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3月(第2回)定例記者会見(3月26日)

質問事項

1.道路特定財源について

 

○山陰中央新報

 道路特定財源の問題ですけれども、国会の情勢から暫定税率の期限切れが濃厚な情勢となっておりますけれども、県税をはじめ歳入の部分、それから道路特定財源に係る予算の執行、それから県民への影響等、考えられる事態というのが現実のものになる中で、近づく中で、県としてのそういう対応といいますか、その考え方、あるいは対応することですね、そういうことをちょっとお伺いできればと思いますが。

 

○溝口知事

 最終的に暫定税率がどのようになるのか、あるいはどの期間、暫定税率がないような事態が生ずるのかというのがまだはっきりしませんので、詳細まではお話しできないわけですけども、仮に暫定税率がなくなった場合にどの程度の影響が出るかというのは、前から申し上げていますようにわかるわけでありますけども、それも仮定計算でやらざるを得ませんけども、大ざっぱに言って暫定税率と本則税率が50%、50%ぐらいでありますけども、国の方は地方に交付する資金がありますから、国の事業、国の直轄事業あるいは補助事業でいえば本則税率で賄われている部分が多いわけでありますけども、大体62%ぐらいですかね。その62%で例えば暫定税率がなくなるとすれば、38%分の事業が縮小するということになりますね。

 

 そういう前提で県で行われている直轄事業を見ますと、大体160億円ぐらい事業費が減るだろうということになりますし、それから県で行う事業のうち、今度は交付金で行われている事業が166億ぐらいありますけども、交付金というのは道路特定財源のうちから県に来る部分ですね、そうするとこの部分は少なくなるということ、なくなるということですね。それから国の補助事業でやる部分が県では大体174億円ぐらいあるわけですけども、これも国における暫定税率分の部分、38%分がなくなるとすれば66億円ぐらい補助事業が少なくなると。したがいまして、国が行う直轄の道路整備で160億円ぐらい事業費が減り、それから県が補助事業あるいは交付金事業で行う事業が233億円ぐらい減るというようなことであります。これが一つの影響ですね。

 

 2番目は、揮発油税は国の方で徴収をしますが、一部譲与税で県に入ってくる部分、あるいは軽油引取税、それから自動車取得税による部分がありまして、県に道路特定財源で直接の税収として入ってくる分が101億円ぐらいあります。そのうち暫定税率分というのが大体40億ぐらいありまして、この40億ぐらいが減るということになりますね。この仮定は4月1日から1年間ずうっと続いた場合でありますからそういうことになるわけですが、先ほど申し上げましたように、暫定税率がどうなるのか、しかし自由民主党、政府・与党の方はこの暫定税率を、もう来年度から廃止をするというようなことは言っておられないわけですし、そこは今の法案に近いような形で収拾をしたいというのが政府・与党の立場でありますから、参議院、衆議院の議席数の違いからいろんな難しい問題はありますけども、大勢としては、紆余曲折はあろうと思いますけども、政府・与党の案に近いような形で成立をしていただきたいし、そういう可能性もあるだろうと思いますね。若干空白がどの程度続くかは、これはちょっとわからないわけでございます。

 

 それから、これが県の道路の歳入に対する影響、それに基づく事業費の影響ですね。問題は、もう一つは、そういうことによって県民の方々、あるいは関係業界の方々、特にガソリンを売られる方々、ガソリンスタンドの方々にも大きな影響が及ぶわけですね。4月1日から暫定税率がなくなった場合に、どういう値段で消費者の皆さんにガソリンを売るのかという問題がありますね。ここら辺も若干技術的なことがあるようでありまして、揮発油税ですと、工場から出荷するときに、もう税金はかかってるわけですね。ということは、今ある在庫は高い税率でもう購入しているわけですから、じゃあ4月1日から制度的には出荷の段階での税率は下がっても、卸売業者、小売業者の人が持っている在庫分は高い税率で払ってますから、高い税率を払った分を今度安い税率で売るということになると負担が出てくるわけですね。したがって、そういう問題がガソリンスタンド等に出てくる。

 

 そうすると、今度は消費者の方々もそういうことの仕組みが十分皆さん、すぐにわかるわけじゃないでしょうから、いろんなトラブルのようなことも起こりますね。そういった問題にどう対応するかということもあるでしょうし、またそういう対応が起きないように、国の当局もすぐ周知をするとかしなきゃいけませんね。県の方も軽油引取税なんかがありますから、制度が決まり次第しなきゃいかんでしょうし、そのときに国がどういう対応をされるかということも見なきゃいけませんね。そういう意味で、非常に短い時間でいろんなことをすぐ処理をしなきゃいかんので、準備はやっております。想定をして、どういうことが必要で、どういうことをしなきゃいかんという準備はやっているということです。我々としては、早くこの問題が国会の場において解決することを望みますし、引き続き道路特定財源の必要性は訴えていきますけれども、現実に出てき得る問題については、できる限りの対応をするように準備を進めているということであります。

 

 それから、技術的な問題としては、皆さんも御承知でありますけども、今はコンピューターのシステムで物の売り買いをしておりますから、何リットル入って幾ら、税金幾らなんていうのが一つのシステムになってますから、そういうものを直さないと、また現実の商売ができないといったことが起こりますから、いずれにしても県民の方、あるいはガソリンスタンドの方、あるいは消費者の方、早く対応ができるように国の方も対応をきちっとやっていただきたいと思いますしね。

 

○山陰中央テレビ

 与野党がこの問題で何かちょっとチキンレースみたいな感じになっちゃってるのかなと思うんですけども、この現状を地方自治を預かるトップとしてどういうふうに眺めていらっしゃるんでしょうか。

 

○溝口知事

 やはり国政も国民のための国政ですから、国民の方々にいろんな不自由、不都合が生じないようにやるというのは大きな責務でありますから、そういう責務をよく認識されて、事態に対処されるということを強く望むということですね。

 

 問題は、政策について違いがあるということから起こってるわけですね。したがって、こういう大きな政策については、早い時期から調整をしなきゃいかんわけでありますけども、その調整が進まないということは極めて残念なことだと思いますね。

 

○山陰中央テレビ

 それは、もうちょっと国会対応を、ブリッジ法案が出たときから......。

 

○溝口知事

 それは、もうその前からでしょうね。大きな問題でありますから、それぞれこういう問題について意見の違いも想定はされてたわけでしょうから、早い時期から与野党の調整をするように努力をする、そういうことが必要だと思いますね。

 

○山陰中央テレビ

 ちょっと足りなかったのかなという感じですか。

 

○溝口知事

 それはやろうとしてる、努力はしてるけども、打開の道がなかったということでしょうが、どういう道があったかは私もわかりませんけども、国民の皆さんから見て、あるいは我々から見て努力が真剣に行われているということが必要だと思いますね。

 

○山陰中央新報

 どちらにももうちょっと努力が必要で、両方ですか。

 

○溝口知事

 両方でしょうね、交渉ですから。

 

○中国新聞

 新潟県が入札を凍結したり、具体的に期限切れをにらんだ、見越した動きがもうあちこちで出てるとは思うんですけども、そこら辺については、知事としては、先ほどの検討しているという内容をもう少し詳しく教えてください。

 

○溝口知事

 そういうことを準備はしておりまして、例えば道路予算の執行でいいますと、一つは20年度の事業といっても、前年度の国庫債務負担行為によって、もう契約を結んでいるやつがありますね。そういうものはきちっと契約を結んでいるわけですから、契約の相手方としてちゃんとやらなきゃいけませんね。その額はそんなに大きいものじゃありませんから対応することは可能だろうと思いますね。

 

 それから、新年度になりましても、例えば災害防除とか、あるいは交通安全施設の整備だとか、あるいは道路の維持、補修だとか、ゆっくり待つことができないような事業は、これはやっぱりやっていく必要があると思いますね。そういう事業を延期することができないものは手当てをしていくというのが原則ですね。それによって県民の生活、あるいは交通の動きに支障が出ないようにすると。これもどのぐらいあるかという詰めはしておりますけども、暫定税率がなくなることによって、直ちに財源的に支障が出るというようなオーダーではないと思います。だから対応はしなければいかんということであります。

 

○中国新聞

 そうしますと影響が、直ちにやるべき部分とある程度進度をおくらすもの、そういう取捨選択を今やっているということですか。

 

○溝口知事

 ええ、2つに分かれるということですね。

 

 だから、今言ったように、延期したりするのが不適当なもの、それは実行していくということですね。それは財源的にも実行可能だろうと見てますけども、しかし、新しい事業で、例えば国から補助金が出て事業をする補助事業のようなものは、やはり通常のルールですと国が実際にその事業を、この工区をやりますと、そのために補助金も出しますというような内示があってから県の方が動いていくわけですから、国の方が早く対応できれば県も対応できますけども、国の方が財源のチェックをするとかいうようなことになれば、おくれる可能性はありますね。おくれると県の方もそれに応じて、これはおくれるのはある程度やむを得ないと思います。

 

 それから、交付金の事業は国から、交付金事業というのは暫定税率の部分で賄われていますから、これも少し様子を見るということが必要になりますね。

 

 それから、県の単独事業も、これは県の単独事業でやる事業費はそう多くありませんけども、道路財源全体が厳しくなりますから、若干様子を見るということが必要になる可能性が高いと思います。

 

 私どもが望みますのは、仮に4月1日以降、暫定税率制度がなくなるという事態になっても、それが早く解決できれば、そう支障なく従来の路線に戻っていけるわけですから、4月以降、より真剣にといいますか、早く解決するように努力をしていただきたいし、我々もその努力を要請していくということであります。

 

○山陰中央新報

 そうしますと、今の段階は、そういうことについて、今の道路の分類ですね、とめているという状態ではない......。

 

○溝口知事

 ええ、ありません。

 

○山陰中央新報

 とめるというか、とまってしまうという可能性があるので、それに備えて対応の仕方を考えておくという。

 

○溝口知事

 ええ。大きく言って2つのカテゴリーがあると考えたらいいわけですよね。道路特定財源制度がどうなろうとやらなきゃいかん事業はあるわけですね、既に契約しているもの、あるいは災害防除だとか、あるいは補修だとか、そういうものはどういう事態があろうとも通常ペースでちゃんと執行していくと。それはチェックをしていますが、財源的にその部分がすぐ困難になるような状況ではないと。

 

 しかし、新しいものについては、国の補助事業なんかは国が決めないと、そもそも執行できない部分がありますから、その部分はその影響を受けるだろうと。国から受けないで県単独でやるやつがありますが、それは量が大きくはありませんけども、道路財源の事情がこういう状況ですから、若干様子を見るために保留もしていく必要が出てくるでしょうね。

 

 そこで、その次に申し上げているのは、4月1日に仮にそういう事態になったとしても、早く解決をすれば本当の問題は出ないで通常のペースに戻ることは可能だろうと思いますから、これまでの問題解決の努力を国会の場において早くやってもらいたいということであります。

 

 

○山陰中央テレビ

 知事は政府案に近い形で決着すると思うということを言われたんですが、それは何か確たるものがあっての......。

 

○溝口知事

 政府案というか、それは政府・与党は、もちろん交渉のことですからいろいろ調整は必要でしょうが、政府・自民党、政府・与党として現在の法案に出しているものを大幅に変えるというところはないように思いますから、報道で見る限り。あるいは先に向かって、例えば税制改正の中で一般財源の議論をするとかはありますが、20年度について、既にそういうことを考えるというような提案ではないと思われますので、当座はという意味で言ってるわけですけどね。

 

○山陰中央新報

 先ほど議論がなかなか進まない、真剣な議論がもっと前からという部分があったと思うんですけど、国会の議論の中でも、やっぱり59兆円の道路の中期計画そのものですね、これがやはり10年間の暫定税率維持を前提とした、ちょっと漫然とした計画でなかったのかという批判があろうかと思うんですけれども、もっと国民のニーズも酌めば、もう少し中期計画そのものについて真剣な議論といいますか、精査というか、あと山陰の側からいえば、山陰自動車道をつくってほしいという悲願がありますですよね、知事の方に。そういうものを59兆円全部確保しないと山陰道がつくれないんだという論になるということは、要は総量がないと山陰道もできないということになりますですね。要は山陰道をきちんと、例えば国の施策の中にきちんと位置づけてほしいという議論が先にあれば、要は全体のボリュームが減る中でも山陰道は優先ですという議論にもなり得るかと思うんですけども、そういった意味でも、要は59兆円を全部維持しないと全部できなくなりますという、こういう乱暴な議論、乱暴と言うとあれですけど、その中期計画そのものについて問題がなかったのかということを今さらながらちょっと感じるんですけど。

 

○溝口知事

 それは、理論的には私もあり得ると思いますね。しかし、それは島根県に限らずみんな同じような問題抱えてますから、それは非常に短い時間で大きな金額の中身を相当程度決めようとなると、これはまた余裕がないでしょうね。しかし、59兆円、もとは60数兆あったわけですけども、それぞれ各地域において必要と見込まれる道路の整備について、ベネフィットは大体このぐらいになるだろうと、道路の需要、交通量の予測をし、コストの計算をして、それでコスト・ベネフィットの高いものから実施をしていこうということで積み上げてあるわけですね。その中には山陰自動車道も入っているということですね、高規格の道路の整備ということでありまして。

 

 中身を、例えば最も優先道の部分はこれだというようなやり方もあると思いますけども、そうなると、それを今度は一本一本決定していくという作業はなかなか短期間ではできないと思いますね。現実的な考え方は、将来も見直すということを前提に、一定の量の目標を立てまして、そいつを毎年毎年の税収でありますとか道路の整備の状況、あるいはコスト・ベネフィットの数値も変わっていくでしょうから、それをチェックしながら進んでいくというのが現実的なやり方だろうと思いますね。

 

 そこは今の案にかわる非常にすぐれた案があるかどうかというのは、私もちょっとよくわかりません。ただ、島根県の主張は、やっぱり現実に足らないわけですよ、数値の問題であろうと、例えば山陰道で見れば、途中で分断されているわけでしょう。だから、それは整備が必要だというのは、島根県の人はよくわかるわけですよ。しかし、ほかの県の人はそういう実態を見てるわけじゃないですから、じゃあ私どももほかのところを見てるわけじゃないですから、これがいいなんていうことはやっぱり難しいですよね。しかし、島根なんかでいえば、現実にほかの県では高速道路の整備率が8割、9割になっていると。しかし島根は50%ぐらいだと、マクロ的に観察して。だからそういう県が残っているときに、今の特定財源制度を変えるというのは不公平じゃないですかと。だから、おくれているところの意見をよく聞いてほしいということですね。我々のがもうおくれてないというんなら、それはその議論をすればいいと思うんですけども、道路の整備というのはやっぱり交通量の多いところから順次なされてきて、それが今、周辺に波及しようとしている、まだ終わってないプロセスの段階で今の制度の仕組みを変えるというのは、それは不公平だということでありまして、これは変わらないと思いますね。

 

○山陰中央新報

 もう一つ、10年間維持する中で、道路特定財源がマッサージ機になったり、むだ遣いじゃないかと指摘される声というのがかなり出てきて、この辺が国民の不信に拍車をかけている部分というのがあると思うんですけど、この辺どういうふうに。

 

○溝口知事

 それは、私が言うのは、ベネフィットというのはいろんな状況によって変わるわけですよ。公共投資がおくれてるから、あるいは集積がおくれてるからベネフィットが小さいという逆の関係があるわけですよね。そういう面で見ると、都市の方は別に、経済の効率がいいというのは、都市の人が一生懸命働いてるとか、違うあれがあるからベネフィットが高いということじゃなくて、過去の公共投資がその地域で進んで、集積が進んだからベネフィットが高いように出るわけですよ。

 

 だから、それは公共投資そのものの整備の水準によって影響されるわけですから、現時点でベネフィットが低いから、そこはもう整備をしなくていいというのは、現状をそのまま認めましょうということになるわけですよね。それは国土の均衡ある発展からすれば、ちょっとおかしいじゃないですかということを言ってるわけです。

 

○山陰中央新報

 59兆円を維持する道路特定財源がむだ遣いをされてるというのは、今出てるミュージカルだとか、マッサージ機になっているとか、この辺、要はお金の使い方自体に国民の不信感が募ってる部分というのがあるんだと思うんですけれども、これは道路を必要としている立場の知事からすると、多少歯がゆい思いもしませんか。

 

○溝口知事

 それはいけませんね。そういう問題が道路の必要性に対する理解を減退させるというのは、それは予算の執行する政府の大きな責任だと思いますね。それは、そういう問題は早く適正化しないといけませんね。

 

○中国新聞

 先ほどの話で、仮に切れた場合の対応の関連なんですけども、一つは県単の整備の部分で保留とか進度調整という可能性が出てくると。これは例えばそういう目安ですよね、保留するもの、しないもの、それを判断する際の目安というのは何か考えてらっしゃるのかというのが一つと、あとは、どうしてもやらなきゃいけないものとそうじゃないもの、影響が出てくるもの、それぞれの大体のボリューム、金額的なものというのは、大体分けてある、わかるわけですか、今の段階。

 

○溝口知事

 いやいや、交付金でやる事業が例えば63億ぐらいあるわけですけども、それは県道だとか主要地方道なんかの整備なわけですね、大部分は。そうすると、交付金がなくなって、そういう事業がなくなると、道路事業全体の整備の仕方を見直さないといかんでしょう。県単独でやる部分も重要な道路の整備の部分ですけども、そういうふうに財源の事情が大きく変わるというようなことになれば、もう一回新たにどこから整備をしていくかということを見なきゃいけないという事態が来るでしょうから、そういう全体像をもう一回押さえて個々の事業を執行していかなければならないでしょうと。そうなると、そういう事態が明らかになるまで少し待ってやる方がいいだろうと、こういうことでありまして、特別なことじゃありません。

 

○山陰中央新報

 一つのそういった、今は準備段階で、状況を見きわめるということだと思うんですけれども、そういう意味でいうと、4月1日に切れたときに、知事がこういう対応をすべきだということを指示されるというふうに考えたらいいですかね。

 

○溝口知事

 ええ、ということですね。

 だけど、今、あらかた申したような原則は大体整理はできてるということですね。


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