1月(第1回)定例記者会見(1月14日)
質問事項
1.経済危機への県の対応について
○山陰中央新報
経済危機と今おっしゃった問題についてなんですけれども、知事、今おっしゃる中で、切れ目のない対策というふうにおっしゃっておられますけれども、一つは、2月の議会で補正予算、本予算を審議するわけですけれども、日程的に補正予算の成立が3月の上旬から中旬にかけてということになると、いま一つそういうスピード感というか、他の県では多少臨時議会を前倒しして開いて対策を早目に打つという考えもあるようですけれども、その辺、スピード感という意味で、今のおっしゃり方というのは多少スピード感に欠けるんではないかなという印象を持つんですけど、いかがでしょうか。
○溝口知事
そこら辺は議会ともよく相談して、まだ議会の審議日程等、議会でこれからお決めになりますから、議会の方もいろいろ日程もこれからお決めになるでしょうから、そういう過程で議論もされるんじゃないかと思っております。
○山陰中央新報
それは、県として早く提出する用意はあるがという意味でしょうか。それとも......。
○溝口知事
いや、議会の日程は、いつから始まるか、どういう審議日程でやるかというのは議会がお決めになりますからね。もちろん内容について我々も議会の意見もお聞きしますし、またそういう中でいろんな議論もあると思いますが、まだ2月議会、予算の作成自身が2月の初めぐらいまでかかりますから、それからその後の説明だとか手続踏みますと、議会そのものは、始まりは通年と余り変わらないだろうと思いますが、そういう中で、どういう工夫が可能なのか、議会の方でもそこら辺よく御承知だと私は考えておりますけれども。
○山陰中央新報
という意味では、執行部側としては、例えば補正予算の方を先行して審議してほしいというような要請というのを執行部の側としてすることも考えられるということですか。その受け手の議会の問題というのもあるんですけど。
○溝口知事
そこは議会の方で、車の両輪ですから、議会の方も、この経済対策を内容をしっかりしなきゃいかんし、早く実行しなきゃいかんということでは変わりないでしょうから、それぞれの立場立場で責任を持って対応していくということだろうと思いますね。
○読売新聞
切れ目のない経済対策ということで、今回もかなりの予算が国の方からもつくようですけれども、知事の頭の中にあるのは、例えば具体にはどのような対策をと。
○溝口知事
切れ目のないというのが、通常は本予算が成立しまして、それからいろんな契約をしよう、あるいは計画を立てるというと、実施が6月とか7月になりますから、本予算で例えば実行するものでも、補正予算で計上して準備を進めるというようなことが可能ですからね。それから国の方の対策も補正予算の中にかなり入れているわけですね、第2次補正の中に。また、国から来る資金も早く来なきゃいけませんし、来たらすぐ実行できるようにするためには、そのための準備も県の方でしなければなりませんから、そういう意味におきまして、県独自の対策もそうですし、国を通じて来る対策もそうですし、いずれにしても準備の期間が要りますから、そういう意味で早目に補正予算で対応し得るものは対応すると。補正予算で実際に実行できないやつは翌年度に繰り越すことは可能だという項目もありますから、そうすることによって計画、契約、それから実施というようなプロセスがスムーズに流れていくということであります。
もちろんこういう考えは通常の場合でも行われますけれども、今年の場合は特にそうした配慮が必要だということでありまして、その点を強調しておるということです。
○読売新聞
県独自の施策というのは、具体的にはどういうことですか。
○溝口知事
それは、これから予算案の中で公表されますけども、いろんな景気に関連した対応もあるでしょうし、それから福祉等もありますね。いろんな分野についてそうですね。
○読売新聞
他県の事例では、とりあえず県が直雇用というか、今、例えば派遣で失職した方を県が臨時で雇うというふうな動きも出ているようなんですけれども、島根の場合はそれは。
○溝口知事
そういうアイデアもいろいろありますね。県自体がやるというようなことも考えられるでしょうし。
○読売新聞
知事は。
○溝口知事
例えば市町村がやる事業に対して、そういう中で臨時雇用的なものもやるとか、あるいは民間の社会福祉施設などがいろんな福祉のサービスなんかを提供したりしますね、あるいは環境団体のようなものが環境整備のためのいろいろな事業なんかもしますね。そういう事業なんかを通じて雇用といいますか、職場を、働く場をつくり出すというようなことも考えられますね。そういうようなことを含めて、どういうやり方がいいのか、あるいはどういう手法がいいのか等を含めて今検討して、年末からそういう作業をやっていますから、そういう中で、いろんな各界でも御意見がありますからね、そういうこともお聞きしながら、成案に向けて進んでおるということであります。
通常、2月の初めには予算がまとまります。一つ予算の点で技術的なことを言いますと、国から各地方公共団体に交付されます地方交付税とか譲与税とか、これかなり大きな財源なんですけれども、そこら辺が大体月末に、1月末になりますからね。そこが確定しませんと予算全体のフレームが確定しないので、予算自身も確定しないという関係がありまして、それで大体2月の初めに固まって、通常、2月の中旬に議会が開かれてというような段取りになるわけです。そこがなかなか、国の予算編成から地方の編成までに間があんまりありませんので、この点はなかなか難しい。
○読売新聞
今回、でもとりあえず県に臨時交付税が......。
○溝口知事
そうですね、交付金。
○読売新聞
あれは。
○溝口知事
あれも補正予算の中で計上して対応する。
○読売新聞
どう使いたいとかありますか。
○溝口知事
だから、それは今、関係各部といろんな知恵を絞っているということで、それはやはり雇用がふえるようにするとか、あるいは景気に役立つようにするとか、さらに福祉とかそういういろんな分野に渡っていくようにしなきゃいけませんのでね、そういう具体的なスキーム、対策をまとめているということであります。
○山陰中央新報
具体的に最終的に詰まってないというのはわかるんですけれども、いわゆる未曾有の危機だという中で、この補正予算について知事の考え方の方向性という、庁内にもいろいろ、こういう方向で考えろというふうに指示しておられると思うんですけど、その辺の考え方というのをもう少し具体的に、県民にもわかるようなメッセージとして。
○溝口知事
やはり県内の産業振興に役立つような対策とか、あるいは雇用そのものをふやすような対策とか、あるいはそういうものが市町村とか県自身もそうでしょうし、市町村を通じて行われるもの、それから民間団体に委託して行うもの、あらゆる手段を考えて、迅速にそれが県内によく行き渡るような対策を考えてくれと。だから迅速に、早く対応できるということですね。
○山陰中央新報
そういう意味で、今までもおっしゃってると思うんですけれども、切れ目のないという言い方の中に、例えば公共事業の安心・安全対策というようなことが言葉としては出とったと思うんですけれども、そういった意味で公共事業の来年度やるものを前倒しするとか、そういうようなものはあると考えていいんですか。
○溝口知事
ありますね。公共事業などは、前倒しというか、需要は、必要な事業はいっぱい将来に向かってあるわけですね。それは将来に向かって毎年毎年やっていくわけですけれども、そういうものを早くやるとかね。例えば中断しているような箇所を早く進めるとか、あるいは去年も中断しているようなところを改修していますけれども、それも去年で終わりませんから、その継続を行うというようなこともありますね。あるいは歩道なんかもなかなか未整備のところがあって、将来に向かって事業をしなきゃいかん、こういうものを早目にたくさんやるとかですね。あるいは災害防除の災害の危険のあるような箇所を直すとか、あるいは学校なんかでいいますと県立高校ですね、県のそういう耐震工事をしなきゃいかん箇所なんかもかなりあるわけですね。そういうものを早目にやっていくとかいうようなこと。それから環境の整備なんかも、例えば雇用の創出というようなことでいうと、民間団体とか、あるいは市町村などが竹やぶとかいろんな整備をしなきゃいかんところがありますね。そういうようなこともこういう機会にたくさんやるというようなことにしますと、それに伴って、そこで働く人たちがふえますからね。具体的に言うと、わかりやすく言うとそういうようなことをどんどんやっていくということであります。
だから、県だけでやろうとすると、これなかなか大変ですから、民間に委託をするとか、あるいは実際にやるのはやっぱり民間の企業であったり、民間のいろんな団体であるとか、あるいは社会福祉の分野なんかでも考えられますね。
○新日本海新聞
公共事業についていうと、補正で前倒しをして発注するということですか。それとも、例えば年度内に事業化といいますか、発注だけしておいて、新年度、予算がつき次第すぐ実施に移せるような対応をとるとか、そういった部分も含むんでしょうか。
○溝口知事
補正予算でやる場合は、やはり予算を計上しまして、それに基づいて支出権限を我々県の方が議会からもらって、その中でやっていくということです。実際に工事は年度内には無理でしょうから、無理なやつは、繰り越しという制度がありますから、繰り越しという制度を活用すれば、新しい年度が始まると、さらにその先の作業が円滑に進むということになります。本予算ですとそれからまだかかりますからね。
○新日本海新聞
ですから、例えば本予算で当然予算措置をするわけですけれども、すぐに事業に移せるように発注だけは前倒しして対応するとかということもあるかと思いますが。
○溝口知事
発注はできませんね。発注するためにもやっぱり予算の措置がありませんとできないんですね。
○山陰中央新報
冒頭の進め方の中で、国の対策に呼応するものと県独自の措置を織り込んだというふうにおっしゃっているんですけれども、これは、例えば補正の関係の交付金というのは県独自の財源ということになりますですよね。
○溝口知事
だから、財源的なものとやり方と両方ありますね。やり方も国の方で指示をしてこられるやつもありますし、例えば雇用基金を積みなさいというようなやつだと、もう事業の内容が確定していますから、それは国の委託を受けてやるというようなことになりますね。あるいは臨時交付金のようなことですと、これは一般財源ですから、島根など一般財源が少ないところは、一般財源としてやや多目に来たりしますからね。それは、財源は国でありますが、やり方をどう考えるというのは、県がいろんなやり方が考えられるということでありますし、今度財源自体も県の一般財源でありますとかを使うということもあるわけです。
○山陰中央新報
そこでちょっとお伺いしたいのは、今回の県の独自の財源を使う財源のもとというのが、国から来た交付金だけなのか、それとも補正予算の中で例えば基金を取り崩すなり、県の一般財源の新たな積み増しというのがあるのか。これがあるとすると、今度、県の財政健全化の方針との兼ね合いというのが出てくると思うんですけど、この辺の考え方をどういうふうにされるのかということで。
○溝口知事
健全化の方針は、今考えている大きな、この10年かけて、今二百数十億ある赤字を徐々に減らしていくと10年後には均衡する。これは徐々にやっていくわけでありまして、そういう基本的なところは、今回大きく変える必要はないだろうと。それは国の対策が随分打たれますから、それを活用することによって、それがなければ大変だったろうと思いますが、それを活用しますから、大きな流れは余り変わりませんが、さらに可能な範囲で、県の一般財源とか、あるいは起債だとか、そういうものも活用することも検討しておるということです。結局全体としていろんな事業が今の状況にあって増加をするとか、迅速に活用できるようにするとか、そういうことを今検討しておるということであります。
○山陰中央新報
国の方は、いわゆる2011年度のプライマリーバランス均衡という財政目標を、事実上今回の経済危機への対応で努力目標だというふうに修正をされた。県としては、財政健全化の大方針自体というのは、10年後の収支均衡という目標は崩さない。ただ、臨時的に......。
○溝口知事
それは、国の場合はいわば大分前から危機に入りまして、90年代に入って、それでずっと進んできたんですけども、この事態でそれではなかなかいかんだろうということになって、そういう状況ですね。
県の場合は、前から進んでおりますけども、国よりも少しおくれてそういう再建をしなきゃいかんということになりましたね。島根県のような自主財源や一般財源の少ないところは、国のような対応は、これ無理なんですね。国の場合は、例えば消費税をどうするかというような問題がありますが、県の場合は、例えば一般財源3,000億超えるところがありますけれども、地方税の部分というのは700億ぐらいですから、その分をふやしてやるというわけにいかないです。あとは交付税だとか譲与税ですから。そうすると、それは国の政策に依存することになりまして、国の政策を我々が左右できるんならそれはいろいろできますが、それはできないわけですから、そういう国の大きな枠組みを見ながら対応しなきゃいかん。その部分は、国がそういう状況ですから、例えば交付税とかがさらに地方に向けて今後ふえていくという見通しを立てて財政運営するというのは難しいですね。
そこで、国と地方との関係では、特に近年は交付税の増額なんかもありますけれども、国全体が景気が悪くて税収が落ちていますから、相当のことをしてもそんなにはふえない。そうすると、県自身でやれる範囲というのは、裁量の余地というのは国とは違いますから、国と同じ考えで対応すると非常に難しいことになるということであります。特に国の場合は、地方にはそういう状況がありますから、いろんな財政の指標をつくりまして、ある一定レベル、そういう債務負担が大きくなるとウオーニングを発するとか、ある水準を超えると、今度は強制的に、状況はいかがであれ対応するように指導するとか、そういう枠組みの中ですから、国とはやっぱりその状況が違うということでありまして、そういうことをよく考えながらですね。だから、さっき申し上げたように、今の景気の状況というのは、短期間で終わるかどうかはっきりしません。むしろ長引く可能性もありますから、そういう長期的な展望も持ちながら、県全体が困らないようにやっていく必要があるということであります。そこら辺のところをどうかじ取りをするかというのを今やっているというふうに御理解をいただきたいと思います。
○山陰中央新報
それで、そのおっしゃり方の中で、今のおっしゃり方を総合的に勘案すると、10年後の130億円基金を残しつつ収支均衡という、その目標自体はずらさない。
○溝口知事
それは今回はやりません。それは今後の状況を見て、あの計画自身をつくるときに財政改革推進会議の方々の御意見もよくお聞きしてやっていますから、今回の予算ができますと、また財政改革推進会議を開きまして、状況をお話ししたり、それからまた年度途中でもいろんな御意見をいただいていこうかと思いますし、財政改革推進会議に限らず、そうした県の状況なんかも、議会はもちろん県民の方々にもよく説明をしまして対応をしていきたいというふうに考えているわけであります。
○山陰中央新報
10年後の目標はずらさないけれども、今回、今年度の補正あるいは来年度予算の編成に当たって、先ほどおっしゃられた県の一般財源や起債も活用するということは、多少引いた線ですよね。そういうところを柔軟に対応するというお考えがあるのかどうかということなんですけど。
○溝口知事
まあ10年ですからね、年度間で、先にやるやつを早めにやるとか、年度間の調整はある程度はできるわけです。そういう柔軟性はもともとあるわけです。だから、財政健全化計画というのは毎年見直すということにしていますから、見直しを9月の時点でしましたが、その時点でさほど大きな、基本的な方向は変わってないんで、それはそのままいこうということにしていますからね。来年、景気の情勢とかがまた変わり得るでしょうから、来年といいますか、ことしの秋の時点でもう一回よく見直してみるということでありますね。だから、計画そのものがそういう意味でローリングをするということになっていますから、そういうプロセスの中でやっていけば、今の状況は対応できるというのが私の判断であります。
○山陰中央テレビ
となると来年度予算は若干、今までずっと減額だったわけなんですけれども、知事の今までの話を総合すると、久しぶりに増額予算になる。
○溝口知事
だからそれは補正、切れ目のないというのは、補正予算で前倒ししてやりますのもありますから、補正予算と来年度予算をあわせていわば15カ月予算といいますか、14カ月予算といいますか、そういうような考えで見ておると、編成しようとしているということです。
○山陰中央テレビちょっと定例、まだ時期が早いんですが、新年度予算の規模というのは大体どれぐらいになると。
○溝口知事そこまではまだあれですね。さっき申し上げましたように、一番大きな交付税だとか、そこら辺がどうなるということが確定していませんからね。それがないと大きな枠組みも確定しない関係にありますから、もうしばらくお待ちいただきたい。
○山陰中央新報そういう意味では、補正予算の規模というのはある程度見えている部分というのはあるんじゃないですか。
○溝口知事いや、補正予算も、要するに来年、わかりやすく言うと、2月議会に出します補正予算と来年度予算をあわせて来年度予算と考えてもらえればいいでしょうということですね。
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