8月(第1回)定例記者会見(8月9日)
改革推進会議からの提言について
■知事コメント
それから4番目は、昨日、島根県の財政健全化のための改革推進会議が設立をされ、その審議の結果、提言が取りまとめられておりますが、委員長の山本廣基島根大学副学長と、委員長代理の小松泰夫山陰経済研究所代表取締役社長、お二人が代表でお見えになりまして、お取りまとめになった提言を提出をされたところであります。
私どもは、短期間に3回の公聴会を含め、精力的に審議をされ、我々の今後の作業の指針となる提言をお取りまとめいただき、大変感謝をしているところでありまして、私どもはこの会議の提言を真摯に受けとめまして、県としての財政健全化の基本方針の作成に取り組んでまいります。最終的には10月の末に県としての財政健全化の方針を決定をいたしますが、その前に、作業としては8月下旬には基本方針の骨子のようなものを提言に基づきまして作成をするということであります。
それから、議会でも審議をいただいたり、あるいはその後、県内各界からの御意見もありますでしょうから、そういうものを参考にしながら9月の中旬に基本方針の案を作成します。それは具体的な健全化の方策などを含んだものになりますが、それを9月議会でも御審議いただき、あるいはホームページに載せたりいたしまして、県民の方々から御意見をいただいて、その上で10月末に決定をするというような段取りを考えておるわけでございます。
■質疑応答
○山陰中央新報
きのう、提言を受けられた後で、提言の中にも地方税と地方交付税制度の充実を国に対して強く働きかけるべきであるというくだりがある中で、知事の方が、新しい仕組みというのを島根県としても提案をしていきたいというような言葉があったかと思うんですけれども、これは県として国に対して地方税や税制、交付税制度について、新たな提言、仕組みについての提言というのをまとめるというお考えなんでしょうか。
○溝口知事
国に対してとか一般に対してとかは別としまして、前からやはり島根県のような財政の厳しい県が幾つかあるわけでありますから、そういうところと一緒になって国に訴えていきたいということはありますが、それにしても具体的な案も提示をすると。それはいろんなやり方で公表し得ると思いますので、やり方は今確定しているわけじゃありませんが、少し具体的な案を作成して、世の中に問題提起をしたいという考えは、私自身も持っておりまして、それをやっていきたいということです。
結局何が問題かというと、地方自治の推進ということで、補助金を整理しまして、それに伴う財源を地方に付与するというのが大きな地方の財政に関する流れですけども、その過程で、数年前に国税対地方税の割合を5対5にしましょうという、基本的に原則は地方の側でも承認をしておって、これを目指していこうということになるわけですけども、そのやり方によっては、補助金が例えば100、今まであったけども、それに対する、じゃあ地方税収が100、既にどこの県でもふえるような仕組みというのは、実はないわけですね。多分何も手当てをしなければ、補助金が100なくなって、それに伴う地方税源が100、地方全体としては渡っても、地方の中で地方税の上がるところと上がらないところがありますから、補助金が例えば100のうち、島根が3もらっていたとしましても、じゃあ地方税で100、地方に移った地方財源のうち、100のうち3が島根県に入るかというと、今の仕組みではなかなか難しいと思いますね。
従来は、そういう税収の格差、経済力の格差というのは交付税で調整していたんですけども、交付税を使うということじゃなくて地方税を使うということになっていますから、やはり地方税の中でそういう調整をしないと補助金の整理がうまくいかないということでありまして、それは7月に熊本で全国知事会がありまして、そのときに富山の知事さんがいろんなケースで県ごとに補助金を、例えば3兆を整理すると、補助金の減と税収の増でどういう差異が出てくるかというのを示しておりますけども、それを見ますと、明らかに経済力のあるところは地方税収の方が補助金の減よりも大きいですから財政はプラスになると。しかし、経済力、経済発展がおくれているところは、税収の減の方が大きいですからマイナスになるといったような試算が幾つか示されておりまして、この問題を地方全体として処理をしていかないと、国と地方の行政の、あるいは財政の関係を見直すといっても進まないだろうという意見が大勢を占めていたと思いますね。そういう意味におきまして、そういう調整をどうするかということが重要な課題になるわけでありまして、そういう観点から、こういう方法があるんじゃないかといったようなことを問題提起するということは、意義のあることじゃないかと思っているということであります。
○山陰中央新報
確認ですけど、その提言そのものは、島根県として訴える......。
○溝口知事
いや、いずれにしてもつくるのは島根県でやっぱりつくって、訴えるときには知事会でまず一緒にやったり、あるいは隣県とも一緒にやりましょうとか、あるいは中国知事会でやりましょうということもあるでしょうし、基本的には似たような立場にある県で協働していくということが一番現実的じゃないかと思いますけどもね。
○山陰中央新報
作成段階で連携ではなくて、まずは県としての一つ案をつくる......。
○溝口知事
いや、作成しても、その後、また調整もすればいいですしね、要するにもととなるようなアイデアをまとめるということでありますね。
○山陰中央新報
それともう一つ、そのスケジュール的なところは何か。スケジュールは何かイメージがありますですか。
○溝口知事
なるべく早い方がいいだろうと思っていますけどもね。
○山陰中央新報
それは例えば、今年度の地財に間に合う、来年度の地財に......。
○溝口知事
秋にかけていろんな議論も進みますし、年末にかけて議論も進みますから、そういう議論をにらみながら作業を進めていくということです。
ただ、県自身の財政の改革、来年の予算編成という仕事が関係部局にありますから、そういうほかの作業も見ながら考えていかなきゃならんという要素もありますね。
今は、だから具体的にスケジュールだとか、具体的な案が固まっているわけじゃないですが、基本的な考え方はそういうことです。
○山陰中央新報
具体的にいうと、補助金削減と地方への税源移譲ということを前提として、地方交付税制度とは別枠の地方税による地方間の調整の仕組み......。
○溝口知事
調整のようなことですね。だから、よくいろんな議論を見て、私感じますのは、補助金整理に伴う地方財源の移転の問題、その移転をどうしたらいいかという問題と、そもそも今、それが起こる前に格差があるからね、それを調整しなきゃいかんという議論の2つがありまして、それが混同しているもんですから、やや議論がわかりにくくなっているということでありますが、今ある格差の問題は別として、今後、補助金整理を本格的に進めようとすれば、そういう財源がちゃんとそれぞれの県ごと、あるいは市町村ごとに手当てされるような仕組みがないと、補助金整理だけするというのは、絵にかいたようなもちになるということでありまして、そういう発言は、熊本における知事会、あるいは5月でしたか、東京における知事会等でも、島根県と似たような県から出ておりますね。
それと、今ある格差の問題、東京とか都市の都府県において景気がいいので税収が上がると。それは法人税収が上がっているから、法人税収というのは偏在性が強いから、それをもっと偏在性の少ない税にかえたらどうかというのは、補助金整理とは直接はリンクしない話ですね。現状で税収の格差が起こっているから、それを直すべきだという議論になるわけですが、それはそれぞれの立場からいろんな議論があり得るだろうと思いますね。
○山陰中央新報
ここは今の提言というところには......。
○溝口知事
そこは、そういう問題はもう既に議論されておって、ふるさと納税などはその一つですけども、ふるさと納税はそう大きな調整の機能を分担するような感じではだんだんなくなっているような印象を受けますね。そこはまさに偏在性の大きい法人二税にかえて、もう少し偏在性の少ない税に、地方税の中でそういう組みかえをしたらどうかとか、いろいろ議論が出ておりますけども、それは国自身においても検討されておりますから、どういうやり方でやるかということについては、既にいろんな案も出ていますから、それを見守り、島根県としての主張をしていくということではないかと思います。
○毎日新聞
今の段階のアイデアでも結構なんですが、地方税の財源調整というのは、一体だれがやるんですかね。交付税の場合は、当然国が一括して集める、国が調整すればいいんですが、地方税となると、またそういう問題が出てくると思うんですけど。
○溝口知事
そこが難しいところですね。やはりその仕組みをどうするかということが重要なポイントだと思います。地方が、例えば知事会のような組織がやるというわけにいかないですよね、意見が違いますから。だからまとまる仕組みがなきゃいけないわけですよね。そうすると、それは全県を覆うような仕組みになるでしょうから、国がどう関与するのか、地方の意見、代表はどうなるのかとか、そういう仕組みをどうするかということが大きな、重要な点ですね。それは、交付税のように国で全部やるということになりますと、その差異がわかりませんからね。だけど、交付税もそういう調整の機能を持っていますから、そうすると、交付税の調整の機能と地方税を使う調整の機能をどういうふうに組み合わせるかという問題も大事な問題になりますね。非常に難しい問題ですよ。
○朝日新聞
ただ、この提言の中にもあるように、国に対しては、地方交付税制度の充実を働きかけていくというようなこともきちんとやってくれというお話があると思うんですが、地方間の調整ということと、また地方自治体として国に対して働きかけていくということが、どういうふうにバランスをとってやっていったり、どちらを優先させていったりするんでしょうか。
○溝口知事
だから、補助金整理に伴うやつは、補助金の削減に見合うだけ財源の付与が地方全体と同時に、影響を受ける地方団体ごとに確保されなきゃいかんという問題があると。地方税の財源を確保するとか、あるいは交付税総額を確保するというのは、毎年の財政運営において支障が生じないようにしてほしいという、いわば毎年生ずる問題ですね。それから、いずれにしても補助金整理だとかが進まなくても、地方財政は赤字でして、その部分は交付税でありますとか、あるいは交付税にかわる財源対策債のようなものを発行して調整をしているわけでありまして、その問題が補助金整理とは別にあるわけですよ、常に。したがいまして、そのときにはやはり交付税の総額が確保されるようにしてほしいと。
ただ、問題は交付税の総額というのは、地方財政計画を組んだときに地方全体の歳入歳出がバランスするように交付税の総額が確保される必要があると。地方財政計画上の歳出を切り詰める、非常に切り詰めることによって交付税総額を落とすんじゃなくて、あるいは地方財政をバランスさせるんじゃなくて、交付税の一定額は支障がないように確保してくださいというのは、地方として常に主張してきておるということであります。
○NHK
提言をきのう受けられて、いろいろ提言の案というか、そういったものが、方策というのがあるんですけれども、これから基本的な方針を策定するに当たって、ここだけはぜひ、具体的にこういうふうに盛り込んでいきたいとか、そういった具体的なイメージみたいなものは、特にこの中で、ここだけはというのがありますでしょうか。
○溝口知事
いや、ここだけはじゃなくて、全部やっぱりやる、実現するように努力をしないと、財政の健全化はこの提言に言われているような形では実現しないだろうというふうに考えておりますけどね。
○NHK
収支均衡の時期については、どれぐらいをめどに考えておられますか。
○溝口知事
これは、これから具体的に詰めますけども、収支均衡というのは、特別な措置をとらずに均衡する、ある程度自然体で均衡するというようなことでありますから、今、二百数十億ある赤字を、特別な措置をとらずに均衡させるとなると、やはりかなりの期間がかかるだろうというのが我々の見方でありまして、具体的にその期間をどうするか、あるいは提言の中にありますように集中改革期間、3年ないし5年をめどとして集中改革を進め、その間に赤字の相当部分を削減するようにということでありますから、それを前提にしますと、5年の後も若干は赤字が残りまして、それをさらに減らしていくということになりますと、その後も若干収支均衡に至るまでは時間がかかるだろうというふうに見ています。
○毎日新聞
提言の中に新しい施設は当分つくらないというのがありますね。今のイメージの中で、これにひっかかってきそうな施設って何かありますか。
○溝口知事
今、特別あるとは思いませんけども、十分精査をしなきゃいけませんけどもね。
○毎日新聞
澄田さんのときに無期延期になっている、例えば古代研とか、ああいう計画にも影響してくるという感じでしょうか。
○溝口知事
いえ、今、具体的なところは、どういうものが影響するかというのは言いませんが、ほかで厳しい削減を行っているときから見て、そういうものとの対比上、急ぐ必要があるかどうかをやはり個別に見た上で決めないといかんと思いますが、今予想される厳しい削減、事務事業の見直しとの対比でいえば、ぜひとも、もうすぐ計画をつくってやらなければならないものがどの程度あるかというのは、そう多くないだろうと思っていますけど。
○朝日新聞
先ほど集中改革期間を3年から5年にして、若干の赤字が残るので、その後数年間かかるだろうというお話だったんですけれども、そうすると、この提言を受けて、具体的に3年から5年程度の期間がどれくらいをイメージされているのかということと、実際にその期間を集中的に改革すれば、相当程度は解消できるというふうにお考えだということなんですかね。
○溝口知事
できますが、それは厳しい措置を続けて可能なんだろうと思うんですね、集中改革期間でも。しかし、自然体で均衡していくのには3年ないし5年ではなかなか難しいと思いますね。それで、ここで相当程度は解消するというのが(資料の)2の(2)にありますね。だから、これは相当程度というのは数字がありませんけども、常識的に考えて相当程度だろうと思うんですね。
○朝日新聞
程度、どのくらいのことが......。
○溝口知事
いや、それは今度、骨子を下旬というか、お盆明けぐらいには出しますが、その中で明らかにしたいと思いますが、今の段階では、相当程度ですね。将来、財政の赤字が大きくならないようなところまで持っていくということですね。
○朝日新聞
将来赤字が......。
○溝口知事
赤字がさらにふえるとか、要するに赤字の口が開いていくというようなことはないようにするということですね。相当程度、この赤字がしぼんでいくという見通しが立つようなものでなきゃいかんと思っています。そういう具体的なところについては、今後、1週間から10日ぐらいの間に整理をして、骨子の中でお示しをしようと思っていますけれどもね。
○朝日新聞
ごめんなさい、細かくて。先ほどちょっと自然体、自然にという、3年から5年集中して......。
○溝口知事
それは、かなり無理な、非常に厳しい削減をしたりしなきゃいけませんね。しかし、例えば行政の改革を徐々に、定員の削減なんかもやってまいりますね。そうすると、後年度になればそういう効果がだんだん大きくなっていくわけですよ。そういうことが行われていけば、厳しい、自然体でも均衡していくと。
○中国新聞
その中で、人件費の削減で、給与カットの継続というのが一つの焦点になると思うんですけど、集中改革期間の間に今のカット率をさらに引き上げるというようなことはお考えではありませんか。
○溝口知事
今、その問題について申し上げられるような段階にはまだありませんね。この提言の内容を具体的にしていったときに、どういう姿が描けるかということをよくチェックをして、その上で考えるべき話だろうと思います。いずれにしましても、影響を受ける県民の方々の立場、いろんな人が影響を受けるわけですから、そういう面に十分、そういう状況を見ながら具体的な案を考えていきたいと。それはやはり、よく慎重に考えていく必要があるもんですから、提言をもらって、今どうするというような簡単なものじゃないですね。
○中国新聞
実際に二百数十億の大部分を収支均衡にまで持っていくということで、何ができるかというところで、もう打つ手があるようでないというか、もうばっさりやるしかないような気がするんですけど。
○溝口知事
ええ、いずれにしても多くの方々が影響を受けるわけですから、できるだけ理解を得るような案を作成していくというのが重要な課題ですね。それをこれから慎重にやっていこうということです。10月の末には、その過程でもいろんな意見をお聞きしなきゃいかんと思っています、その上で10月末に正式に決定をしようということであります。
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