2月(第1回)定例記者会見(2月12日)
質問事項
1.経済対策及び平成21年度当初予算について
○山陰中央新報
今回、経済対策207億円ということで、補正と当初予算に盛り込まれたわけですけれども、この対策の規模、あるいは中身について、溝口知事自身の自己評価といいますか、経済の厳しさというものに対する対策として十分かどうかということも含めて、ちょっと自己評価をしていただきたいと思うんですけれども。
○溝口知事
一つは、やはり国が今の経済、景気の後退、大変厳しいものだという認識をされて、年末の予算編成においていろんな施策、対策を講じました。そういう中でも地方に対する対策が随分充実をされまして、今回の207億円という経済対策は、相当な規模に上っておるというふうに思っております。臨時交付金の95億円、それから公共事業等の補助金約60億円、それから県費50億円といったようなことで成り立っておるわけでありまして、伸び率、あるいは公共事業の増加等を見ましても相当な規模でありますが、しかし、今の景気後退がどのように進展していくかというのは、まだ不透明であります。我々としては補正で事業を計上いたしまして、これを早く実行して、民間需要の減退にこたえていくということをいたしますが、やはり状況をよく注意して見まして、必要があればさらに必要な対策を考えていくということを常に念頭に置いて対応していきたいというふうに考えておるところであります。
○山陰中央新報
経済対策の中身で、特に公共事業に、インフラ整備も含めて相当力を入れたという形になって、これは県の方はずうっと財政再建の方策からいって公共事業を落としてきたわけですけれども、ここで公共事業に重点といいますか、力点を置いたねらいといいますか、その辺、知事さんのお考えといいますか。
○溝口知事
それは、今の景気後退が民間需要の減退を通じて起こっているわけですね。一つは雇用の縮小、あるいは先行き不安、あるいは株価等の下落による資産価値の下落ということで消費が締まってきておりますね。それから住宅投資などもそうですね。それから企業サイドでは、もう売り上げが減少しているわけですから生産ラインがとまるということですから、設備投資はしばらく起きないわけですね。それから輸出を見ますと、これは日本がこれまで不況から回復する過程で大きな役割を果たしたわけですが、今回の景気後退というのは日本というよりも日本の外で起こって、外の方がもっと厳しいわけですから輸出も非常に難しいわけですね。そうすると、やはり残るのは公的な支出ということになりますね。公的な支出のうち経常経費、特に人件費などは、これは県のこれまでの方針に沿って実行していかなければならないわけでありまして、そうするとやはり公的な需要をふやすということが大事ですね。それから公的な支出で国民あるいは県民の所得をふやすというのも一つの手段でありますが、それは交付金というようなことで国の方でもお考えですが、県としてはやはり事業をふやす、しかも将来やらなきゃいかん事業が山積しているわけですね。特に道路でありますとか社会的なインフラが必要なわけでありますから、むしろそういうものを前倒ししてこの時期にやるということが景気の局面に合っているという考えで対応したということですね。
○山陰中央新報
すみません、もう1点。今回投入したのは、国の交付金がかなり使い勝手のいいものが来て、これが使いやすかったということに加えて、もう一方では県費をつぎ込むという決断もあったかと思うんですけれども、先ほどの説明の中でも財政健全化の方針は基本的に維持されたというふうに考えますけれども、もう一度お伺いしたいのは、今後の経済の動向とかも踏まえたときに、その財政出動の考え方と財政健全化の方針ですか、これの考え方をもう一度お伺いしたいんですが。
○溝口知事
財政の健全化は、長年にわたって財政の悪化というのが生じてきたわけですね。それで、そのサイズから見ましても、すぐに解決ができませんし、それから県自身の歳入確保の範囲というのは限られていますから、10年ぐらいかけて対応しようということで計画をつくっているわけでありまして、その間にいろいろ経済の浮沈もあると思いますが、長い期間をかけまして徐々にやっていこうということでありますからということが第1点。
それから、今回は島根県だけの不況ということじゃなくて、全国規模にかかわるものでありますから、国もいろんな対策を講じたわけでありまして、そういう資金も使って必要な対策が打てたということでありまして、今回のそういう意味で大きな長期的な財政健全化の道筋には余り大きな影響を与えないで対策が実施できることになったというふうに評価していますし、今後どうなるかは、毎年、財政の状況、中期見通しを見直していきますから、その過程でよく注視をしていくということだと思っております。
○山陰中央テレビ
知事、国メニューというか、何かボリュームがあって、弁当に例えると幕の内弁当みたいな予算かなと思っているんですけれども、知事自身は、昨年もお伺いしたんですが、この予算のキャッチフレーズはどういう......。
○溝口知事
キャッチフレーズですか。
○山陰中央テレビ
はい。
○溝口知事
危機対応予算と。
○山陰中央テレビ
危機対応予算ですか。
○溝口知事
ええ。だからできること、必要なことはできるだけやっていこうということですね。それからもう一つの要素は、やはり今回の危機は、これまで世界が経験したことのないような事態でありますから、どう進行していくかというのはなかなかわからない面がありますから、今後においても経済の情勢をよくウオッチをしていくということでありますね。そっちの方は、キャッチフレーズはあんまりあれですが、注意深く対応していくということであります。
○山陰中央テレビ
今年度当初予算と比べて、非常に査定に当たって最も自分が苦心した点、ちょっとかぶる質問になるんですけれども、あと、もう一つ財源的な問題から、ちょっとここに手が出せなかったところというのは、今振り返ってみて、どういうところがありますでしょうか。
○溝口知事
やはりいろんな事業をやるにしても、効果のあるもの、それから公共事業等につきましては今後もいずれやらなきゃいかんようなもの、効果があるという意味では、いずれ整備をしなきゃいかんようなものはその一つの例になりますし、公共事業関連、施設整備、例えば耐震化を進めるとか、そういうことがあります。それからやはり中小企業の方々、それから農業等、いろいろこれまでも影響を受けているところがありますから、そういうところに配慮すると。それから今度は県民の立場で見ますと、生活に身近な道路の整備なんかおくれているところがありますね、歩道でありますとか。そういうものを重点的に取り上げるとか、そういうような事業の中身ですね、それにいろいろ配慮をしていったと。
それから、雇用の関連でも、例えば被害木の除去とか、あるいはごみの漂着ですとか、あるいは町をきれいにするような施策でありますとか、そういうものを通じて直接雇用を創出すると。全部雇用の関連はメニューとしてはでき上がっておりませんが、県庁の中にプロジェクトチームをつくりまして、どういう事業がさらに考えられるのか、どういう事業がいいのかと。特に雇用の積立金を労働界の方々とも協議をしながら決めるということになっておりますから、そういう意味でさらに知恵を出すような、あるいはほかの県でやっているようないいものがあれば島根県も取り入れるとか、そういうことを今やろうとしているわけであります。
○山陰中央テレビ
できなかったことというのは何かありますでしょうか。今年度予算でちょっと自分は打ちたかったけれどもできなかったという分野に関しては、どういうところがありますか。
○溝口知事
それは金額の面でありまして、必要な事業はかなり行ってきていると思いますが、幾らでも資金があって困ることはないといったような状況だと思います。
○読売新聞
今回、8年ぶりに積極とまで言えるかどうかはちょっと別として、知事としては多分初めて、ある程度の規模の中でやれるようになったのかなと思うんですけれども、今回、知事がこれはやりたくてできたという、例えばここの部分に、この事業には思い入れを特に込めたというような溝口カラーみたいな、どの辺に。
○溝口知事
それはあらゆる分野に及んでおって、ここがということじゃないですね。やはり効果的な事業を実施していくと、それからこれまで懸案になっていた事業を、懸案になっていたけどもできなかったような事業を行っていくとか、そういう面に配慮をしておりますから、やはり一番大きな目的は、今の経済、景気後退に役立つような施策、それは短期的にすぐやるやつもありますし、インフラのように整備をして、それでビジネスを活性化するやつもありますし、あるいは県産品の販路の拡大のような長期的な視点に沿ってやるものもありますし、あらゆる分野を洗いざらいして関係部局にアイデアを出してもらい、整備をしてもらって編成をしたと。そういう過程で県内各界からのいろんな御要望もありますから、それから県内各地の御要望もありますから、そういうものをよく吸収して、そしゃくをしてこの予算ができたというふうに考えております。
○山陰中央新報
新産業創出プロジェクトの予算額が前年よりも落ちているように思ったんですけれども、何か今後の見通しというか、取捨選択も必要だというふうなお考えもあるのかなと思いながら......。
○溝口知事
格別、事業の進行に応じて計上していると思います。引き続きやっていくということですね。
○山陰中央新報
特に、引き続き。何か見切りをつけたとか、そういったことではないわけですか。
○溝口知事
それはもう少し前から申し上げていますけども、かなり実用化に近いところまでいっていますが、ビジネス、事業化までは進んでいないというようなものがありますから、事業化に進むように、さらに研究を続けるということですね。
○朝日新聞
知事、済みません、今回の予算に、端的に言うと、8年ぶりの予算の増ということもあって、御自身の評価として積極型の予算、それとも緊縮型の予算で分けるとしたら、どちらの方でとらえていらっしゃいますか。
○溝口知事
当然積極ですけれども、積極というか、経済自体が悪くなっているから、これに対応しなきゃいかんという予算ですね。
だから、景気のいいときにどんどんさらにということじゃなくて、日本全体の経済の状況、あるいは島根が受ける経済・雇用情勢の状況、そういうものに対応するために予算の歳出の増額を図ったというふうに考えていただいた方がいいと思いますね。
○読売新聞
この間、知事がおっしゃった、ただ単に景気対策というだけではなくて、地場産業なり地域経済に役立つというふうにしたいというふうなことを強くおっしゃってて、今回を見ててもRubyとか石州瓦とか、なかなかおもしろいなあと思いながら拝見してたんですけれども......。
○溝口知事
だから、例えば新しい何か事業を新たにどんと始めるというよりも、これからやっていかなきゃいかんようなものを前倒しでやっていくとか、あるいはこれまで必要だったけどもなかなか予算の制約があってできなかった身近な事業についてこの際進めるとか、あるいは県産品の使用など、いわゆる石州瓦とか、あるいは県産材ですね、そういうものも何とかして拡大をしたいということがございましたが、こういう機会に新たな制度を設けたりして対応しようということであります。何か巨大なプロジェクトをどんと実行して、それで景気刺激をするというよりも、いろいろなところにある、不足しているものを実行していくと。
○読売新聞
石州瓦のこういう利活用というのは、前から知事はやりたかったけれども、なかなかチャンスというか、今回、いい機会だからという......。
○溝口知事
それは常に財政は入るものと、それから出るもののバランスを考えて、それの、今、我々が置かれているのは財政の赤字が引き続き続いているわけですね。153億円の積立金の取り崩しというのをやっているわけですから、その面では状況はそう変わってるわけじゃないんですが、しかし、そこに余り大きな影響を与えないでできたということは、やっぱり国の蓄えがあったということが大きく貢献しているわけですね。
○山陰中央新報
経済対策の公共事業なんですけれども、財政健全化基本方針のところでいうとシーリングの枠の外のところで経済対策で積んだような格好かと思うんですけれども、これはあくまで今回の一時的なものなのか、また今後、来年、再来年度以降ですか、どういうような考え、戦略みたいなのがおありかなと思いまして。
○溝口知事
まさにその点が、今の経済が急速に悪化したというものに対応するのが今回の補正予算と来年度予算ですね。先行きの経済の状況がどうなるかは、まだよくわかりませんね。多くの見方は、景気の底打ちは2010年以降だろうというふうに見る人が多いわけですね。そうすると、まだこの事態が続く可能性もあるわけです。そうするとやっぱり続けば経済の状況に合ったような予算を編成していくということでありますから、経済の状況をよくウオッチし、それから財政の状況も、これは毎年秋に見通しを新たに見直すということにしておりますから、そういうものを踏まえて柔軟に、その時点の状況に対応して適切な措置をとっていくということであります。
県自身がそうでありますと同じように、日本の政府もそうですし、世界じゅうがそうですね。今、世界じゅうで景気対策を打っておりますね。アメリカでも約70兆円の景気刺激策が今、上下両院で協議中でありますけども、ヨーロッパ、ほかの国でもみんな景気対策を打っているわけです。それで結局は世界全体の景気に絡む話ですから、そういうものにもよく注意をしながら、そのときに必要な対応をしていくという柔軟な対応でいかなければならないだろうというふうに私は思っております。
○山陰中央新報
バブル後のときに景気対策として、ここでも公共事業というのでかなりつけられて、その結果、財政悪化の一つの要因にもなったかと思うんですが、その時点のものと今回の対策は何が違うと、どう違うと......。
○溝口知事
一つは、90年代の初めのバブル崩壊のときは、あの影響が金融機関に、金融にどういう影響が起こるか、必ずしもわからない状況でずうっと進んでいきましたね。だから民間企業の整理というのが随分おくれていきましたね。90年代を通じて不良債権があんまり処理されずにたまっていったわけですね。それが90年代末の危機になり、それから2000年の初めぐらいまで続きますね。それが今と違う点は、やはり日本の経済をどう見るかということについて、必ずしも先行きがわからなかったということがあるでしょう。それから企業の方もどういう対応すればいいか、あるいは金融機関の方もどういう対応をすればいいかというのが十分わからなかった。そういう面で、そういう中で財政だけが進行していったということがあるわけですね。今は、日本の方は金融機関の経営の悪化から景気が悪くなっているわけじゃないんですね。金融機関の経営が急速に締まって、それが悪くなったということじゃなくて、外の影響が及んでおるという意味で違いますね。
それから、日本のバブル崩壊の後のいろんな状況を各国もよく勉強していますから、早く金融セクターの整理をしないといかんということで、公的資金の投入だとか不良資産の処理だとか、欧米で進んでいますわね。
それから、今回の危機が世界的なものであって、それも世界的な需要後退ということにあらわれておって、それが雇用の調整に来ておりますから、やはり言えることは、年間、減退する民間需要はやっぱり公的な需要で補てんしないといかんだろうと。いわば比較的古典的な景気対策、需要追加策が必要だという時代に入っているということですね。そういう点は欧米なんかは非常にはっきりしていますね。伝統的にはもう先進国は景気の調整というのは金融政策だけでやるというふうに変わっておって、財政を使うということは余りなかったんですけども、やっぱり今回の危機のマグニチュードから見て、アメリカなどでもやはり公的な需要を追加する、そういうことが大事だというふうにして、今の財政出動が起こっているということですね。各国もそうだと思いますね。日本もそういう状況にあると。
○中国新聞
公的投資をするに当たって、財源の求め方ですけれども、90年代なんかは国の号令のもとに地方もどんどん起債を起こして借りて、それが後年度に影響がいろいろ出てきたということだと思うんですけども、今回の経済対策の打ち方、財源の面であの当時と一緒なのか違うのか。
○溝口知事
それは違いますね。やはり地方財政が今おっしゃったような理由もあって悪化をしているということ、それから地方間でも大都市部と地方部で財政の状況が違っておって、特に地方部に対する配慮をしなきゃいかんという考えが政府の中にかなり入ってまいりましたね。その一つがやはり交付税の増額とか、あるいは交付金の配付ですね。臨時の交付金なんかも自治体の財政の状況なんかも配慮しながら配分しているというふうに考えますし、国の方もこれまでの経験もありますから、やはり国というか、結局は同じことなんですが、中央政府で相当の対策をとらないと進めないだろうという判断のもとに景気対策が打たれてきている、私はそういう動きが今後においても続いてもらいたいというふうに考えております。
○山陰中央新報
先ほど知事は、今回の景気対策ということで、古典的な財政が復活したと。従来は金融政策中心だったんだけども、それが今回、新たな今、各国とも財政に出番が回ってきた、そういった意味で先祖返りみたいな感じがするんですけども、ただ、今回の不況、確かに知事がおっしゃったように、これまで世界が経験したことのない不況のタイプですよね。裏返していけば、各国が景気対策として金融政策を使ってきたから、どんどんマネーをふやして、いわば低金利をずるずるっと各国が続けてきて、その結果、余剰マネーがあふれて、それが逆に今回の金融危機の発端になったという認識はないですか。
○溝口知事
今回の場合はやっぱりアメリカのバブルの崩壊というのが最も大きいということと、それから経済のグローバル化ですね、相互依存が進んできておったというふうに私は見ておりますけれどもね。アメリカの中でやはり90年代の後半ぐらいからアメリカ経済というのが復活をして、それから政治の面でも唯一のスーパーパワーになったり、先行きに楽観的な考え方があの国の中で進行し、経済も拡大をすると。そういう中でバブルが生じてきたと。金融政策でそういうところを調整すべきだったんでしょうが、なかなかそこまでできなかったというようなことが大きな原因じゃないかと。経済の好調が90年代の半ばぐらいから10数年にわたって続いてきたと、そういうものがいろんなリスク管理に対する対応に、ある意味でおくれをとるといいますか、そういうようなことじゃないかと思いますね。だからあんまりサブプライムローンとか、非常に現象的なあれがありますが、大きな背景としては経済全体、あるいは世界全体かもしれませんが、楽観的であったと、その行き過ぎが生じたと。
しかし、先行きを見ますと私は、さっきの議論の続きで個人的な見方として言えば、世界全体は大きな拡張期にありますから、中国でありますとかインドでありますとか、途上国が経済の拡大し得る時期に入っていますから、この調整が終われば、また拡大に向かっていくだろうと。この景気が将来とも続くというふうには余り考えませんね。やはり新技術がどんどん、まだ起こっておりますし、それはITだとかに限りませんし、いろんな分野で起こっていますから、そういうものは新たな製品をつくれますね。それから途上国はまだ貧しいわけですから、新興国は。人々はいい車を買いたい、いい住宅をつくりたい、そのために一生懸命働きたいということですね。むしろ心配は、そういう世界的な経済の発展が地球自体の制約にどういうふうに調和できるのかという問題が長期的にはあると思いますが、経済全体としては拡張期にあると。しかし、それに至るまでの間、何年かかるかということですね。再び拡大に向かっていくのにですね。それが今の段階ではまだはっきりしないというふうな見方を私はとっておりますけれども。
○朝日新聞
今回、経済対策を打てた要因として、さっきおっしゃってたように、国からの交付税だったり交付金という、国からの一時的なボーナスのようなものがあったことが今回の対策の実現を支えた部分だと思うんですが、ただ、一方で税収は不景気で下がってて、財政運営というのはこれからも厳しい状態が続いていくと思うんですけども、そういう中で、どうでしょう、知事としてこれからも続く厳しい財政運営の中で、どういうふうなリーダーシップを発揮していって、県民に対してどういうふうなメッセージを出して県政を運営していこうというふうな、何かその辺のお気持ちをちょっと聞かせてもらいたいんですけども。
○溝口知事
一つは、島根の中には豊かな自然でありますとか、それから古い歴史文化、それから産業においても、例えば東部におきます機械金属、あるいは鋳造、あるいは県外からの進出企業における電子産業とか、そういういいものがありますから、それから自然だとか豊かな文化歴史というのは、やはり観光だとか農産物だとか、島根の強みでありますから、そういうものをさらに進めることによって経済の拡大を進めることができるというふうに思います。
他方で、当面の対応として国の交付金はかなり臨時のものですね。しかし、国自身もこの景気の後退に対して、今度の対策で終わりということではないわけですね。経済の状況をよく見て対応していこうと当然考えておるわけでありまして、そういう中で我々としては国に対してもう一つの要素として地方に配慮した政策を継続してほしいということを要請していく。我々の努力と国の政策と、この2つだろうと思いますね。
○山陰中央新報
まさに今の強みを生かしていくというようなところだと思うんですけど、雇用の対策、今のところ時間的な制約もあった中で、一時的に生み出す雇用という色合いが強いと思うんですけど、これから島根がどういう産業を興し、強化をし、そこで継続的な雇用を生んでいくか、そこへどうやって早くつないでいくかということがかなり重要で、そのスピードも問われているということで、先ほどプロジェクトチームというようなお話もありましたけれども、今後、そういう島根が継続的に産業であり雇用なりを生み出していくための戦略ですとか、その方向性というのが、ピンチだからこそ逆に打ち出せるというような部分もあるのかなと思うんですけど、その辺はどういうふうに。
○溝口知事
そこをやはり、国の交付金として雇用対策に行っていますのは、直接に雇用をつくり出すといったようなものが多いわけでして、それは当座の対応という面がかなりあるわけですね。しかし、そういう中にも訓練をしたりして、こっちはこの分野で雇用がふえるんですけども、それに対応した技能を持ってないというようなことがありますから、訓練をするとか、そういうものが就業者にとっては長期的な一つの対応になりますね。大事なのは、雇う産業の方が拡大をしないと雇用はふえないわけですね。
そうすると産業、あるいは企業が拡大をするということは物が売れるということがあるわけですね。物が売れるということは、いいものをつくる、それから販路を拡大をする、それからいろんな工夫をするということでありまして、それは県自身というよりも民間の方々の努力を県は後押しをする、支援をする、そういう面では広域観光などを進めるとか、あるいは観光についていいますと、さっき申し上げましたように旅館等に対する施設の改善強化のための融資を行うとか、あるいは産業でいいますと販路拡大のための商談会といったようなものを、例えば機械金属の分野、あるいは石州瓦等の分野で行うとか、それから県自身の技術を、県内の企業の方々の技術を高めるといった意味では新技術の研究をさらに進めるとか、あるいはソフトウエアのビジネスを進めると。
これも今回の予算でかなり強化をしていますが、そういう中でも技術者を育てるとか、いろいろ対策は予算の中に計上しておりますし、引き続きそういう分野を強くしていきたいというふうに思いますね。
○山陰中央テレビ
予算を見ていると、非常に自民議連の色が、カラーが強いかなという予算書になっていると私は分析をしているんですが、知事自身、政党のあり方ということに関して、その編成に当たってどういうふうなことを配慮されたんでしょうか。
○溝口知事
いや、それは各界、各地の意見をよくお聞きをし、それから我々も各地の状況をよく調査したり分析したり、その上で必要な対策を講じていくといったプロセスで予算は作成されますから、そういうものに尽きると思いますけどもね。
○山陰中央テレビ
今後もそのプロセス、その方針は曲げないということで。今後ももちろんその方針でやっていかれるということで。
○溝口知事
一般論で申し上げているんですよ。いろんな予算とかは、やはりまず必要というものがあるわけですよね。それから景気対策なんかでいえば必要であり、さらに効果があるものということが大事になりますし、そういうものをやっぱり総合的によく見ていくという、評価をしていくということを通じて予算ができ上がっていくと。
○毎日新聞
先ほど将来の島根のことで、豊かな自然なり文化なり、IT企業なり進出企業なりという話だったんですが、ちょっと満遍なく、何かアナウンス効果として知事が、予算的に選択と集中を進めるのは難しいとは思うんですが、例えば1個に絞って観光立県だとか食文化をもっとアピールする県にするとか、そういったお考えというのはどうなんでしょうか。
○溝口知事
例えば、それはいろんな産業があって島根は成り立っているわけでして、いろんな地域にはそれぞれの特色があるわけでして、しかし、一つのあれでいえば、やはり島根の強みというのは豊かな自然、それの中で起こるビジネスですね、農林水産業でありますとか、あるいは豊かな歴史文化というのがありますから、そういうものを活用した観光でありますとか、あるいは豊かな地域社会が残っておって、人々がまじめであると。
例えば県外から来られる誘致企業の人たちは、やっぱり人を求めて来られますから、人づくりをさらにするとか、やっぱりそういう地道な作業が私は必要だというふうに考えておりまして、これを一つやったら何か、それがするということじゃなくて、いろんな努力の積み重ねをしていくと、それが私は島根らしい対応であり、しかし、そういう中にも最近では観光とかでは島根がいろいろ知られるようになっていますし、きょうも隠岐の海関が来られましたけども、そういう若い人が活躍をされる、前頭、三役まで上がっていくと、隠岐の海というのが常に全国で放映されるわけでして、そうするとやっぱり島根というものが知られていくことになるでしょう。やっぱりそういう地道な努力をみんなでやっていくということが大事じゃないかというふうに思っています。
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