして雇用の増加などを通じまして、そのためにも産業の振興、観光の振興等を行いまして、県民生活の安定、活力、そういうものを確保していかなければならない課題が引き続き続いておるということが私どもの所感であります。
それから、もう一つ、こちらに出ておりますけれども、県立美術館で1月の2日から「風景版画の変容」ということで、浮世絵に見られる風景画など昭和の世代に至るまでの風景画の版画を展示をするということであります。県立美術館の版画のコレクションをかなり持っておりまして、そういうものをお見せするということであります。
1枚、別の紙が配られておりますけれども、富士山の版画ですね、3枚。これはいずれも葛飾北斎の「冨嶽三十六景」のうち、三役と言われる名品を1月2日から1月7日まで展示をすると。ただ、真ん中の黒富士と呼ばれる「山下白雨」というのは期間中、展示をされるそうですが、左の「凱風快晴」、大波の「神奈川沖浪裏」ですね。この葛飾北斎の「冨嶽三十六景」の三役と言われますのは、ここの紙に書いてありますけれども、松江市出身の浮世絵コレクターの新庄二郎さんが所蔵されていたものを県のコレクションとして購入したものであります。富士山は、年明けには非常にふさわしいものでありますから、多くの方々にこういう、特に「凱風快晴」のような富士山の明るい、どっしりした版画などを見て、ことし一年はそういう気分でいこうというようなことを感じられるようないい絵でありますので、多くの方々に見ていただきたいと思いますし、そのほか平塚運一さんでありますとか、島根の風景画の版画がありますので、これも珍しいと思いますので、行ってみる価値は大いにあると思います。
私からの冒頭の発言は以上であります。
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