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知事定例記者会見(11月22日)

質問事項

1.衆議院解散総選挙について

 

○山陰中央新報

 衆議院が解散しまして総選挙となったわけですけれども、まず民主党、これまで3年間のですね、民主党の3年間の政権運営についてどういうふうに感想を持ってらっしゃるのかなと。最初、一般的には期待感がありながら、ちょっとしぼんでいった経緯もあったわけですけれども、それぞれの政策と、それから政権運営の手法について、どういうふうに感想を持ってらっしゃるかということをお聞きしたいなと思います。

 

○溝口知事

 民主党政権が成立しまして、成立する過程での選挙では、マニフェストを発表されて、政権をとった場合の政策の具体的な方法案なども出して支持を得たわけですね。しかし、日本経済自身が非常に難しい状況にあるわけでありまして、それから財政も長年にわたって大変厳しい状況が続いておりまして、そして、そういう中で世界的な景気の後退というものも起こってまいりましたね。そういう中で、マニフェストを実現するということが難しくなったということもありますね。それから、政権内で消費税の問題をどう取り扱うか、たしか当初のマニフェストには4年間でということはなかったわけですけども、経済、財政、いろんな状況を見て、消費税の増税に自民党、公明党と協調して実施をするということになりましたね。そういう問題などをめぐって党内の意見が分かれ、多数を占めた民主党の本体の議席が減っていって、非常に厳しい状況に追い込まれたということですね。

 

 そういう意味で、いろんな問題があるわけですけども、やはり全般的に見まして、日本経済の問題というのはここ二、三年で起こった話じゃないわけですね。バブルの崩壊以降、ずっと経済の低迷、あるいはデフレの動き、なかなか解消が難しい現実の中で、難しい政策の実行を約束したといいますか、そういうこともありますし、それから外的な要因もあるわけですね。いろんなことで政権の維持が難しくなったというふうに見ております。

 それから、国政の場では消費税の増税について3党間で約束する中で、衆議院の解散をするということが一つの約束になったわけですけれども、それにつきましていろんな解釈の違いがあったりしましたが、最終的には多くの人が予想しなかったタイミングで急遽解散総選挙になったということであります。

 

 与党政権、政権政党として難しい局面を経てこられたということでありますし、そういうものの中で新しい政権が形成される総選挙があるわけですから、その中でいろんな各党が論議を、各党の考えを国民に訴えられて総選挙が成り、日本の経済、社会、政治の再生と申しますか、に向けて新しい動きが進むということを期待をしておるということであります。

 

○山陰中央新報

 事実上の選挙戦に入っているわけですけれども、一つ、キーワードが多党化ということがありまして、第三極という勢力が支持、ちょっと最近落ちてますけど、そういう勢力の伸長があったりする中で、これが今回の選挙を語る上での一つの特徴なのかなというふうに思っていますし、それから、自民党が、これは各種の世論調査の結果なんですけども、自民党、民主党も単独過半数とれないという状況があって、いろんな選挙後の政権の枠組みをめぐって大連立とか、いろいろまた言われているようなところもあるんですけれども、まず一つ、第三極、いわゆる多党化という、たくさん党が乱立している状況についてどう思っていらっしゃるのかということと、それから選挙後の政権の枠組みとか、こんなふうになればいいなと、もし思ってらっしゃることがあれば、例えば政治の安定に向けてこんなふうになればいいなというふうな思いがあったらお聞きしたいなと思います。

 

○溝口知事

 おっしゃるように、一定の国会議員を有する政党が、このぐらいの多数の政党によって総選挙が行われるというのは余り記憶がありませんね。あるいは終戦直後はあったのかどうか知りませんけれども、ここ数十年の間は余りなかった現象ですね。そこはやはり日本の経済というものが非常に難しい状況をずっと続けているということに大きな原因があるんだろうと思いますね。その要因としては、やはり新興国が先進国に対して急速に、予想しないスピードで拡大をしていますから、そういうものがやはり日本を含め、先進国全体に大きな影響を及ぼしているんですね。ヨーロッパもそうですね。アメリカもリーマンショックがあったりして財政の出動で財政状況も非常に悪化していますね。この日本自身の問題もありますが、やはり世界全体としてそういう大きな変化が起こっている時代なんだろうと思いますね。そういう変化に対応するということは簡単にはできないことでありまして、そういうものについて人々がどういうふうに見るかという点については、その見方が違いますから、それはやはり意見が分かれたりするんだろうと思います。

 

 例えば消費税を増税しないと財政が破綻して、それが経済全体に大きな影響を及ぼすという考えに立ちますと、消費税増税というのは必要だということになりますし、いやいや、そっちよりも、経済対策の方が大事だということになりますと、また違う見解も出ますし、やっぱり世の中全体をどう把握するかということについて、やっぱり見方がなかなかまとまりにくい、難しい状況にあるというふうに私は見ていますけれどもね。だから、単なる政策というよりも、その背後にある経済なり世の中全体の動きをどうとらえるかということが難しいんじゃないかと思いますね。

 

 それから、そのためにもやはり経済、財政なりを立て直していく、それから政治の世界もそういう世界経済における大きな変化が、近隣の諸国との関係でも変化が起こっているわけですよね。それもやはりそういう世界経済全体の変化に影響を、各国の外交政策なんかも影響を受けているということだと思いますね。そういう意味で、見方といいますか、そういうものが選挙を通じて理解が進んだりすることによって政策の方向というのがまとまっていって、それで、まとまりませんと、こういう大きな難局を乗り越えていくというのは難しいですね。やはり大きな変化が起こっておるわけですから、そのためにはかじ取りも小幅なかじ取りじゃなかなか難しい面があるんだろうと思いますね。そのためには、やっぱりそういうものを理解してもらうということが、あるいは理解をするということが大事ですね。その上で政策の大きな方向についてみんなの方向感覚が合ってくると。ちょっと分析しづらいですけれども、そんなふうに私は見ています。

 

○山陰中央新報

 その多極化というのは、何か既存の政党がなかなか、例えば決められなない政治とか、よく言われたこともあったんですけど、そういったことに対する不満の受け皿になってるのか、それとも今言われたように、一つやっぱり物の見方が分散しているのかということになってくるのか、どっちかなと。

 

○溝口知事

 今は決まらないというか、それは政党間の駆け引きとかがあるから決められないということがかなりあるんじゃないですか。だから、そこら辺は堂々めぐりになるんですけどもね。しかし、できること、できないこと、あるでしょうし、そういうものをやはり、みんなが物の見方を共有するようにならないと、政策の一致というのはできませんね。だからやっぱり非常に難しい事態に世界全体がなっている、先進国全体がなっている。それで新興国との関係なども非常に難しいことになっておって、今までのやり方だけでは通用しないようなことも起こっているわけですね。そういう問題をどう評価して、その上でどういうふうな政策が実現可能かとかいうことを考えていかないといかんと。

 そういう意味で、そういうことを考えずにこういうことをしますというんじゃ余り、したことが実行できない、信頼が形成されないということになりますね。

 

○山陰中央新報

 政権の枠組みは、こんな形が望ましいんじゃないかと個人的に思ってらっしゃることがもしありましたら。

 

○溝口知事

 総選挙をしたらそれですぐ世の中が変わるということはなかなか難しいでしょう。やっぱり地道にどうやって安定していくかということをやらなきゃいかんでしょうし、それから、いずれにしても選択の幅、余地というのは少なくなっているわけでしょう。

 

○山陰中央新報

 選択の幅の余地が少なくなっているといいますと......。

 

○溝口知事

 というのは、日本経済自身がそんなにどんどん成長していくような若い経済じゃなくなっていますね。成熟しておりますし。それから、これまでの官の政策によって財政の方は非常に厳しい状況になっていますでしょう。そういうのは1年や2年で解決できませんね。

 

○中国新聞

 関連して、今、第三極と言われている勢力の中では、地方交付税を廃止して消費税を地方税化すると、地方の取り分にしようということを訴えられている方がいらっしゃいます。人口が全国で2番目に少ない島根県の首長として、どのようにお受けとめかというのが1点。

 消費税が増税されて、言われてますけれども、消費税、そもそも今後どういう制度であるべきか、そのデザインみたいなのを、希望されるものがあれば教えてください。

 

○溝口知事

 地方税にして、その後どうするかということが、よくまだ計画なりができてないんじゃないですか。そういうものがわかりませんから、その問題自体についてコメントするのは難しいですね。むしろ大事なことは、どういう地方税にして、例えば交付税のような財源調整の仕組みは、これは必要なわけです。だから、そういうものはどういうふうにして、地方税にした場合にね、変えていくのか。そういうものがないと評価が難しいですね、できないですね。

 

○中国新聞

 それでは、財源の調整というのは、あくまでも消費税の役割として必要であると。

 

○溝口知事

 それは消費税もほかの所得税も、今、法人税も、要するに地域間の格差を是正するためにあるわけですよ。それで消費税も社会保障の財源として、そういう調整に結局は使われることになるわけですね。だから、地方税にするかどうかということがそんなに大事なことじゃなくて、大事という意味はキーということでなくて、仮に地方税にした場合には、そういう問題をどう対処するかということがセットになってないと、判断ができないということです。

 

○中国新聞

 対案がないということなんですね。対案というか、答え......。

 

○溝口知事

 答えが出てこないでしょう。

 

○中国新聞

 出ないと。

 

○溝口知事

 評価するのにね。政策として、まだ一面の政策になっておるということですね。

 

○中国新聞

 もっといろんな使い道であったり......。

 

○溝口知事

 使い道にしても財源調整にしても、地方税か国税かということはそんなに大事なことじゃないんですね。どういう仕組みで今やっているような財源調整のようなことをやるかということですね。と思います、私は。ただ、いずれにしても詳細がわかりませんから、それがいいとか悪いとか、判定を下すのは非常に難しいと。

 

○山陰中央新報

 県政運営に当たって、この3年3カ月の民主党政権がもたらしたものというのが何なのか。あと、前の自公政権のときとどういった部分が変わったのか、どういうふうにお考えでしょうか。

 

○溝口知事

 変わったかどうかは別としまして、民主党政権で、地方との関係でいえば、やはり分権は非常に大きく進展したというわけではありませんけども、一定の進展は見られておりますし、まだ進行状況にあると。それは自民党政権のときもそういうことは行ってきてますけども、それが一つでしょうかね。

 それから、やはり経済面ではリーマンショックなどがあり、それは自民党政権、麻生内閣のときでありましたけれども、景気対策などを打ってきまして、民主党政権になりましても、そういう対応はしてきていますね。

 それから、地方財源の充実という面では、交付税などの増額も行われてきているというふうに思います。

 それから、公共事業関係では、政権発足当初はコンクリートから人というのがありましたが、それはかなり誤解を招くスローガンといいますか、言い回しであったわけですけれども、やはり地方部ですね、島根県などの社会インフラの整備がおくれているところはちゃんとやってもらいたいということを我々もミッシングリンクの解消だとか言ってきまして、そういう点では政権発足当初と我々の主張、あるいは世の中の主張もあって、変わってはきましたね。そういうことでしょうか、地方との関係では。

 

○中国新聞

 知事、12月4日の公示以降、公務、非公務問わず、どなたかの応援の演説に立とうという予定はあるんですか。

 

○溝口知事

 まだ。

 

○中国新聞

 まだない。

 

○溝口知事

 ええ。

 

○中国新聞

 立つお考えは。

 

○溝口知事

 過去の国政選挙においては公務とは別に応援演説をしておりますから、今回も多分そういうことになろうと思いますけど、まだ決まっていません。

 

○時事通信

 済みません、今回の衆院選の争点というのは、知事が考えられる争点というのは。例えば多党化して、もうTPPやら原発やら消費税アップ、すごくいろんな主張があると思うんですが、知事が考えられる今回の選挙の争点というのは。

 

○溝口知事

 争点は、意見の違う分野ということになりますね。一つは、消費税は明確に分かれていますね。そこは争点になりますね、違っていますから。それから原発についても若干違いはありますね。若干という意味は、将来に向けて廃止の方向

でいくというのと、まだそこまでは明確でないというところがありますわね。ただ、それも先のことですからね、いずれにしても、詳しくは各党の公約を見ていませんけれども、原発への依存は低めていこうという方向、大きな枠組みとしては同じ方向になっているんでしょうが、いつの時点でどうするかということについては違いがあると。しかし、それは先のことですから、それは一つの目標という違いですね。可能かどうかはまた別の問題でしょう。

 

○時事通信

 知事が特に重視されて、よく注目されている点というのはありますか。

 

○溝口知事

 私は、さっきから申し上げるんですが、いろんな問題、難しい問題でして、日本経済をどう再生していくかというようなこともありますね。そう1年や2年、数年のことで大きな展開が起こることは難しくて、いろんな施策を、財政の健全化であ

りますとか、あるいは経済の構造なり、あるいは国際競争力を保っていくためにどうしたらいいか、産業政策をどうするかと、あるいはTPPもありますね。それもすぐに何か結論が出て、すぐに効果が出るということは難しいわけでして、むしろ政策をきちっと、やれる政策をちゃんと実現できるような政党の体制になっているかとか、あるいはそこら辺を評価するのは難しいですけども、そういうところが国民の方々もよく見ようとされているんじゃないですか。

 だから、この目標自体がいいかどうかよりも、その目標の実現可能性とか、あるいはそういうことをやり得るような根拠がちゃんと説明されているのかとかいうこと、あるいはそういうための実行の体制はどうなのかとか、そういうところが大事なところじゃないかと思いますね。

 

○中国新聞

 自民党の安倍総裁が、インフレ目標ということで発言をされてるんですけれども、知事のかなり専門分野だと思うんですけれども......。自民党の安倍総裁がインフレの目標を2%設定しますとか、インフレについてかなり最近、デフレ脱却ということで発言されてますが、専門家としてどう......。

 

○溝口知事

 いやいや、専門家でもないので、知事としてはありませんね。難しい問題ですよ。

 

○中国新聞

 難しい問題ですか。

 

○溝口知事

 難しいというのは、そういうふうにマクロ経済について目標を立ててやるというのは、政策の影響力というのが小さくなっていますからね。それから政策の選択の余地が小さいですし、それから効果がすぐに出るもんじゃありませんからね。思いますね。

 

○中国新聞

 消費税を上げる場合、もちろん経済対策というのがかなりセットになって引き上がっていくと思われるんですけれども、どういった経済対策、あるいは地方に対する経済対策を求めますか。地方に対してという観点で。国全体じゃなくて地方の経済対策、地方、消費税が上がった段階。

 

○溝口知事

 一般論で言われても、なかなかそれは難しいですね。そのときの経済情勢だとかをよく見て、適切に対応してもらいたいということですね。

 


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