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知事記者会見(4月11日)

質問事項

2.原子力発電所の問題について

 

○山陰中央新報

 原発に関連して、エネルギー政策そのものを抜本的に見直さなければならないということで、そのことを御自身でお感じになっていると同時に、国にも訴えていくということでありますが、その方向性は今後判断されると思いますが、現状ではやはり原発、今ああいう事故を起こしたことにかんがみると、やっぱりああいう原発に多くを依存している今の配分、比率、若干3割ぐらいだと思いますが、そういうことにやはりちょっと問題を感じておられるという認識でよろしいんでしょうか。

 

○溝口知事

 あのような大事故が起こるということが想定をされておらず、ああいう事態になったわけであります。その背後には、やはりあのような大きな地震があるということがイメージ的に考慮されていたのかどうか。あるいはあのような大津波がどういうふうに想定されていたのか。そしてそういうものに対してどういうような対応をとればいいのか、あるいはよかったのか。いろいろ今回の事態は、あってはならない事態でありますから、しかし、あってはならない事態が起こっているわけですから、そういう観点から抜本的に見直しをする必要があるということであります。

 

 その背後にも、地震といったものは長い年月をとりますと、今回も1,000年ぶりというようなことも言われますけれども、1,000年ぶりと言われても、いつ起こるかはわからないわけでありますから、そうしたことをかんがみますと、今回の事故などによりまして大きな、実際的なコストがかかっているわけです。そうすると、原発そのものについて、他のエネルギーとの関連、そういうものは当然検討しなければなりません。やっぱりそういうものに対して国が明確な考え、方針をやはり新たに打ち出さないといけないと思います。それによりまして国民の方々に理解をどう求めるかということであります。ただ、その具体的な内容は、まだ原因の究明とか、あるいはあのような大地震の想定をどのように他の地域において考えていくか、これは難しい問題ですね。しかし、そういう難しい問題をこなしていかないといけない事態だというふうに考えているということであります。

 

○山陰中央新報

 知事、それは脱原発という方向性も含めながらという。

 

○溝口知事

 それは可能性としてはあるでしょうが、現実の問題としては、原発に全国の平均で3割ぐらい依存しているわけですね。首都圏でありますとか、あるいは近畿圏、あるいはその他のところでも4割、5割に近いようなことであるわけですから、そういう現実をどうするかということも当然考えなきゃいけません。

 ただ、今、私がその結論めいたものを今持っているわけでもありません。それはやはり専門家の方々、あるいは今回の事態をよく究明し、評価をしなきゃいけません。そういうことなしには、先に進むということは極めて難しいだろうというふうに思います。やはり大きな方向について国自身がどう持っていくかということがなきゃいけません。

 

○山陰中央新報

 その大きな方向というのが、要するに原発を抱える島根県の知事として、要するに原発のこれ以上の立地を抑制する方向に持っていくのか、要するに原発に依存する体質を改めていくという方向で主張されるということで......。

 

○溝口知事

 そうですね、方向としては当然そうでしょう。ただ、それだけじゃないですね。国民の生活、あるいは経済に対する影響、あるいは安全性に対する影響、いろんなものを総合的に考慮しなきゃいかんでしょう。それは一つの要素だけじゃなかなか決まりません。

 

○山陰中央新報

 そういうことを考慮しつつも、社会全体としてそういう原発に依存する体質から改めていく方向に行くように知事も発信をされるということで......。

 

○溝口知事

 今回の事態なんかを見るとそうでしょうね。しかし、それもやはりエネルギー政策をどう進めるかということと関連しています。そういう問題を整理をしないと、何も今、それはやはり、そういうことに責任を持つのは政府でありますから、政府はまだそういうところまで踏み込んで検討するところまで来ていないわけですね。あの福島の原発を当面処理をするということで精いっぱいなわけでありますから。

 

○日本海テレビ

 知事としては、全体をもう一遍総論というか、そもそものところをもうちょっと踏まえながら、しっかり整理してほしいということですね、国に。

 

○溝口知事

 総合的にそういう方針なり、あるいはその問題点なり考えがないと、これは個人でも判断できる話じゃないです。国全体として考えなければならないと。

 

○日本海テレビ

 なるほど。

 

○山陰中央新報

 原発が立地する県庁所在地の知事として、政府に対してそれは抜本的なエネルギー対策の見直しを求めていくという立場ですか。

 

○溝口知事

 そうですね。しかし、今ある島根原発そのものの安全性に対して、私はそうした国の対応というのは、まだ時間がかかるでしょうから、それを待つことなく、できるものからどんどんやってもらいたいということを中電にも申し入れてきまして、中電もそういう対応をしつつあるわけです。

 それからまた、防災計画も、これまでの国の計画では8キロから10キロということでございましたが、20キロまで延長して、30キロまでも室内待機といったようなことで、予想しないことが起こっているわけですから、そういうものも、あそこだけに起こるということではないわけでしょうから、そうしたものに対しましては国の対応をどうするかというのも時間がかかるでしょうが、予備的な、例えば避難の場所としてどういうところがあるのかとか、そういう検討もしなきゃいけません。あるいは避難をするための避難路をどうするか、あるいはその地域にどの程度の方がどの程度住んでおられるかとか、あるいは今回の場合も高齢者の方々の、介護の施設等におられる方々の移動ということに非常な困難がありました。そういう実態なんかもよく調べていかなきゃいけません。そういうことを関係の市町、あるいは鳥取県などとも協議を始めたということであります。

 

○中国新聞

 それについてですけれども、関係の市町との協議というのは、具体的にいつから始められたんでしょうか。

 

○溝口知事

 25日でしたね。

 

○中国新聞

 あの会議のときですか。あれ以降ということ。

 

○溝口知事

 会議の前から関係の市町さんなども、私のところに要望などにも来られておられましたけれども、あるいはその前からいろんな関心をお持ちのところもありましたから、なるべく早くそういうことをやろうということで、3月25日に、まず1回目の意見交換の場を持ちました。今、これからも鳥取県とも協議しながら、今言ったような調査でありますとか、松江の市長さんはシミュレーションということをおっしゃいましたけれども、そういうことも含め、対応を相談しながら進めていくということです。

 

○日本海テレビ

 知事、そもそもエネルギー対策、先ほどおっしゃったのは、基本的に多くの原子力、原発依存はよしとしないと。抜本的なエネルギー対策を国に求めていくというのは、見直しを求めていく、よくわかったんですが、ただ、現実に今、1号機、2号機があって、2号機は既に運転しているわけで、そういう中で、25日の会議の中で、今回おっしゃった20キロ、30キロに、福島でああいうことが起きた、そこのところに原子力安全協定をまず結びたいんだと、各自治体が中国電力さんとですね。そこの足かせになっているのがいわゆるEPZという、8キロ、10キロというのを20キロ、30キロにまず広げてほしいんだと、そこのところをそういう、国に対して、国が絡んでいるところだと思うんですけども、そこの見直しみたいな、今できる見直しみたいな、住民の安全を担保するという意味で、その辺のお考えはいかがですか。

 

○溝口知事

 安全協定の話は、地元の市町、そして県、そして中国電力の間のいわば協定ですね、了解事項であります。その主なものは3つぐらいの要素があるわけです。一つは原発の状況について何か起こったとか、いろんなことがあったときに関係の市町の当局に中国電力が伝えるということです。市町はそれに基づいた対応をすると。県も一緒ですね、それは。それが一つです。それから中国電力がいろんな発電所の安全対策なんかをとります。そういうときに立ち入りの調査をして実態を見ることができるようにするというのが2番目。3番目は、原子力発電の例えば増設をするとか、あるいは変更するとか、そういうものについて地元が事前了解をするというようなことでありまして、それは今の防災計画そのものとは直接は関係ないわけです。防災計画は国の防災の基本計画というのがあって、原子力に限らず、水害だとか地震だとか、いろんな計画をつくって、それに基づいて各市町村、県も防災計画をつくるということなんですね。その際に原子力については、原子力安全委員会の防災指針というのがありますから、その中に8キロから10キロという規定がありますから、原子力関係の防災についてはそれが適用されていると、こういうことです。

 

○NHK

 知事、先ほどおっしゃった25日の会議なんですが、あれは緊急の担当部長会議という位置づけだったと思うんですけれども、今の知事のお考えだと、あれを定例化して、何か将来的に県、鳥取県、関係市町をまとめた形での何か結論めいたものというか、対策みたいなものを出すものに格上げというか、そういうものに位置づけていくというお考えというふうにとってよろしいんですか。

 

○溝口知事

 今は国の防災計画に基づいてというよりも、防災の範囲を、福島で避難の範囲を拡大しているわけですから、それに合ったような対応をするには何をすべきかと、あるいは何ができるかということを、まず関係の市町、県、それでまた鳥取県も一緒ですけども、やっていこうということです。

 それから、さらに避難の場所を確保するというようなことになりますと、場合によると広島県の方も対象になるかもしれませんね、まだそこまで行きませんけれども、まず10キロ、20キロ、30キロの間に人口がどの程度、どこに住民の方がお住まいであるかとか、あるいは避難道路はどうするかとか、あるいは30キロの外に避難地を確保するとどういう施設があるのか、活用できるのか、あるいは避難道路はどうなのか、あるいはバスとかの活用はどのようにできるのか、あるいは自衛隊とかが活用できるのか、そういうようなことがあります。あるいはそうなると防災の訓練なんかもやっていかなきゃいけません。

 

○NHK

 要は定例化して、もうあれは関係市町の会議として定例化していって、何らかの防災計画を持つと。

 

○溝口知事

 それは今、30キロというようなことになると、関係の市町が全部入っていますから、定例化というか、そういう組織として、協議の場として当然残っていくと。

 

○NHK

 続けていくと。それは関係市町に関しても了解済みだと。

 

○溝口知事

 そこまではしませんが、ある意味で当然のことだと理解されているんじゃないでしょうか。

 

○時事通信

 知事は選挙中に国の対応を待たずに県独自とおっしゃったかわかりませんが、県での対応をされていくっておっしゃってて、ほかの原発を保有する自治体は既に暫定的な防災計画とかを制定するという動きがあるんですけど、知事はいつまでにそういうものをつくれというスタンスなんですか。

 

○溝口知事

 そこは、今の作業の進み方にも依存すると思いますけれども、そういう現実的な計画になるような努力を早くやっていくということです。

 

○時事通信

 具体的に時期というのは。

 

○溝口知事

 今は決めていません。できるだけ早くと。

 

○山陰中央新報

 その前提として、島根原発では今、1号機と2号機と3号機とありますですよね。1号機は今、定期点検中でとまっていると。これの再開というのは、国の防災計画が見直しになるだろうということが明らかに、防災計画じゃない、国の要は運転に関する基準等が見直されるだろうということが予見されるわけですけど、この状況で1号機の再開というものについてどういう御見解をお持ちなのかということと、それから今現在運転中の2号機、これの運転というものを今後どういうふうに県としては対処されるのか。

 2号機についてはもう一つ、プルサーマルの問題、これは一応県としても事前了解のところまでは行っているんですけど、この後、実施段階に移すまでにどういうハードルがあるのか、県としてはどういうことが条件か。

 それからもう一つ、3号機は今、工事中なわけですけれども、これが要するにどういう状況になれば運転ができるということに県として了解ができるのか、1号機、2号機、3号機、それからプルサーマルの問題をちょっと整理してお話しいただけませんか。

 

○溝口知事

 今の段階で、これまであった知見と、それに基づく対応でいいのかというのが現在問題になっているわけですね。それはやはり福島原発の原因を究明し、こういうことが起こったからこういう対応が必要だということが出てこないといけません。それなくして今までの基準でいいということにはなりませんから、そういう意味で、福島原発につきましても一部は言われておりますが、大津波で水によって電気系統が故障したと、あるいは予備の電源の手当てがなされていなかったとか、いろいろあるわけでありますから、やっぱりそういう新たな知見を踏まえて、対応がちゃんとできているかということを確認をしていかなきゃいけません。だから今はそこまで手が回ってないわけですから、当然そういうのを見てからでないと、国自身が結構ですよということは言えないでしょう、我々もそうですけれども。だから、そこをよくチェックをしながら考えていくべきことであって、今、どの条件が満たされたという条件のところがまだ確定してないと、こういうふうに理解してもらったらいいんじゃないですか。

 

 プルサーマルも一緒です。プルサーマルを了解したときも、今後もいろんな新しい知見が出てくるでしょうと。そういうものを踏まえて見直すんですよと。もう計画の進行を了解したから、あとはずうっといいんですよというようなことにはなってないわけです。だから新しい知見を踏まえて必要な対応をとっていくということでありまして、その新しい知見のところの整理をちゃんと国はやっぱりしないといけません。そういうことをするのが国の役割なわけです。国以外にないわけです、そういう専門の機関は。ただ、今回の事態を見ましても、専門の方々、機関についても予想しないようなことが起こるわけですから、そこら辺をやっぱりきちっと整理をして、原発所在の県でありますとか市でありますとか、よく説明をして、その上からということになりますね。まだそれには今の状況を見ますと、とてもそこまで行っていませんね。今の現状をどうするか、どうおさめるかということでしょう。

 

○山陰中央新報

 そうすると、1号機については今、県としても再開に向けて最終段階だと思っとったんですけれども、事故が起きて状況が変わって......。

 

○溝口知事

 状況は変わっているということですね。

 

○山陰中央新報

 で、今の御説明で、1号機、それから3号機、プルサーマルについては、今協議中の問題として、今の新しい知見において出てくるという整理でいいと思うんですけど、動いている2号機についてはどういう整理になるんでしょうか。

 

○溝口知事

 2号機につきましても、女川とか、いろんなところにも影響が出ていますし、予備の電源をさらに確保しなきゃいかんとか、いろんなのが出ていますね。そういうやっぱり責任を持っている、国がこういう事情だからということをちゃんと示してもらうということです。それをわかりやすく国民の皆さんにもお示しをして、そういうことについて議論がちゃんとあって、しなければならないということでありまして、今はそこまで行ってないわけです。だから、どういう条件がというのは、具体的なところよりも国の対応をちゃんとやってもらいたいということです。

 

○時事通信

 知事、国の対応を待たずに県としてやれることはやっていくとかなり強調されていまして、その中で、今伺ってると、やれることというのは、そういう例えば防災計画の話であったり......。

 

○溝口知事

 いや、防災計画よりも、まず中電の方で大津波によって水が電気系統にかぶって、電気系統が故障したということがありますから、水がかぶらないような対応を求めてきたわけですけれども、そういうことを今やっています。あるいは電源が使えなくなったわけですから、予備の電源車を用意をするとか、あるいは核燃料のプールですね、あそこにも水が必要なわけですけれども、大変な場合には水そのものを外から注入できるような対応をするとか、さらに電気系統を高いところに、40メートルぐらい高いところに置くという計画を中電も出して、時期は確定しているわけじゃないですけれども、夏ぐらいを目指して、たしか作業、工事を進めるということでありますし、そういうものを言っているわけです。

 

○中国新聞

 それは主体としては中電になりますよね。県としてできることということになると。

 

○溝口知事

 いや、県として中電にそういうことを我々が言っているわけですよ。それを言っているわけです。

 

○中国新聞

 申し入れていくと。

 

○溝口知事

 申し入れて、それをちゃんとやってもらうように、我々がチェックをする、それで十分なのかとチェックする。それで、我々の方も原子力の専門家の顧問の方々がおられますから、そういう方々にも意見を聞いて、そういうものを踏まえて、また中電にも言うと。それで、我々の方は中電に対しましても、そういうことを国自身がちゃんと示してもらうように、電気事業連合会、電事連といいますけれども、電事連の中で相談をし、国によくかけ合ってもらいたいというようなことも私の方から話しているわけです。

 

○中国新聞

 あと一つ、防災計画の中で、県庁のあり方を、原発から9キロしか離れてないと、これをどうするのかというところで、もしものときのための拠点というのを調査されたりとか、そういうことは今されていますか。

 

○溝口知事

 それはもう、今の予備的な調査の中に入っています。

 

○中国新聞

 先ほどの市町村のとかじゃなく。

 

○溝口知事

 例えば避難地と同じようなことです。あるいは国のオフサイトセンターだって同じことでしょう。

 

○時事通信

 済みません、ちょっとうがった言い方をすれば、中電の2号機に関しては国の判断を待つというふうに聞こえるんですけれども。

 

○溝口知事

 いや、今、だからそういう福島原発で起こったことは、細かいことは別にして、津波による水の影響というのが大きかったということがわかっているわけですよね。だから、そういうものを防ぐ対応というのはいろいろ、地形とかによってあるわけでしょう。だから、そういう対応を早くやってもらうということはできることから早くやってもらいたいということの一つの要素です。

 

○山陰中央新報

 こういう想定外のことが起こったところで国に抜本的対策を求めているところは、今、2号機が現実動いているということは理解されている、理解されると言っていいんでしょうか。

 

○溝口知事

 それは、今回のあれを見ましても、動いていると同時に、使用済みの核燃料というのは外に持ち出せないわけですね。プールの中で一定期間冷やすほかないわけです。だから、それがあるということは、燃料プールの水を供給するようなことも同じ条件として考えなきゃいかんわけですから、例えば運転をやめても冷やしていかなきゃいかんわけですから、同じ問題になるんですね。

 

○山陰中央新報

 いずれにしろ、いずれまた定期点検が来て、一度は停止するということになると思うんですが、そこからの再スタートとなると、また1号機と3号機と同じベースのもとで考えないといけないと。

 

○溝口知事

 例えば最近ありましたのが、定期検査中は予備の電源が1つあればいいということだったんだけれども、それも故障しますと水を冷やせなくなりますから、予備を1つ増やすとか、そういうのは国も指示をしていますけれども、そうしたことをもう少し体系的にやらないといけません。しかし、中電の方も自分自身で新しい経験、知見が伝わってきているわけですから、そういうものをどんどんやってもらいたいというのが、できるところから早くやってもらいたいということの一つです。

 

○新日本海新聞

 少し話が戻るかもしれませんが、今動いてない1号機、3号機、それから2号機のプルサーマル計画ですか、これについては新しい知見によってというお考えだったと思うんですが。

 

○溝口知事

 そうですね。

 

○新日本海新聞

 となると、国がそういう前提となるような判断を示してほしいということですが、そうなると今回、福島原発の対応に物すごく時間がかかっている中、そちらの見解というのも相当先になるのではないかと思うんですが、そうすると、中電自体の電力供給計画とかにも影響が出かねないと思うんですけれども、そのスパンなどについてはどのようにお考えなんですか。

 

○溝口知事

 そこは、だからエネルギー政策全般と関連します。それはやはり国が電力の供給ということを考えなきゃいかんわけでしょう。今の首都圏における節電の計画自体が大きな影響を及ぼし得るわけです。そして東西にサイクルが違いますけれども、近畿圏では40数%も原子力に発電を依存しているわけでしょう。だから、それが国全体としてエネルギー政策をどう考えるかということなくして、一部だけでこうだというわけにはいかないわけでしょう。

 

○新日本海新聞

 そうなると、1号機はもちろん、3号機についても相当期間動かないということも想定されると思うんですが。

 

○溝口知事

 そこら辺はどういうことになるのか、まだわかりませんが、いずれにしても、今回の事態を踏まえて、国自身がどういう対応をやらなきゃいかんと、こういう問題があったと、だからこうするんだということがちゃんと示されていかないと判断、誰もできないでしょう。

 

○新日本海新聞

 もっと絞って言いますと、1号機については定期点検の方もほぼ目途がついてきたんだと思うんですが、それについても相当期間延びる可能性も考えていらっしゃるということなんでしょうか。

 

○溝口知事

 そこら辺はわかりませんけれども、可能性はあるでしょうね。わかりません。

 

○新日本海新聞

 知事として、そのゴーサインが出せるかどうかということでは。

 

○溝口知事

 それはやはり、国が今回の福島原発における経験を踏まえて、これでいいんだとか、この部分はこういうふうに直さなきゃいかんという、ちゃんと示していただかないと、だれも判断できないでしょう。

 例えば島根の1号機と福島原発の1号機はほとんど似たような構造になっているし、できた期間も3年ぐらいの違いですよね。だから福島原発の1号機自体について固有の問題があるのかどうかということもよく検討しなきゃいけません。

 

 それから、やっぱり大きな問題は、原発の所在地によって、細かい話は別として、どのような地震が起こるかという可能性の問題もありますね。今回起こったのは大陸のプレートが沈み込む部分で大きな調整が起こったわけですよね。それによってエネルギーが解放されて大きな地震になったわけですけれども、島根の場合もそういう想定が必要なのかという、これは根本的な議論になりますが、あり得るわけですね。島根の場合は活断層が地震の大きな要素としていろんなリスクの計算をしているわけです。そういうものはまた、原子力そのものというよりも、地震などについてどういう評価をするかということとも関連してまいります。だから、そういう問題をどう考えるかということもないといけません。それから津波の高さも、やはり陸地の形状、あるいは地震の起き方などにも大きな影響を受けます。

 

○山陰中央新報

 それで、今そこまで伺って、2号機が今動いているということについて、知事は要するにどういう、これから姿勢で臨まれるのか、要するに今のお話を聞いてると、全部国の知見がそろってないのに2号機が動いてるということが不自然になってしまうんじゃないかと思うんですけど、このあたり、知事は......。

 

○溝口知事

 そこは、やはり国のエネルギー政策をどうするかということにかかっていると思います。だから一定期間、今、この3割、4割依存している原子力発電を一挙に止めるというわけには現実的にできないという問題があるわけでしょう。だから、それは島根原発だけの問題というよりも、国全体がエネルギー政策の中で、今ある原子力発電をどう考えるかという問題と関連していますから、そこはやはり国がしっかり説明していかないといかんということになります。

 

○山陰中央新報

 そうしますと、要は2号機が今動いている状況というのは、国の新しい知見による見直しが行われていない状態で動いているということについて、要するに島根県としては今はやむを得ないということなんですか。

 

○溝口知事

 今の段階では、国の判断をやはり待つほかないですね、そこの部分は。それは個別の対応というよりも、日本全体の話でしょう。そういうものに責任を持つのが国なわけですよ。

 

○山陰中央新報

 そこは、要は立地県としてどういうふうに考えられるかということだと思うんですけど。

 

○溝口知事

 それは、そういうもの全体を国策として考えるというのが国の役割ですからね、そこはそういう国の判断をきちっと示してもらいたいということです。

 

○山陰中央新報

 知事としては中電に、2号機は現状、対策がとられているということを確認するまでは止めるべきだというふうにおっしゃる考えというのはない。あるいはそれを国に対して、県としてはこういう考えだというふうに伝える考えはないと。

 

○溝口知事

 そういう可能性も議論なんかはしていますけれども、それはやっぱり国の方もエネルギー政策全般の中で考えなきゃいかんだろうということだと思います。

 

○山陰中央新報

 可能性を議論というのは、県の中でという意味ですか。

 

○溝口知事

 いやいや、私の知人なんかもいますから、政府の中でも言っていますが、やはり原子力発電に3割、首都圏などでは4割依存しているわけでしょう。じゃあ、そこをやっぱりどうするかということがなきゃいかんわけであって、それはそういう問題だと理解をするほかないですね。

 

○日本海テレビ

 知事、公の場での記者会見なので、今おっしゃることが社会へ伝わることはもちろんそうなんですが、国へある面、物申すという意味では、例えば経済産業省だとか国に対しておっしゃられるようなことの内容を直接申し入れるとか、そんなアクションという面では何か御計画はありますか。

 

○溝口知事

 ええ、いずれ再選をされたということで、東京の方にも出かけていきますから、そういう機会にお話をするといったようなことは行うつもりですけれども。

 

○日本海テレビ

 そこはやはり、いわゆる経済産業省という格好になりますわね。

 

○溝口知事

 そうですね。

 

○日本海テレビ

 ですね。基本的に......。

 

○溝口知事

 ただ、政府の方は今そこまで、どこまで具体的なことが言える状況にあるかどうかというのはわかりませんが、我々の考え方は伝えていきます。

 

○日本海テレビ

 いわゆる何か文書か何か、例えばいろんな原発があって、今、佐賀の古川知事とか、いろんな動きが反応ありますけれども、島根県単独でなさるのか、立地県が共同されるのか。

 

○溝口知事

 ええ、それとやはり原発が存在している県がありますから、そういうところともよく相談をしながらやっていくということです。

 

○日本海テレビ

 近く、原発が立地している県とも相談して、そのままなるのかどうかもあるんですが、申し入れをしたいというお考えはあるということですよね。

 

○溝口知事

 あるということですね。それから原発が存在する県は他にも幾つもありますから、そういうところともよく相談をしていく必要があると考えています。

 

○日本海テレビ

 もう一度確認ですけども、基本的にはやっぱり電力というものがあって社会というか、世の中が循環しているわけですから、危険性はもちろん、危険なのは危険なんだけども、基本的にはエネルギー政策全般として、そもそもどうなのかということも併せ、もちろんそこの中に地元それぞれ原発の、今のままでいいのかということを考えてくれというか、早く整理してくれということを申し入れるということでよろしいですよね。

 

○溝口知事

 そうです。

 

○新日本海新聞

 ちょっと物わかりが悪くて申しわけないんですけど、もう一遍整理したいんですが、そうしますと、動いている2号機については、これはいわば動きながら対策を考えると。現在停止中であったり工事中である1号機、3号機などについては、国の新しい知見が出てから知事としても運転ができるかどうかという判断を下されると、そういうことでよろしいんでしょうか。

 

○溝口知事

 そうですね。

 

○山陰中央新報

 それに関連で、仮にそれ、中電が県に求めてきた場合でも、そういう国の基準をクリアされない限りは、それには応じないということでよろしいですか。

 

○溝口知事

 というか、中電が求めるときには国の基準をベースにしますから、そこはパラレルでしょう。

 

○山陰中央新報

 時間をとっとるんですけど、安全協定のことについてもう一回確認ですけれど、要は20キロ、30キロという今回、範囲が広がったということを踏まえて、今は松江市と島根県しか結んでないですけれど、知事の考えとして、20キロ、30キロという距離について、さっき3つ安全協定の内容を言われましたけど、そこの30キロ圏内と、この3つというものが結ばれるというふうなことがいいと考えておられるのか、それともそこには段階的に距離と内容に応じて分けて考えるという必要があるのか。

 

○溝口知事

 それはあるでしょう。今の10キロというのも、影響が及ぶと、こういうことでありますから、安全協定を結び、それで事前の確認をするという仕組みになっているわけで、それに外れたところはそういうことになってないわけです。だから、広がっていったときも同じようなことが起こるでしょう。例えば出雲市の場合は、連絡を受けるという第1の要素で協定を結んでいるわけですよね。立入検査は入っていませんけれども、当然島根県だとかがやれるわけですから、そこで代行しても実際上の問題は余り起きないですね。それから事前了解ということになると、それはやはり非常に、すぐ影響を受けやすいところとそうでないところと若干の違いは今でも出ているわけですよ。だから、それをどうするかというのは、やはり国の基準と申しますか、そういうことも影響するでしょう。

 

○時事通信

 仮の話で申しわけないですが、今、地震が起きて島根原発2号機が福島原発みたいになってしまった場合、どうされるんですか、今、防災計画等も策定されてない中で、10キロ圏内にここは入ってしまって、例えばオフサイトセンターをどこに設置するというのぐらいは決まっていたりするんですか。

 

○溝口知事

 そういう準備をしていくということです。

 

○時事通信

 今決まって......。

 

○溝口知事

 今直ちにというのは、それはあれでしょう。まだまだ準備をやっていくということでありまして、それが必要かどうかというのは、やはり必要性だとかいう、そういう議論をよくしてからということになりますね。

 

○時事通信

 地震は、ただ、新しい知見が出るのを待ってくれないと思うので、知事としてすぐにつくらないといけないという思いはないですかね。

 

○溝口知事

 それはそういうことも考えられるでしょうけども、それはいろんな計画をよく立ててからでないとできません。

 それから、いずれにしても、まず原子力発電、島根原発が安全に運転できるようないろいろな対応をするということが先でしょう。それを今始めておりますけれども。

 

○時事通信

 現状では、ああいう津波が来ても、中電はそういう事態に陥らないと思ってらっしゃるということなんでしょうか。すぐに今の暫定的かわかんないですけど、今の対応策、今、知事としては、現状では十分だと思っていらっしゃるということなんですか。

中電がやられている高台に電源を設置するとか、ドアの水圧対策とか、水源地対策とか、そういうのは、現状では知事としては十分と思っていらっしゃるんでしょうか。

 

○溝口知事

 それはやはり専門家の意見もさらによくお聞きしないといけません。できることからやらないといけないでしょう。

 

○山陰中央新報

 だけど、何回もお伺いするんですが、その状態で2号機が動いているという状態は、そこは容認できるわけですか。それは要は電力が足りない、止めると電力が足りないから、安全対策は完全ではないけど、そこはしようがないという整理になるんですか。

 

○溝口知事

 そこはやはりあれでしょう、国のやはりエネルギー政策そのものについてどうするかということがなければ難しいでしょう。

 

○山陰中央新報

 県として止めなさいと言うことはできないということですか。

 

○溝口知事

 それは、やはり国の政策をどうするかということと無関係にはできないでしょう。というのは、島根県だけに原子力発電があるわけじゃないですから、状況は各地も同じなわけですから。そうすると、そういう方針で今動いている原発を止めるということになると、どういう影響が出てくるかということも考えなければいけませんね。

 

○山陰中央新報

 いや、その前にやっぱり県民の安全ということじゃないですかね。

 

○溝口知事

 それはやはり安全をどう確保するというのは、どこまで確率を見るかということとも関連しているわけですよ。今回起こっているのは、予想しないようなことが起こったと、そういう確率が少ないということでやったんだけど問題が起こったわけですよ。じゃあ全部をカバーすることができるかというと、それは常にそういう限界はあるわけですね。

 

○山陰中央新報

 いや、そこはだから理解をするけれども、そこは安全対策をやるまでは動かしてはいけないという見解を知事がお持ちなのかどうかということですよ。

 

○溝口知事

 それは、可能ならそうした方がいいと思いますけれども、しかし、そうなかなかできない事情が日本全体としてはあるでしょうと、こういうことを言っているわけですよ。それはやはり責任ある国が判断するほかないわけです。

 

○山陰中央新報

 その国に対して県としてはどういうことをしてほしいと伝えるんですか。

 

○溝口知事

 ちゃんと、だからそこら辺をどうするのか、安全対策をちゃんとやってくださいと。

 

○新日本海新聞

 関係自治体との会議についてもう一度伺いたいんですけれども、これは、ですから広域に当たってそういう防災計画というか、避難経路の見直しだとか避難場所など、まずはそういったところを整理するための会議ということで、対中電ということで防災計画を広げるとかいうこととは、また別個の取り組みとして考える。

 

○溝口知事

 別の話ですね。中電の話は原発の安全性をどうするかという話ですね。それは県としていろんな注文をつけてきてるということです。そっちの方が当面、実質的に大事な話ですね、起きないようにするということが。起きてからどう対応するというよりも、起きないように手当てできるものをどんどんやってくれと。それをずうっとやってきているということです。

 

○新日本海新聞

 まず、ですから現実的に必要な項目をピックアップして、それで、じゃあ周辺の市町村などでどう連携できるかというようなことを話し合う場というとらえ方なんでしょうか。

 

○溝口知事

 防災計画の方ですか。


○新日本海新聞

 この間開かれた会議は。

 

○溝口知事

 そういうことですね。それは防災計画の関連です。

 

○中国新聞

 それは1カ月に1回とか、そういう定期的に......。

 

○溝口知事

 それは決めていませんが、必要に応じて随時やります。

 

○中国新聞

 今後もやるということですね。

 

○溝口知事

 はい。

 

○山陰中央新報

 その中で出てきた安全協定については、周辺の市町村も求めてますけれども、それについては今後、県として中電に対して具体的にどのような......。

 

○溝口知事

 各市町もそういうものをできるだけ結びたいということがありますから、中電に対しましてもよく相談をしてもらうように話なんかはするでしょうが、そこはやはり基本的に出雲市の例のように、出雲市と中電の関係であり、県もできる限り配慮してほしいというようなことは言いますけれども、そういう問題です。

 

○中国新聞

 確認ですけども、国に対しては、原発の安全対策とエネルギー政策の抜本的な見直しを近く申し入れると。

 

○溝口知事

 そうですね。近くというか、上京の機会などにですね。

 

○中国新聞

 経済産業省に対してですね。

 

○溝口知事

 はい。

 

○新日本海新聞

 それで、避難場所での連携とか、そういった取り組みについて、既に事務方ではそういう抽出作業とか行っておられるという認識......。

 

○溝口知事

 若干やっているようです。

 

○新日本海新聞

 ということですね。

 

○溝口知事

 相談していると。むしろやり方をどうするかとかですね。

 

○新日本海新聞

 それは地元の松江市ですとか、周辺の市町も含めて、そういった作業に取り組んでおられると。

 

○溝口知事

 やっていくということです。

 

○山陰中央新報

 じゃあ、あと1点。県の防災計画の見直しについては、時期はいつかは別にして、その作業に、それに向けた作業というのは、もう着手されているんですか。

 

○溝口知事

 今の準備状況のようなものを含めれば、しているということですね。

 

○山陰中央新報

 それはいつ、知事として原課なりに指示はされたんですか。

 

○溝口知事

 いや、それは今やっている防災計画というのも、今の地震、原発に関連するものだけですから、防災計画の中でやるのも。

 

○山陰中央新報

 ええ、それは作業に入られているという......。

 

○溝口知事

 それは今の防災会議といいますか、連絡会議をやっていること自体がそうです。

 


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