7月(第1回)定例記者会見(7月10日)
当面の予定について
■知事コメント
1つ目は、当面の予定であります。
きょう午後、総合開発審議会があります。来年の3月に総合発展計画を発表することになりました。そのための審議会の第1回目の会合であります。12、13日に全国知事会が熊本であります。それから、熊本から帰りまして、13日に浜田におきまして第3回目の改革推進会議をいたします。それから、14日は隠岐と伊丹空港のジェット機が運航いたします。これについては後でお話をいたします。あと、18日に一日対話の日を雲南で行います。
■質疑応答
○日本経済新聞
総合発展計画ですけれども、まず知事として大体どんなようなイメージを持ってまとめていかれるのか、個別、細かいところはこれからにしてもですね。
○溝口知事
基本的な考えの部分、それと政策体系にしたものと、2つの部分から構成されると。これは大体前回と似たようなことですね。
それから、内容としては今後の長期的な島根県の発展についての展望を描くということですね。展望の中で、当面の問題としては財政の再建という、健全化ということをやらなければいけないわけでありまして、それと整合性を持った展望でなければいけないと。内容としてはそういうことになりますかね、大きな内容としては。
それから、期間は、いわゆる長期的な展望としては10年ぐらいを見渡した長い動きですね。ただ、それだけではいかんので、数値的にどういうことを目指すかというようなことになりますと、22年度ぐらいを目標年度に置きまして、可能なものについては数値目標を立てていくということであります。
それから、発展の目指す仕方、それは私も公約で申しましたけども、活力ある産業の発展といった分野ですね、それから県民の方々が安心して暮らせる島根といいますか、そういう分野、それから次世代を担う若者たちを育成するとか、あるいは文化を振興するとか、そういった分野、3つぐらいの分野に分けまして、そういう分野において具体的にどういう目標を立て、どういう施策を展開するかといったようなことを審議をお願いをしたいというふうに思っておりまして、きょうの会合におきましても、そういうことをお話をしたいと考えております。
○日本経済新聞
全国知事会ですけれども、なかなか熊本、今、大雨の中でいろいろ準備も大変だと思うんですが、島根県としてどんなところを中心に主張していくお考えがあるのか、それともう1点、ふるさと納税について、大きなテーマになると思われますので、その点について改めて現時点で知事のお考えをまたお聞かせいただけますか。
○溝口知事
熊本におきます知事会の大きなテーマは、今始まりました第2期の地方分権をどう進めるかということについて、知事会としての考えをまとめていくということが大きなテーマですね。今、国においては地方分権改革推進委員会におきまして地方分権をどう進めるかという議論がなされておりまして、秋にはその中間報告が出ると見込まれておりまして、それへ向けまして地方の立場、知事会の立場から意見を言っていくということで、知事会としての意見をできるだけまとめるというのが今回の主要なテーマですね。その中では、やはり権限の移譲、あるいはそういう中で国庫補助負担金の整理合理化を進めると。その際に、あわせまして税源を国から地方に移すという税源移譲の問題、そんなようなことが大きな問題でありますし、あるいはそういう中で国の地方支分部局のあり方はどうするかということも議論されると思いますね。私どもとしては、基本的に地方分権というのはさらに進めていかなければならないと、こういう基本原則は強く主張し、みんなも共有するところだと思いますね。そういう中で、できるだけ住民に身近な行政は地方に移していくということでありますね。
それから、それに伴う税源移譲の問題につきましては、将来的には国税と地方税の税源配分を5対5にするということが地方団体、あるいは知事会でも合意をされておるわけですけども、他方で島根のような地方税収が歳入全体に占める割合が非常に低い県、そういうところはやはり交付税という地方団体間の財政調整措置に大きく頼っているわけですから、地方税全体がふえても島根県の地方税がふえるわけじゃありませんから、やはり地方団体間の財政調整というのをきちっとやっていく必要があると。それがなければ権限の移譲も税源の移譲もうまく進まないといった主張をやっていきたいと思っております。これは前回も言っているわけでありますから、同じようなことを強調していくということでありますね。
それからもう一つは、個別のテーマとしてはいろんなことが議論されるわけですけれども、そういう中では、やはり21年度末に期限の切れます過疎法の後の新しい過疎法をどういう内容にするのか、そういうものを早目に検討していく必要があるということですね。それから新過疎法の成立に向けて体制を整備をしていくと。これは全国知事会の中でもそうですし、中国5県でもやってるわけですけれども、国において、国会等の対応を知事会として求めていくといったこと、その2点が島根県として大事なポイントじゃないかと思っておりますけど。
○日本経済新聞
ふるさと納税については、当初ほど積極的な声が影を潜めたように思うんですけども、地方の側からですね。そのあたりについて。
○溝口知事
ふるさと納税は、前から申し上げておりますが、今までにない発想で提案をされておるわけですね。それはやはり地方財政が大事だと、特に地方団体間でいろんな格差があって、それを是正する新しい方途として提案をされているわけです。それは、そういう意味では我々が地方団体間の財政の調整をきちっとやっていかないと、地方全体としては税源がふえてもうまくいかないんだという主張とぴったり合っているわけでして、基本的にこれをサポートしているということですね。
ふるさと納税は、どの程度の規模になるかとか、どういうやり方が可能なのか、実務的にもいろんな問題があるようですから、その検討が政府においてもなされておって、それを見守る必要がありますけれども、ふるさと納税だけでは今の地方団体間の財政調整の問題というのは解決するわけではありません。助けにはなりますけれどもね。だから、やはりメインは交付税あるいは地方共有税という考えもありますけども、地方団体間の財政調整をきちっとやっていくということを強く言っていく必要があると思いますね。
○山陰中央新報
先ほどの税源移譲の部分ですけれども、第1期の分権改革のときは数量的にある程度目標を定めてやって、今回、第2期改革というのは一部で声も出ているようですけれども、あえて数値目標というか、そういうものもあってしかるべきかなあとも思うんですが、知事個人的にそういう規模について、何かお考えはお持ちじゃないでしょうか。
○溝口知事
そういう税源移譲に規模を数字で言った方がいいという県といいますか、地方団体もあると思いますね。私は、まず数字ありきということじゃなくて、例えば大きな金額の税源移譲をしなきゃいかんとしたら、それに伴う財政調整の仕組みがきちっとするという前提がなきゃ、そういうのは無理なんで、例えば5兆の補助金をやめると、そうすると5兆を例えば税源移譲でやると。そうすると税収が多いところはもらい過ぎになるわけですね。少ないところは調整措置がなければ補助金の廃止に伴う収入というのは増えないわけですから、必然的に財政調整というのが必要になるわけですよ。しかし、国税の方が減っていくと、交付税というのは国税の一定割合、五税ですけどもね、を前提にしてやってるわけですから、既存の交付税の仕組みではなかなか対応し切れない部分があるのと、それから最近のように法人税収が上がって、そうでなくても地方団体間で財政力の格差が拡大しているときには、それ自身に対してもやらなきゃいかんと。その上に税源移譲に伴う調整措置が入るとなると、相当大がかりな調整をやるということが合意されてないと無理ですね。だから、そういう議論がまだ十分行われてませんから、そういう議論をちゃんとして、そういう仕組みをある程度合意して進んでいかないと、地方団体間で意見が割れることになりますから、そういうことがないようにやる方がいいという、やや現実的ですけども、そういう時代に差しかかっていると思いますね。
前回のときは、やはり国、地方の新たなブレークスルーを起こすということで、若干のそういう問題はあったけども、そこは余り細かく問わなかったという経緯が経験者の人々から聞くとあるようでありまして、全国知事会、前回の会合でもそういう県から率直な声が聞かれておりましたね。だから今回、さらに大きな補助金の整理、税源移譲でやるということになると、そこをきちっとしないとだめだという意見はありまして、島根と同じような県はかなりあるような気がいたしましたね。
○山陰中央新報
知事自身もそういった税源移譲の前段としての財政調整の新たな仕組みというのが一つの前提だという......。
○溝口知事
私は最初からそう言ってましたね。
○山陰中央新報
財政調整ということもあれですけど、その前段として、税制の問題というのがあるかと思うんですけれども、要は法人税が地方税で、もっと偏在の少ない税というのを地方税にという声というのはその前段としてありますが、その税制については。
○溝口知事
それは今の税源移譲する前の段階の問題として、最近の経済の回復に伴う税収増が大都市に集中しておって、それが地域間の格差になってるから、その是正をすべきだということで、税収の偏在の少ない税に、法人二税からほかの税に切りかえるといった議論がありますね。それは今の段階でやっていったらいいと思いますけれども、税源移譲の話は、またその上に加わる話ですね。したがって、地方分権を進めるという観点からいえば、その2つをこなしていかなきゃいかんということになるわけですね。
まず第1段階でも相当意見が違うわけですよね。だから、そういうとこで第2弾、その上に乗っかかるものをやろうとなると、それは容易なことじゃないですね。だから、そこなしでは、結局数値目標を立てても、単なる目標にすぎないものになるでしょうね。というのが私の考え方ですね。
だから、まず現行のそういう税制をどう直すか、あるいは現行でもそれは税制の問題であり、交付税の問題でもあるわけですよね。
○朝日新聞
それじゃあ財政調整の新たな仕組みというのは、知事御自身はどういうふうな形というか、イメージというか、お持ちなんでしょうか。
○溝口知事
今までは結局補助金と交付税で、要するに税収の少ないところは手当てをしてきたわけですよね。だから、それによって税収が少ないとこでも社会資本の整備が行われる、あるいは教育がどこでも同じようなことが行われるということができてきたわけですけども、その部分は国のそういう財政調整の仕組みで行われてたわけですけども、そういう部分をこれから減らそうということでありますから、そうすると、伝統的な交付税、補助金による調整というのが少なくなっていくということでありまして、だから、新たな発想をしないと調整がうまくいかないわけですよ。他方で、そういう調整は若干緩くしてもいいんじゃないかという流れがあるのは事実ですね。それは、一つは道州制なんかにつながる話ですけどもね。調整は地方団体の規模を大きくして、その中である程度やっていけばいいじゃないかという、明示的にじゃありませんけども、そういう考え方が一つにはあるわけですね。
しかし、それですと経済の発展がいろんな理由からおくれた地域は困るわけでありまして、そういう意味で、新たな財政調整の地方団体間の財政調整の仕組みでありますとか、あるいはこれまで行われてきた調整の措置をうまく使うようなことを考える必要があると、そういう点があんまり議論されてないわけですね。それは、財政力の豊かなところはそういうところに余り関心がありませんから、知事会全体としての意見になかなかならないわけです。
○山陰中央新報
ある程度各団体間の自助努力的な余地というのがあってもいいとは思うんですけど、今の状況というのは、例えば東京と島根で自治体の基礎的なサービスのところに差ができてしまうというような事態も若干出ているところもありますし、そういう意味での今の方向性というんですか、大きな方向性としての財政調整というのは小さくなっているという認識......。
○溝口知事
認識ですね。やはり交付税の役割が、私の見るところではやや重視されなくなっているというところがありますね。
○山陰中央新報
この方向というのは、新しい仕組み云々というのはあるんでしょうけれども、引き続きやっぱりやるべきだと。財政調整というのは今は小さくなっているという認識、それはもうやはり、今の状態ではよろしくないので......。
○溝口知事
よろしくないということですね。
○山陰中央新報
ということですね。
○溝口知事
ちゃんと財政調整の傾斜を大きくするということですよね。だから、平たくいえば税収の上がるところから税収が少ないところに行く、移転が大きくなるようにする調整が必要だということですね。ただ、それは国税の割合が低くなっていくと、そのやり方というのは難しくなるんで、多分新しい仕組みというのがないとうまくいかないだろうと思いますね。それに対するもう一つの考え方は、若干の差異があってもいいじゃないかという考えが出て、あるわけですよね、明示的にはありませんけども。しかし、そういうことでは日本全体がうまくいかないという主張を地方サイドとしてはやっていく必要があるということですね。
それで、そのためにはやはり地方自身も可能な限りのやっぱり努力をしているということがないといけませんよね。
○朝日新聞
そういった意味での新たな発想ということについて、知事御自身が何か御提案じゃないですけど......。
○溝口知事
私じゃなくて、地方共有税みたいなものを、交付税と似たようなものをつくって、共有税を財源にして財政調整をやればいいじゃないかというような議論はありますね。ややこれは技術的なので、仕組みがなかなか、こういうことをやった人じゃないとわかりにくいんですけども、そういったようなことですね。
○中国新聞
例えば均衡ある国土の発展というようなスローガンはほぼ消え去って、もう選択と集中というのが国を含めてどこの自治体も言われておりますけれども、県の総合開発計画にちょっと話を戻して申しわけないんですけど、知事自身は均衡ある発展か否かというような話になった場合、どちらがよろしいと思ってらっしゃいますか。今後の総合開発計画のいわゆる背骨の部分ですよね。
○溝口知事
やはりさっきからお話ししてますけれども、市場にゆだねる部分、効率性を重視する部分と、それから公平性ですね、分配の公平性と言っていいのかもしれませんけれども、そういう2つの大きな流れといいますか、考えがあって、それはやっぱり調和していくということが大事なことじゃないかと思いますね。ややこれまで国全体としては経済の再興を図るという観点から効率性ということが重視されてきたけども、その間、やや忘れがちになってきた公平性という問題にも政治の力点が及ぶようになってきているということじゃないかと思いますね。それは県全体にとっても同じですね。その両者を、やっぱりバランスをさせていくと。そのバランスがどこがいいかというのは、それはやっぱり国民の考え方、それから県民の考え方によるわけでありまして、政治はそれを選挙を通じて感じ取っていくということじゃないでしょうかね。
○中国新聞
一方で、地方の自立というふうな言葉がずっと出てきておりますけれども、もちろんそれは県内にも通じることでありますが、なかなか市町村といいますか、地域といいますか、それぞれに自立の芽は知事がおっしゃってるように出てきておりますけども、果たしてじゃあこのまま県財政、市町村財政を見た場合に、自立というのからほど遠い現状が続きます。それと総合開発計画との兼ね合いというのは、知事は、バランスはどうとっていくべきだと思ってらっしゃいますか。
○溝口知事
財政の自立ということからいえば、さっきから申し上げていますが、地方税収という県から上がる収入というのは非常に少ないわけで、そういう意味で自立はしてないわけですよね、現実に。それは市町村においても同じであり、市町村の中では、今度はそういう交付税だとか補助金といった国の調整制度に加えて県による施策、それによる調整も受けておるわけでありまして、そういう意味では、県内では県と市町村との関係というのは国でいえば国と地方一般という関係にもなるわけでありまして、今度は県としてはそういう地域のバランスをどういうふうに確保していくかということにも十分配慮していかなきゃいかんと。そういうものを総合開発審議会の議論で御議論いただくと、その上に立って総合計画を立てているということですね。つまり県の財政自身の健全化については、改革推進会議といった場とか、いろんな場を通じて県民の方々の御意見もお聞きしますけども、総合発展計画についても審議会の議論等を通じて意見をいただいているということですね。その点については、県自身が先に示すべきではないかという議論があるのは承知してますけれども、それは財政が豊かな時代は割と可能なんでしょうけども、今は選択をどうするかという方にウェイトが来てるわけですね、どこかを増やすとどこかが減らざるを得ないというような状況でありますから、そういう意味でみんながふえるということはなかなか難しい時代に、難しい状況になっていますから、そういう意味でやはり総合開発計画についても県民のいろんな方のいろいろな立場の意見を聞いた上で全体の計画をまとめていくと、これが大事なことだと思いますね。
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