知事定例記者会見(2月3日)
質問事項
3.島根原発関連について
○山陰中央新報
島根原発のことについてなんですが先日、定期検査中に、定期検査に今入っていますけども、冷温停止に向けた作動中にちょっと中性子を測定する計測装置がうまく動かなくなったということがあったようですが、特にそんな、物すごい大きいトラブルというわけじゃないんですけども、やっぱりそれがこういう、全国的に福島原発の事故があった後でこういう、また、で、知事も安全に定期検査に入ってほしいって呼びかけている中でこういった小さい、小さいかどうかはあれなんですけども、こういったトラブルが起きてしまったことについて、どういうふうにお考えをお持ちかというのをお聞きしたいんですが。
○溝口知事
それは、原発に限らず、いろんなことは起こりますからね。そういうものにきちっと安全に対応できるということは大事だと思います。そういう面で、経験をいろいろ積んでいく、あるいはそういうものを踏まえていろんな技術の改良を行っていく、あるいは運営の仕方の改善を行っていく、そういうことをきちっとやってもらいたいというふうに思います。
○毎日新聞
それに関連してなんですけども、きのうは3号機が制御棒の駆動機構の原因が発表されましたけれども、そういった、制御棒といったらすごく大切な部品なんだと思うんですが、それがそういったトラブルがあったということについて、改めてどう思われるかというのをお尋ねしたいんですが。
○溝口知事
そうですね、制御棒は非常に大事な装置ですから、そういうものが安全であるというのは最も重要なことの一つですから、そういう面で遺漏がないように、問題が起きないような体制をきちっととってもらいたいと。そのためにいろんな原因の分析でありますとか改善の努力を積んでこられたわけですが、その改善の結果が終了したということでありますが、そこを国におかれてもきちっとチェックをしてもらいたいというふうに思います。
○毎日新聞
きのうの中電さんの発表では、説明されている内容が、技術の素人から見ても極めて初歩的なものではないかなと。部品がきれいに仕上がっていなかったとか、試験のときに水をちょっと少な目にしたとか、極めて素人が聞いてもちょっと単純なもの、初歩的なものではないかなと思うんですけれども、知事から、知事がその部分をお聞きになって、率直にどういうふうにお感じになったかお伺いしたいんですが。
○溝口知事
そうですね、微細なごみが影響したということでありますから、そういうことがあってはならんわけでありまして、そういうことがないような努力を積み重ねなきゃいかんのじゃないかというふうに思います。
○毎日新聞
3号機、これまだ現在建設中ですけれども、今後、中国電力さんは当然、営業運転開始を目指されていると思いますけれども、それに当たって中国電力さんなり原発をつくっていらっしゃるメーカーに対する技術的な不安感であるとか、そういうものというのはお持ちになったりということはありませんか。
○溝口知事
技術は、何といいますか、表現は難しいですけれども、そういう故障が起きないようにしなきゃいかんわけでありまして、そういうことのないようにいろんな対策をやっぱりしっかりとってもらうということじゃないかと思います。それから国において専門家がしっかりそこをチェックをしてもらうということじゃないかと思います。
○毎日新聞
国のチェックの部分でいいますと、間もなく原子力安全庁がということで、国の方も動き始めていますけれども、改めて新しくできる、今後できる組織に対する注文はありませんか。
○溝口知事
原子力規制庁ということになるわけですね。それから今までは保安院という一次的にチェックする機関があって、そして安全委員会という委員会がダブルチェックをするというような仕組みであったわけでありますが、今度は規制庁でいろんなチェックをすると。
それから安全委員会にかわるものが、名称はちょっと正確には記憶していませんが、そういうチェックする機関として、そういう専門家の委員会ができますね。そういう仕組みになるわけでありますが、いずれにしても、一次的なチェックをきちっとやると。それで、そのためのやっぱり人材をしっかり養成をするということが大事であると思います。
原発の問題、3月11日の後、いろんな調査、いろんな意見なんかも出ていますけども、実際のオペレーションをやる人、それから全体がわかる人、それはやはり電力会社にたくさんおられて、その周辺には必ずしも十分でないので、電力会社のそういう人たちをチェックするためにも活用するといったことがあって、そこら辺がチェックの体制として十分であったのかどうかというような指摘をされる方もおられるわけでありますけども、そういう問題にきちっと新しい機関において整備をされるということは大変大事なことではないかというふうに思います。
そういう意味では、規制庁をつくるに当たって、独立したエネルギー政策を進めるところからそうでない環境省の方の外局として移したというのも、そういうことから行われたのだろうと思いますから、電力をつくるところ、あるいはエネルギー政策を統括する官庁、それとは別に原発の安全管理だけを担う役所ができる、そういうことによってチェックの体制が強化されるということを強く希望しておりますし、我々も要請をしているということであります。
○毎日新聞
チェック体制の強化については、人材の部分、先ほどおっしゃいましたけれども、原子力の専門家を養成する機関そのものが原子力を推進している側に重心を置いているんじゃないか、軸足が原子力推進の方にあるので、そこから原子力の安全というものを見るというのが難しいんではないか、国民にとってはその辺が一番不安だと思うんですけれども、その辺については、原発が立地する県の知事として、何か不安に思われること、いわゆるよく言われる原子力ムラが結局原子力について牛耳っているんじゃないかと言われる、国民であるとか県民なんかがそれなりに思っていると思うんですが、この辺について、知事として不安はありませんか。
○溝口知事
原子力規制庁はそういう問題に対処するためにつくられるわけですから、新しくできる原子力規制庁において、そういうことを含めてしっかり対応するということは大事なことであると。我々はそういうことを国に対して知事会、あるいは立地14道県でこれまでもいろいろ言っているところであります。
○山陰中央新報
島根原発の3号機について、ちょっと話戻るんですが、制御棒の異常についてある程度原因が特定されまして、言葉は不適切かもしれませんが、ある意味、これで完成に向けて一つまた弾みがつくともとられかねんというところでして......。
異常がわかったということで、中電としてはやはり完成に向けてさらにペースを上げるというふうな格好になろうか思うんですが、中電としてはここまで巨額の建設費を投じてきたと、3号機、何とか稼働したいというふうなお気持ちを持っていらっしゃるんですけれども、改めて3号機、ただ、これがまた既成事実化するというか、もう建設、運転再開に向けて、ある意味もう、動くのが当然だというふうな状況にちょっととられかねない状況でして、知事として改めて3号機を。
○溝口知
事そういうことは、まだないんじゃないですか。
○山陰中央新報
ないですか。動かすに当たっては、当然1、2と、再稼働と同じく諸条件を勘案して了解を出すかどうかは決めるというふうに......。
○溝口知事
というか、国の方がまず再稼働の、既存の動いているやつの再稼働をどうするかという問題があるわけですね。新規のやつは、まだどうするかというのは国の考え方が示されていませんからね。だからまずそこを国がどうするかということがあると思いますね。
それから、その前の段階では、もちろん安全かどうかというチェックは当然やらなきゃいけませんが、稼働するかどうかというのは、まだまだいろんなプロセスを経ないと、そういう問題は俎上(そじょう)してこないんじゃないですか。
○山陰中央新報
島根県といたしましても3号機、稼働をどうするかというのは、当然国のプロセス等を見た上で、県としてもまたさらに判断をするということですね。
○溝口知事
当然そういうことですね。
○中国新聞
1、2号機、3号機ともストレステストというのを提出して、それを国が判断、で、政府の最終判断という後に地元の判断するタイミングが来るわけですけども、さっき言われた新規原発の稼働についての政府の考えということでいうと、1、2号機と3号機というのは、建設中か、もう既に完成してるかという違いがあるわけで、その辺の政府がやっぱり新規をどうするのかという考えを示すことというのが必要というか、それは1、2号機と違うとこという御認識でよろしいんですかね。
○溝口知事
そうですね、違いますね。
○中国新聞
だから、それは新規をどうするかという判断というのは、それなりにやっぱり重みがあるというか......。
○溝口知事
重みがあるというか、違いがあるということですね。
○中国新聞
それを受けないと、地元としても判断できないということですね。
○溝口知事
それはやっぱりそうですね。基本的に地元は、政府がエネルギー政策、あるいは原発についての安全性だとか、いろんなことについて責任を持っておられるわけですね。その上でこういう方針でいくというのがあって、それについて地元がいろんな影響を受けるわけですから、地元として意見、地元の意見を政府が聞かれると、こういう仕組みなんですね。だから、そういう意味で、まだ新設のものについてどうするかということについては、政府はまだ何ら言及がないわけですし、検討もされてないわけですね。
○時事通信
済みません、先週も伺ったんですが、枝野大臣が夏に原発がゼロになっても日本の産業に大きな影響を与えることなく乗り切る可能性は十分あるという発言をされて、先週、詳細を......。
○溝口知事
知らないと。
○時事通信
知らないとおっしゃって、今......。
○溝口知事
まだ詳細は知りませんけども。
○時事通信
そうですか。そういう発言をされて。
○溝口知事
それは多分、去年の11月に政府は、その当時でいえば来年の夏の見通しを出されたわけですね。それの見通しですと、去年の時点でいえば、昨年ですね、今の時点からいえば一昨年の夏のような猛暑があって、全部原発がとまったとしたら全国で10%程度の電力がピーク時に不足する可能性があるというのが政府の見通しでありますね。
ただ、それは夏の猛暑がどういうことになるかという不確定な要因がありますのと、その後も各電力会社が原発の再稼働とは別に、既存の火力発電の見直しだとか整備なんかも進めておりますから、そういう状況も全体をもう一回よく見ないと、今年の夏、どういう電力需給になるかということはわからないんじゃないですか。
それから、その当時の昨年並みの夏ですと余り電力需給に、全国的にも余り問題がないということがありますから、そういう確定しない要素がたくさんあるということじゃないですか。
○時事通信
それは国の、知事がおっしゃっているエネルギー政策の一つの検討だと思うんですけれども、この発言というのは、知事の従来おっしゃっている再稼働を判断するものにかかってくるような気がするんですが。
○溝口知事
ピーク時電力というのはいろんな要素でならすことも可能なわけですよね。例えば電力会社の普通の電力の点検時期が重ならないようにするとか、民間においてもいろんな工夫、努力をすることによって可能ですし、それから天候がどうなるかという大きな不確定な要因もありますから、一義的にこうだということが決めにくいんだと思いますよ。まだ、だからそれをこれからことしの夏どうなるかということについて、政府内で検討が進むんじゃないかと思いますね。それをやはり当面はよく見ないといけないと思いますね。
○時事通信
ゼロでも大丈夫という試算が出た場合は、どう判断されていかれますか。
○溝口知事
いや、それはどういう状況かよくわかりません。
○時事通信
中国電力管内で余剰電力があるとしたら、リスクだけを引き受けるようになってしまいますが。
○溝口知事
それはそういうことがあるでしょうが、いろんな仮定がありますから、それに対して今お答えするには......。
○時事通信
もう融通問題でそういうことになると思うんですけれども、その融通もしなくていいかもしれないという状況になった場合ですね。
○溝口知事
そういう状況になれば、そういうことでしょうね。
○時事通信
しないということですか、再稼働......。
○溝口知事
いやいや、だから余りそういう、それはある意味でトートロジー(=同意義反復)でしょう、問題がなければ問題がないということじゃないですか。
○時事通信
問題がなければ再稼働する必要......。
○溝口知事
問題がないということだけでしょう。
○山陰中央テレビ
きょうの山陰中央新報さんの1面に、原発再稼働について周辺自治体と県の方でいろいろ、各自治体さんも意見が違うようですけども、その点についてはどう考えられておられますか。
○溝口知事
あんまり違いがあると私は感じませんけどもね。やはり周辺自治体の意見もよく聞かなければいけないわけですから、最終的に決めるのは、県の立場として決めるのは、いろんな人の意見を聞いた上で、総合的に判断して決めるということを申し上げているだけですね。
○山陰中央テレビ
松江市さんは、その立地自治体の判断を......。
○溝口知事
松江市さんは、それは松江市の中の判断でしょうね。県はやっぱり県全体もあるでしょうし、周辺市もあるでしょうし、鳥取県の意見もよく聞いてということですよ。
ただ、決めますのは、何というか、何か投票で決めるというようなことじゃなくて、県自身が総合的に判断して決めなきゃいかんということであります。そう何か大きな違いがあるとは思いませんね、私もそういう周辺市の意見もよく尊重しなきゃいかんと思います。しかし、尊重しても意見が違う場合には、最終的に県が総合的に判断せざるを得ないでしょうということを申し上げているんですね。
○日本海テレビ
3号機についてなんですが、先ほど国の、確かに国策ですから、もちろん電力会社とのいろんな相まっての今の電力事情だと思うんですけれども、1号機、2号機というのは既存のもので走っています。3号機というのは、新しいものがもうほぼでき上がってて、いろいろトラブルを解消されて、じゃあこういう混沌とした状況で、じゃあいつなのかということが今非常に注目されているんですが、やはり3・11が起きてしまったということで、知事の今のお話の解釈の確認なんですが、やはり福島原発がああいうことになったということにおいての3号機というとらえ方というのは、より国にしっかり新規のものを今後つくることもあわせて、動きは本当に難しいとは思うんですけども、とりあえずもう目の前のことになっているわけですから、しっかりと検討というのは、やっぱり知事御自身、国がですね、その辺の濃淡をもっと確認したいなと思って。
○溝口知事
それはよく判断しなきゃいけません。
○日本海テレビ
その辺、ちょっと御感想も改めてお願いします。
○溝口知事
国が安全性はもちろん、よくしっかりチェックをし、電力需給等との関連もいろいろあるでしょうから、国全体として新規の原発をどういうふうに取り扱っていくのか、考え方がやっぱり示されないといかんなと。
○山陰中央新報
ちょっといいですか。先ほどと関連した原発の1、2号機の再稼働判断に当たりまして、影響の及び得る地域の意向を尊重するというのはかねてから知事おっしゃっているんですが、当然その影響が及び得る地域、周辺市というのは当然含まれるんでしょうが、さらにそれ以遠の、例えば石見部とか、さらに言うと山陽側の自治体というのは、意向を尊重する対象に入ってくるんでしょうか。
○溝口知事
いや、いろいろ意見が、それは言ってこられる方もおられるし、いろんな形で出てくるでしょう。そういうものはよく我々も聞いたり、あるいは新聞で見たり、いろんなことをして、いずれにしても総合的に判断をしますと、こういうことです。
○山陰中央新報
放射線の拡散というところでは遠くなると影響は薄まりますが、いわゆる住民避難とかということを考えると、広い意味では影響が及ぶというところでは、山陽側なんかも当然影響は影響でございまして......。
○溝口知事
それは影響によってやっぱり、こんな細かくじゃないですけども、やっぱり近いところの意見とか遠いところの意見というのは、それは違いがありますわね。
○山陰中央新報
そういうところを含めて聞いて、総合的に。
○溝口知事
それは一般的に言っているわけですよ。
○毎日新聞
総合的な判断の部分なんですけども、周辺の意見を聞くということですけども、判断する段階、動かすという段階では周辺の意見を聞いて総合的に判断するとして、一たび大きな事故が起こった場合に、そのときに自分で判断をする、動かすよという判断を示せなかった、そういう権利を行使できなかった周辺の自治体側に身を置いて考えると、島根県が判断したから原発が動いて大きな事故が起こって、自分たちはこんな被害をこうむったじゃないかというような形で責められることだってあるんじゃないですか。
○溝口知事
それはそういう特別ないろんな前提を置けば、いろんなシチュエーションがありますから、やっぱり総合的にもろもろ考えて決めていきましょうと、こう言っていますが、もちろんいろんな意見はいろんな場で聞くわけですね。いろんなチャネルがあるわけです。直接言ってこられる方もおられるし、あるいは要請等で来られる方もおられますし、あるいはテレビや新聞で言われる方もおられますし、そういうものをやっぱりよく我々がフォローしていくということですね。
○毎日新聞
最終的な総合的に判断をされる場合は、そういうような、万が一何かあったときに起きるであろう島根県に対する非難も含む、そこも甘受するという意味合いでの総合的な判断をされるということですか。
○溝口知事
いや、もろもろ考えてということですね。特定は、当然あらゆることを考えてということでしょう。
○山陰中央新報
30キロ圏の線は引くというお考えではないでしょうか、意見を聞く相手が。
○溝口知事
いや、それは総合的に考えるわけで、数量的にこうだというようなことは、それはしにくいから、そういう言い方をさせていただいているということですね。そういうメカニズムがあるわけじゃないでしょう。ただ、県の場合は県議会というのがありますから、県議会には各地を代表されている方も当然おられるわけでしょう。県議会にも検討、例えば私としては、こういう方針で臨みたいという説明を当然するわけですから。だからいろんなチャネルなりいろんな場があるということでしょう。
○山陰中央新報
例えば山陽3県等も、そのチャネル等を通じて意見を問うことは......。
○溝口知事
それは新聞で言われる場合もあるでしょうし、会ったときに言われることもあるでしょうし、いろんなことがあるわけですよ。一つではないです。
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