知事定例記者会見(9月4日)
質問事項
2.島根原発関連について
○山陰中央新報
知事、先日、出雲と安来と雲南の3市が中電に立地自治体並みの安全協定締結を求めて要求書を提出しましたけれども、県にも後押しみたいなこともお願いされたと思うんですけど、今後、県としてどのように対応していらっしゃるか。
○溝口知事
それは、中電とは、もちろん私どもの方からもそういう希望を伝えますけれども、やはり原発の立地をどういうふうな手続で、あるいは立地、あるいはいろんな条件の変更等を行うかという、エネルギー政策にかかわる問題ですからね、やはり国が一定の考え方なりを示さないと、一電力会社だけでは話が進まないだろうと。結局そういうものは電力業界全体でどうするかという問題になりますね。そうすると、いずれにしても立地をどういう手続でやっていくかということについては、国が関与するほかないんです。この前の関電の話も、周辺の自治体への働きかけというのは福井県がやるわけじゃないわけです。あるいは関電はもちろんやりますが、そういうことではこの話は決着しないわけですね。いずれにしても国が立地について、エネルギー政策、あるいは原発の監督等について責任を持っているわけですから、国がやっていく必要があると。そうしないと、事実上進展は図れないだろうと。
私は、周辺3市、あるいは鳥取県、鳥取県の2市が重要な変更の、原発についての変更があるような場合には事前了解を得たいという気持ちはよくわかります。それは影響があるわけですから、そういうことを求めるのは自然なことなわけですね。しかし、それはやっぱりどこかで線を引かないと、日本国じゅう、それはある意味で影響を受けるわけですね。だから、そういう問題についての考え方の整理をやはり国はする必要があると思います。国には再三そういうことを言ってきております。
○山陰中央新報
今後もおっしゃっていく......。
○溝口知事
いきますね。
○山陰中央新報
それは今、紳士協定で結ばれてますけども、それは例えば制度化なりというようなことは念頭に、知事の中で......。
○溝口知事
いやいや、それはいろんなやり方がありますから、具体的なことについて今言及できるわけじゃありませんけども、国としてどういう形がいいのかとか、あるいは電力業界全体としてそういうことを相談して、国とも協議をされるとか、いろんなやり方があると思います。
○山陰中央新報
知事、3市の動きというのは理解できるというようなこともおっしゃいましたけど、一方で立地自治体である松江市は、その同じ権限は適当ではないというようなことも言ってらっしゃいますし......。
○溝口知事
それもありますね。やはり近いところが万が一の場合には最も大きな影響を受ける可能性がありますからね。
それから、多くの自治体がそういうことに関与するということになると、いわばどういう決定方式でやられるのかという、そういうメカニズムがないわけですよ。だから、そういうことまで話をするためには、国としての考え方なりがあった方がいい。あるいは電力業界全体としてやられてもいいと思いますけどね。
○山陰中央新報
今の発言でいうと、立地自治体と周辺自治体は、それはこれからもやっぱり差異があるべきと。
○溝口知事
UPZなんかも変わってまいりますから、そういう中でUPZの中にある自治体をどういうふうに取り扱っていくという問題とも関連しますね。だから、それは今度成立します規制委員会などにおいてよく検討されるということが必要だというふうに思います。
○山陰中央新報
これまで県は包括的に結んでる安全協定で、松江市以外の18市町村は意見が言えるというようなこともおっしゃってたと思うんですけど、そうでなくても、これからはやっぱりああいう影響が大きいということは、やっぱり周辺の線引きは必要だと。
○溝口知事
それは我々として、そういう事前了解の規定があるなしにかかわらず、影響を受ける市町村の意見をよく聞くというのは当然のことだというふうに思っています。
○山陰中央新報
国の方できちんと判断......。
○溝口知事
判断というか、やはり国の考えがないと、電力業界はそれぞれ地域独占でありますけれども、みんなでいわば全国の電力を供給しているわけでしょう。どこかが足らないということになると、若干の程度、一定の程度ですけども融通なんかも起こるわけでしょう。例えばあるところは非常に立地が難しくて電力が不足しているといったようなことがあり得るわけですから、一電力会社だけの問題じゃないわけですね。
○山陰中央新報
今の発言でいくと、何らか周辺自治体の意見反映をさせる仕組みがないと、なかなかこれから再稼働の判断というのも......。
○溝口知事
いや、仕組みというか、我々も周辺自治体の意見をよく聞きますよ。私が言っているのは、それは総合的にそういう意見も勘案しながら県としての考えを整理をしていきますといったようなことで、一定の配慮は当然しなきゃいかんと思いますが、そのときに、みんなが事前了解といったときに、事前了解の内容が違った場合にどうやって調整するかという問題がいずれにしても起こってまいりますね。そうすると、そういうメカニズムがないところでは、結局総合的に判断するということにならざるを得ないわけでしょう。そういうことも含め、私は総合的に判断していきますと、周辺自治体の意見もよく聞いていきますということを申し上げているわけです。
○毎日新聞
済みません、関連してなんですけれども、先ほどから知事、安全協定に絡む話において、エネルギー政策にかかわることだからということで、国が監督してやっていくべきだというようなお話でですね。
○溝口知事
国が要するにエネルギー政策として電力会社の運営だとかを規制したり監督しているわけですから。
○毎日新聞
いや、だから、そもそも今の質問のスタートというのは、安全協定についての問いだったわけですよね。そこでなんですけれども、安全協定の話で、知事、これまでもなんですけども、国が何らかのものを出さないといけないというようなことをずっとおっしゃってるんですけれども、安全協定というのは国が現在示してる原発に関する行政的な流れ、動かすに当たっての行政的な流れとは一線を画して、電力会社と地元の自治体が組んでるもの、そこには国というのは恐らく、基本的に関与してない、自治体独自のものですよね。そこに対して国が何らかのことをやらないといけないというような、何かを示さないといけないというのはどういう意味なのか教えてほしいと。
○溝口知事
それは電力会社がなかなか自分のとこでは判断できない状況にあると私が見ているからです。
○毎日新聞
何を判断できないんですか。
○溝口知事
電力会社が、例えばじゃあ周辺、どこまでそういう事前了解をしたらいいのかというようなことについては、原発の立地にかかわる問題ですし、ほかの電力会社がどういう考えでいるとか、いろんなことに関連してくるでしょう。私はそういう法制的じゃなくて実態的な面を言っているわけです。進めるためにもね、国が一定のめどなりを、事実上出すかどうかは別として、そのやり方もいろいろあると思いますけども、される方が、されるんでなければ、なかなかこの問題の決着というのは難しいんではないかという、情勢の判断を踏まえて申し上げていると、こういうことです。
○毎日新聞
国が何キロ以内の自治体とは安全協定を結びなさいというようなものを、そういうようなものを出せばよいということですか。
○溝口知事
いやいや、それは、例えばUPZがかかる市町村とは電力会社がそういう安全協定を結ぶことを、何といいますか、電力会社の判断にゆだねるとかね。
○毎日新聞
そもそも電力会社側の立場からすると、恐らく国の原発を動かすことに関する流れというものがあるんだから、地元自治体と安全協定に基づいてやるというのは、そこは一つ、プラスアルファで出ている行為なんだから、電事連なんかがそこに対して安全協定の自治体、どこと結ぶかというのをどういうふうにしましょうかというのを考えるというのは、なかなか考えにくい話。逆に言うと、一つも結びたくないというのが電力会社側の心の中なんじゃないかと思うんですけれども。
○溝口知事
そうじゃなくて、安全協定はいろいろ結んでるわけですよ。今問題になっているのは、松江市と、あるいは県と結んでいる事前了解の事項についてでしょう。だから、安全協定を結ばれるのは、もう既に始まっているわけですよ。
○毎日新聞
うん、安全協定は結んでいるのは確かにそうなんですけれども、電力会社側からすると、国の決まりに沿ってやって動かしているものを、地元自治体がいろいろと、いろんなところでとめるとかやっていいとかいうような判断をするというのは、電力会社側からすると、ふやしたくないというのが本音ではないかと思いますけれども......。
○溝口知事
いやいや、それはそうじゃないですよ。やっぱり地元の理解がないと、それはできませんね。
○毎日新聞
それは、電事連なんかがまとめることは可能だと知事は思ってらっしゃる。
○溝口知事
いや、電事連でやるという方法もあるかもしれないけれども、国の一定の関与があった方がいいんではないかというサジェスチョンをしているというだけです。
○毎日新聞
改めて国はどう関与するんですか。
○溝口知事
それは電力会社の判断にゆだねるとかね。
○毎日新聞
電力会社の判断にゆだねるんだったら、現状と何も変わらないんじゃないですか。
○溝口知事
変わらないけども、それは一定のあれになるでしょう。
○毎日新聞
何をゆだねる、何の判断をゆだねるんですか。
○溝口知事
そこまではっきり言ってないでしょう。
○毎日新聞
国がですか。
○溝口知事
はい。
○毎日新聞
どこの範囲と結べというようなことですか。
それはもちろん言ってないですけども、知事がこうですよというのは......。
○溝口知事
安全協定とああいう再稼働という問題は、それは密接に関係があるわけですよ。ことしの夏の問題については、国自身が周辺の県とか、あるいは府ですか、説明をしたりしているわけですね。
○山陰中央新報
住民の、周辺自治体の住民の不安がある中で、3市は求めてるわけなんですけど、原発の稼働に関する権限というのは、ああいうふうに30キロ、福島でああいうふうに被害が広がった以上、そういう稼働の権限というのは持ちたいというのは理解できるということですか。
○溝口知事
理解できますね。
○毎日新聞
知事の中では、どのくらいまでの範囲だと思いますか。
○溝口知事
そこはありません。
○毎日新聞
例えば福島の場合だと、飯舘村のように50キロ以上超えたところでも地区に入れないと、地区の入り口の道のところに柵をして、鍵を閉めて誰も入れないようにしていると。そういうようなところすら、50キロ近くあるところでもあるわけですね。知事は、そういうところも考慮されて、どのあたりの範囲までだと思われますか。
○溝口知事
それは国の安全基準をどう考えるかとか、安全対策をどう考えるとか、あるいは万が一の事態に対してどう対応するとか、そういう総合的な判断の中で国が考えていく必要があるだろうというふうに思いますね。
○毎日新聞
逆に言うと、国がここまでの範囲だというものを示せば、それに対して島根県は唯々諾々と従うということですか。国が決めれば、従うということですか。
○溝口知事
いやいや、そんなことを言っているわけじゃないですよ。まだ国のエネルギー政策をどうするかというところがまだ決まってないわけですから。
○朝日新聞
知事、済みません、先ほど原発の再稼働については、専門家の趣旨、専門家の意見を聞いたりとか、先ほども県民の意見も聞かなきゃいけないというふうにおっしゃってたんですけれども、先日、島根大学の教授たちが原発に関するアンケートを県民にして、1号機に対しては64%の人、2号機に対しては46%の人、3号機が47%の人が再稼働は反対だというふうに言っていて、こういう県民の声に対してはどのようにお考えになっていますか。
○溝口知事
それは一つの意見ですね。そういうものもよく念頭に入れておかなきゃいかんと思いますけれども、そこら辺は、まずやはりそういう具体的な問題に入る前に、国としてエネルギー政策をどういうふうに進めていくかということがあって、そういう中で、さっき申し上げたようなプロセスで、国全体としてはこうするんだけれども、あるいはどういうスピードでやっていくんだとか、あるいはどういう形でやっていくんだとか、そういう議論の中で検討されていくべき問題でしょうから、そこだけ抜き出して答えるというのはなかなか難しいと思います。しかし、そういう御意見があるということは頭に入れておきたいと思いますけれども。
○山陰中央新報
済みません、もう1点よろしいですか。
安全協定の話で、県の包括的に結んでる枠を超えて周辺自治体が立地自治体並みを求めるというのは理解できるというお話だったと思うんですけど、それであと、どの範囲にするかというのは国が判断をすべきだという......。
○溝口知事
すべきだというか、国がする方が進みやすいだろうと。
○山陰中央新報
ええ。で、それは今後どう、規制委に対してそういうことも言っていくということですか。
○溝口知事
もう言ってますよ。
○山陰中央新報
言っている。
○溝口知事
はい、いつも言ってます。
○山陰中央新報
今後も言っていくという......。
○溝口知事
はい、言っていきますよ。
○山陰中央新報
もう一つ、あと、このUPZが拡大されて30キロ圏内になると思うんですけども、交付金だとかというのもやっぱり、その周辺とかにも広げてやっていくべきだというふうに......。
○溝口知事
それは、既にあるものにも、それと関係がある交付金もあるし、関係のないのもあると思いますけどもね、そこら辺は、今の問題はよく調べてみないとわかりませんね。
○読売新聞
エネルギー政策、ゼロにする方向の件なんですけど、まだ調整中なんですけど、今後、決まったときに核燃料税とか、立地自治体の交付金とかにも影響は出てくると思うんですけど、短期はともかく中・長期的な予算編成なんか、何らか
の再検討というのは考えられるんでしょうか。
○溝口知事
それは、そういう決まり方によるでしょうね。
それから、原発をとめても、その施設というのは残りますからね、そういうものをどう考えるかという問題もあると思いますね。
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