8月(第1回)定例記者会見(8月6日)
質問事項
3.医師の確保について
○中国新聞
医療体制の維持確保のことについてお尋ねします。
大田市立病院の方でお医者さんの確保について苦労してらっしゃるようなんですが、まずこれをどういうふうに県としてサポートしていくのか、外科医が去られる可能性が強くなっているようなんですが、補充にも苦労してらっしゃるようなんですが、その辺、県としてどういうふうにサポートしていくのかということと、これが1点。
もう一つは、こういった問題はここだけに限ったことではなくて、県下全域でいろいろ苦労してらっしゃるわけですけれども、改めて、これまでもいろんな努力を県はしてらっしゃるんですが、どういうことをしていこうというのか。例えば今度、国から50億円ほどのお金を受け取って、いろんな対策ができるということなんですけれども、その原案も先日示されましたけれども、わかりやすく、県としてはこれに取り組むんだというようなことをお話しいただけたらと思うんですが。
○溝口知事
問題は当面、短期的にしなければいけないものと、中・長期的な展望を持ってやらなければならないものと、そういうものがありますね。
それから、基本はやはり地域・地域で必要な、できるだけ可能な限り必要な医療の体制が確保されていくように最善の努力をすると。これが最も大事なことだと考えております。
そこで、当面の話としては、今、例に出されたような問題が起こるわけですね。結局どういう要因で起こっているかというと、まず大都市でお医者さんが足らない、あるいは大都市に研修医として出ていくということになっていくと、その次のランクといいますか、今度は県単位で足らなくなる。県の中で今度は不便なところ、行きにくいといったようなところ、あるいは患者さんの数が相対的に多くないといったところからお医者さんが少なくなっていきます。
それから、もう一つ少なくなる要因としては、勤務医の方が、病院の役割というのが大きくなりますから、過重な勤務を強いられるといったことで、そこで、例えばある程度御高齢になったりすると開業医に転ぜられるといったようなことで、いろんな施設はあるんだけども、機械はあるんだけれども、あるいはベッドはあるんだけれども、医療の体制が大きな病院で、地域の拠点となる病院で足らなくなって、そこで医療が確保できないと、そういうことがありますね。
そうすると、そういう問題ができると、それは中・長期的な対応とは別に、お医者さんを確保するということで一生懸命努力をしなければなりません。これは赤ひげドクターのバンクとかでいろんなネットワークをうちの医療対策課もやっておるわけですけども、いろいろ問題は、お金だけではなかなか、あるいは処遇だけでは人の確保ができないという実態がありますよね。若干はできるようなこともありますけども、非常に難しいといったことがあります。
できるだけ短期で確保する努力をしますが、現実に難しいということがありますから、そういったときに県内でもどういう調整ができるのかということも考えなきゃいかん。そんなようなことですね。
それから、中期的には、これまでのいろんな努力が行われてきて、それが多分大きく役に立つだろうと思います。それは何かというと、奨学金を中心にして、島根で勤務をする島大の医学部卒業のお医者さんたちが増えてまいりますから、そうなると、そういうものをてこにして、県内でお医者さんを確保していくということは、そう遠からずといいますか、一、二年のことじゃないんですが、もうちょっとたてばかなり可能になります。
結局大きなところでは、大学がまだやっぱり医局の影響力というのが残ってて、医局のある病院で足らなくなると、どこかに派遣している人を引き揚げるということが起こるわけですね。島根の場合は、そういうお医者さんのプールがやっぱり少ないわけですよ、相対的に、歴史も短いから。しかし、今後を考えると、奨学金が充実してまいりまして、相当数のお医者さんが新規に島根で勤めるというようなことができるでしょう。
そうすると、今の短期の問題、中・長期にある程度問題が処理をされてくる間の過渡期をどうするかという問題がありますね。そこにつきましては、いろんな工夫をしなければなりません。
例えば最近の例ですと、隠岐で精神科のお医者さんが足らないといったときには、県立病院のお医者さんを、割愛をさせてもらって勤務をして、隠岐の精神医療体制を維持したということがあったり、あるいは今度はお産のような場合には、難しいお産でなければ助産師さんを中心とした体制で隠岐でも出産ができるようにする。しかし、難しい出産になるような場合には松江の方に来て出産をする、御不自由をかけるようなことになりますけども、そういうような調整もしなければなりません。
だから、短期的にはお医者さんの確保と、そういった調整をどう行っていくかということ。それから長期的には奨学金をもらったお医者さんが増えますから、それをどういうふうに県内で勤務をしてもらうかということです。
それからもう一つ、さらに長期的なことですと、やっぱり島根大学の医学部にいい若い研修医の方が残るといったことが大事なわけですね。やはり医療の整備が行われて、大都市に出なくても、この島根大学の医学部で研修をすることができるとか、そういうことがあります。そのために島根大学も努力をされると思いますけども、県なども可能な支援、協力もする必要があるというふうに考えています。そのような要素を今度の地域医療の計画の中に盛り込むように、今、努力をしているということであります。
それから、これは県を中心にした対策ですけども、やはり国の制度、政策というのが大きな影響を及ぼしているわけですね。非常にお医者さんが専門医化していくけれども、地域医療では総合医の方が必要なんです。そういう人をどういうふうにして育てるかとか、あるいは総合医の人が地域で勤務をしたりするときに、処遇のようなことで優遇をするとかいったようなことが国としてできないかとか、それからいろんな機械設備も充実をしてまいりますから、そういうものを地方でも活用できるようにするとか、そんなことも、そういう面におきまして国も地方部に対して支援を強化するとか、そういうことを国に求めていく。いずれにしましても、総合的に対応しなければいけない最も緊要な政策課題だと考えております。
○中国新聞
県内で働くお医者さんが具体的に実際に増えてくるのは、何年後ぐらいというふうに見てらっしゃるんですか。
○溝口知事
正確な数字については、後で、担当課から連絡(※)させますが、2、3年というタームじゃないですね。もうちょっとかかったと思います。
(※)5年後の平成26年には、これまで奨学金の貸付けを行ってきた奨学生のうち、80人が医師になる。(島根県策定の「地域医療再生計画」に記載)
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