知事定例記者会見(7月24日)
質問事項
1.島根原発関連について
○中国新聞
済みません、原発の福島の事故の政府の事故調査委員会、事故調の最終報告というのがきのう出まして、その中で、事故原因のとこなんですけども、地震による原子炉機器の重要な損傷は、可能性というのは否定してるんですが、一方で、実地調査ができないんで、まだ解明できていない部分もあるというような注釈もついておるんですけども、知事、去年の5月でしたか、保安院の方が来られたときに、地震でどういうふうな影響があったのかというのをしっかり解明してくださいというようなことを言われていましたよね。いろいろな事故調のさまざまな報告は出そろったんですけども、現段階で地震の影響というのは、ちょっとまだ十分に解析ができてないと思うんですが、その辺についてどういうふうに思われますか。
○溝口知事
それは、昨日の発表の後も、専門家の方、あるいは各種報道などでもいろんな見方が出されておりますね。それから、政府の方では細野大臣が、これはお昼のテレビでしたけれども、見方はそんなに違ってないんだというような、細野大臣の個人的な見解だろうと思いますけども、そういうようなコメントもされておりましたが、若干の違いはあるのは事実でありますから、政府の方も、この問題をしっかり究明していく必要があると思いますね。
それから、調査の手法もいろいろ影響しているんではないかと、これもいろんな方が言っておられますけども、計器類を分析をして、計器から、計量器ですね、から放射能の漏出といいますか、を推定して地震が来る、津波が来る前にどれだけ出たかというような分析もありますし、事故の処理等に当たった方々の口述等を判断材料に入れるとか、いろんな違いもあるんだろうという気はいたします。いずれにしても、現段階では全部細かくできないような状況があるわけでありまして、それを引き続きやっていくことが大事だというふうに思います。
まずは、やはり前から申し上げていますが、政府としては規制委員会ができるわけですね。時期はまだ確定しておりませんが、遠からずできると思います。そこでやはり政府としてその問題をどう判断するか、そういうところをまずやる必要がありますね。規制委員会も、その過程で4つの事故調の意見、報告書をよく精査し、また関係の方から意見なりを聞いてやらないといけないことではないかと思います。
○中国新聞
事故原因の究明というとこでいいますと、この4つの事故調の報告書が十分であるのかそうでないのかというところでいうと、どっちだと思われますか。
○溝口知事
そこはやはり事故調の人たちにまず聞く必要があるんじゃないですか、政府として。どの程度のものとして事故調としては考えているのかと。報告書の文字だけじゃなくて、やはり事故調に出て議論をして、それぞれああいう文書の形でまとまっておるわけでしょうが、議論の過程でいろんなやりとりもあったわけでしょうから、やはり事故調の代表の方とか、それに参加をされた専門の方々それぞれにやはり政府が丁寧に意見を聞き、その上で不足する部分などについて、さらに部外の、それ以外の専門家の意見も聞いたり、あるいは現場の調査もできる限り行ったりして、規制委員会、そして政府としての見解をまとめる必要があると。その上で安全基準を、規制委員会としてこういうふうに設定をした、それに基づいて安全対策をこのように設定したと、そういう中で原発をどうするかということを国民に対し、あるいはいろんな関係者に対し説明をしていくというプロセスが必要になっていくというふうに考えております。
○中国新聞
ということは、今後も引き続き、不足する部分と今言われましたけれども、そういったところに関してはやはり継続的な調査とかが必要だと。
○溝口知事
必要ですね。
○中国新聞
今の段階では、ある意味不十分だという。
○溝口知事
ええ。それは、どういうやり方でやるかというのは、いろんなやり方があると思いますけれどもね。
○山陰中央新報
関連ですが、知事は、まだそのように政府のやること、やる余地があるということですね。それと、知事自身は、今の現段階では、知事自身、御自身の判断としては、4つの調査の報告書ではまだ不十分な点があると推測している。知事自身の感想は。
○溝口知事
不十分というのは、違っているところはどう違っているのかという説明がないといかんでしょう。
○山陰中央新報
その4つの中で。
○溝口知事
はい。大事な点では。
○山陰中央新報
島根県の原子力顧問をなさっている大阪大学の山口先生のコメントがありましたけど、まだ本質的なところに迫れてないんじゃないかというところのコメントがあったんですが、知事自身として政府のやるべきことが今後どうあるべきかというのはわかりましたが、知事自身が読まれて、本質に迫っているか迫ってないかという知事自身の感想はどうでしょうか。それはまだ言う段階にないのか、どうなんでしょう。
○溝口知事
いやいや、いろんな側面がありますからね、大きな枠組みとして政府による検査の体制とか指導の体制がどうであったのかというようなことがあるわけですよね。それも非常に幅広い観点からの見方もありますし、それからいろんな物の考え方ですね、今度の政府の事故調などにはっきり出ていますけども、畑村さんは記者会見で、わかりやすい言葉でいろいろ言っておられますね。見たくないものは見えないとか。だから、それはそういう物の考え方について、そういうものをどう直していくかというのは体制の問題でもあるわけですね。それは規制委員会というのをつくってやっていきますということなので、政府にいわば事故調からボールが4つ投げられて、それをやっぱり政府が整理をして、政府としては、責任ある立場としてはこうだというのをやはり、当然お出しになっていくんじゃないでしょうか。それを見る必要がありますね。
我々から、それはあれだけの時間をかけたものを数時間、ぱらぱらっとめくったくらいじゃあ、簡単なコメントはできませんね。やはりそこは責任ある政府が、自分たちとしてはこういう判断をすると。しかし、4つの事故調の違い等について、並行したままなら、その点ではまた別の意見を聞くとか、そういう丁寧なプロセスが私は必要だというふうに思います。
○中国新聞
一方で、今回の事故調の報告にも、実地調査が要はできないのでわからない点があるというふうなことが書いてありまして、そういう観点でいうと、実地調査というのは、これいつになったらできるんだというのを、かなり先の話になると思うんですよね、多分放射線量が下がるというのは。その中で完全な原因究明ができるのかという見方もあるんですけど、その辺についてはどういうふうに思われますか。
○溝口知事
そこはちょっと私も、どういうふうに進むかわかりませんね。現地調査でどの程度わかるかも、ちょっとわからないんじゃないですか。
それは、いつまでたっても、それはすべてが要するに人知である以上、因果関係なり、わかるものはそういう計器に残った数値とか、あるいはその場で事故の対策に関与した人たちが考えたこと、感じたこととか、あるいは事故の器具の破損の状況とか、そういうものをやっぱり総合して考えるほかないんだろうと思いますね。
○時事通信
済みません、去年の会見で知事は実地調査が必要だって、それが再稼働判断に、必ずそこまでされないとそういう判断ができないっておっしゃっていたんですが、今、やっぱり放射能汚染がひどくて、現状をどう考えておられますか。
○溝口知事
実地調査もいろんなやり方があるでしょうから、そこは一般論としてどうだということは言えませんね。そういう点を含めて、政府はやっぱり説明をするということしかないんじゃないですか。そういうものを我々が見てどう考えるかということだと思いますけどもね。
○時事通信
政府の説明次第では、これまで現場調査が必要だったという考え方を変えられる可能性があると。その現場の調査が必要だっておっしゃっていたのが......。
○溝口知事
それは必要ですけれども、できないけれども大体これでわかるという説明を政府がされるのかどうか、そこら辺をよく見ないといけませんじゃないですか。それから、しても、どこまでわかるのかということもあるでしょう。だから、それはいろんなことを見た上で考えないと、ただ、定義のない言葉だけでどうこうということに答えることは難しいですね。
○時事通信
知事の中での必要条件から外れたという......。
○溝口知事
いや、そういう単純なことではないですよね。もうちょっと総合的な判断が必要だということでしょう。
○時事通信
そこの調査がない限りは判断できないということから......。
○溝口知事
いや、だから、その調査もいろんな調査があるんじゃないですかということを言っているわけです。いや、わかりませんよ。だからいずれにしても、今はそこら辺を議論しても決めようがありませんから、そこは政府が4つの事故調査報告書をよく見て、政府が必要だ、適切だという判断でどういうことをされるか、我々がまたそれをよく見て判断をしていくということじゃないでしょうか。
○時事通信
知事のお立場が変わられたか、そうじゃないかといえば。
○溝口知事
変わっていません。私も非常に、何というか、そんなに1足す1は2というようなことで答えているわけじゃなくて、要するに一般的な物の見方として言っているわけですからね。
○山陰中央新報
そしたら、政府がいつ適切な判断というのを出すかわかりませんけれども、知事としては、それが出ない限りは、当然再稼働というような判断もできないという......。
○溝口知事
できないでしょうね。
○山陰中央新報
ですよね。それを、政府が適切な判断だったり分析結果を出す前にやるべきことって、政府としてもっとやるべきことということは、どういうことがあると考えられますか。
○溝口知事
今申し上げたようなことですね。4つの事故調が出て、報告書が出ているわけでしょう。それに基づいて政府が原因の分析だとかをし、政府の見方を整理をし、足らないところはどういう調査をされるのか政府が決め、そういうものに基づいて安全基準なり安全対策をつくって、その上でどうするかということじゃないですか。
それからもう一つ大きな問題としては、やはり政府のエネルギー政策として原発をどういうふうに取り扱っていくというのが、まず大前提としてなきゃいけませんね。そういう枠組みの中で今言ったようなことが進んでいって、その上でどうするかということを政府が政府の考え方を整理されて、それを国民にもよく説明をし、国民の意見なども聞いて進んでいくということじゃないでしょうか。
○山陰中央新報
じゃあ、4つの事故調の調査結果というか、報告が出てますけど、まだ中間的な報告というか、道半ばというか、そういうところの段階にしかすぎないというような。
○溝口知事
事故調のあれでも見解の違いがあったりしますから、そこら辺、整理をしないとわからないでしょうと、こういうことですね。
○中国新聞
済みません、確認ですけども、冒頭申しました地震による影響というのは、今でも知事の中では重要なポイントだというふうにお考えですか。
○溝口知事
そこはよくわかりませんね。ただ、両方の報告書を見ても、あいまいですよね、決定的な要因になったという書き方はしてないわけですね。そういうことじゃないですか。
○中国新聞
昨年の5月に保安院の方が来られたときに言われた、解明してくださいという気持ちは今も変わらないんですね。
○溝口知事
ある程度は、今回の2つの報告書で様子はわかってきましたね。
○中国新聞
だけど、その一方で、実地調査ができてない中での不十分さというのもあるわけで、それを今後さらに解明してほしいという思いは今あるんでしょうか。それとも、そこにはそんなにもうこだわってないのか。
○溝口知事
いやいや、わかる範囲でそこはやる必要があるでしょうね。少なくとも2つの事故調査報告書の違いについて見解を示したり、あるいは2つの事故調査報告書の作成にかかわった人たちから再度意見を聞くとか、それはそういうことが必要でしょうね。当然やると思いますけれども。
○山陰中央新報
知事、ちょっと事故調の話に戻って恐縮なんですけど、今回の4つの事故調が出した、その報告で、知事が今まで疑問に思ってらっしゃったこととか、再稼働に当たっての材料が十分示されたかというと、まだまだ十分ではないという。
○溝口知事
まだまだじゃなくて、いろいろ意見の違いがあるから、そこら辺の整理をして、規制委員会で整理をして、それで、整理をするためにいろんな調査をしたり、あるいは4つの事故調からヒアリングをしたり、いろんなことをして安全基準なり安全対策などを考えてほしいと、こういうことです。
○山陰中央新報
その事故調の調査の結果を見て、改めてちょっと知事の島根原発の再稼働に当たっての条件というのを、いま一度ちょっとお聞かせ願いたい。
○溝口知事
いや、だから今の意見が違うから、そこは政府がやらないとだめですということを言ってるわけですね。
○山陰中央新報
じゃあ、政府でまずは安全基準であったりとかということをまず示すべきと。
○溝口知事
そのために政府はやってるわけですよ。
○山陰中央新報
あともう一つ、さっき地震が影響したかというのは、まだ不明確なところもあると思うんですけれども、逆に今回の4つの報告書によって明確になったことというのはどういうことがあるというふうに思われますか。例えば事前の備えとか的確な事後対応をとってれば、ここまで被害はなかったんだろうとかというのは共通していることだと思うんですけれども。
○溝口知事
大きな枠組みはかなりわかってきましたけれども、いろんな問題とかね。そこら辺もまだよく整理をしないと、整理をするということは、そういうものから具体的な安全対策とか安全基準に落とし込まれていって明確になるんではないですか。
○山陰中央新報
じゃあ、4つの報告書の、ある程度一定の評価は、知事としてはなさってる。
○溝口知事
それは、長い時間をかけてやられて、いろんな基礎的な問題からいろんな技術的な問題まで、それぞれの事故調で可能な限りのことをおやりになっているということでしょう。しかし、それでも見方の違いはいろいろあると。
○山陰中央新報
それをきちんと政府としてまとまったものをきちんと完成させろという。
○溝口知事
政府としても、今のは事故調の見解ですからね、政府として、じゃあそういうものに基づいてこういう安全基準にしましょう、安全対策にしましょうというのができていかなきゃいかんわけです。
○山陰放送
あと、大飯の再稼働についてなんですけれども、県は担当者を派遣したと思うんですけれども、何かその点について、何かありましたでしょうか、吸収できたこととか。
○溝口知事
福井県の話ですか。
○山陰放送
はいはい、福井県。
○溝口知事
行って帰っておりますけれど、簡単な報告は受けておりますが、そちらの方は、福井県の見解でありまして、いろんなことがあります。それはやや技術的なこともありますから、担当の方にプレスの方にも適宜ブリーフィングするように言ってありますから、そちらで聞いていただけますか。
○山陰放送
じゃあ今後、そういったところの公表というのがあるというところでしょうか。
○溝口知事
ええ、どういう形でやるかはちょっと担当課に、広報に指示をしておりますから相談してください。
○山陰放送
そういった意味では、今、取りまとめてる最中と。
○溝口知事
いや、取りまとめるほどのあれでもない。大体まとまってると思います。
○山陰中央新報
福井というのは、原子力安全対策に関して割いている人数というのが島根県よりもはるかとは言いませんが、かなり多いと思うんですが、その辺もやっぱり独自の体制を持ってやっぱりあの判断があったのだというふうに知事は考えられていますか。
○溝口知事
福井県、関西電力の方が切迫しておりましたからね、この電力需給という観点からすると。いろんな準備をやられてこられたということもあるでしょうし、それから量が違いますから、いろんな体制も違うと思いますね。それから政府の方もいろんな現地に常駐する人を派遣したり、福井県に対する支援を行っておりますね。
○山陰中央新報
そうすると、今回のケースというのはやはり会見で常々言っておられるように、福井県に対する特別な体制とか、そういったいわゆる切迫した事情とか、特別の要件が重なって、やっぱり再稼働になっているんだという印象をさらに強められたということ。
○溝口知事
そこは、そういうコメントを僕がするというのは、ちょっとあいまいな情報だけでやるのは適当じゃないですね。ただ、いずれにしても、これからの問題は、もう保安院じゃなくて、安全委員会じゃなくて、規制委員会でそういうものをやっていくわけですから、また新たな政府の新しいいろんな情報、事故調の情報などを踏まえて、安全基準、安全対策を考えていくと、整理していくと、そういうことになると思いますね。
それじゃあ終わります。
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