5月(第1回)定例記者会見(5月8日)
質問事項
1.新型インフルエンザ対策について
○山陰中央新報
新型インフルについてなんですが、これまでにとられた県の対策、たくさんいろんな形であると思うんですけども、まず何を重点に置かれてやってこられたか。それと、その成果ですね、現時点での評価についてはいかがか。
○溝口知事
一つは、やはり県民の方々に情報を提供すると。正しい情報ですね。それから予防対策としてどういうことをしたらいいのかとか、それからあるいは感染の疑いがありそうだとか、あるいは熱がありそうだとかいったときの相談をどうしたらいいかとか、やはり県民の方々に正しい知識を提供するというのが一つですね。
それから、2番目は実際に国内で感染が起こりまして、地方部を含め、広がるかもしれないというようなことになりますと、診断をしなきゃいかんということになりますから、そのための隔離した発熱外来というのを設けなければなりません。そういう準備をずっとしてきて、今日、新聞発表したと思いますけども、7圏域で、隠岐が2カ所、島前、島後ありますから、8病院・診療所が一応発熱外来ができる体制ができたということです。
それから、病床の確保ですね、現実に発熱したということになりますと、感染したということになりますと、隔離をしてほかの人にうつらないようにしなきゃいかんわけですね。そうすると、そうした特別な病床が必要になるわけですね。病床も最新時点の状況で300床余りは一応確保できている。それから将来増える可能性もあるわけですから、そういう病床を増やす準備作業などにも入っているというようなことですね。それからタミフルなどの備蓄がありますけれども、それも病院とか卸売商の方が抱えているわけですけども、それは医者の診断を通じて発熱した人に供与されていくわけですけども、足らなくなると、そういうものを供給しなきゃいかんわけですね。県の在庫も各保健所等にありますから、そういうものをどうやって流すかとかいうような詰めをしたりしておるということであります。
それから、県民の方々の一つの不安として、マスクなどの流通在庫がちゃんとあるかなども調べたりしております。そんなようなことで、将来のフェーズが上がる段階、感染のおそれが高まる段階に備えての準備が次の作業として進められておるということであります。
マニュアルどおりにいかないところもありますけれども、マニュアルは一つの基本形ですから、それは状況に応じて変更しなきゃいかんところとか、あるいは柔軟に対応しなきゃいかんところがありますが、国内発生がまだない段階ですから、若干の時間的な準備の時間もありますから、不幸中の幸いということですね、日本にはまだ国内感染が起こっていないということは。そんなことで進んできてるというように思っております。
だんだん関係者の知識、経験も蓄積をされてきてますから、そういう意味では大変ですけども、進行しているなというふうに見ています。
○NHK
関連してお尋ねしたいんですが、きょう、舛添厚生労働大臣が、ウイルスへの毒性が弱毒だと言われている、それから国民生活への影響もあるということで、いろいろ対応を慎重にしていくということをおっしゃっているんですが、先ほど知事がマニュアルどおりにいかないこともあるので柔軟に対応する必要があるとおっしゃいましたけど、島根県の行動計画だと、国内発生の時点で集会とか不特定多数の人が集まるような催しの自粛を求める、県内発生になれば、もう中止を要請するということになっているんですが、これは多分最悪の事態の想定で、機械的に適用していくのか、そうじゃなくて、やはりちょっと柔軟に対応されるのか。
○溝口知事
いや、柔軟というか、やっぱり状況をよく把握してということですかね、一般論として言いますと。それからやっぱり国が全体を把握してますから、国の動きをよく見てということです。それで、先ほどありましたが、国内で発生した場合の対応につきましては、5月の1日に政府の方では第2回目の対策本部を開催をしまして、幾つかの措置を弾力的、機動的に講ずるといったような文書も発表しています。
そういうのを見ますと、あるいは5月の1日以前、4月の28日の時点では情報収集と国民への迅速、的確な情報提供、それからメキシコ等への渡航延期勧告、在外法人への支援、メキシコからの入国者に関する査証審査の厳格化など、水際対策を強化すると。あとパンデミックワクチンの製造、それから国内発生に備えた対策の実施ということで、5月1日の2回目の会合では、いろいろありますけども、例えば不要不急の外出の自粛の要請でありますとか、時差出勤でありますとか自転車・徒歩等による通勤の要請、集会・スポーツ大会等の開催自粛要請というような項目が並んで、一応国内発生したときにはこういうことが要るなというような情報は全国に発しておりますけども、これを実際どうするかというのは、またやっぱりその状況を見て、国自身も判断をされる、我々も県内の状況をよく把握して判断をするということになるでしょう。
○NHK
その判断の要素の中にはウイルスの毒性の強さであるとか感染力の強さであるとかもあるのか。
○溝口知事
そうですね、それは舛添大臣とかが言っておられますが、やっぱり感染の広がりがどういうふうな動きで来てるか、それから毒性の強さですね、それからいろんなことをした場合に社会的な影響が出ますね。それとのやっぱりバランスということも考えなきゃいかんでしょう。そういうもろもろの様相をよく判断した上で具体的な対応を具体的に決めて、それを公表し、国民の方々に理解をお願いするという行動に移っていくということになりますね。大きな、何をしなきゃいけないというようなことは、大体政府の方でも固まってますし、我々の方でもそういうものを念頭に置いておるということです。
○NHK
関連して、今の対策で何か洗い出す中で課題とかが出てますでしょうか。それとも順調であるということでしょうか。
○溝口知事
課題は、やはりPRをよくしていかないといけませんね。これから引き続き新聞、あるいはテレビ、ラジオ等々も活用させていただきながら、引き続きやっていきたいと思います。
○山陰中央新報
来週にホーランエンヤが控えていますが、今のお話の中で行動自粛要請というのは、現時点では出す考えというのはないと。
○溝口知事
今の時点では、政府もそういう状況ではないと判断してますし、我々もそうですね。やっぱり国内発生して、仮にしてですよ、それがどういうふうに感染をしそうであるとか、あるいは毒性がどの程度強いかとか、そういうことをよく見て判断をするということになろうと思います。
○山陰中央新報
国内発生時で、政府の方が自粛要請を出されたときに、例えば島根県に及ぶ影響は少ないんじゃないかという御判断があったりとか、そういうこともあり得るんですか。
○溝口知事
そこら辺も状況を見ないとなかなか仮定の議論としては難しいですね。それはやっぱりいったん発生しますと、国外よりも国内の方が人の移動が多いですから。
○山陰中央新報
発熱外来についてお聞きしたいんですが、確保されたということは、もう医師のローテーションですとか、そういった人員体制などもすべて整ったということでしょうか。
○溝口知事
それぞれの病院の中で、細かい曜日とか、そこら辺まではないでしょうが、何人ぐらいいて、このときにはこういう人がというようなことは想定をしているということで聞いております。
○山陰中央新報
一つ疑問に思ったんですが、今日、朝発表があったんですけども、出雲が最後まで残っていたと。出雲という場所は病院数も医師数も県内では非常に満たされているところであるのに、なぜ遅れたのでしょうか。
○溝口知事
いろいろ理由もあると思いますが、病院とか、隔離をしやすいとこというのが一つの条件なんですね。そこに患者さんが来ますから。そういう隔離がやっぱりしやすいかどうかということが一つの検討要素で、候補地が幾つかあったということも若干時間がかかった要因の一つだと聞いておりますけどもね。
○山陰中央新報
候補地が幾つかあったと。
○溝口知事
ええ、それはほかの病院でもできるかもしれませんし、そっちの場所がよければというようなこともあるでしょう。だけど、ある地域だと、もうそういう病院はここしかないというようなことにもなるでしょう、圏域によっては。
○山陰中央新報
決まった県立中央病院については、隔離が一番しやすい感染症病棟とか持ってると思うんですが。
○溝口知事
だけど、人数が増える可能性があるでしょう。
○山陰中央新報
わかりました。
○溝口知事
今の感染症病床は、県下でたしか28ぐらいですからね、各病院それぞれ、普通の感染症にかかったというようなことですから、このように大勢の人がかかるような場合の体制にはなってないわけですよね。
○山陰中央新報
なるほど。あと、隠岐や雲南や山間部、離島もそうなんですが、例えば隠岐でしたら島内だけでも医師、看護師の数や、雲南ですと、そこにいるだけの医師の数だけで対応できるというふうに見てよろしいんですか。
○溝口知事
いや、だからそれは不足するおそれもありますからね、そのときの医師会の協力も既に求めて、そういう話し合いもしておりますから、状況の変化があれば、さらに拡大をしていくということになるでしょう。そういう下準備はいろいろやっております。
○山陰中央新報
それは、その108診というのがピーク時に必要だとされているんですけども、108の窓口が県内で大流行したときに必要になると。
※108診:新型インフルエンザピーク時の発熱外来設置診数
○溝口知事
病床でいうと、今300ちょっと確保しているわけですね。それでとりあえずの目標というか、600床ぐらいと考えていますけれども、それへ向けて準備を進めていくと。
それから、お医者さんの方もこういう状況になると県外から来られるかどうかということもよくわかりませんね。だからやっぱり県内、それからできるだけ圏域でも確保するようなことをしなきゃいかんでしょうし、それからもっと足らないということになると応援といったようなことも机上の計画でしょうが、いろいろ考えては、担当の部局ではいろんな事態を想定して考えていると思いますけども。
※600床:新型インフルエンザ発生に伴い必要な入院病床数(目標病床数)
○山陰中央新報
なるほど。まだそういうのは例えば医師会と合意がとられているとか、そういうのは。
○溝口知事
そこはいずれにしても一般的な協力をしていただくということについては異論のないとこですが、具体的にどう進めるかというのをそれぞれのやはり感染の状況とかを見て、これはひどいということになれば、さっとやらなきゃならんでしょう。
○山陰中央新報
なるほど。わかりました。
また、発熱外来が設置された場合に、屋外のテントですとか、いろんなところで診療が可能だそうですけども、その場合、今、診療報酬でやられるということですけども、屋外で例えばチェックですね、事務的なこと、例えばそういったことは可能になるんですか。
○溝口知事
テントとか仮設の住宅、オフィスのようなことで使うということになるんでしょうし、あるいはもっと必要な、例えば公民館でありますとか、あるいは県の、あるいは市町村の体育館、いろいろ広いようなところが必要になればそういうところも当然活用していきますし、それから各圏域ごとに市町村、それから保健所、それから民間の方、それから医師会も入った協議会と具体的に検討する体制は一応できてますから、それぞれの地域の実情に合った素早い対応をとってもらうと。それで、それら全体を県がいろいろ指導をしたり助言をしたり、サポートしていくということですね。
○山陰中央新報
その例えば診療記録とか、そういう事務処理の面というのは屋外で、例えばパソコンを持っていったり、そういう機器も必要になると思われますが。
○溝口知事
それはやっぱり病室と、診療室と同じような体制が必要でしょう。
○山陰中央新報
それは可能なんですか。
○溝口知事
可能でしょう。
○山陰中央新報
あと、症例なんですけども、感染疑いがもし県内で発生した場合に、どの程度で県は発表されるかというのは、もう決まっていらっしゃいますか。
○溝口知事
検査の体制はできておりますよね。県の保健環境科学研究所というところで確定検査ができるように、5月3日の段階でできているわけですね。そこに検体を運んで、8時間から12時間で確定できるというようなことになっておりますけどもね。そういうので確定をされれば当然発表して、それに合った対応づくりをしなきゃいかんでしょうね。
○山陰中央新報
その確定した段階で発表されるというふうに考えてよろしいのか。
○溝口知事
そういうことですね。
いや、段階か、疑わしいとかね、例えばお医者さんのところではAかBかという判定なんかはできるわけですね。大きく言ってA型かB型か。しかしA型だけでは新型インフルかはわからないわけですね。一般の、通常の型のインフルの可能性がありますから。そのためにはやっぱり検体の遺伝子を調べまして、それで今の新型インフルの遺伝子の情報というのは来てますから、遺伝子を分析することができれば、その遺伝子かどうかということで感染してるかどうかがわかる仕組みになっているんですね。
○中国新聞
公表の時期は、疑いの事例がわかったときではなくて、確定したときなのか。
○溝口知事
いやいや、だから先ほど疑いとかも、疑いを含めてですよ。
○中国新聞
だから疑いが県に上がってきた段階で公表するでよろしいんですね。
○溝口知事
ええ。
だから、それは状況を見ませんと、疑いも一般の風邪かもしれませんし、インフルエンザかもしれませんし。ただ、診察をしてキットを使うような発熱があったりしますと、キットの段階でA型か一般のそうでないのかというのが、B型かというのがわかりますから、A型ということになると、今度は検体を、今言ったように遺伝子で調べると。それは8時間から12時間かかりますから、確定まで疑いがある段階から一定の時間は要しますから、その場合でもきっと、仮定の話ですから何とも言えませんが、疑いが強ければ発表していくということでしょう。それはお医者さん、それから保健所の判断を我々は待たなきゃいけませんね。
○中国新聞
先ほどの、今後よくまだPRをしていかなきゃいけないというところと絡むかと思うんですけれども、昨日までの段階で、県内で7件、診療拒否と言える事案が発生しているかと思うんですが、それに対しての受けとめと、今後どういう形でそれを予防していくかというところをお願いできますでしょうか。
○溝口知事
拒否というのはどういうケースで。
○中国新聞
要は発熱があるんだけれどもというような形で病院に行ったときに、それはまず発熱相談センターへ行ってくれというような形で回された事例があるというふうに聞いているんですけれども、少なくともその段階で、例えば渡航歴なりなんなりを確認せずに、まずそっちに回すというのは診療拒否に当たるんではないかなというふうに思うんですが、そのあたりです。
○溝口知事
そういうことが、海外から帰国した人の場合とか発熱がどの程度あるかとかにもよるでしょうが、一般の診療受診はお医者さんもされると思いますけども、発熱外来の方に電話をしたりというケースもあったと、外来じゃなくて相談センターですね、いうのは聞いてますが、診療を拒否するということじゃなくて、そっちとの連絡をとってということだったんだろうと思います。いわば丁寧な仕方だったのかもしれませんけども、いずれにしてもちゃんとお医者さんが来た人の熱があるかどうかとか、呼吸困難があるかどうかとか、当然調べられると思いますし、そういうことが起こらないように我々の方もよく、お医者さんなどに対してもよく周知しなきゃいかんなというふうに思います。
○山陰中央新報
さっきPRって言われまして、島根は言わずもがなですけど高齢化が非常に進んでいると。で、中山間地、過疎地もある。そういう特性を持っている地域で、どうやって広く深く情報を浸透させていくのは結構難しいのかなと思ってまして、例えばコンビニエンスストアでチラシを配ったりとか、あるいはホームページで情報を出してとかっていうのはやっておられるわけですけども、お年寄りの方というのはその辺、なかなか接点がない。そういう方ほど今言ったような行動もとりがちといいますか、相談センターであるとか発熱外来でありますとか、そういうとことは違うとこで、やっぱりかかりつけのとこに行ってしまうとかということもよく起こるのかなと思うんですが、その辺、何か島根方式じゃないですけど、情報発信の仕方は工夫が要るのかなと思うんですが。
○溝口知事
それは各地区、地域で実情が違うでしょうから、御高齢の方の定期ケアは、こういう問題に限らずふだんのお医者さん通いからあるいは買い物から、近所の人たちもいろいろやってますから、そういう仕組みを活用しながら、さらに今回のような場合ですとやってみなきゃいかんだろうと思います。
○山陰中央新報
例えば県外、東北の方なんかでは、かかりつけ、開業医さんなんかを発熱外来的な運用を位置づけして回していくようなところもあるみたいなんですけれども、島根は別のやり方をとったわけですが、例えば開業医さんと発熱外来が置かれている病院とネットワークをつくって、そういう症例、疑わしき事案が発生したときに情報の交換がスムーズにいくような体制づくりなんていうのは、今回の場合、特別なものは何か考えておられますか。
○溝口知事
それは、私も詳細聞いていませんけども、各地区ごとに協議会がありますし、それからやはり医療はそれぞれの市町村が第一線でやっていますから、そういうネットワークの中でやっていただくということが必要ですね。また、そういう点についてさらに特別な配慮をするように、いろんな検討会等でよく県からも言っていくということが必要だろうと思います。
○山陰中央新報
発熱外来の話に戻るんですけども、今、8カ所確保できたと思うんですけど、今後はどのくらい増やしていこうとかと、もう決まっているんですか。
○溝口知事
それはやはり状況に応じまして、増えることを想定して候補地とかの選定とか、それから医師の確保とか、そういう話し合いを既に続けられておりますね。今の段階でいつまでにいつということまで決めてませんけれども、当座、8外来で少なくとも人を診る、診断する体制はできてきたということです。
繰り返しになりますけれども、国内感染のスピードとか広がりとか等々によって考えていくということになります。
○山陰中央新報
あと、今発熱相談センター、設置されてますけれども、これは24時間、人が常駐するような体制にしようとか、そういう仕組みに移行することは考えておられるのか。
○溝口知事
そこまでの必要度は出てきてない状況ですけれども、そういう電話の数が多くなるとか、あるいは夜間でも一応つながるようになってますから、そういうのが増えれば、あるいは国内感染が始まっていくようになれば、そこを一昼夜やるとか、そういう体制を整えていく準備はしています。
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