5月(第1回)定例記者会見(5月11日)
質問事項
4.神戸川工業用水道事業について
○山陰中央新報
先日、神戸川の工業用水事業のことなんですけれども、これは志津見ダムが完成した後、工業用水を取得して出雲市に供給しようという計画があったんだけれども、結局調べてみたら出雲市内で使うところがほとんどないと。結果的に、要するに当時の需要予測がどうだったのかという問題はあると思うんですけども、私どもそういうふうに、当時は予測があったんで事業をやったけれども、結果として経済的に状況も変化したんで55億円、県民が負担してくださいと。県民負担ということになるかどうかはまだわからないということなんですけど、結局公共事業をこうやって進めて、長い時間かけてやっていくと、後で需要予測が間違っておりましたで済むんであれば、結局公共事業や行政に対する信頼というのもどんどん揺らいでいくような気もしているんですけれども、今回も神戸川工業用水事業の今の事態について、知事がどう受けとめておられるかということを、まずちょっとお伺いしたいんですけれども。
○溝口知事
それは予測ですから、上に振れるときもあるし逆のときもあるということですね。逆のときだと、本当は要るんだったけども足らないという事態だってあるわけですね。それから景気の先行きの見通しがいい時代の予測とはまた違ってくることは、それは経済、長い年月の間に変わりますからね、そういうリスクが常にあるということは考えておかなければならないでしょうが、できるだけ正確な予測をするように努めなきゃいけませんね。それは我々の任務ですね。
それで、今回の場合を調べてみますと、最初は3万トンぐらいの工業用水が要るという見通しがあったようですね。これは昭和62年ですね、1987年になりますか。今から23年前ですね。そのころは3万トンぐらい工業用水が出雲地域で要るだろうという見通しだったわけです。1987年というと、まだバブルというか、日本経済が非常にいいときですね。90年代になってバブルになり、バブルが破裂して、ずうっと経済が低迷してきたわけですね。
それは地方にも影響が及ぶわけです。それで、平成13年ですから、これは2001年になりますか、2001年に3万トンには到底行きそうもないということで1万トンに変えていますね。それで、その段階まではまだ志津見ダムというのは建設されていませんから、コストは別に、3万トンで予測したからダムが大きくなったということじゃないんです。
それからいろいろ聞いてみますと、ダム自身は水害を防ぐためとか、それが主目的でありますけれども、ほかに農業用水を供給するとか工業用水を供給するということがあるわけですよ。そういうときに工業用水の場合は、仮にダムがなかった場合に、工業用水だけのダムをつくると幾らぐらいかかるかということを見まして、志津見ダム全体のダムの経費の中で、工業用水として水をこれだけとるから、この分は工業用水の方で負担をしましょうということになるんですね。
だから、ダム自身の規模だとか、そういうものには大きな影響があったんではないだろうというふうに聞いておりますが、しかし、1万トンにしても、ダムがだんだん完成してきますけども、現在の時点では400トンぐらいの工業用水、1万トンと、平成13年ですから2001年に、10年ぐらい前ですね、見ていましたけども、それでもないと、こういうことなんです。そういう意味で、ダムの工事費はそんなに変わらないと思いますけども、負担の仕方が変わるわけですね。工業用水の部分は、その工業用水の最初の負担分は多分そんなに大きくはなかったですね。約40億ぐらいですか。それで、40億ぐらいですが、工業用水を供給していませんから、その分は建設利息が変わる、これもコストですね。
他方で、このダムの負担だけじゃなくて、工業用水として使うときには水をとるための設備が要るんですね。それはもうやっぱりやめなければならないということで、わかった時点では、もう工業用水をとるための設備を建設するというのはやめています、その段階でですね。それも工業用水をとるための設備費は相当あっておりますが、そういうものはやってないと。だから、その時点で状況に応じてできる対応はしてきているということじゃないかと思います。いずれにしましても、公共事業をやる際には適切な事業見通しというのが必要になるわけですね。
そこが道路なんかでは逆に通行の見通しが高めになっていると便益が少ないんで道路の建設はやめろということになりますしね、両方の問題があるわけです。したがいまして、行政としては流域の方々、あるいは県全体の経済のことも考えながらも、やはり適切な見通しをやっていくように努力をしなければ、それしか適切な対応というのはありませんね。起こってからは、これは軌道が変えられませんからね。そういうふうに考えていまして、我々はこういう問題について適切な事業の見通しと、それから状況の変化に対応した適切な対応をすると、自戒としなければならないというふうに考えています。
○山陰中央新報
この問題に限らず、要するにこの治水の問題があるので、そこに対して行政が責任を負うというのは、これ民間の事業とは違うんだろうということはおのずからわかるわけですけれども、結局これでやりました、やったけれども結果的に違っていましたという、この責任というのは、要するに発生しないんですかね。
○溝口知事
それは難しいことですね。それはそういう問題がいろんなところで起こりますけどもね、そういう計画をつくった段階から、その後のフォローから、いろんな人が関与していますからね。県としてはそういう事態が今後起きないように、やっぱり最善の努力をしていくということが最も大事なことであり、また、そういう状況について、なぜ起こったかというような、後の参考になるように、よく研究もしなければいけませんね。
○山陰中央新報
結局、これは去年ありました八戸川のダムの話、あれはもう要するに建設仮勘定のままでしたけれども、県の負担そのものは、もう一たん払ってしまっていたので、その処理ということで振りかえで終わったんですけれども、この問題は、まだ県がこれから払うべきものと、それからダムの負担金、管理費の負担金ですね、それがまた新たに発生していくという問題がありまして、要は来年度予算以降、ずうっとまた問われるということになるんだと思うんです。
○溝口知事
結局そういう需要予測をするときに最善の努力をしていたかどうかということがやっぱり一番大事なことでしょうね。そこで考慮すべき要因を考慮してないとか、そういうことになりますと、やはり計画をつくった人自身の問題になりますが、私が見るのに、87年当時は、まだ経済がいいですし、地域振興をやらなければならない、そのためには工業用水が要るということもあり、しかし、それから、87年から2001年ですか、14年たったときは3分の1ぐらいに減るという時代になり、それから、その時点から見ますと、もう相当減ってるわけですね。難しい問題ですね。いずれにしても、最善の努力をしていくというのが我々の務めですね。
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