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12月(第2回)定例記者会見(12月26日)

国の予算編成等について


■知事コメント

 

 今年は、今週のこの記者会見が最後になると思います。4月30日に就任して以来、7カ月余がたとうとしておりますけども、この間、県民の方々の御意見をお聞きしたり、あるいは議会でのいろんな議論を踏まえまして県政を担当してまいりまして、財政の健全化でありますとか産業の振興でありますとか、あるいは雇用の推進等々の急を要する分野につきましては、基本的な考え方を整理して、政策の大きな枠組みを示すというところまで来まして、今、その実施に当たっておるということであります。もちろんそのほかにも災害復旧でありますとか文化の振興、それから福祉、医療等々の分野でもいろんな問題が山積しております。引き続き来年もこういう分野について全力を挙げていかなければならないと考えております。

 

 先週は、国の予算編成の最終段階でありまして、私も上京いたしまして知事会で議論をしたり、あるいは政府の方に申し入れなどもいたしました。特に地方財政に関しましては、国の地方財政対策の充実、特に地方部に向けた対策を充実してほしいという要望を秋以来ずっとやっておりました。島根県もやっておりましたけども、今回の政府の政策の中で、予算の中で、法人事業税の2分の1を国税として、それを譲与税として配分し直すということが決まり、さらにそれに伴いまして不交付団体の地方税が減る分だけ交付団体の地方税がふえますから、交付税が、ほかの条件が変わらなければ小さくて済むわけですけれども、そこを減額しないで、その交付税を、大体4,000億ぐらいになるようですけども、地方団体に交付すると。特に財政力の弱いところ等を中心に行うということが決まったわけです。4,000億の内訳としては、市町村に2,500億、府県ですね、府県といいますか、県でしょうか、に1,500億ということになります。しかし、具体的な数字が各県、各市町村どうなるかというのはこれからでありまして、そこはまだわからないわけでございます。

 

 また、そういう中で、この交付税全体が4,000億、前年に比べましてふえるということでありまして、これは、交付税の増額ということは4年ぶりでありますし、それから地方財政計画上、一般歳出がプラスになるというのも、これ、9年ぶりだったと思いますけども、ふえるわけでございまして、秋ごろから言われておりました政府・与党も地方部に対する地方財政対策を強化するということについて、一歩前進があったと評価をしております。

 

 このやり方についてはいろんな案がありました。一番やっぱりいいだろうと言われておりましたのは、法人関係税の一部なり全部なりを国税に移して、そのかわり国の消費税を同額、地方消費税としてもらって、それを地方消費税の配分の仕方で配分するという案が、消費税は安定してますから、いいということがありましたが、それは今後、税制の抜本改革が今後予定されると言われておりますけども、そういう中で検討していこうということになっておりますし、また、金額自身ももう少し調整の金額ですね、多くてもいいという意見は地方団体の中にありますし、島根県も同じでありますので、これにつきましても引き続き政府に対して要望していくということだろうと思います。

 

 それから、道路特定財源もこの予算編成の中で一定の見直しがありましたけども、決定をされておるわけでございます。特に島根県では山陰高速道の全通というのが大きな課題でありましたけども、道路特定財源問題を処理する中で、中期の道路整備計画の中にこの路線の整備も含まれておりますから、正式に山陰高速道が完成するめどが立ったということであります。

 

 それから、水産関係等々で燃油の高騰に伴う問題が出ておりましたが、農水省の方の補正予算等で一定の対応が進んでおりますし、それから農業の見直しの問題、品目横断対策と生産調整の分野についても前進が見られているところでございます。そういう意味で、政府の地方部に対する政策も一定の進展を見たと評価しているところでございますが、まだ十分でないんで、引き続き対応を求めていくということだろうと思います。

 

■質疑応答

 

○山陰中央新報

 国の予算の関係なんですけれども、先ほどお話がありましたように、4,000億円なりの地方再生対策費というのが盛り込まれたわけですけど、これ、島根県にどれほどの影響があるかということは、現段階でどのように見ておられますでしょうか。その配分として、島根県に来る額ということですけど。

 

○溝口知事

 いや、そこはまだわかりませんのでね。

 

○山陰中央新報

 標準的な団体で20億円程度というような言い方を......。

 

○溝口知事

 そうですね、標準の県でいえば170万人ぐらいの人口ですけども、ただ、財政力の悪いところとか、あるいは改革をやっているところとか、そういうもともとの対策が地方部における地方公共団体の財政基盤を充実するということでありますし、それからやっぱり大都市部に税源の偏在があって、それを調整するということですからね、当然財政力の弱いところに傾斜のかかった配分になると思います。したがって、ある程度は期待もしたいところですね。

 

○山陰中央新報

 というのは、標準的な20億円よりも、島根県は多い勘定になるという......。

 

○溝口知事

 いや、まだ総務省においてどういう基準でやるかというのを検討中でありますから、やはり高齢者の比率が多いとか、あるいは市町村なんかですと山林、森林が多いとことか、あるいは財政力が弱いところとか、そういうものを配分の基準の中に入れる検討が行われているようですから、島根の県あるいは市町村、ある程度の額が期待し得るんじゃないかと思っておりますが、詳細はわかりません。

 

 一つ、市町村の関係でいいますと、合併をしましたね。合併をした市町村については、合併前の市町村で計算をして、それで配分をすると言っていますから、そうすると、合併して平均的な財政力が高くなったとしても、悪いところに着目して配分を傾斜しますから、そういう合併の市町村なんかでは、交付税の増額がほかよりも割り当てして相対的に大きいということはあるんじゃないかと思いますね。これも島根県などにとってはありがたい措置だろうと思います。

 

○山陰中央新報

 島根県としては今、財政再建を、健全化方針を決めて取り組むというところで、金額としては数十億円単位というオーダーですけれども、予想外というとあれですけども、その計画以上の財源が新たに得られるということになると、例えばこの分の使い道といいますか、その辺のところというのは、今後、予算編成の中で検討されていくんだと思うんですけど、その辺の考え方といいますか、それをお伺いしたいんですけども。

 

○溝口知事

 一つは、基本方針自体、見通しは毎年ローリングをしていくということにしておりますね。経済の状況だとか政策が変われば、それに合わせて見直しをしなきゃいけませんから、そういう意味で見直しの一つの要因になりますね。そういうときにどういう見直しをするかということと関連するわけですが、一つは、やはり今の県財政の悪化が長年にわたって続いたわけでありますから、解決するのに時間がかかる、今の計画で10年ということになってるわけですね、特例的な給与減額等なしに収支が均衡すると。それをやっぱり早く実現するというのは一つの大きな命題ですね。それが一つ。

 

 それから、もう一つは国の政策もさらに充実してということが期待されます。一方、世界経済全体を見ると、今は非常にリスクがふえておって、いつ景気後退が起こるかもしれないという問題があるわけです。そうすると、それが日本経済に及べば、今度は税収が国も地方も落ちますから、そういうリスクに備えがなきゃいかんということが2点目ですね。

 

 他方で、やはり地方財政が悪化をしておって、そのために地方の政策の実行が十分できないという現実があって、こういう対策もとられているわけですから、やはりそうした対策を充実するということも考えなきゃいかんと思ってますね。

 

 この3つの要素ぐらいを頭の中に入れまして、これから関係者の方々の意見も聞いたりしながら決めていく必要があるというふうに思いますが、そういう状況ですね。

 

○山陰中央新報

 具体的に言うと、早く実現するというのは、借金体質の改善ということ、それから備えというのは、例えば基金に積むということ......。

 

○溝口知事

 1、2は似たようなことで、やはり借金の返済をすると。公債費の増嵩が今の財政の悪化のもう一つの要因ですから、公債費がなかなか減らないわけですね、黒字にならない限り。あるいは取り崩しを減らさない限り。そういう意味で、借金から少し身軽になるということも考えなきゃいけませんし、それから対策ですね、それは県民の生活、あるいは県の産業振興等々、必要な分野を、もちろん根っこの予算がありますから、その上にどう考えるかというのも検討課題で当然あるわけでありまして、これにつきましてはいろんな意見があり得ると思いますんで、よく皆さんの意見なども聞きながら、全体として予算全体をどういう姿にするかという中で検討していく必要があるというふうに考えておりますけど。

 

○山陰中央新報

 バランスというのが大事なんだと思うんですけど、政府が予算を地方の対策といって銘打った以上、やはり県民生活に資するような形で使われるという、その趣旨というのはあるという......。

 

○溝口知事

 そうですね。基本はそういうことです。だから、現在の施策に充てるか、借金を減らすというのは将来の負担を減らすことによって、将来、そういう政策の余地が拡大できるわけですね。だから別に、同じことなんですよ、基本は。それは長期的な視野の中でどう考えるかという問題ですね。

 

○山陰中央新報

 だから、それにしても、要は短期的にやっぱりある程度目に見える形で県民への対策を打ったというようなメッセージ性を持つ、そういう予算というのも必要になるんじゃないかと思うんですけど、その辺のところについて一定のものをするという考えはおありですか。要は全部借金に回すとか、全部基金に積むということじゃなくて、一定部分は......。

 

○溝口知事

 いやいや、それは全部ということじゃ、やっぱりいかんでしょうね。それは借金返済すれば、将来使えるお金がふえるという意味はありますけども、やはり現在も必要な分野がありますからね、だからそれはそういう時系列の中で考えるということです。

 

○NHK

 今のに関連して、今現在必要な分野ということでおっしゃいましたけど、今一番必要な分野というのはどうお考えか、お願いします。

 

○溝口知事

 それはいろいろありますね。それはあらゆる分野、そういう需要があるわけですから、そういうものの優先順位をどう考えていくかということは、いろんな方の意見もやっぱり聞かないといけませんね。

 

○NHK

 知事、冒頭、来年の課題として医療、福祉ということで例に挙げておられましたけれども、来年度予算、今編成中だと思うんですが、どの辺まで痛みが伴うとか、手を入れるとか、逆に交付税が増額を見込んで手厚くするとか、今のところの予想というか、考えというのはありますでしょうか。

 

○溝口知事

 さっき申し上げましたように、いろんなリスク要因もあるわけですから、リスク要因というのは将来、経済全体がどうなるか、それに伴って税収がどうなるかというリスクもあるわけですから、そういうものも考えながら、将来の準備も考えたような対応が必要だろうなという気がしますし、いろいろ財政の制約から、これまで非常に抑制をされて、その問題が大きいといった分野は配慮する必要があるでしょうし、あるいは社会的に弱い立場にある方々でありますとか、おくれている災害復旧などとか、そういうこともあるでしょうし、これは行政需要はいっぱいあるわけですから、その中から、予算全体の中で考えていく必要があるということであります。

 

○山陰中央新報

 今回の、補正に当たるんでしょうかね、灯油の高騰に対して特交を充てるというような対策が政府から出されて、ひとつ制度的に、国は対策と言っているんですけれども、事実上、地方に配分されるはずの特交の中から半分は出します、あとは一般財源で市町村がやってくださいという、この制度設計自体、ちょっと何か腑に落ちないところがあるんですけど、その辺、ちょっと知事、お考えはないでしょうか。

 

○溝口知事

 それは、あらゆるものがそうですね。一定の分野に資金をシフトすると、全体の総量が同じであれば、ほかの部分が影響を受けるわけでして、まさに政策というのは、どこにシフトするかという問題なんで、そういう意味で全体のバランスを考えてやるということでしょう。

 

 それで、灯油の問題についていろんな対策がとられているのも、過去と比べると灯油の上昇による経済へのマイナスの影響、あるいはそれの影響を受ける人々が、あるいは企業がある程度集中しているとか、そういうところがあるんで、その部分にシフトするということになるわけですよね。

 

 それからもちろん税収全体がふえて、歳出がふえれば、そのふえた分を充てるということにはなりますが、いずれにしてもどこかだけプラスの影響を受けるんじゃなくて、それは相対的にほかにも影響は及ぶということですね。

 

○山陰中央新報

 だから、それはわかるんですけれども、今、国が灯油の高騰対策をやったといって喧伝されているんですけれども、現実には地方に配分されるお金と地方の一般財源でやってくださいという、この仕組み自体、どうもちょっと納得いかないと言ったらあれですけど、地方が勝手にやってくださいという政策にも見えるんですけど。

 

○溝口知事

 それは全体の財政の中で、そういうことは起こるわけですね。道路の特定財源のところも、一般財源も少しふえたりはしましたが、それも道路関係の施策なんかに充てるというようなことがありますわね、CO2の対策でありますとか。そういう形でも影響は及びますし、あるいは一部は高速料金の引き下げというようなことにも充てられるというようなことがありますから、それは国の予算全体は、総枠がそうふえない状況ですから、どこかにシフトするということは、どこかから回るということを意味してるわけですよね。

 

○山陰中央新報

 いや、それでお聞きしたいんですけど、要は島根県も行政上寒冷地というところは比較的少ないんですけれども、影響を受ける方はいらっしゃるという中で、あと都道府県と市町村がどういう判断をしていくかということになると思うんですけど、島根県としては寒冷地、特に弱者への対策というような面で制度が出てきているわけですけれども、島根県としての対応というのは、今のところどう考えておられますか。

 

○溝口知事

 国の施策もまだ詳細がはっきりしてませんから、そういうものをよく見まして、どういう対応が必要か、これから検討する段階ですね。現段階でこうだという状況には、まだ至ってないということであります。

 

○山陰中央新報

 そのやる方向、やらない方向ということも、まだ。

 

○溝口知事

 政府の対策の詳細が、まだ十分はっきりしてませんから、それをよく研究してということです。


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