2月(第2回)定例記者会見(2月17日)
質問事項
1.平成22年予算案及び平成21年2月補正予算案について
○山陰中央新報
経済対策の方をちょっとお伺いしたいんですが、去年から銘打ってやって2年間で1,000億円近い、1,000億円まで行かないですけど、七、八百億円の経済対策(を行い)、まず1年目の経済対策でここまで回復したっていう評価をどのようにされて、あと、金額としては1.7倍になっているというのはわかるんですけども、あとどこを支えるのか、強化するのか(について)ちょっともう少し説明をしていただけますか。
○溝口知事
一つはやはり、国の方はいろんな支援の仕方があるわけですね。消費者に対して直接資金を交付するというやり方、特例交付金のようなものがあります。それから今年は政府の方では景気対策を直接意図しているわけじゃないと思いますが、子育てのための交付金を供与すると。あるいは学校の授業料を無償化にするとか、高等学校ですね。そういうようなことがありまして、そちらの方は大体国の方でやっておられます。
それからもう一つは、民間投資を刺激をするということでありますが、これは、まだ全体的な需要が回復するということになっておりませんので、民間の方ももう少し様子を見て、生産を拡大するかどうかという判断をしようというところであります。そういう意味で、中・長期的な産業振興、技術開発を進めるための支援だとか、あるいは販路拡大のための支援とかはやっていきますが、当座の対策としてはやはり国、県自身が、あるいは市町村が事業を行うと。(経済対策としては)それが大宗になってくるわけですね。そういう意味で、国の方で公共事業費の削減がありましたが、県の単独事業などを通じて手当てをするというのを一つの大きな柱としています。
それから、あと介護の分野、あるいは障害者の自立支援の関係等につきましては、国の方から交付金が出ますから、それを使って行うといったようなことでやっておりまして、効果は、生産全体で見れば全国と同じように鉱工業生産が上向きにはなってきている。しかし、まだ過去の落ち込みを全部カバーするということになっていない。それから島根県自体に限りませんけども、景気の先行きについてはまだまだ不透明な要素がある。特に雇用情勢が悪いわけですね。それで賃金の上昇も停滞をしているわけです。それがまた消費に大きく影響しているわけですね。そういう面で、全般的に景気の回復を図る施策として可能な資金を使って行うといった考えですね。
○山陰中央新報
雇用と消費がもう少し上向くまでということですが、1年目やってそれなりの効果はあったけど、基金の事業自体が(平成)23年ぐらいまで予定されているので、しばらくはこういうことで国、県、市町村が事業をやりながら支えていくというのも、今回も(経済対策を)打ったけど、まだ当面続くであろうと、支えないといけないだろうと(いう考え方ですか)。
○溝口知事
まだそういう状況ですね。それは今、日本の景気が少し良くなっているのは、輸出が増えているというところがあるわけですね。それも欧米の先進国じゃなくて中国でありますとかアジア諸国向けが増えているわけですね。これにつきましても先進国がこのまま、あんまり停滞から抜け出せませんと、そちらにも今の輸出が伸びているアジアに対しても大きな影響が及んでくる可能性があります。
そういう意味で非常に不確定な要素か多いわけでありまして、そういう意味で内需の振興が必要なわけですけども、内需もさっき申し上げましたように、民間が行う消費あるいは投資というのはいろんな事情で急激には難しいですね。そうすると国なり地方公共団体なりが事業を行って発注をすると、そういうことが必要となる事態がまだしばらくは続くんではないかと。
そのうちに民間の方で、かなり輸出企業などにおいては能力に近いところまで生産を拡大しているようなところもありますから、そういうところで設備投資が増える、それからそうなりますと雇用も増える、職場が増える、賃金も上がっていくということになると、今度は消費が増えるということになりますから、そういう自律的な回復に至るまでの過程は、こうした対策を続けていく必要があるだろうと。
それからまだ物価ということで見ると、世界的には供給能力が余ってるわけですから、なかなか物価というか、販売価格が上がりにくいわけです。この状況もまだしばらく続く。いずれにしましても、そうした状況をよく眺めまして、注視をしまして、状況をよく見ながら適切な対策を考えていきたいと(考えています)。
○山陰中央新報
財政運営についてなんですけど、こうやって景気対策を打ってきて、国の交付金も活用して、よく言われるのが、いろんな経済対策の幅が子育て対策とか、いわゆる子育て事業とか、そういうソフトまで広がっていってる状況で、二、三年後、国が毎年経済対策を打つとは限らないので、その財源の問題というのは必ず中・長期的には発生してくると思うんですけど、この財政運営について、数値的には先ほど収支不足でクリアしてると、基本方針はクリアしてると思うんですけど、その辺ちょっと不安もあるんですけど、その辺の今回、内部改革がどうだったかということも含めて、財政運営についてどういう見通しを持っておられるかというのを若干簡単に(説明してください)。
○溝口知事
それはやはり国の財政運営がどうなるかということに大きく依存してますね。さっき申し上げましたように、当初予算の歳入のところを見ますと、県税収入は歳入総額5,355億の10%ぐらいですね。それから最も大きく県が依存しているのは(地方)交付税ですね。これが4割ぐらいになるわけですね。一般財源の中でいえば、(地方)交付税が大宗を占めているわけです。
(地方)交付税のところは結局、国の財政がどうなるかということに大きく依存している。それから国の財政運営ですね、どういうふうにやっていくか。来年度に関しましては、政府におかれまして、やはり地方の地域主権が大事だということで地方交付税をかなり増額をされたということがあるわけです。引き続き地方の状況をよく見て、国全体としての対応を図っていただくようにお願いをしたいというふうに思います。
○山陰中央新報
その中の公共事業の項にちょっと絞ってお伺いしたいんですけれども、さっきの景気の状況から踏まえて、補正が、いろんな財源的な制約があるのはわかるんですけども、補正に積むのか当初に積むのか、それとももう少し先を見据えて平準化していくのか、いろんなこぶのつくり方というんですかね、こういう判断があったと思うんですけど、今回、こういうことに至った判断というのは、やっぱり今、それなりの規模の対策を早目に打つ必要があるという判断があったというふうに考えればいいんですか。
○溝口知事
そういうことですね。それから補正(予算)は今回限りじゃありませんから、当初予算というベースの上に、経済の状況を見て、議会としては6月、9月、11月、2月とありますから、ベースはある程度長期的な展望をしながら変えないと、弾力的な、柔軟な対応ができませんから、大きな変動はやはり補正予算で対応していくということにならざるを得ないだろうと思います。
国も同様ですね。昨年も5月に大きな補正予算を組まれ、それが基金としてかなり詰まれ、これが県なども今回対応できる一つの大きな財源になっているわけです。
それから、新しい政権におかれましても、予算編成の末期になって、やっぱり景気情勢が悪いということで急きょ補正予算を組まれたわけです。そういう中でもやはり公共事業に関連した予算が大事だということで、5,000億(円)でありましたか、ちょっと総額は(不確か)ですが、そういう予算を組んでいますね。それから子育て支援の交付金とかは当初予算で対応するとか、景気対策はどうしても柔軟に、将来、いずれにしたって必要だけども、それを早くやるという意味では柔軟な対応が可能なわけですね。そういう対応はこれからも必要になると思います。
特に島根などは大都市と違いまして、まだしなければいけない社会インフラ整備がたくさんあるわけですから、そういうものを前倒ししてやるとか、それによって景気の変動を調整していくというのは当面、引き続き必要になるだろうというふうに考えております。
○山陰中央テレビ
ちょっと先ほど知事がお話ししたことと重なってしまうんですが、今回、公共事業費を国がカットする中、どうして島根県が増やしたかの理由を教えていただいてよろしいでしょうか。
○溝口知事
島根は、特に公共インフラの整備された大都市部と比べますと、まだ必要な事業がたくさん残っているということです。それからやはり景気対策にはそういうものを柔軟にやることによって対応すると。2つの考えでしょうかね。
○山陰中央テレビ
あと1点なんですが、新年度予算を一言で言うと、何予算となりますか。
○溝口知事
一言で言うとですか。一言、一語じゃなくて。ちょっと長くなるかもしれませんが、景気回復と雇用確保によって県民生活の安定を目指す予算と、こういうことですね。
余談ですけども、年末の取材で、来年度を一字であらわすとどういう字ですかという取材も何社かから受けましたけども、そのときは安定の「安」を書きました。その当時からそういう、今はやっぱり経済も社会も変動する時代で、生活の安定、あるいは安全・安心な暮らし、そういうものが大事だということで「安」という字を選んでおりますけども、そういう考え方ですね。安定を求めると。
その手段としては、景気回復をしっかりする、それからやっぱり雇用を増やすということじゃないかと。もちろんほかにもありますが、代表として言えばそういうことです。
○山陰中央新報
景気回復の件なんですけれども、雇用の面で、中身を見ると、非正規雇用の方が非常に多くて、正規雇用の創出にはなかなか至ってないと思うんですが、失業者の方々は非正規よりも正規の方が安定もするし、いいという部分が出てくると思うんですけれども、そこへの対策というのはどういうふうに考えてらっしゃいますでしょうか。
○溝口知事
正規雇用は、やはり企業が生産を拡大するために設備投資をして、そのために人を雇うと。要するに業容を拡大をするということがないと、正規雇用というのは増えないわけですね。だから、そこまでにはまだ経済の回復が至っていませんから、それがないとなかなか難しいですね。しかし、そうはいっても職を失った人がいる、あるいは新たに労働市場に出て職を求めようとする若者がいる、その人たちが生活に困るわけですから、そういう意味では、ある意味で緊急の対策になるわけですね、雇用対策そのものが。
しかし、それも非常に大事な要素ですからやっていますが、正規雇用等、一定のものはやはり経済が着実に拡大をしていくという状況をつくるということですね。そのためのやはり景気回復が必要だというふうに考えます。余り妙案があるわけじゃないですね。やっぱり地道な景気回復を図るようにやっていくということが大事だろうと思います。
ただ、そういう中でも、雇用対策の中でも、例えば介護の分野なんかでは人が足らないということもあるんですね。しかし、介護の職につくためには一定の資格を得なきゃいかん、訓練を受けなきゃいかんということがあります。そこで今回の緊急対策の中でも、介護施設でとりあえず雇っていただいて、それでいろんな補助的な仕事をされると、そういう方が今度、半日は介護を教えていただく学校に行って勉強をする、研修をする、そういうような雇用対策も織り込んで、いわゆる緊急的な雇用対策ですけども、そこから安定した正規雇用が生まれるような工夫もやっています。
それから、そういう面では、農業分野で働きたいという若者がいますから、農業大学校等に行く場合に支援をするとか、それから中小企業の方々が、先ほど申し上げましたが、新規に投資をして雇用を増やすといった場合には、そのために人を雇うといったようなときには県が補助をしましょうと。しかし、そういうものの数はやっぱり限られてますね。しかし、正規雇用、安定した雇用が増えるような工夫も、雇用対策の中でいろいろ考えてきてはいるということです。
※()内は、広聴広報課が書き足した部分です。
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