2月(第2回)定例記者会見(2月25日)
質問事項
2.道路特定財源について
○山陰中央新報
道路特定財源の問題なんですけれども、衆議院での議論を通じて、一部で修正協議という声も多少ちらちら、きのうの首相の発言でもあったと思うんですけれども、道路特定財源の暫定税率そのものを堅持をしていく、期間においても額においても堅持をしていくという立場でおっしゃってきたかと思うんですけれども、ここで修正協議というようなことについてはどのようにとらえておられて、ある意味では国会の中での今のねじれている状況の中では、ある程度修正ということも考えられるかとは思うんですけども、修正そのものについて知事はどういうふうにとらえて、どういうふうにすべきだというふうに思われますでしょうか。
○溝口知事
政府・与党の現在の案というのは、これまでの経過の中で、地方の声、あるいは道路整備の実情等を勘案してできたものですから、私どもとしては、軽々にそこが修正されるというようなことはないだろうと、適当でないというふうに考えております。引き続き我々の主張を国政の場にも伝えていこうと思っています。
○山陰中央新報
議論の中で、59兆円の道路の整備の中期計画について、やっぱりお金の使い道のところも含めて、マッサージチェア云々というようなこともあって、計画そのものが道路特定財源の使い方が本当に妥当なのかという声が出ているかと思うんですけれども、この辺、島根の道路もその計画の中に含まれとるわけでして、その中期計画の議論というのは、今後、例えば金額的な見直しでありますとか、路線の量的、質的な見直しというのが必要だというふうにお考えなんでしょうか。その辺を聞かせてください。
○溝口知事
私はその問題については、2つのポイントがあると個人的には考えております。
一つは、道路特定財源の制度は、やっぱり道路の整備がおくれているという認識があって、それを早く進めるためには受益者負担で、それから一定の期間、整備が進むまで特定財源制度のもとでやっていきましょうという合意があって始まったわけですね。そういう財源に限りがありますから、大都市を中心としたところから整備をしていくというのは、ある意味で合理性があるわけですけれども、それは順次やっていこうということでやってきたわけですから、そういう状況から見ると、まだ整備は終わっていないわけですね。道路というのはやっぱり全部がつながって一つの機能を発揮するわけでありまして、例えば高速道路網などいうのは、要するにどこにあっても同じようなことにならないと機能しないわけでありまして、そういう意味で、そういう整備が終わってない段階でこれを変えようというのは、やっぱりこれまでのいきさつからすると公平性を欠くということですね。そういうのが一つの大きなポイントですね。
それからもう一つは、道路の効果というのは、やはり少し長い目で見なきゃいかんというところがあるわけですね。つまり現在の段階でこうだから、その算定の仕方も非常に技術的に私は難しいと思いますよ。必ず予測ですから不確定な要素が入りますし、そう厳密なものでできないですね。いろんなやり方があると思いますよ。それはそれとして、そういうものであるということを念頭に置いた上で申し上げたいのは、道路ができることによって、その地域の活動だとか経済活動なんかが変わるわけですね。それは長い目で見て変わるわけですよ。だから、もともとおくれていたところは、今までそういう、道路に限らずインフラの投資だとかが少ないわけですからね。それは利用できる社会的なインフラが少ないわけですから、経済活動はそれによって低下しているところもあるわけです。しかし、そういうインフラを整備することによってそこが変わるというダイナミックなプロセスを忘れちゃいかんということですね。だから、大都市の方は今までどんどんどんどん投資をしてきましたから、便利になっているわけですよ。したがって、経済活動も、平たく言えば生産性が上がるような構造になっているわけですよね。だから、そっちが生産性が高いというのは、それはたくさんの投資もしているからなんですよ。その人たちが、例えばその地域に住んでいる人たちが特別な努力をしているとか、特別な状況にあるということじゃないんですよ。やっぱりそういうインフラの整備だとかによって影響される面があるから、そういう面を考えないといかんということなんですね。だからもう少しダイナミックに考えなきゃいけない。
よく言いますけれども、昔は、明治の前は全国は農業が中心で、ほとんどそんな格差はなかったわけですよ。だけど近代化の過程で、やはり大都市を中心に近代技術を入れ、そこにインフラを集中して発達しているというのが日本の近代化でして、そういう中で地方と大都市の格差が出てきたんであって、今の格差が昔から天然自然にあるわけじゃないですね。だから、それはやっぱり政策によって影響を受けるわけですよ。地方では、さっき申し上げたようにまだインフラの整備が進んでないと、だから経済活動はおくれているという面がある。だけど、投資をすることによってそこに影響が出てくるという要素も、政策としては考えなければいけないという2つですね。
○山陰中央新報
今回の議論で、やっぱり道路特定財源の維持、それからガソリンの値下げというこっちの問題があって、あと道路の中期計画で59兆円をどうするかという話で、今、知事がおっしゃったような、例えば道路整備がおくれているところをどういうふうに進めるんだ、そのためにはどういう地域をつくるんだということで、要は枝葉末節の議論になってしまってて、大きな日本をどうするんかという、何かこういうのが欠けてるようにも思うんですけど、その辺、何かもう少し期待する議論というのがありますですかね。
○溝口知事
それは過去からやっぱり国土の形成をどうするかという議論は積み重ねがあるわけですね。その上でやっておられますが、それはやっぱり全国レベルでそういうことを考えなきゃいけませんね。最近起こった変化は、やはり日本がバブルの崩壊の後デフレ的な傾向が出てきて、それから新興国の追い上げを受けるようになって、やっぱり国際競争力という面がかなり強調されてきたところはあるんですね。これはある意味でやむを得ない状況だと思いますね。そういう観点から、効率性の議論にやや政策の軸がシフトしたわけですね。しかし、その後いろんな努力を通じて、日本経済もかなり回復をし、日本の先行きについても、いわゆる高い技術を有してやっていけば対応できるような状況まで戻ってきましたら、したがって、ここに来てやっぱり政策の軸を少し公平性というんですか、そういうところにシフトさせなきゃ私はいかんと思いますね。
それは私は常々言っているんですけども、大都市は非常に効率がいいように思うんですけれども、日本全体から見ると、少子化というのは大都市を中心にいろんな問題が起こっているわけでして、やはり日本が国土が広く有効に活用されると、そういう考え方が国土の均衡ある発展といいますか、これちょっと言葉が古いですけども、地方がやっぱり元気になって、地方に若者たちがとどまることができるような政策というのを、私は政府は考えていく必要があるだろうなというふうに思いますね。
○中国新聞
福田首相みずから修正の可能性を言及するような状況になって、知事としては、先ほど修正策は適当じゃないというふうにおっしゃいましたけども、現行の状況をすべて何も手をつけずに、この先、今のねじれ国会の中で通っていくのはちょっと厳しいかなという見通しもあるわけですね、一方で。どこまでが許せると申しますか、知事自身で、これぐらいまでなら許容できるというようなお考えは何かございますですか。
○溝口知事
ありませんね。
○中国新聞
もう現状......。
○溝口知事
だから、そういう問題はまた違う次元の話なんですね。それは国会という場で、要するに国政、国の政策の議論をどういうふうにまとめていくかという、これはまさにポリティカルな議論ですから、それに我々が関与するのは適当でないですね。我々の方は、こうすべきだという主張をやっぱり行っていくということですね。それで意見が違うわけですから、それをどう処理していくかというのは、我々というよりも、それはそういうポリティカルな話ですね。
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