知事定例記者会見(7月11日)
質問事項
1.原発関連について
○山陰中央新報
原発のストレステストの実施について、閣内不一致というのが指摘されておりまして、その実施が運転再開の参考なのか条件なのかというのがわからない。きょうにも統一見解が発表されるようですけれども、この一連の動きというのを知事は、知事会の特別委員会でもやや厳しいお言葉を発してらっしゃいましたが、改めてこの週末の大臣等の発言も受けて、どう見てらっしゃいますでしょうか。
○溝口知事
佐賀県との間で、政府がいろいろ話をしている、最終段階でまた新しいテストを行うというようなことになりましたから、突如のことでありますし、どういうことをするのか何もわからない発表でありますから、やはり政府内の調整が十分ついてないものを突如発表するといったのは、内容もわかりませんけれども、内容はともかく、そういう手続上、政府の統一性、あるいは信頼性を損なうものであると、きちっとしてもらいたいというのが、ちょうど翌日ですかね、全国知事会の原子力関係の協議会が開かれたときに、そういう意見が大勢を占めたということでありますし、私自身もそう思っていると。そういう意味で、ストレステストを実施する内容とか目的とか、そういうものを早く明確にするということが大事でありまして、政府も急遽、閣内の意思統一を図られておられるようですから、早くそういうものを明らかにしていただくのが大切なことだというふうに思います。
○山陰中央新報
その不一致を受けて、佐賀県の玄海原発のある玄海町長は、一度認めた再稼働を撤回するというふうな方針を示されました。この御判断というのは、同じ首長としてどう見られますでしょうか。
○溝口知事
それは、地元として新しいことが出ますから、それは新しい事態もよく見なきゃいかんというのは当然でしょうね。
○読売新聞
その統一見解は、きょう午前にも出されるというお話なんですけれども、今ちょっと内容が全然わからないんですが、きのう、テレビ番組で細野原発相がストレステストは再稼働への条件になるという趣旨の発言をされているんですが、ストレステストをクリアすること、クリアするかどうかが、クリアしなければ再稼働というのは認められないとの発言をされているんですけれども、溝口知事はこれまで福島の事故の事故原因の究明と、それに基づく抜本的な安全対策の見直しなどがないと判断できないということを一貫しておっしゃっていて、そういうことの兼ね合いから言うと、細野大臣、イコール国の見解になるんでしょうけど、どう受けとめられていますか。
○溝口知事
国は原子力発電の安全性を含め、原子力発電全体に対して監督をし、規制をし、安全を保つように任務を負っているわけですね。だから、そういうものをやるということは、今回の福島原発での事故の内容、原因、そしてその対策などをしっかり安全基準等に入れたり、そしてまた、そういうものが国民の皆さんによくわかるように説明をするというのが大事です。
国が電力会社等に指示するというのは、そして電力会社が国の指示をちゃんとやっているかというのは、ある意味で必要な条件ですしね。だけど、国民の皆さんはいろんな専門的なことを理解するのは難しいですね。そういう意味で、いろんな意見をよく聞いたり、それからよく疑問に対して答えるということが必要なんじゃないですか。例えばストレステストも、どういうものであって、どういうふうに活用されるかと、そういうことが今回の場合なんかは明らかでないまま出ているでしょう。やはり国が行うものがわかりやすく、可能な限り理解がしやすいようにしないといけませんね。
やっぱり国の判断だけでは、この原発の問題というのは進まないわけです。やはり地元の皆さんがどういうふうに考えるかと。そうすると、皆さんにわかりやすいような、いろんなことをよく親切にわかりやすく、丁寧に説明していかなければいけませんね。そういうことをやる必要があるということを私はずっと言っているわけです。
○読売新聞
ということは、仮にストレステストが島根原発で行われて、その項目には、それでどういう内容になるかわからないですけど、項目にはそれぞれクリアしましたよという判断が出たとしても、これまでおっしゃってきて......。
○溝口知事
それは、ある意味で最低限必要なことでしょう、安全確保で。しかし、そういうものについて、やはり国民の方はいろいろ御意見もあるし、疑問も感じておるわけですから、そういうものをやっぱりわかりやすく説明して理解を求めていくという努力をしないといけません。まだそこら辺が十分なされてないんで、いろんな原因はありますけども、いろんな混乱が起こっておるというふうに見ております。
○山陰中央新報
最初に、逆にとらまえますと、そのストレステストでオーケーが出ても、プラスアルファわかりやすい説明とか、納得できないと、それは例えば1号機の運転再開等は認められないという。
○溝口知事
それは、いろんな説明を、まだ十分そこら辺が、政府の方は政府の見解がおありでしょうが、我々だけじゃなくて、国民の方、地元の方にわかるような説明をして理解を得ていく努力をしなきゃいけませんね。
○山陰中央新報
ストレステストの内容はともかく、先ほどこの大事な局面で、政府内で調整されてないものが突如出てきたというところに非常に問題を感じておられるということをおっしゃいましたが、やはりこうなると、菅内閣の統治能力について非常に疑問を感じられるというふうなことでしょうか。このままこの政権で、今気長に、気長というか、改善を求めるということをおっしゃっていますが、このままやってもいいのかどうかという疑念を大きく挟んだ大きな出来事だったように思いますが、その辺、統治能力についてはどうお考えですか。
○溝口知事
内閣のいろんなやり方の問題は、既に国会、いろんな場で議論されているとおりでありますから、私があえて今回のことについてどうこうというよりも、政府の役割というのは、国民の安全、そして安心を確保していくということですから、そういうことに全力を挙げてもらいたいということであります。
○毎日新聞
ストレステストについては、ストレステストそのものについて、EUなんかも各国でやっているテストですよね、福島の事故を受けて。ということで、そのストレステストをやるかどうかという政府の中の意思統一ができていたかどうかという部分は置いていたとしても、そういうテストをやるということについては、知事はどういうふうにお考えになりますか。
○溝口知事
それはいいことじゃないですか。安全性のチェックをさらに入念にやるということでしょう。できるものはやっぱり、例えばEUがやっているわけですから、日本として可能かどうかということもよく検討した上で、政府の方もそういう方向に進もうとしているわけですから、それは安全性をチェックするという意味では、いいことだろうと思います。
○時事通信
先ほどの質問の繰り返しになるんですが、それで、ストレステストをやっても、事故原因等がはっきりしない限りは原発の稼働をオーケーと言わないとか......。
○溝口知事
それについてはいろんな意見がありますから、我々も議会の意見を聞いたり、あるいは県民の意見をお聞きしたり、あるいは専門家に意見をお聞きしたり、あるいは各地でいろんな議論もなされますから、そういうものを総合的に判断して、県の考え方を整理し、決めていきたいということです。
○時事通信
先ほど最低限必要とおっしゃったのは、事故原因究明が最低限必要という理解......。
○溝口知事
最低限というのは、今言った、政府として安全チェックをしたり、対策をしたり、それから今度のストレステストをしたりして、いわば原子炉のいろいろな設備等の安全性の観点から大丈夫だと政府が言われても、そういうものについて、やっぱりいろんな疑問もまだいろいろありますから、そういうものにちゃんと政府がこたえなきゃいかんでしょうね。それで、特に地元の方々を含め、我々も含めてもそうですけれども、わかりやすい形でいろんな説明がなされ、我々もそれをよく聞いていくというプロセスを丁寧にやった上で総合的に判断していくということを申し上げているわけです。
だから、ある意味で政府の方針、考え方というのは当然なければいけない最低限の条件ですよね。だけど、それが通ったらすべていいですよというわけにはなかなかなりません。詳しく説明を聞いたり、違う意見の人もおりますから、そういう意見などもよく聞いたり、そういうものを総合的に我々として整理をして、県としての態度を決めていくということを言っているわけです。
○時事通信
先ほどおっしゃってた事故原因の究明がなされない限りはというのは。
○溝口知事
それは、いずれにしても時間のかかることですから、その時点で、その時点の知見として最大限わかるものがわからなければいけないということでしょうね。
○時事通信
それは必須条件じゃなくなってきてるんですか。事故原因の究明というのは、知事の中では絶対に譲れないものだったと思うんですけれども。
○溝口知事
それは国の方もいろいろ説明は、今回の佐賀県においてもいろいろされてはおられますけれども、まだ聞かなければならない、我々自身としても確認をしなきゃいかんようないろんな関心事項はあるということです。
○朝日新聞
知事、今、その原因究明のところというお話でいきますと、原子炉の中で今、何が起きているかというのは、それこそ専門家でも今、正確な事象というのを把握してないという状況がありまして、それでいくと、原因究明というのは、どのレベルをもって......。
○溝口知事
それは、説明を聞かないと何とも言えないでしょうね。
○朝日新聞
その国の説明......。
○溝口知事
それは、そういうものについて専門家の意見を聞いたりするほかありませんね。
○朝日新聞
その国の説明という点でいきますと、安全宣言を出して、また一転してストレステストをやるというふうに二転三転している状況を踏まえますと、国の説明というのはどこまでこれから信頼に足るものかというのは、そのあたり所感としてはいかがですか。
○溝口知事
それは、国も全力をやっていただくというほかありませんね。
○山陰中央新報
先ほどの質問をちょっと整理しますと、時系列はわかりませんが、ストレステストを仮に実施して、そこでは島根原発についてオーケーが出たと。ただし、福島の原因究明がその時点でまだはっきりしてないよというふうなタイミングだった場合、それは知事としては、島根原発について安全だという判断は県としてできないという......。
○溝口知事
そういうもろもろのものを総合的に考えるほかないですね。
○朝日新聞
必要最低条件だけども十分な条件ではないと、そういうこと。
○溝口知事
そうでしょうね。やはり地元でやっぱり議会、あるいは周辺の市町村、あるいは専門家の意見、そういうものをやはり総合的に勘案するほかないですね。何か一つの答えが出てくるというような問題じゃありませんし、人によっていろんな考え方が違いますからね。
こうした問題は、常にそういうプロセスが必要なわけでありますし、原発のような国民の生活、健康等に大きくかかわるような問題につきましては、そうしたプロセスを私は慎重かつ丁寧にやっていく必要があるということを申し上げているわけです。だから、今回のように性急に話を進め、政府内で違う意見があったと、また新たにやり戻すというようなことがないように、やっぱり丁寧にやってもらいたいということです。
○中国新聞
それに関連して、国に説明をもっとしてほしいということが今、何点かまだあるというふうに言われましたけれども、ちょっともう一回整理したいんですけども、原発の安全性に関して知事が今、国に説明を求めている何点かというのを、ちょっともう一回教えてもらえませんか。
○溝口知事
例えば地震の影響は余り致命的でなかったという見方が政府からも、はっきりはしていませんけども出されておりますが、他方で、6月7日のIAEAに提出した報告の中では、まだ地震についてもすべてが、言葉はちょっと正確じゃないかもしれませんが、わかっているわけではないというような記述もありますね。
それから、世上言われますのは、原子炉が非常に長く使われておって、技術は日進月歩であるわけですから、そういう高経年化による影響は一体どうだったのかというような点も、もう少し議論がなされないといけませんわね、専門家の間でも。そういう議論はまだまだ報道、あるいは新聞紙面を見る限り、やりとりがそんなに密になされているという感じがしませんね。時々そういう議論も出てきておりますけれどもね、そういう問題があります。
それから、津波の影響といったものが、津波対策いろいろやってますけれども、すぐできるもの、それから時間のかかるものがありますね。そうすると、時間のかかるものをもう少し前倒しをするような余裕がないのかとか、そういうようなことも詰めないといけません。
だから、政府の方もいろいろ対応されておりますけども、当座、再稼働が政府として可能であって、そういうところから話をされていますから、中電の方は今夏の電力需給には当座は問題ないわけで、政府と細かい話を我々もまだやる時間はありませんけれども、私などが上京した折などには、そうした問題を経産省などにもお伝えはしていますけれどもね。そういうことです。
○中国新聞
先日、経産省の、先週木曜でしたか、事務次官の方にお会いになられてましたけど、そのときもやはりそういうことを。
○溝口知事
いろいろと言っていますよ。
○中国新聞
そうですか。
○溝口知事
ええ。だから政府として、安全対策として必要なことはいろいろあって、それをちゃんとやるのは当然のことですけども、さらに多くの人が不安に感ずるような疑問点だとかいろんなことが言われていますから、そういうものにやはり丁寧にこたえていくということが大事じゃないですかというような話はしておりますけれどもね。
○中国新聞
じゃあ、そういうものが明らかにならないと、やっぱり地元としても稼働、再稼働というのはやらないという......。
○溝口知事
それは、いずれにしてもあれでしょうね、議会の意見を聞いたり、専門家の意見を聞いたり、それから県民の方々の意見を聞いたりしますから、当然そういうところでいろんな疑問が提起されるわけでしょうから、その提起された疑問に対して、きちっとやっぱり答えられることができませんといけませんわね。ただ、それにしても、答えても、それで納得するかどうかは、また別問題ですよね。いろんな立場によって、こういうものは何か算式を解くような話じゃありませんから、どう事態を評価するかというようなことでもありますから難しいわけです。
したがって、そういうやりとりをしながら、全体としてどう判断するかというのを総合的な判断として決めるほかないだろうというふうに私は考えておりますから、そういうことをずっと言っておるということです。
○中国新聞
それが最低条件であるというのは間違いないわけですね、先ほど言われたように。
○溝口知事
それは最低条件でしょう。監督当局として、ここまではやらなければいけないと。ただ、それでいいのかどうかというのは、また違う意見がありますね。
○中国新聞
わかりました。
○山陰中央新報
他の、島根以外の原発立地県が今後どういった判断されるかわからないですけれども、知事としては先ほどおっしゃられたような疑問点が解決されない限りは、他県がどうであれ、島根として、もうほかに左右されることなくオーケーいたさないと。
○溝口知事
あまりそういう仮定の話に答えてもしようがないので、我々は丁寧に、そうしたプロセスをやっていった上で判断するということです。
○山陰中央新報
以前、それこそ......。
○溝口知事
もちろん他県がどうするという間でいろいろ国とのやりとりがありますから、そういうやりとりも当然参考にしなきゃいけませんね。
○山陰中央新報
参考にはしていくと。
○溝口知事
それは当然そうでしょう。そういうものが積み重なって、全体的な評価が固まっていくわけですね。私だけじゃいかんでしょう。やっぱりいろんな人の意見も参考にして、なるべく間違いない評価をしていくということが大事なことだろうと思いますね。
○山陰中央新報
当時、先日の総務委員会に出席された折に、まだこのときはストレステストのお話が出る前ですが、佐賀がああいう容認方針を示された場合に、やっぱり県が違うと事情も違うというふうな言い方もされておられましたが。
○溝口知事
それは事情も違いますわね。いろんな立地の環境でありますとか、あるいは太平洋側のプレートに近いところにあるだとか、あるいは過去の地震の記録だとか、あるいは津波の記録だとか、いろんな地理的な条件の違いというのはあるわけですね。だから安全基準でも最大限の地震の加速度をどう見るかなんていうのは、各原発で違うわけですね。
○毎日新聞
ちょっと基本的なところで確認をしたいんですけども、原発の安全ということ、安全が確認をされるという、安全ということをおっしゃってますけども、原発の安全、ゼロか100かの問題でもないし、原発、常に絶対に事故が起こらない原発というのは、世界中どこを探してもないと思うんですね。それで、それはすべての人の共通認識だと思うんですけども、知事の中で、どういった条件があれば原発が安全だというふうに判断されるんでしょうか。そこを改めて教えてください。
○溝口知事
そこはね、まだ、それは今回のような事故が起こって、やはりそういう原因の究明だとか、専門家の方がまずやっていただかないと、我々では判断できませんね。まさにそれが安全基準をどういうふうに置くかとか、あるいはストレステストをどこまでやるかとか、そういうことに依存するんだろうと思いますよ。だから抽象的なことではなかなか言い切れないわけでありまして、そういう綿密な専門的なチェックをやると。
○毎日新聞
専門的なチェックが、専門家がチェックをして、国が安全基準を示して、これをクリアしていますよ、知事なり島根県がどなたか専門家に確認をして、その専門家が大丈夫ですよと言えば、知事としては安全と判断するわけですか。
○溝口知事
いやいや、安全と同時に、やはりこの周辺の住民の人であるとか、あるいはほかの人の意見もいろいろありますからね。だから、一つに、1かゼロというふうにはなかなかなりませんから、できるだけ多くの専門家の意見を聞くというようなことですね、あるいはそういう議論のやりとりをするということでしか、こうだということはなかなか示せないんじゃないですか。あるいはそのための準備がどこまでしているかということにもなるでしょう。
○毎日新聞
つまり安全、絶対に事故が起こらないではなくて、事故がもし起こったとしても、どこで落としどころをつけるのかという部分の判断になるということですね。
○溝口知事
そこは我々ももちろん、我々自身も勉強しますけれども、そこはやはり専門家の方々を含め、それから政府の見解、政府も保安院だけじゃなくて安全委員会もありますね、そういうところの意見を聞きながら判断していくほかないですね。
○毎日新聞
今お話のあった保安院ですけども、一部では細野大臣なんかが先週から経済産業省との分離独立というのをいろんなところで明言してらっしゃいますけれども、その点について、知事としてどういうふうにお考えになりますか。いいことだと思われますか。
○溝口知事
そういう推進する部門と監督、規制をする部門は、やはり別の方がいいというのが一般的な考えでありますし、私もそう思いますね。
○朝日新聞
知事、技術的なところというのは専門家の議論にゆだねるとして、経済、財政の観点からいきますと、経済合理性という観点からいくと、今回の福島の事故というのは、知事、どういう所感を持っていらっしゃいますか。原発というのは非常に低コストでCO2も出さないというような利点が強調されてきたかと思うんですが。
○溝口知事
そこはまさに、日本は自前のエネルギー資源というのを持たないわけですから、日本全体として将来にわたって日本が必要とするエネルギーの供給をどういう形でやるかと。それぞれのエネルギー供給の方式には弱点といいところと両方あるわけですね。だから、そういうものをやはり総合的に国としてやはり決めないと、どうにもなりませんね。国は、エネルギー基本計画を見直そうとして戦略会議の分科会ですか、議論を始めたわけでありますが、そういうものをやはり国民各界の意見を聞き、おっしゃったような経済的な側面、
そして安全性の側面、あるいは資源の利用可能性、それからコストも、いろんな事故が起こったときのコストなんかもやらないといかんでしょうね。
そういうものをやはりしっかり議論をして、国民として、あるいはまず政府としてこういう方針で臨むというのがあって、それに対して、それを国民に説明し、やはり国会等で議論をされて、そういう方向でやはり国論としてどうしようということを決めないと、これ、各自治体で決める話じゃありませんね、やはりまさに国の役割でありまして、国が早くそういうこともやらなければいけないというふうに思います。
○山陰中央新報
先ほど2つ前の質問で、どういう条件が整えば原発を動かせるのかという質問の中、まさに今、3月の当初の記者会見の質問に戻るんですけど、今、なぜ2号機が動いているのかというところの中に答えがあるんじゃないかと思うんですけど、改めて今の段階で、なぜ2号機を動かしていいのか、動いているのかというところについて、安全面の立場から、どういうふうな今、知事はお考えというか、整理をつけておられるんですか。
○溝口知事
そこが難しいところですね。それは前にも申しましたが、知事会でも立地県で議論したことがありますけども、そこはやはり、当座の話としては、準備もなく電力供給をすべて、原発による、ストップするというのは非現実的ですからね、それは、そういうものをある程度前提にしなきゃいかんということでありましたね。そこは整理がついてないと思いますよ。ただ、その間にいろんな対応をしていきますからね。
現実に火力発電なんかで廃棄をしようと思っていた火力発電をさらに活用するというようなことで、電力供給をふやすというようなことも行われてきていますわね。それから、そういう時間のプロセスの中で、事業者も方もピーク時電力を下げるという努力を、例えば自動車業界なんかでやっているわけですね。そういうことをやれば、原発による発電が若干減少しても対応できるという、若干の需要、供給両面において努力して調整ができる余地がありますから、そういうものはきちっとやっていくということが必要なんじゃないですか。
○山陰中央新報
今の発言を聞きますと、当初は非現実的ということですけど、そういった諸条件が改良されれば、2号機はいずれ、1月には定期点検になるんですが、その前にもやっぱりとまってるのが正しい姿だと思ってらっしゃるというふうに受け取れるんですが。
○溝口知事
そこはちょっと、私も何ともあれですね。今の現状では若干余裕がありますよね。しかし、2号機ですと80数万キロワットですわね。そのものを含んで一定のピーク時電力に対して停電が起きない余裕があるということになってるわけですけども、停電が起こるということになると、やはり節電をしたり、いろんなことをしなきゃいかんということになるんじゃないですか。
だから、そこは島根に限らず、原子力発電の依存度の高いところなどでは、極めて難しいでしょうね。だから知事会でも、そういう違いも多分あるせいでしょうが、動いているものをどうするかという議論については、知事会としての結論は出なかったと、こういうことです。それで、政府の方もその点については格別言っておられないわけですね。ただ、政府としては、できる対応を早くとらせるということを3月30日の対策以来やってきており、そうして現行の原発に対しても必要な津波対策、あるいは緊急対策等々の措置はとらせてきて、並行してやっているということでしょう。
○山陰中央新報
そして今、現在2号機に対する安全性というのは、積み重ねられているという認識ですか。
○溝口知事
これまでの評価では安全性の基準は満たしているということでしょうが、予想しないことが起こるわけですから、今までの基準だけではいけないというのが現在の議論なわけですね。
○山陰中央テレビ
きょうに限らず、ちょっと知事のお話を伺っておりますと、電力の安定供給という意味合いでいうと、原発の稼働を急ぐ、優先するというよりは、原発の稼働を電力の安定供給という観点から急ぐとかという考え方より、代替の電力ですね、火力とか水力とか、あと需給のバランスをとっていくことで、ある程度原子力の必要性というのが薄まってこれるんじゃないかというお考えをお持ちなのかなと受け取るんですが、その辺はいかがですか。
○溝口知事
当座はやっぱり必要でしょうね。中・長期的に代替エネルギーというものがもっと安定した形で大幅に利用できるようになれば別ですけども、それはなかなか時間がかかりますわね。そういう中で、原発以外で可能な能力というのは日本全体でも足りませんから、中電の方も35万キロワット分でしたか、関電の方に供給を予定しているという状況ですし、ほかの地域も足らないわけですね。中国管内だけの話じゃないわけです。ほかで大停電が起こったり、あるいはそういう電力が確保できないということで工場等が海外に出るとかということになったり、あるいは工場の生産がとまるということになると、それは一地域にとどまらなくて、日本全国に及んでまいりますわね。
だから、我々だけの議論では決められないところがありますね。それはやはり国が全体としてどういうエネルギー需給を想定をし、その供給をどのような形で確保するかという大きな枠組みがないといけませんね。それを勝手にばらばらにやるというわけにはいかないでしょう。相互に依存していますから。
○山陰中央新報
先ほど原発が違ったり、あるいは立地が違えば当然環境も違うし条件もいろいろ違うというふうなことでしたが、環境というのはやはり、先ほどおっしゃったような地震等の危険性というのが一番あれですか、例えば電力需給の問題とか炉の問題とかというところをケース・バイ・ケースで考えて......。
○溝口知事
すべてですね。すべて関係しますね。関係するものはすべてということでしょう。ただ、関係の度合いが強弱があるということじゃないですか。ただ、それも、その強弱をはかる客観的な指標があるわけじゃなくて、それはやはり総合的に判断して決めるほかないですね。
○山陰中央新報
だから、それこそ高経年化をおっしゃってましたけども、例えばほかのところでは、まだできて間もない炉なら動かせるけども、1号機だと高経年化もあるのでちょっと考えるとか、そういった考え方も出てこようかと思うんですが、そういったものが考慮の材料になってきたり。
○溝口知事
いろんなそれは意見がありますから、そういう意見もよく我々もお聞きしなきゃいかんでしょうし、国あるいは中電もそういうものによく耳を傾けて判断をしなきゃいけませんね。
○山陰中央新報
確認ですが、総合的勘案の中には電力需給という問題も当然入って、切迫性というんでしょうか。
○溝口知事
それはあるでしょうね。だから一挙にやめられないというのは、そういうところから、やめてほしいという議論もあるけれども、できないのはそういうところから来てるんじゃないですか。
○中国新聞
確認ですけども、ストレステストというのは十分、稼働に向けた十分な条件ではないということだったですね。
○溝口知事
ある意味で当然でしょう。当然なことじゃないですか。それは機械装置の面から安全だと、安全といっても100%安全じゃないわけですよね、差し支えないだろうと。しかし、そういうものを含め、地元の了解というのが要るわけですね。だから、そのためにはやはりいろんな疑問などに答えていくということが必要だと、そういうプロセスを経て、総合的に判断していかなきゃいかんということです。
○中国新聞
その疑問というのは、さっき言われたようなことがあるわけですよね。
○溝口知事
それは一部でしょうけれどもね。ほかの人にはほかの意見もあるかもしれません。
○中国新聞
あと、ストレステストの内容についてなんですけども、まだ現時点では詳細な説明を受けてないということでよろしいんですね。
○溝口知事
はい。
○中国新聞
それを今後求めていくと。
○溝口知事
国はEUのストレステストを参考にと言っておられますわね。そこである程度のことがわかりますが、想定しないような大きなストレスがかかったときに、どこまでいろんな設備であるとか機械と申しますか、あのシステムがもつかというようなストレスをかけたときのチェックですよね。
○中国新聞
それについて、じゃあこちらから説明をしてくださいというようなことはないわけですか。説明を求めていくという。
○溝口知事
それは政府が発表をいずれするでしょうから、それに基づいて我々も疑問点があれば聞いていくということになるでしょう。
○毎日新聞
少しちょっと話題が変わりますけれども、最近、佐賀の玄海原発について九州電力のやらせメールという、九州電力の社員の方が説明番組にメールを送っていたという事実が明らかになりまして、随分地元の方では大きな話題になっている話であると思います。
原発の運転再開というのを地元の方がどういうふうに理解していくかというところで、電力会社そのものが、その意見が多くなるように見せかけるような形でやっていたという話ですけれども、まずそのことについて、そういうことが原発の立地県、ほかの立地県でそういうことがあったということについてどう思われるかということと、あと、原子力の業界は非常に狭い業界で、北海道であろうが九州であろうが中国電力であろうが東京電力であろうが、非常に同じような大学を出て、同じようなかまの飯を食って、いわゆる原子力村なんていう言葉もありますし、そういう意味で、別の電力会社で起こった話だというふうな一言で片づけられないような問題ではないかとも思うんですけれども、その点について、例えば知事の方から中国電力に対してそういうことがないように何か要請するだとか、要請とは言い過ぎかもしれませんが、何か話をされるとか、そういうようなことは考えられませんか。
○溝口知事
当然それは中国電力はやらなきゃいかんでしょう。そういう九州電力で起こったようなこと、それは電力会社に対する信頼を損なうようなもんですからね。信頼を保持するといいますか、それがなきゃ、原発の立地なんていうのはできないわけでありまして、最も大事なことじゃないですか、電力会社にとって。
○毎日新聞
こういうことが起こったことそのものについては、どういう感想を持たれましたか。
○溝口知事
どうしてそのようなことが起こるのかが、信頼を保たなきゃいかんという観点から経営者というのは考えなきゃいかんわけでしょう。そういうことに違背をしているわけでしょう。という感想ですね。
○山陰中央テレビ
秋田の、ちょっと話変わって、秋田ではエネルギー協議会も知事会の後にあると思うんですけれども、島根県でもメガソーラーの誘致にこれ、出雲市さん、名乗りを上げておられますが、県として今後、どういうスタンスでメガソーラーの話、自然エネルギーの誘致に向けた話、どういうスタンスで臨まれるか、ちょっと改めてお伺いできますか。
○溝口知事
秋田でですか。
○山陰中央テレビ
秋田で知事会の後にエネルギー協議会が予定されてるんですけれども、候補地の何県かの知事さんが御出席も予定されてるようなんですが。
○溝口知事
エネルギー供給の話は、いつも言ってますけれども2つの側面がありまして、やはり国全体として日本が必要とするエネルギーをどういう形で供給していくか、そういう政策を政府が、あるいは計画を決め、それについて国民の理解を得るということが一番大事ですね。その中で代替エネルギーをどのように活用していくかというのは出てまいりますわね。それが一つあると。そこがありませんと、例えば代替エネルギーは、当座の間はコストが高かったりしますね。
そういうものに対して国がどういうふうに助成をするかというようなことが、今度は現実に代替エネルギーの事業を始める人たちに大きな影響を及ぼしますから、そういうこともよく見ながら、県としても対応していきたいと思いますが、また、県あるいは自治体、国民のレベルになりますと、そういうこと、現行制度もありますし、現行制度をできるだけ活用する、そういうことを県なども推進をする、後支えをする、そういうことをやっていくというのが県、あるいは地元の市町村の役割でしょうね。
また、そういうことが、メガソーラーのようなことが行われますと、そういう効果もありますし、それが一つの、例えば遊休地の利用というような、地域的に見れば経済的な効果もありますから、そういう観点も考えながら、それぞれの自治体が、市町村がどう考えるかということもありますし、事業者がどうされるということもありますし、県が支援をしていくということもあると。県としては、そういうことを進める方向でいろいろ努力をしていきたいというのが基本的な考えですね。
○山陰中央新報
今のお話の前段で、国のエネルギー政策を決めないとという言葉がありましたけど、逆に言いますと、原発も国の政策の方向性が決まらないと、今動いているものを動かすか動かさないかということが決まらないと思うんですけど、それは条件ではないんですか、動かす。
○溝口知事
それは中・長期的な話と現在の話はね、すぐにはあれでしょう。中・長期的に原発をどういうふうに考えていくかというのは当然なければいけませんよね、今のエネルギー、国のエネルギー政策の中に。
○山陰中央新報
いや、だけん、その政策が決まるからこそ、じゃあ何基動かすのか、それともやめていくのかという方向性が決まるんじゃないかと思うんですけれども。
○溝口知事
それは長い時間のフレームによりますね。どういう形で代替エネルギーが確保されるのかとか、あるいは電力需要がどの程度抑えられるのかとかね。だから、そういうタイミングだとかスピードだとか、そういうことはまた別の観点から考えていかなければいけないでしょうね。
○山陰中央新報
いや、今その話をお聞きしたのは、結局記者だけじゃなくて県民にもストレスがたまっていると思うんですけど、結局知事が総合的な判断とおっしゃることに対して非常に不安があるのは、要するに電力が足りなくなれば安全性が確認されなくても動かせるのか、知事のおっしゃり方は、要は全部のことを詰めていくと、いや、そこはそうではない、最終的には総合的に判断するとおっしゃるから、要は安全性、原因究明がなくても電力が足りなければ動かせるのかという話を、もう僕ら、この4カ月間、ずうっとやってるわけでしょう。
このことに対して知事が最低限の条件というのをやはり提示されるべきじゃないかと。国の方がそれを示すとおっしゃいますけど、国の方が今こんな状況なわけですね。国の方針がここまで揺れているという中で、県の方がせめて最低限の基準というのを示していただかないと、県民の方は納得いかないと思うんですけど、そのあたりを総合的な勘案というレベルからもう一段上げて、ここまでは最低限確認できないといけませんという線を明示されるというお考えはないですか。
○溝口知事
国も説明はいろいろしてるんですよ、津波の影響が非常に大きかったということ。ただ、地震の影響については、まだ分析し切れてないというのが6月7日の国のレポートの表現だったと思いますよ。そこは、おっしゃる気持ちはわかりますけども、現実にどこまでというような話は、それはやはり専門家の技術的な判断も加えてしないといかんでしょう。だから、そういう意味で、国の話もよく当然我々も聞いてまいりますし、国からもわかりやすい説明をしてくださいと言ってますし、我々自身も専門家の意見も聞き、あるいは県民の方の意見も聞き、議会の意見も聞き、そしてまた、多分周辺の市、町、あるいは鳥取県の意見もあるでしょうね。
そこら辺の意見も、今、あなたが言っているような、どこまでということはなかなかはっきりしないわけですよ。それはやはりいろんなファクターが関連してまいりますからね、そこをやはり総合的に考えるほかないだろうと思います。
○山陰中央新報
一つ確認ですけど、専門家とおっしゃる、この専門家というのは、原子力安全委員会のことをおっしゃっているのか、それとも島根県が独自にお願いをするという専門家を想定しておられるのか。
○溝口知事
両方ですね。
○山陰中央新報
それは原子力安全顧問以外に。
○溝口知事
安全顧問は当然やりますね。既にいろいろ事務的には聞いてもらったりしていますけれども、それ以外の専門家の方の意見も聞いたりはしなければいかんだろうというふうに考えていますけれども。
○山陰中央新報
ストレステストに安全性の担保を最低条件だとおっしゃいました。ただ、ストレステストはゴーサインが出ても、その後に例えば国から十分な、こっちが納得するような説明がなかったり、他市、周辺市町村、県民が、それじゃあ満足できませんよという声が多かった場合は、島根原発1号機についても運転再開は認められないというふうな......。
○溝口知事
そういう仮定の問題をお答えするのは、今の段階で適当じゃありませんので、そういういろいろ意見を聞くプロセスを丁寧にやった上で判断をするということです。
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