知事定例記者会見(6月9日)
質問事項
2.原発関連問題について
○NHK
知事、先日の知事が上京されたときにも、海江田大臣とお会いになられたときも、御自分で、いわゆる大臣が地元に御説明されるというようなお話、すなわち電力需給のピークを迎えて、運転停止中の原発の再稼働に向けて経産省が前向きな動きをしている中で、九州電力の玄海原発が地元町長、町議を含めて賛成というか、再稼働に向けてゴーサインを出してる状況なんですけども、そういう動きが地方で出てきているということについてどのような御感想というか、をお持ちですか。
○溝口知事
それはやはりそれぞれの地域とか、あるいは原発の所在する土地ですね、あるいは市の場合もあるでしょうし、町の場合もあるでしょうし、いろんな状況が違いますから、そこでいろんな対応が出てくると思います。
それから、電力会社はある意味で地域独占のような企業ですから、若干電力会社間で電力の融通というようなことはありますが、それは限界的なものでありますから、やはりその地域の電力供給がどの程度いくかとか、そういうことも関連してくるだろうと思います。だから、すべて一様の対応が出るわけじゃありません。
○NHK
そういった中で、島根原発の再開に関しては、これまでも絶えず......。
○溝口知事
島根原発と申しますか、中国電力管内では、昨日でしたかね、中国電力の方で夏の需要期に向けての電力の需要と供給がどのようになるかという見通しを発表されましたね。ふだんよりも早い発表だったと聞いておりますが、やはりこの原発の問題等があり、夏の需要期に向けて電力供給が大丈夫かどうかという関心が高いわけですから、早目に計画を発表されたようでありますが、そこでは、今の状況で中国電力管内では供給不足という事態は、中国電力としては想定をされてないということだと思います。
○NHK
ということで、じゃあそういったことが再開の判断に左右されるということはないと。
○溝口知事
私どもは、そういう電力需給の問題も見なければいけないということは、これまで県の対応を考えるときに言ってきておりますけれども、そういう面では一つ、中国電力管内の状況は少し明らかになったと。しかし、ほかの問題ですね、福島原発の事故といいますか、何があそこで起こったのか、あるいはその原因は何であったのか、あるいはそのために安全基準といったようなものをどう変える必要があるのか、あるいはそのための対応として何をとる必要があるのか、まだ十分出そろっていません。一部、3月30日に津波対策についての指示が保安院からあり、その対応を電力会社がして、5月6日に保安院が評価をしましたね。しかし、またそれも昨日でしたか、さきおとといですかね、国の方でIAEAの会合に提出する書類を発表されましたね。その中には、津波対策による対応は確認した上で、しかし、それ以外の問題もあるというようなことで分析をされ、それをまた電力会社に対しても対応するように求められております。
まだそういう意味で、私どもが言ってきたような問題について、すべて情報の提供だとか、事態が明確になったということじゃないですから、そういうところをできるだけきちっとやってもらって、そういうものについて我々も専門家の意見を聞いたり、あるいは国、中国電力の方も議会でありますとか、あるいは県民の皆さん、市民の皆さん等々にも説明し、意見をお聞きするというようなプロセスをきちっとやってもらわなきゃいけませんね。それがまだ進んでおりませんから、そういう意味で、もう少し我々の方で、我々の方はそういうプロセス全体をよく踏まえて、いろんな意見だとか説明をよく聞いて、その上で判断していくという考え方だということは説明しておりますけども、そういう意味で、我々の対応についての決定というのは、まだもう少し時間がかかるだろうと。
ただ、中電の方も電力需給という観点からは、今は、きのう説明があったように、島根原発の状況は当面どうするかということに触れておられませんから、そういう意味でも、もう少し推移をよく注視をしていく必要があるし、そういうことでも対応が可能な状況だというふうに見ています。
○毎日新聞
今、IAEAの報告書のお話が出たので、その点についてお伺いしたいんですけれども、7日にIAEAの報告書を政府の方が発表しまして、その後、原発立地県の知事さんの中では福井の西川一誠知事さんが、立地自治体の不安に対する答えではないというような形で、かなり手厳しい評価をしてらっしゃるようですけれども......。
○溝口知事
西川知事がですか。
○毎日新聞
はい。報道等あっておりますが、そういう点も踏まえて、知事御自身が今回の政府が出したIAEAの報告書をどういうふうに考えてらっしゃるかを教えてください。
○溝口知事
それは、技術的なこともありますから、全部を網羅したお答えといいますか、それは難しいですが、私どもの関心のある事項の一つとしては、津波だけではなく、地震の影響などについてどう考えるかというところが、まだ依然、はっきり言っておられませんね。それは私も注意深く見ましたが、報告の概要ですか、を見ますと、「地震による影響、現在までのところ、地震による大きな損壊は確認されてないが、詳細な状況はまだ不明であり、さらなる調査が必要である」というようなことですよね。
基本的に政府の方は津波による影響が核心的な大きな要素であったという立場ですが、地震による影響のところももう少し必要でしょうし、それから、もう一つ我々が言っていますのは、各原子炉ごとの影響はどうだったかという点につきましては一定の、それぞれの状況を説明しておりますが、まだ我々レベルが理解するところまで、まだわかりませんし、そういう点も専門家の方などにもよく見ていただいたり、そういう人の評価なども必要なんじゃないかなというような気がします。
それから、そういうものに基づいて幾つかの教訓と申しますか、いろんな必要な対応というのをこの報告書の中へ書いておられますけれども、それもすぐ対応しなければならないもの、あるいは時間のかかるもの、若干の仕分けもしてありますけれども、そういうことで適当なのかどうか、まだ我々自身も専門家の意見などもよく聞かなければいけないというような感想を持っていますけれども、そういう意味で、もう少しと申しますか、原因の分析、事態の起こっていることについての説明、まだ時間がかかるんじゃないですか。今、政府の方では、調査会でしたか委員会でしたか、つくって研究を始めたところですよね。まだそういうところにもよく見てもらって評価をしてもらう、そういうことも必要だろうと思いますね。
○毎日新聞
すると、まだまだ評価には時間がかかるんではないかということですけれども、先ほどの電力需給のお話もありましたが、ことしの夏の電力需要について中国電力が安定供給できる見通しであるというふうにおっしゃっているということは、知事としては、電力需要について、前回の会見のときにも判断する上で大きなファクターであるというような内容のことをおっしゃってたと思うんですが、今回の夏については、そこまで大きく考慮しなくても判断できるという......。
○溝口知事
中国電力の話はそうでしょうけれども、今の状況で電力会社の方はどういう対応を、今の状況を変える必要があるということは言ってないわけですから、そこはそういう面で、まだ、さっき申し上げたような政府の分析だとかをよく見て対応すべきだろうというふうに思います。
ただ、申し上げているのは、全国的な需給というのは、ほかの地域ではかなり原発に依存しているところがありますから、そういうところは我々が判断する問題じゃありませんけれども、そういうところでどういう影響が出るかというのが一つのやはり関心事ですね。
○毎日新聞
もう1点お伺いしたいんですけれども、先ほどお名前を少し出したんですけども、福井県が核燃料税について、もう話題になっていると思いますが、価格に応じた課税方式から出力数に応じた課税方式へ変更する方針を固めて、事業者側と調整をしているというような内容の報道がなされていますけれども、島根県でも今後、そういうような方式というのを検討される御予定があるのか、その辺について御見解を教えてください。
○溝口知事
核燃料税は、御承知のとおり原子炉に挿入された核燃料の価格に着目して課税をする税になっていますから、ずっと運転がとまるとかいいますと、新たな挿入ということが必要なくなってきますわね。そうすると、稼働の状況によって納める、あるいは受け取る核燃料税が変わってまいりますから、そういう意味では安定的な財源ということであれば、福井で検討されているというのも、それは、そうした考え方もあり得るだろうと思います。思いますが、どういうふうに取り組まれるのかもよく注視しながら、我々も必要な研究はしていきたいというふうに思っていますが、今、具体的にどうするこうするということではありません。
核燃料税は、島根県の場合ですと5年間ごとに仕組みを決めまして、決めると同時に電力会社に課税するわけですから、電力会社とも話をしなきゃいけませんが、それで決めていますから、現在の方式というのは22年4月、去年の4月からです。福井県の場合はたしか今回、切りかえる時期にちょうど遭遇しているということで、そういう検討がなされているんだろうと思います。我々も福井県の検討の状況、実行の状況が今後明らかになっていくでしょうから、そういうことをよく見ていきたいと。そして我々も研究していきたい。
○山陰中央新報
それは、なかなかいいやり方だなと。
○溝口知事
一つの考えということですよ。税率なんかが同じだとした場合はですね。
それも、それが決定的であるわけじゃないですよね、県の財政、いろんな変動にはいろんな手段で対応できる方法を持っていますから。そうでなきゃいかんということではないということです。
○山陰中央新報
ちょっと確認ですが、検討、研究はこれからしていきたいと。ただ、今現在は、まだ島根県としては白紙。
○溝口知事
検討じゃなくて研究ですね、まだ。様子を見て研究をしていきたいと、こういうことであります。
○山陰中央新報
今現在、まだ白紙という状況でよろしいんでしょうか。
○溝口知事
ええ。
○山陰中央新報
福井県の方も......。
○溝口知事
白紙というのは、決めてないというだけでありまして、白紙とかじゃなくて、研究はしていきたいと、こういうことですね。
ただ、その方式では、今後絶対的になるとか、そういう問題じゃないように思います。
○山陰中央新報
福井県さんの方に照会をかけるとか、どういった制度を研究して、直接聞くといったようなことは。
○溝口知事
それは聞いてますよ、基本的には。ただ、まだ具体的なところまで到達していないようですね。
○山陰中央新報
それは知事を、福井県の知事の方に。
○溝口知事
いえいえ、それは事務的な話ですね。それぞれの財政のスタッフがやってる状況です。
○中国新聞
それは、5年間の切りかえ期間以内で変えることも、研究の結果次第ではあり得るということですか。
○溝口知事
そういう仮定の話は、まだそこまで答えることは適当じゃないです。
○中国新聞
あと、聞きたいんですけども、いろいろと福島の事故の分析とか、それによる安全基準の見直しとか、いろいろ言われましたけども、今現在、知事が考えておられる1号機の運転再開に向けた条件というか、要は県として容認をする条件というのを、ちょっと改めてわかりやすく上げてほしいんですけども。
○溝口知事
認めるかどうかについては、まだ先方からの考えが示されないとわかりません。まだ今のところ、そこら辺がわかりませんから。
○中国新聞
先方というのは。
○溝口知事
中国電力です。
○中国新聞
中国電力さん。
○溝口知事
ええ。
それから、一般的な考えとしては、この前から県の対応の仕方について皆さんにも説明したとおりでありまして、それをさらに進んで具体的なところまでは、まだ行ける状況にまだなってないということです。
○中国新聞
じゃあ、国の福島の事故原因の検証なんかって、多分すごい時間かかると思うんですけども......。
○溝口知事
それも、どの程度わかるかということについても、それはよくわからんところがありますけれども、現状では、まだそういう状況に至ってないということですね。
○中国新聞
そういう状況というのは、容認ができる......。
○溝口知事
容認ではなくて、検討ができる状況まで行ってないと、こういうことです。それは14の立地道県も同じことでして、だから国の方で早くやってもらいたいという、要望書の中にそういうことを書いて提出をしていると。
○山陰中央新報
あと知事、1号機の運転再開を判断するに当たって、当然福島の問題の究明だったり対策プラス電力需給等も総合的に勘案してとおっしゃってまして、これ中電さんのきのうの発表では、電力需給の問題は解決されたというふうな認識では......。
○溝口知事
それにはいろんなプロセスがあって、それから専門家の意見を聞いたり、それから議会に説明したり、あるいは県民の方々に説明したり、そういう中でいろんな意見が出たり論議が出てくるでしょうと。そういうものを総合的にと、こう言っているわけで、個別の項目ということじゃなくて、全体を見てということですね。
○山陰中央新報
ですから、電力需給の問題はクリアした、あとは安全の問題だけだという限定したわけではないということですか。
○溝口知事
いろんな問題が項目としてはあるし、いろんな論議があり得るでしょう。そういうものを総合的に見てということです。
○読売新聞
今おっしゃったのは、議会の話で伺いたいんですけど、まさにきょう、議会運営委員会がありまして、原発問題専門に話し合う特別委員会を設置しようかどうしようかというお話がされて、結局否決というか、設置は6月議会ではないということが決まったんですけども、先ほど。これについて、知事のお考えはいかがですか、必要性というか。
○溝口知事
そこは議会の中の話ですから、私がコメントするのは余り適当でないでしょう。いずれにしても、議会もこの問題に議会として取り組んでおられるところですから。県民の方々の不安であり、あるいはいろんな考えを勘案しながら、議会としても当然、慎重かつ必要な検討をされるということだと思いますけれども。そのやり方をどうするかというのは、議会の中の問題だろうと思います。
○毎日新聞
また1点、原発について、1号の運転再開の絡みで一つ聞きたいんですけれども、福島第一原発でも使われていたマークIというタイプの原子炉の耐震性について、随分疑義があるんではないかと、問題があるんではないかというようなことが昨今、非常に話題になっていると思うんですけれども、島根原発1号機も同じマークIのタイプであるということは、もう御承知のとおりだと思うんですけれども、そのマークIのタイプの耐震性について、こういうような問題があるんではないかという話が出ていることについて、知事はどういうふうに思ってらっしゃるのか、そしてその点が今後の運転再開について、知事が判断する上で何らかの影響があるのかどうか、その2点を教えてください。
○溝口知事
我々は、この福島の炉ごとの影響を含めて、ちゃんと分析してもらいたいと言っております。それが一つですね。
それに対して国の方は、一昨日、報告書の中では、さっき申し上げましたが、「現在までのところ、地震による大きな損壊は確認されていないが、詳細な状況についてはまだ不明であり、さらなる調査が必要である」と、国もそう言っておられるわけですね。
だから、そういうことをちゃんとやる必要があるというふうに思います。ただ、それがいつの段階でどうわかるかというのも、国もまだわかりませんね。しかし、我々の方も、そういうことではないかといういろんな情報もありますから、情報というのは一般的なインターネットだとか、そういうところに流れるのもありますから、国にはちゃんとそういうところが説明できるようにしてもらいたいということをずっと言い続けておるわけです。しかし、現状では今言ったような状況になっているというので、できるだけ早くそういう問題についても究明してもらいたいというふうに思っています。
○毎日新聞
そういう問題というのは、私、質問でマークIのお話をさせていただいたんですが、その点ということですか。
○溝口知事
マークI、いろんな型があると聞きましたけれども、そういう面で、マークIについても、福島原発と、それからほかの地域のとは若干仕組みも変わっているという話は聞いておりますけれども、そういうところまで含めて、国の評価なり考え方をよく明らかにしてもらいたいというふうに考えてますし、我々の方もそういうことを国に伝えておるということです。
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