知事定例記者会見(9月6日)
質問事項
1.島根原発関連について
○中国新聞
原発のことなんですけども、2日に野田首相が全国の14ある建設予定の原発について、新設は難しいというふうなことをまず言われておりまして、本日、鉢呂経済大臣が計画段階のものを減らすということは世論の一致したところだというようなことを言われているんですけど、現在建設中のものについても、今後、原子力安全委員会なんかと協議して決めていく必要があるということを言われているんですけども、島根は3号機というのがありまして、建設中で、もうほぼ完成間近というとこなんですけれども、発言を受けて、まず知事がどういうふうなことを、知事の見方をまず教えていただきたいのと、ちょっとあいまいなところがありますよね、14基の中に島根は入っているんですけども、ほかの着手前のところと状況は違うわけで、その辺の受けとめ方をちょっと教えてください。
○溝口知事
そこはやはり国の明確な方針、お考えを出していただく必要があると思います。もちろん、まだ全然工事等に着手してないところ、それから完成間近のところ、状況としては違いがありますが、そういう状況をどういうふうに全体の原子力発電に対する政策、あるいはエネルギー政策全体としてどう考えるかということは、国、もちろん電力会社とも相談をしなきゃいかんでしょうが、よく検討をしてもらいたいというふうに思います。
○山陰中央新報
野田首相の脱原発依存というのはある程度、一定継承するんだというふうな発言自体は、どう思われましたか、聞かれましたでしょうか。
○溝口知事
具体的にどういうふうに発言されたのですか。
○山陰中央新報
菅首相からの、新規建設を認めないというところに象徴されますように、菅首相の方針はある程度受け継いでいくような、受けとめられる発言、当初の会見だったわけなんですけれども、それはどう受けとめられましたでしょうか。
○溝口知事
そこはやはり内閣全体として、エネルギー政策をどういうふうに進める、将来にわたってエネルギー、日本の必要とするエネルギーをどう見込んで、それをどういうふうにして確保していくかという大きな枠組みがありまして、その中でこういうもので対応していくということを、やはりよく明確に示してやられる必要があるでしょう。もちろんそういうものをするためには、まだ時間がかかりますし、前の内閣でもエネルギー調査会でしたか、ちょっと正確な名前は忘れましたが(エネルギー・環境会議)、そういう検討は進められてきて、前の内閣では年内ぐらいというような話が出ておりましたね。
新内閣でそこら辺を具体的にどうするかというところは、まだ出てないように思いますけども、あるいは違うのかもしれませんが、そういう中で、きちっとした対応をされて、内閣として考え方なんかもよく説明しなきゃいかんでしょうね。
また、そういうものをするためには、やはり国の経済にとって大きな関係があるわけでありまして、国政の場においてもそういう問題についてやはりよく議論をし、国としての揺るぎのない、考えはいろいろ違うでしょうから、そういう中でどれが選択すべきものだと、かくかくしかじかの理由でこうだというようなことを進めてやる必要がありますね。もちろんそれまでの間、そういう選択を、検討が進むまで何も言えないということじゃなくて、それはある程度の大まかな感じだとかをしゃべっていくというのは当然必要ですけども、実際にどうするかは、やはりそういうきちっとした考え方なり、あるいはそのための方法ですね、あるいはそれをどのぐらいの時間をかけてやっていくのかとか、やっぱりそういうものを示してやらないと、しっかりした国の政策としてはまとまりませんね。
そこら辺が揺るぎのないようにやるということが大切ですね。そのためには、やはり政府・与党内でも考え方がある程度まとまり、国政の場でも議論をされて、いろいろ違う考え方がありますから、そういうものをどういうふうにまとめていくかということが必要だと思います。
○中国新聞
知事の方から国に対して、島根原発の3号機はどうなるんだというような説明を求めていくというようなお考えは、今のところはないでしょうか。
○溝口知事
そこはやはり政府の中で考えをやっぱり整理をまずしていただくということが大事なことじゃないかと思います。
○中国新聞
今のところそれは、こちらから求めようということはないということですね。
○溝口知事
それは今年の電力需給なんかもありましたけども、そういうものも見なきゃいけませんね。あるいは今年の夏ですと、石炭火力なども活用するというようなことも行われましたね。だから、そういうもの全体を、やっぱりエネルギーをどういうふうに確保していくのか、あるいはそれがどういうふうに可能なのか、やっぱりそういう考え方を示しながらやっていくことが大事じゃないでしょうか。
それから、原子力の方も定期検査でとまるものもありますし、それから定期検査が終わるものもありますし、そういうもの全体をやはりどういうふうに考えていくかということが整理をされ、政府の考えが示され、またそういうものが国政の中で一定の了解を得るといいますか、支持を得るといいますか、やっぱりそういうプロセスを丁寧にやっていくということが大事じゃないでしょうか。
○共同通信
知事がおっしゃってる政府の考えというのは、ある程度統一された見解と、そういうことでございますか。
○溝口知事
どうしてもそれは、すぐ統一はできませんわね。もともといろんな意見がありますから。やっぱりそういうものを国政の、まず政府、内閣の中、経産省と関係の中、あるいは内閣の中、政府・与党の中でやっぱり一定の考え方の整理をして、大筋の了解が得られませんと、政策としては打ち出されても実行されないとかいうことになりますし、それからエネルギー政策は国の大きな経済政策の根幹の一つですから、国政の場でも理解を得る、国民一般の方にもよく説明して理解を得るというプロセスをやはり丁寧にやっていく必要があるんじゃないでしょうか。
○中国新聞
3号機の営業運転の時期が非常に見通しが立たない状況になっているという現状がありますけども、そこについては、知事としてはどういうふうに。
○溝口知事
私どもの方も、中国電力からこれまで聞いていますのは、制御棒と申しますか、あの不具合があって、その調整をしているといったようなことですね。制御棒の駆動装置がありましたよね、そこもどこまで進展しというようなところまで詳細はまだ報告を受けていませんけども。
○中国新聞
この野田首相の発言によって、さらにプラスアルファで原発の営業運転というのが難しくなったんじゃないかというような御認識はありますでしょうか。
○溝口知事
そこら辺はちょっとわかりませんね。
○新日本海新聞
最初に完成間近なところと状況として違いがあるということをおっしゃられましたが、島根原発3号機についていえば、ほぼもう99%近くですか、完成してるということだったと思うんですけども、こういった現実についてはどのように受けとめられましょうか。もしこれで運転できないということになれば、当然その損害等々も生じてくると思うんですが、じゃあそれをどうするのか。
○溝口知事
そういう先の話を仮定のことで答えるのは難しいですね。
○山陰中央新報
もう1点、逆に言いますと、上関の方は、要は新たな段階に入らないという形で知事がとめているような状況ですけれども、要するに国の方針が決まっていないのに3号機の工事そのものが進むということについては、知事としては認めるという判断なんでしょうか。
○溝口知事
そこは、やはり国がどう対応されるかというところは、やっぱり考えないといけませんね。
○山陰中央新報
じゃあ、その国の対応が決まるまでの間は、工事は進んでもいいというのが知事の判断ということですか。
○溝口知事
いいかどうか、私が今問われているわけじゃないんですけども、それはどうするかという、やっぱり原発全体をどうするかという考えの中で考えませんとね。あらゆることがそうなるわけですよ。
○山陰中央新報
いや、そうですけど......。
○溝口知事
例えば定期検査が終わったものをどうするかとか、あるいは終わってない、定期検査に入ったものをどうするかとか。
○山陰中央新報
いや、結局何か2号機が動いてる状態についてもですね......。
○溝口知事
新たな段階に入るときには合意といいますか、同意を得るというようなことは比較的ルールとして確立しておりますけれども、3号機については建設の了解はしているわけですけども、それをどうするかというのは、今の状況の中では、そういうものをやはり国自身がどう考えるかということがあって、それに対して我々がどうこたえるかというようなことじゃないでしょうか。
○山陰中央新報
それ、県としてはやはり中電の工事、その進捗そのものに対しては言う立場にないというお考えですか。
○溝口知事
それは言うも言わないも、最終的にどうするかというのは、また今度、営業運転するとか、あるいは新しい段階に入るときに、またそういうときに考えるほかないですね。営業運転の前にはいろいろな検査もあるでしょうし、そういうものもよく聞いたりした上で、新しい段階に入るときにやっていくということでしょうね、今までのルールとしては。
○山陰中央新報
それは3号機が完成をして動き出す段階ということですか。
○溝口知事
それは今の国全体も、完成しないものについてどう考えるかというのが、まずやっぱり国の判断がないといかんでしょう。判断があって、我々が国の判断なり、それをよくチェックもし、その上で住民の方々の意見も聞かなきゃいかんでしょう。
○山陰中央新報
いや、少しお話を伺って違和感があったのは、どんどん完成されていくような3号機がですね、今建設途上から完成に向かってどんどん動いているという現状が現にあるということが......。
○溝口知事
それは建設の一環ですからね、そこのところは。
○山陰中央新報
いや、それで、完成のとこまで行ってしまったら、新たな段階に行くことを、もう暗に認めてるという状況になりませんか。
○溝口知事
それはあなたの考えならね。
○山陰中央新報
きのう、ですから保安院の課長さんお見えになられて、保安院の課長もやはり3号機がいわゆる新規建設に該当するかどうかは、まだちょっと不明だというふうなお話......。
○溝口知事
それはやはり政府の中でちゃんと、まず考えを整理しなきゃいかんというような話じゃなかったですか。
○山陰中央新報
いや、それで、改めて中電の方にもその保安院の発言ないし野田首相の発言を受けてどうだという見解を尋ねたところ、少なくとも今現在では3号機をとめるという発言にはなっていないわけだから、それまでは工事を粛々、淡々と進めるんだというふうな中電側の今の認識であられるというふうに思われる。それに対して島根県として、3号機の工事に少なくともストップをかける、待ったをかけるという意識、お考えはないということでよろしいんでしょうか。
○溝口知事
まず、ないというよりも、そういうものについて、やはり国が考えを示されれば対応しなきゃいかんでしょうね。まだそこが国の方も、国自身がどうするかというところもまだ検討中というようなことですからね。
我々は、安全協定などでは、文言はあれですけども、一定の段階、段階でそういうものについては意見を求められて、意見を言っていくということですからね。あるいは、それで意見を聞く前に、我々が答える前にやはり県民の方々とか議会の方々とか、いろんな人の意見も聞かなきゃいかんでしょう。そういうことなしに県の方がこうするというわけにはいきませんね。
○中国新聞
基本的なとこで、建設予定の14基について、新設は難しいと言われたんですけど、島根は着工はもうしてるわけですよね。その新設は難しいというのの解釈として、知事の解釈ですけども、これ島根は入るのかどうか、基本的なとこなんですけど、ここはどうですか。
○溝口知事
新設というのは。
○中国新聞
新設、新たな、だから建設ですね、新設は難しいというふうに野田......。
○溝口知事
それは、まずやっぱり国が新設というか、新しいものとして着工はもう入ってるわけですよね。
○中国新聞
ええ。
○溝口知事
だから、新設の作業には入ってるわけですよ。
○中国新聞
はい。
○溝口知事
それをどうするかというところがまだ何も決まってないということじゃないんですか。
○中国新聞
だから、島根で3号機の建設がだめだという、イコールではないということですね。そういうふうに言われたわけじゃないという御認識で。
○溝口知事
そこら辺は私が解釈するのは難しいですが、国の考えが必ずしも明確じゃないですから、それは国がタイミングよく対応されるということを望んでいると。
ただ、やっぱりこの問題は、個々の問題というよりも、原発そのものをどう考えていくかという大きな枠組みの中できちっと国が考え方を整理して、すべきものですね。それがまず第一でしょう。
○山陰中央新報
違和感があるのは、その整理されていくうちに工事がどんどんどんどん進んでいって、完成に近づいていってしまっているということが、要は既成事実化していくということに対して県民の了解はとれているというふうに知事はお考えですか。
○溝口知事
それは県民の方もそういう問題、いろいろな意見があるでしょうからね。ただ、そこは国がやはり、原発をどう扱うかというのは国の考えがあり、それに応じて中電が対応して、それに対して今度は新しい段階に入るときに我々地元の方の意見を聞くというプロセスが始まり、それで聞くときには我々の方も住民の方々の意見を聞いたり、あるいは安対協で説明してもらって聞いたり、いろんな手続を経て、あるいは議会でも議論をされ、その上で県として回答するわけであって、そういうプロセスがまだ始まる段階にありませんから、その前の段階で私がどうします、こうしますと言う状況にはまだないと、こういうことです。
○山陰中央新報
その14基に島根が入っているかどうかという、そのプロセス、プロセスの中で、やっぱり一つ一つ問いただしていかないと、やっぱり全体がそういった、原発をどうするかという国の答えを引き出すには至らないと。
○溝口知事
それは聞いてますけども、やっぱり国の方も全体をどうするというところが決まりませんと答えられませんよね。だから、そういう作業をやはりきちっとやることが一番大事だろうと思いますね、時間はかかるにしても。
それで、当座、この夏の需要期を過ぎているわけですから、そういう間によく、早くそういうものを議論し、政府としての考えを整理することが一番大事だと。
○毎日新聞
別の号機、1号機についてお尋ねしたいんですけども、4日の細野原発事故担当大臣が、原発の寿命について40年は一つのラインになると思うという発言をしてらっしゃいます。電力各社は、知事も御存じのとおり40年、60年、場合によってはアメリカのように80年でも運転は可能なんだというような意見を述べられている専門家なんかもいらっしゃいますけれども、大臣がこういう認識を示していらっしゃいます。
島根原発については昭和49年3月に1号機が運転開始してまして、途中の、今の停止の時期などをどう考えるかというものはあるかもしれませんが、単純に計算すれば、平成26年、2014年には丸40年を迎えます。もはや老朽化原発、いわゆる原子力村の方々が言う高経年化原発にも入ると思いますけれども、にもう向かってると思いますが、知事としては、この発言をどういうふうに受けとめてらっしゃいますか。
○溝口知事
一般論として、年数が長くたちますといろんな問題が出るわけですから、そこもやはり、こういうものについてはこういうふうにするという、やはり政府の考えをきちっと整理をして、それに基づいて、そういう基準がいいのかどうかという実際的な検討をして、そういうものについてやはり専門家の意見を聞き、あるいはそういうものをよく議論もし、政府として確固たる考え方、方針もきちっと打ち出してもらいたいというふうに思います。
私どもは、一般論として高経年化の問題というのがいろんなところで指摘をされているんで、そういう問題に対して政府の方でもよく検討してもらいたいということは、面会とか、いろんなときに政府の関係者には伝えておりますけれどもね、知事会などでもそういう議論はしておりますし。だから、細野大臣ですか、それは一般論としてはそうでしょうが、大事なことは、具体的な考え方と、それからその根拠、そこを明確にやらないと、それまでは何も進みません。我々は、だからそういう問題を早くやってもらいたいと。
特に福島の1号機などは、高経年化の問題があったのかなかったのか、そういうようなことをよく調べてもらいたいということは言っておりますけども。あるいは3号機などもそうですね。プルサーマル、福島の3号機ですね、の影響があったのかどうなのか、やっぱりそういう原因分析をきちっとやって、その上で説明をよくし、その上でそれぞれの関係者、専門家の意見を聞き、かっちりした対応を整理をされて電力会社に指示をするとか、そういうことをやってもらいたいということなんです、大事なことは。
○毎日新聞
40年という長さについては、どう考えられますか。
○溝口知事
それは、何といいますか、40年という時の経過はもちろんあるでしょうが、時の経過が原子炉の構造等にどういう影響を及ぼしてるかというところが一番大事なところでしょうね。そこがやはり必ずしも明確な基準があるわけじゃないわけですよ。専門的にはいろんな金属の疲労度だとか調べることは可能なんでしょうけども、そういうものでやはりわかりやすいといいますか、ちゃんと理論に沿ったといいますか、そういうやっぱり基準を明確につくって、だからこういう対応をするんだというのがないと、一般論でいっても物事はなかなか進まない。進まないというか、進められないわけでしてね。
○山陰中央新報
その基準というのは今までも一定のものがあって、1号機もそういう基準にのっとって動いてきてるわけですけれども、ところがそれは、その3・11の事故があった後で、やはりその基準は見直されるべきだろうということで......。
○溝口知事
そのためには福島の1号機などの高経年化が進んでるものが、今回のこの事故によってどのような影響を受けたのか、そういう実態の分析をちゃんとやって、見直す必要があれば見直さなきゃいかんと、こういうことですよ。
ただ、実際のこういう原因の分析でありますとか、地震で何が起こったかとかいったような分析は、現場がまだああいう状況ですから、なかなかそこまで進めないといった事情があるということは説明を聞いておりますけれどもね。
○山陰中央新報
3号機が新規建設に該当するかどうかといったところですと、国が明確な見解を示さないといけないというのは、それは当然そうかと思うんですが、その見解が示されない、いわばグレーゾーンの現状において工事が進んでいるというのがちょっと違和感を覚えるというのが我々の側の質問のあれであって、その現状において県として、いわゆる知事が、保留ですよね、決してもう最終的にやめろとか、ストップかけるわけではなく、見解が出るまでは工事を、例えば保留するよう中電にお願いするかどうかといったような判断は、それは国のエネルギー政策どうこうということとは、またちょっと別問題、別枠かと思うんですが、それはいかがでしょうか。
○溝口知事
やっぱりそういう問題は、県といっても、県の行政だけでやれる話じゃなくて、市町村の意見もあるでしょうし、そして県民の方々の意見もあるでしょうし、地元の人たちの意見もあるでしょうし、いろんな意見があってやってるわけでして、県の行政でこうだというわけにはいかない問題ですし、それからこういう微妙な状況にあるわけですから、国が一体どうするかというところが大事なのであって。
○山陰中央新報
それは逆に言うと、市町村なり県民が、ちょっと少なくとも野田さんの見解がわからない現状では、工事に待ったかけてほしいという声が多数を占めれば、それはまた考え、再検討することもあり得るというふうな、でしょうか。
○溝口知事
そういう仮定の問題には何とも言えません。
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