知事定例記者会見(8月7日)
質問事項
1.島根原発関連について
○山陰中央新報
国のエネルギーの環境政策の会議が終わって、3つの原発のシナリオについての意見聴取会が終わったんですけれども、そこで脱原発、原発ゼロというのが7割ぐらいを占めたということなんです。まずこの点についてどういう御感想を持ってらっしゃるかというのを。
○溝口知事
それはやはり多くの方々が原発についての安全性についての危惧を持っておられるということを表明しているんだろうと思います。
○山陰中央新報
今後、政府としてどういうふうなシナリオでいくかというのを決めていく予定なんですけれども、そこではどういうことを、どういう観点から決めていくということが大切だというふうに思われますか。
何を観点に決めていくというのが大事だというふうに思われますか。
○溝口知事
一つは、そういう多くの国民の感じておられることというのは大事な要素ですね。他方で、原発というのが現在時点で見ますと一定のエネルギー供給において役割を演じてきたわけですね。それから、ほかのエネルギー源との、安全性の問題はもちろんありますけれども、コストの問題もあるわけですね。そういうものがどういうふうな影響を受けるのかというようなこともよく、そういう経済全体との観点からの分析、あるいは国民がそういうことについてどうお感じになるかというようなこともよく調べる必要がありますね。
それからやっぱり一番大きいのは安全性の問題ですね。安全性の問題につきましては、福島原発の事故原因等につきまして、4つの報告書が出ているわけですね。それを政府として4つの報告書の中には見解の違いもありますし、調査が十分終わってないところもありますから、そういうものをよく調べたり、政府としての考えをやはり整理をすると。その過程で、さらに専門家の意見を聞いたりする必要があろうと思いますね。あるいは4つの報告書をつくられた方々からも、直接政府が話を聞いたりする必要もあるでしょう。そういうことによって、政府がこれまでやってまいりました安全性に対する関心、基準、あるいはそれに基づく安全対策というものが、そういうものをどういうふうに政府として組み立てるか、新たな観点から見直す必要があるわけですね。そういうものをきちっと政府が整理をしないといけませんね。そうした整理をしたものを国民にもよく説明をしながら、政府としての政策を提示をしていくということだと思いますね。だから、余り深く整理をしているわけでもありませんけれども、国民のそういう考え方、一般の方々の考え方、それから将来のエネルギー源となるものの供給の構造ですね、あるいはそういうものが経済に与える影響、経済に関連した部分ですか、それから3番目はやはり安全性について、どういうふうに政府が考え、国民の理解を得ることができるのか、そういうプロセスをさらに国会でも、政府内はもちろん国会でも議論をしたりして、政府としての考えを示し決定していく、そういうことが大事だと思いますね。
○山陰中央新報
今、3つ上げられましたけど、要はそれが今度シナリオを示すときのセットになるという......。
○溝口知事
3つというのは、とりあえず言っているだけであって、ほかにもあるかもしれませんけど、ただ、あなたの質問に対して、今の時点でいえばそういうことになるかなというふうに言っているわけでありまして、ほかの意見もあり得るでしょう。
やっぱり世界的なそういう中には、このエネルギー源となる供給のチャネルですね、天然ガスはどの程度供給できるのか、あるいは石油資源がどの程度あるのか、あるいはほかのエネルギー資源もありますね。そういうものも考えたりする必要があるわけですね。だから、限定的に申し上げているわけじゃありませんけれども、そうしたもろもろの関連する要素をよく整理をして、政府としてはこう考えるというものを出し、さらにそれについての議論をして決めていくと。丁寧なプロセスが必要だろうというふうに思います。
○中国新聞
今の3案について、知事としてどれを支持されるかというのは改めてあるんでしょうか。今の。
○溝口知事
知事としてはありませんね。
○中国新聞
そのどれが一番実現可能性が高いんじゃないかとかいうお考えもないですか、今のところは。
○溝口知事
いや、そこは難しいですね、実現可能性というのはいろんな要素がありますから。それからやはり国民自身がいろんなことがあってもどう感じておられるかということも大事な要素ですね、一番。
○中国新聞
実現可能性というと難しいかもしれないですけど、知事の、国民が、7割ぐらいがゼロ%を支持していると。知事として感じている部分とか感情の部分でいいんですけども、そこでどうすべきかという、どうすべきかというとこまで行かずとも、どういうふうに考えるかというとこで、これを支持したいとかいうのはやはりないんでしょうか。
○溝口知事
知事としては、やはり今のプロセスをよく、国がやはりエネルギー政策をどうするかということですからね、国の責任でもって、まず提示をするということが大事ですね。
○山陰中央新報
関連ですが、国民の今の意見聴取を見て、国がエネルギー政策について、比率についても示すということなんですが、一方で、狭い範囲かもしれませんが、島根県民の方がどう考えてるかというのは必ずしも明確ではないと思うんです。それで、再稼働に当たって、改めて島根県民がこのエネルギー比率を考えてるかというのは、改めて問うとか意見を聞く機会をつくりたい、知事として島根県民がどう考えているか知りたいという欲求はありますか。
○溝口知事
それは、まだ先ですね。政府自身がやはりエネルギー政策の大枠をどういう考え方でやっていくかというのがあって、それに対してやっぱりもう一度やっぱり国民的な論議があると思いますよ。
今の段階では、世界を含めた全体的なエネルギー供給の構造でありますとか将来でありますとか、あるいはそういうものが経済に与える、そして経済に与えると、それは国民の生活にも影響が及んでくるわけでありますけれども、そういうところまで議論が入っていませんね。
それから、安全性の議論については、4つの報告書が出ておりますね。それをよく分析して、政府として原発の安全性はこうなんだと、こういうふうに確保するんだといったようなことが全く示されていないわけです。だから、まだそういう点を入れて全体を政府としてどう考えるかというのがないとだめですね。そういうものをやはりもう一度国民に問うということのプロセスが当然あると思いますね。再稼働問題というのは、その後の話ですから。
○中国新聞
そのエネルギー政策の提示の時期なんですけども、8月というふうに最初は言ってましたけども、きのう、野田首相がスケジュールありきではないというようなことも言ってますし......。
○溝口知事
そうですね。
○中国新聞
ちょっとおくれる可能性もあるというふうな見方もあるんですけども、その点についてはどうですか、知事。
○溝口知事
それは丁寧に、まだ政府は今申し上げたエネルギー供給をどうするかと、将来どういうふうにすることが可能なのか、した場合にどういう影響が出るのか出ないのか、国民生活にどういうふうに関係してくるのかというふうな分析を何ら示していませんから、そういうことも必要でしょう。
それから、安全性の部分についてどういうふうに確保するんだ、どういう考え方でいくんだということも示されてないわけですから、そういうものも入れて、総合的にやはり政府の考え方を示す責任があるわけですね。だから、そこをまだやってないわけですから、そういうことなしにこうだというふうに決めることはできないですよ。だから、当然そのための時間が要るということだろうと思いますね。
○中国新聞
ということは、早急に出してほしいというよりも、丁寧に議論してほしいということですね。
○溝口知事
当面の電力供給ということから見ますと、ことしの夏の対策は一定の対策をとってこられて、一定の節約と申しますか、そういうものも入っておりますけども、これまでのところ、大きな混乱を経ないで進んではきておりますね。
ただ、そういうものは、どういうふうな影響を与えるかというのは、まだはっきりしないところもありますけども、いずれにしても、政府が自分の考えはこうで、かくかくしかじかのこういうふうな要素についてはこういう考えで、こういう評価であ
って、そういうものを総合すると、政府はこういう考えでいきたいと思うということをやっぱり、ホールパッケージを示さないとだめでしょう。その作業がまだできていないということですね。
○中国新聞
済みません、繰り返しで恐縮ですけども、原発ゼロ%というのは、本当になくなるということなんですけど、そこまで行かずとも、例えば知事として、将来的に減らすべきであるとか、そういうお考えというのは今の時点でないんでしょうか。
○溝口知事
大きな方向として政府自身がそういう考え方を示しておりますけれども、それは多くの人が共有しているんではないかなというふうに私は見ておりますけれどもね。
○中国新聞
知事としてはどうでしょう。
○溝口知事
我々はやはり県民全体の方が、全体としてどういうふうに考えられておられるのかとか、国民全体はどうかというようなこともよく、個人としてではないですから、行政を担当する者として、そういう動きもよく見ながら自分の考えを整理していくというふうに考えておりますけども、さっき質問があった、やはりあれだけの事故があって、安全性についていろんな議論もあるわけですから、安全な自然エネルギー等、あるいはほかのエネルギーもあると思いますけども、そういうふうに移行していくというのは自然の流れだろうと私は考えております。ただ、そのスピードをどうするかということが、まだまだ議論を要するわけです。
○山陰中央新報
知事、先ほど県民全体としてどう考えているのかというようなこともおっしゃいましたけど、それは県民にはどういう形で声を聞くという......。
○溝口知事
それはいろんな方が発言されていますから、そういうことでいろいろお聞きしていますけども。
○山陰中央新報
関連ですが、昨日、東京電力の福島第一原発事故、水素爆発を起こすときの東京電力の会議のやりとりが限定的な形で公開されましたが、まず、限定的な映像ではあります、ニュース映像等でごらんになられたかと思うんですが、まず
その感想をちょっとお聞かせください。
○溝口知事
これまでの報道等で、テレビに出たようないろんな東電内の動きはある程度想像はされておられましたけれども、水素爆発とか、まだ水素爆発といったような言葉が当初の段階では出てないですよね。だから、そういう問題も指摘されておりましたね。そういうものに対する対応だとか、そういうものが十分でなかったなというようなことは、あの緊迫したやりとりの中からも想像されますね。
いずれにしても、ああいうものをよく政府の方も分析をされ、そういう中で、これまで足らなかった安全面での対応の不足等をやはりよく分析をされて、それをどうするかというのを考える必要がありますね。当然考えていると思いますけども。
○山陰中央新報
原発立地県の知事として、中国電力と東京電力はもちろん会社も違うわけですが、ああいう事故が起こったときにどういう対応になるかというのを考えると、いわゆる報道機関に対する限定的な公開なんですが、知事として公開すべきだとか、ごらんになりたい、全部ごらんになりたいとか、そういったお考えもありますか。
○溝口知事
それは、公開しなきゃいかんでしょうね。あれだけのことが起こっているわけですから。
○山陰中央新報
一つ、順番というと、事故調査報告書の中に反映されているのかもしれませんが、今のところ、順序としては事故調査報告書がそろいましたとなってからの公開というのは......。
○溝口知事
それは自然じゃないだろうと思いますね。
○山陰中央新報
公開しないといけないというのは、事故の検証とかの観点から。
○溝口知事
観点からも、要するにその時点でこれまでの規制当局なり、あるいは事業会社がどの程度のことを予想しておったのか、あるいはそういうものに対する対策としてどの程度のことを考えておったのかというのは、それは新しい安全基準をつくったり対策をするのに不可欠なことですわね。
○山陰中央新報
それはやはり、もちろん政府が、これから安全基準をつくる規制委員会の人たちというのは多分見れるだろうと思うんですが、やっぱりそれは広く公開されて、公の議論を踏まえて、国民の声を踏まえた上で、やっぱり安全基準というものは整えていくという、プロセスについては。
○溝口知事
それは、国民に説明する際に、この体制のもとではどういうことが起きていたかというのは、きちっと説明ができなきゃいかんでしょう。それで、そういう問題に対してこういう手当てをしていますとか、こういう対策をとっていますというのがなきゃ、実感としてわかりませんわね。
○山陰中央新報
知事、その安全協定にかかわって、鳥取県側と島根県側の出雲、安来、雲南がフルスペックの協定を結ぶことということを今後、中電に申し入れるということを決めたようなんですけども、そのことについていかがですか。
○溝口知事
それは、前からそういうお話は聞いておりますが、いずれにしても、そういう安全協定をどこまで結ぶのかというのは、いろんな対策とも関連しておりますし、それから電力会社が各地にありますから、やはり国の方で整理をする必要があるだろうというふうに思います。
○山陰中央新報
国の方で整理というのはどう......。
○溝口知事
例えば何キロ圏内の自治体とはそういう協定を結ぶことが、要するに慫慂されるとか望まれるとか、あるいはどっちでもいいんだとか、政府の見解がやっぱり必要だと思いますよ。
○山陰中央新報
知事の今の発言は、UPZを今後拡大されていくということに対して、30キロというふうに決めるんであれば、きちんと何らかの制度というのが当然必要になってくるというお考えでしょうか。
○溝口知事
それは、要するにエネルギー政策というのは国全体でやっていますからね。それで電力会社というのは、そういうエネルギー政策の中で地域独占を与えているわけですから、国の関与がやっぱり必要だと思いますね。国の要するに一定の考え方が。
そうしないと、電力会社自身にはできませんね。自分のところだけこうするというわけには多分、いろんなことからいって難しいと思いますね。だから、そこは国が今まで余り発言していませんけれども、例えば大飯原発の場合でも、福井県だけの意見じゃだめだということはわかっているわけですよ。だから国は滋賀県だとか大阪府だとかと話をしておられるし。だから、そういうことをもう少し整理することは国として必要だろうと思います。ただ、それは原発をどうするかという話と並行するというか、そういう中で決める必要がありますね。
それはやはり福島原発の事故によって、周辺の立地、いわゆる立地市町村だけでなく、ほかの地域も影響を受けるわけですから、当然そういう範囲の拡大について、国は考え方を示さないといけませんね。だから、部分的にこの部分はそれぞれ決めなさいというわけにいかないわけですよ。それは原発をどうするかということと、いわば最も重要なところでしょう。いわば関係する自治体の理解を得るということは。
私はそういう考えで、だから、私どもが中電にしなさい、どうという話じゃなくて、国にそういうことをよく考えないといけませんよということは、いろんな形では言っていますけども、そういう問題ですよ。
○山陰中央新報
じゃあ、周辺市の動きというのに対しては、知事としてはもう理解ができる......。
○溝口知事
それは理解はしますよ。当然やはり影響を受けるわけですから。だけど、事実上、中電がいろんな説明とかをやっておりますね。私どももそれはよくやった方がいいと。それで我々の方も、周辺市町、あるいは隣県にも、我々が得た情報だとか動きだとか全体の話なんかは折に触れて説明しておりますよ。だから避難計画なんかも一緒にやらなきゃいかんということですね。だから、結局問題は中電がどうするかという問題は、原発政策をどういうふうに進めるかと、進めるに際してどこまでの、実際に了解が要るのか。例えば広くいえば日本全国ということになるわけですよ。だから、そこをどう切るかというのは国でしなきゃいかんだろうと。地域の問題を超えますよ。
○山陰中央新報
立地自治体である松江市との、フルスペックの仮に協定を結べば、差異がなくなるということについては。
○溝口知事
それは遠さによって、やっぱり一定の差が現にあるわけですよ。それは、だけど今回の福島原発事故によって、一たん事故が起こると広がるということが明らかになったわけでしょう。だけど、やっぱり一番すぐ被害を受けるのは近いところでしょう。早くしませんといけませんから。だから、それは対応の差は多分出てくるでしょうが、どこかで切らなきゃいかんわけですね。
○山陰中央新報
そこでどういう差をやるかというのも国できちんと決める。
○溝口知事
差といいますか、そういうことについて国がやはり、要するに最終的には国がエネルギー政策の問題については責任を持って対応しなきゃいかんわけですよ。それから地元ですね、立地市町村はもちろん、周辺も含めて了解を得ないと進めないわけですから、そういうものを、要するに原発の政策についての大きな枠組みをつくり、それについて国民の理解を得、それから仮に再開というようなことになると、そういう問題についても適切な枠組みをつくらないといけませんね。そこまでまだ行ってないということですよ。
○山陰中央新報
ちょっと聞き忘れておりました。
先ほどの映像の件ですけど、今はお決めにはなってらっしゃらないと思いますが、例えば知事で賛同する方がいらっしゃったりしたら、国というか、国を通じて公開すべきだ、あるいは公開を求めるべきだと、何かどこかへ伝えられたりする、したいというお考えはありますか。
○溝口知事
そこは、国の状況を今、あれすればいいでしょう。それは必要に応じてやりますから。
○山陰中央新報
エネルギー政策と一緒に核燃料サイクルのあり方というのも、今、同時に政府は方向性を出す予定なんですが、知事として今、核燃料サイクルについて今後どうあるべきかというのは、お考えをお持ちですか。
○溝口知事
それは一言で言うのは難しいですね。やはり核燃料サイクルがうまく回るような仕組みをつくるということは必要ですね。
○山陰中央新報
ということは今、両論併記で、核燃料サイクルを断念するという場合であったり、これからまたその再処理というのを進めていくというのが両論併記なんですけれども、それはきちんと......。
○溝口知事
それは、原発をどういうふうに進めるかということと関連していますよね。
○中国新聞
済みません、先日、中電が提出したストレステストの内容についてなんですけども、あのデータで結果を見ますと、想定地震の1.69倍ぐらいまで耐えられるんだと、原子炉がですね。津波は15メートルまで耐えられるんだということでしたけど、その数値について、どういうふうにまず受けとめられたかということを。
○溝口知事
そこら辺は、ストレステストなりを新しい規制委員会でどういうふうに評価をされるということがあって、やっぱり専門的な知見に基づいて検討する必要がありますね。だから、私が今の段階で十分だとか言う立場にはありません。そういうやつはやはり専門的な、きちっとしたチェックを受けて、そういう理由をよく聞いて考えていく必要がありますね。
○中国新聞
一方で、その評価する立場の保安院というのが8月になくなって、9月から規制委員会になるんですけども、そこでの要は評価の流れというか、そういうのが今、全然見えないような状況なんですけど、その点についてはどうですか。
○溝口知事
それはやはり新しい規制委員会で、何回も言っておりますけども、事故の原因分析などをよく再調査し、事故調報告書をよく見て、さらにそういうのに関与した人の意見なども聞きながら、安全対策、安全基準といいますか、安全の枠組みですね、そういうものを新しい規制委員会としてつくって、それが、その中でストレステストをどういうふうに位置づけるのかとか、いろんな問題があるわけでしょう。そういう中で考えていくべき問題ですね。だから個々にどうかというよりも、新しい規制の枠組みの中でどういうふうに位置づけるかということが、まずなきゃいかんと思いますね。
○中国新聞
この前、提出日の囲みのときに知事が言われた、個別の原発の安全性について示さないといけないというようなことがちょっとあったんですけども、原発、一個一個、島根に1号だったら1号、2号だったら2号という、もうそのぐらいの細かな範囲ですべて安全性オーケーなのかということを、まず国が示さないといけないという意味ですか。
○溝口知事
それは一般的な安全基準なり安全対策が出て、客観的な状況がいろいろ違いますから、原発によってですね。やっぱり個々の原発について安全基準を満たしているかどうかというのは、やっぱり個々に評価をしていく必要が、今までもあったと思いますけども、それと同じようなプロセスが要るでしょう。
○中国新聞
その個々の安全基準という中で、今問題になっているのが40年というのがあって、これが寿命というふうにも言われているんですけども、延長申請もできるだとか、ちょっと釈然と、あいまいな部分があって、この寿命について、今の時点で知事はどういうふうにお考えになってるんですか。
○溝口知事
それは規制委員会がその問題をどういうふうに整理をする、考えるかということをやらなきゃいかんと。それを規制委員会はこういう理由でこうするということを説明しなきゃいかん、そういう状況にあるというふうに考えていますけれどもね。
○中国新聞
確認ですけど、40という数字は出されたんですけど、その辺の根拠とか、その辺の説明というのは、やっぱりまだ不十分だというお考えですか。
○溝口知事
不十分かどうかは別として、やっぱり新たな規制の枠組みで始まるわけですから、新たな組織でその問題を再レビューといいますか、再検討して、新たな規制委員会としてこういうふうに考えるというものを出さないといけませんね。そういうものが一切まだないわけですし。
○山陰中央新報
済みません、安全協定でちょっと確認なんですけど、雲南、安来、出雲市から、もう既にそういうフルスペックのというような話を聞いているのか、それともこれから聞く予定があるのか。
○溝口知事
前からそういう話は聞いています。また正式にあるということであればお聞きしますし。
○山陰中央新報
県としての対応としては、何か中電にということではなくて、国に対してそういう制度化も必要じゃないんですかというようなことを......。
○溝口知事
国に対しては、エネ庁の人とか関係のところにはそういう話は、話の中ではしていますけれども、これからの話ですね。
○山陰中央新報
今後もされていくということで。
○溝口知事
ええ。
だから、申し上げているのは、関連の出雲市とか雲南、安来、あるいは鳥取、米子、境港、それはそういう要望を持たれるということは自然なことですね。しかし、そこは要するに中電自身がどうするといっても、それは国のやっぱり全体的な、要するに中電が地域の電力を供給する独占企業体として国からいろんな指示を受けながらやっている会社ですからね、そこはやはり原発の立地をどう考えるかという一般論があるわけですよ。だから、そういうものは国でおやりになっているわけですから、国がこの問題をどうするかということを整理をしないと、中電だけでどうするということには多分ならないでしょう。
○山陰中央新報
それは、この島根だけの話じゃなくて、もうよその原発立地のところも......。
○溝口知事
いや、よそというか、日本全体の話でしょう。
○山陰中央新報
日本全体のところも同じような状況だという......。
○溝口知事
同じでしょう。
○山陰中央新報
じゃあ、ある程度の一定の基準は当然必要になってくるというようなお考えということですね。
○溝口知事
要るでしょうね、それは。
○中国新聞
済みません、ちょっと安全協定の根本的なとこなんですけども、立地自治体とそれ以外の違いというのは、増設のときなんかの事前了解というのがあるかないかというのと、立入調査なのか現地確認なのかという、主に言うとそこだと思うんですけども、厳密に言うと、安全協定で再稼働なんかについて了解を得ないといけないとか、そういうのはなくて、あれはあくまで中電は何か紳士的に立地自治体には同意を求めているんだという、これ中電の言い分なんですけど、そうすると、安全協定を立地自治体並みにするというのが、結局どういう意味があるのかということにもなると思うんです。
○溝口知事
だから、それはやっぱり事前了解というものがないと、やはり地元の理解がないと、ああいう問題についていろんなことをするというのは難しいでしょうね、事実上の問題として。
○中国新聞
ただ、増設時などの事前了解というふうになっているわけですね、安全協定というのは。再稼働のときの事前了解というのは、別にあれに入っているわけじゃないんですけど。
○溝口知事
なくても、似たようなことでしょう。
○中国新聞
これは同じという考えですか、知事としては。
○溝口知事
いや、それは、詰めた議論じゃありませんけども、当然そういう協定の範囲がどうかというような話じゃなくて、あろうとなかろうと、そういうものについてやはり地元の理解を求めるということは、ないといけないでしょうね。
○中国新聞
ということは、聞き方を変えますと、あの協定を松江市とか県並みに、もし出雲とか雲南とか、そういうところが結んだとしたら、それはやっぱり再稼働のときの中電の姿勢というか、そこにも影響してくるというふうにお考えですか。しっかりとその了解をとっていくというか、もし仮に。
○溝口知事
常識的に考えますと、周辺自治体が了解しないと、こういうことになれば、今度逆に周辺というか、立地自治体が了解しないということになった場合に、周辺の方がいいと言っても、それはだめでしょう。やはり立地自治体の方がやっぱり事故なんかが起きた場合に直ちに影響を受けるのはそういうところですからね。若干のそれは距離によって違いがあるわけですよ。要するに関係するといえば日本全国関係するわけですよ。あるいは海外も関係するかもしれない。だから、そこは、じゃあ原発を一個一個についてどこまでするかという、判断の問題があるということでしょう。だから、それはやはりこういう可能性があるから、こういうところまで了解を得るようにしようと。それで、了解を得るについては、いろんな対策も関係してきますね。避難訓練をするとか、あるいはいろんな整備をするとか、いろんなことと関連してくるわけです。それはやはり国の制度と関連してまいりますからね。
○中国新聞
確認ですが、その安全協定を立地自治体並みにするということは、再稼働のときの、要は事前了解というのと、そういう意味を持つものだというふうにお考えですか。
○溝口知事
いや、そういう技術的なところまで今、コメントはできませんけれどもね、内容がよくわかりませんから。
○中国新聞
ということは、知事がさっきから理解はできるというふうにおっしゃられているわけですね、周辺自治体、福島の事故で被害が広範に及んだから、立地自治体がそのフルスペックの協定を求めているのは理解できると。じゃあ、その理解できるって、実際に結んだときにどういうメリットがあるのかというところはどういうふうにお考えですか。理解できるということは、そういうふうにしようとしている気持ちはわかるということなので、どういう要は利があるかということですね、その結んだことによって。
○溝口知事
それは私が言うべきことじゃないですね。
○中国新聞
そうすると、その理解ができると言ったのはなぜですか。
○溝口知事
それは、いろんな影響をこうむるわけですから、そのためのいろんな準備だとか体制づくりというのが必要になってくるでしょう。
○山陰中央新報
今現在の立地自治体と周辺地域という呼び方をすべきなのか、あるいはUPZ、運命共同体という言い方がいいかどうかわかりませんが、共同体と言うべきなのか、どっちのお考えに知事としては近いですか。
○溝口知事
いや、それから福島の状況を見ましても、風の向きによって、方向によって30キロを超えるところで随分影響を受けたりしているわけですよね。だから、そういう面をどういうふうに考えるかということもあるでしょう。
○山陰中央新報
それとの兼ね合いで、そういう協定も......。
○溝口知事
いろんなケースがあり得ますし、それから中国電力だけの話じゃなくて、これはやっぱり原発をどういうふうに進めるかということと関連してるわけですよ。地元の了解をどこまで得るかというようなことは、非常に原発の立地をするということから見れば非常に大事な要素なわけですよ。だから、そういう大事な要素について、それをばらばら勝手に決めるということには、多分電力会社はいかないでしょうと。だから、それは国自身が決めなきゃいかん問題だろうと、こういうことですね。
○山陰中央新報
県は包括的に安全協定を結んでいるわけであって、やっぱりその周辺の雲南だ、安来だ、出雲だというのは、例えばほかの市町村とはやっぱり立場が、その30キロ圏内で違うという......。
○溝口知事
いや、県は県議会の理解を得て、県としての立場で決めていますから、そういう意味では県内の、県議会を通じてですけれども、そういう意見も聞きながら進めているということですね。
○山陰中央新報
それで、済みません、国がその基準を決めるべきとすると、今まで立地自治体と電力会社の紳士協定的な扱いをされていたものを一つ昇華というか、昇格させて一つのやっぱり大きな協定というものを、立場を上げるべきだということにとらえられますが......。
立地自治体ということで個別に電力会社と立地地域ということで、大体どこも似たようなものだから全国一律に見えるんですが、あくまでも立地自治体と電力会社の個別の紳士協定をやったということで、それよりもある程度国がどの範囲ということをですね、福島第一原発事故の影響をかんがみて、その基準を国が決めるべきだということになると、その安全協定の......。
○溝口知事
それはいろんな決め方がありますよ。それは各電力会社が地域の実情に応じて決めていいよというふうにすればできるかもしれませんね。ただ、原発があることに伴ういろんな危険に備える対策だとかなんとかというのは、国の交付金などがありますから、そういう予算措置とも関連してくるわけですよ。じゃあ、そういうものが今後ふえる余地があるのかどうかというようなことがあるでしょう。
だから、いずれにしても国がもう少しこういう問題について関与しなきゃいかんです。
○山陰中央新報
今の、大飯原発のときの、少し官房長官の、必ずしも地元の了解がという発言に見られたように、関与しない姿勢がやっぱりちょっと問題があると......。
○溝口知事
いや、どういう関与の仕方をするかということでしょう。
○山陰中央新報
関与すべきだと......。
○溝口知事
例えば福井のような場合ですと、福井にたくさんあるわけですね。そこでいろんな、周辺のためにいろんな負担を受けているというような、たしか発言もあったかと思いますけれども、若干やっぱり濃淡があるわけですね。そういうものをどう判断していくかということについては、自治体間ではなかなかそういうものはできないわけですよ。だから、それは国が原発政策の、あるいはエネルギー政策の一部として関与をしないといけないだろうと。
○山陰中央新報
そうすると、事前了解の法制化というのが一つの可能性としては......。
○溝口知事
事前了解ということになるのか、どういうことになるのかはわかりませんが、いろんな可能性もあると思いますけども、いずれにしても、国が整理をしていく必要があると思いますね。
○中国新聞
安全協定というのは通常時の問題なんですけども、ということは、その趣旨でいきますと、原発が再稼働するときの自治体の了解ですよね、そういう一定の何かルールみたいなやつをやっぱり国が示す必要があるということですか。
○溝口知事
そういうことも含まれるでしょうね。
○中国新聞
その安全協定をどうしなさいという話かと、最初、そういうふうに流れてきたんですけど、いや、安全協定って、明確に言うと、さっきも申したように事前了解を必ずしも再稼働のときにとらないといけないというような文言は別に盛り込まれてなくて、だから、その安全協定は多分、僕はツールにすぎないと思うんですけど、今言われた趣旨で受けとめると、再稼働のときの要は自治体の了解について、どこまでそれをとる必要があるのかとか、そういうのを国が一定示さないといけないよということでよろしいんですね。
○溝口知事
安全協定は、主体間の契約みたいなもんですね。だから法律とは違うわけで、そこは違うところはありますけども、やっぱり一定の、そういうものがその背後に、国の関与と関連しておりますからね、そこを国が整理をしていく方がいいでしょうと。
お問い合わせ先
広聴広報課
島根県政策企画局広聴広報課 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 【電話】0852-22-5771 【FAX】0852-22-6025 【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp