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1月(第2回)定例記者会見(1月23日)

質問事項

2.道路特定財源について

 

○NHK

 全国知事会の道路特定財源の緊急対策本部の副本部長ということなんですけれども、具体的に知事としてどういう個性を出していくかというか、その中でどのような役割を島根県の知事として主張していく必要があるかとお考えでしょうか。

 

○溝口知事

 知事会全体としてやるわけですから、知事会の全体の考えに沿ってやるというのは基本でありますけども、島根県が、私どもがずっと主張しておるのは、やはり道路の整備というのは特定財源制度という制度を持って、これまでやっぱり人口が多くて交通量の多い大都市部から順次、全国に広げていっているわけですね。それでだんだん周辺まで整備が進むような状況になってきたわけですけども、まだそれが終わっていないというのが基本的な立場でして、終わっていない段階でそういう制度をなくしますと、財源が不足して、さらに整備がおくれるということになりますから、それはやはり公平な措置とは言えないというのが基本ですね。

 

 したがって、整備が終わったところはもう要らないというのは、それは分かるんですけども、道路特定財源というのは、どの地域も負担をしてきたわけですから、そういう公平性の観点から、まだ全国のやっぱりネットワークに高速道路がつながるとか、あるいは生活関連の道路でも、危険箇所とか歩道ができていないところとか残っているわけですね。あるいはトンネルなどでも、国道においてもコンテナを積むと通行ができないとか、そんなようなところが残っているわけですから、やはり道路というのはネットワークとして活用されるわけですから、そのネットワークがまだ完成していませんしということ、そういった点を訴えていくということですね。

 

○日本経済新聞

 各種の世論調査で、特定財源に関してガソリンの値下げの方を求める声が六、七割に達するケースもあるんですけども、その点についてはどうお感じになっていらっしゃいますか。

 

○溝口知事

 それもテレビなどで議論をしている中でお聞きしてて感じたわけですが、ほかの影響を格別考えないで、ガソリン価格は下げた方がいいかどうかということであれば、それはそういう声が出てくるというのは、ある意味で自然なんですけども、しかし、経済現象というのは、ある行為をすると、それがほかに波及をするわけでして、その波及を考えると、今度は道路の整備をするための財源がなくなるということでありまして、そこのところを含めて、やっぱり総合的に考えなきゃいかんということじゃないかと思いますね。

 

 道路のそういう財源の手当てとかというのは、やや専門的なところがありまして、多くの人で十分御理解いただいてないところもありますから、そういうところのやっぱり理解を進めていくというのが行政の立場であり、あるいは国の立場であるでしょうし、地方においては地方の理解、あるいは政府の執行部ですね、そういうものがやはり県民の方、国民の方に説明していく義務があると、責務があるということでしょう。

 

○山陰中央新報

 先ほど説明ということだと思うんですけれども、国が10年間の道路の整備計画、中期計画というのをつくりましたけれども、そのガソリンを下げてほしいという声が出てくるというのも、短絡的にガソリンを下げてほしいという声があるという一方で、やっぱり道路に対する投資が本当に適切に行われているかということに対する疑問というのも、その背景には多少あるかと思うんですけれども、要は島根県としても、どの道路をきちんと、いつまでにどの程度まで整備をしていくんだというある程度の計画なりというものが県民に提示されるということが説得力を持つということにつながるのかなとも思うんですけれども、要は10年間、じゃあ特定財源がありますと、ある中で、じゃあ何を整備するのかというのが見えてこない。やっぱり県民の中にも、あそこの道路は無駄じゃないかというような声というのは私どももよく聞くんですけれども、要はそういう声に対してどう応えていくかというのがちょっと見えないように思うんですけれども、どうお考えでしょうか。

 

○溝口知事

 それはあれですね、県としては道路の整備率をほかの県と比較すると、ざっくり言って県道のようなところですと20%ぐらい、たしか整備率が悪いわけでして、それから高規格道路になると県下、東西、南北も分断をされておって十分でないわけでして、例えば高規格道路について言えば、やはり東西、県内がちゃんとつながると、そういうのは具体的に産業の振興ということから見れば、石見銀山ができて、石見銀山に行って、また出雲、松江に泊まってということになると、あの区間が時間がかかるためになかなか十分な対応ができないといったような問題が現実には、これなんかは分かりやすいわけですし、それから各地域地域で生活道路も歩道がなくて早く整備をしてほしいというような要望も個別にあるわけです。そういうことで、今まで実施をしてきたものも、公共事業全般が財源不足、県の財政の悪化ということで中断をしているところが随分あるわけですね。そういうところを順次やっていかなきゃならんわけです。

 

 そのためには、やはり財源の制度がきちっと確立をしまして、その上でやる必要があるわけでありまして、今は道路特定財源が、暫定税率がなくなると半分ぐらいの財源になるわけでして、それを一律に当てはめるのは、これまでやってきている事業自身が半分ぐらいに減るということでありますから、いろんなものが着工、それから竣工がおくれるということでありまして、御指摘の具体的な例などはもう少し我々の方も提供したいと思いますけれども。

 

○山陰中央新報

 県道の整備なども、島根県は途中から財政危機に陥ったときに何十カ所も中止箇所が出て、今は工事が中断しているところというのがあると思うんですけれども、要はそこの中も、じゃあ財源というのがもう新世紀道路などは10分の1ぐらいになっているんですかね、新世紀道路ネットワークの整備の事業費ですね、県単事業費なんかは300億あったものが今、来年度は10何億というようなことですかね。

 

○溝口知事

 そうですね。

 

○山陰中央新報

 そういう中で、じゃあ、要はどこをきちんと整備をして、先にですね、そういう優先順位というか、そこがきちんと明示されないまま、どこも中止ということになってて、残った整備の財源で、じゃあどこを整備するのか、どこを止めているのかという説明も全然ないように思うんですけれども、要はどこの道路を、じゃあ何のためにという、今具体的に検討してみたいということだったと思うんですけれども、そういう、島根県としても道路の整備の今後のあり方というか、そういうのがきちんと明示されているということが大事だと思いますので、ぜひ検討するということで。

 

○溝口知事

 そういう御意見もよく頭に入れて、我々も対応していきたいと思いますけども、具体的な優先度というのは、やはり年々の予算の編成等を通じてやりますが、分かりやすくして、努力したいと思います。

 

 

 

○中国新聞

 18日から通常国会が始まって、今回の道路特定財源の件にスポットが当たってますけども、改めて知事御自身の民主党の道路特定財源のあり方ですね、民主党の案についての評価というのはいかがでしょう。

 

○溝口知事

 大きな構図としていえば、特定財源をやめて暫定税率を廃止というようなことになりますと、道路財源は半分ぐらいになるわけですね。他方で、民主党の主張も道路の整備は必要だということは言っておられるわけですけども、その整備をどういうふうにやるかと、そのための財源をどうするかというようなところをもう少し明確にして議論をする必要があるんじゃないかと思いますね。そういう指摘がいろんなところでされているように思いますが、私もそんな点を大事なポイントじゃないかと思いますね。結局あることを経済行為としてやれば、それはそれだけでとどまらないわけでして、ほかに影響が及んだときに、その利害得失をよく、分かりやすく検討するということが大事だろうと思いますね。

 

○中国新聞

 民主党はガソリン国会というような言い方で、政局にも絡めて特定財源の扱いを主張していますけども、知事は、これ知事に伺う、個人的な御意見でいいんですけども、おおよその道路特定財源をそういう政局の道具といいますか、このように扱うことについて、御感想はいかがでしょう。

 

○溝口知事

 私は、道路特定財源制度の維持が必要だということは、県政の執行部として県下の道路整備の需要、あるいは道路整備が必要な理由、産業振興だとか生活の安全等を考えると、これは続けなければならないというふうに思っておりますし、知事会も全体としてそういう考えでありますね。だから、そういうことが実現できるように働いていく必要があると。我々はそれを訴えていく必要があるということですね。

 

○山陰中央新報

 民主党の案について、先ほども、言葉がちょっと分かりにくかったんですけど、要はあることがなくなると、経済行為として......。

 

○溝口知事

 ほかに影響が及ぶということですね。

 

○山陰中央新報

 ほかに影響が及ぶという、そのことというのは、要は民主党案では道路特定財源以外のところから財源を持ってくるけれども、それをどこから持ってくるか分からない。そこのところが、ほかから持ってくると、ほかに影響があるというふうな......。

 

○溝口知事

 いやいや、だから、道路の整備も必要だということは言っておられるわけですけども、そこら辺、必ずしもはっきりしないところもありますが、どういうふうな形で整備をすればいいのかということですね。あるいは我々が言っています全国の道路整備網というのが完成しているわけでもありませんし、生活道路とか、いろんな道路の必要性というのがあるわけですから、そういう需要にどうこたえるかということをやっぱり政策としては明示しないといかんでしょうね。ガソリン価格を下げますというところだけでは足らないんじゃないかと思いますね。全体のコンテクストの中でやはりこういう大事な問題はよく議論する必要があると思いますね。

 

○山陰中央新報

 あれですね、じゃあ道路の整備の出口のベースの話だと思うんですけど、今の話は。民主党案というのは道路特定財源が消えた分を、要はほかの財源から持ってきます、例えばと言ってますですよね。

 

○溝口知事

 だから、ほかの財源がどういう財源なんですかということがちゃんと明示されなきゃいかんということですよ。そこがないといかんですよね。政策としてはやっぱり整合性がどういうふうに保たれてるかということが大事なことですね。

 

○毎日新聞

 県内の道路整備が終わってない段階で、確かに道路財源をなくすと遅れるというのはよく分かるんですが、じゃあ県内の道路整備というのは一体何をもって終わるんでしょうか。どういうことをイメージされていますか。

 

○溝口知事

 一つは、例えば高規格の道路はやっぱり東西をつなぐ、あるいは南北をつなぐ、これは高規格のレベルですけども、ほかの道路も国道が1本しかなくて、災害があったときに迂回をしていかなきゃいかんというようなことがあるわけですね。そうすると、そういう問題に対応できるような道路網になっているかと。これも2番目の問題でしょうね。それから通勤圏などがだんだん広くなっていますけども、そういうものに支障が起きないのかと。それから今度は狭いところになりますと、生活道路あるいは通学道路などにちゃんと歩道がついているのかとか、あるいはカーブが急で事故が起きやすいようなところがありますね。そういうところも直していかなきゃいかんわけです。そういうところを直すというのも大事な課題ですね。大ざっぱにいえば、典型的な例でいえばそんなものがあって、そういうものが道路を使う人々から大体整ったなというのが基準の一つでしょうね。

 

○毎日新聞

 それは、じゃあいつの......。

 

○溝口知事

 それから、これは島根の例ですけども、大都市の方も整備が進んでますけども、やはり混雑、いろんなことは起こってるわけですね。そういうものについてもやはり全国的に見なきゃいかん。それを集計して、10年間どういう道路の必要性があるかというのが中期計画だったわけですね。中期計画の中にそれぞれの評価がなされて、このぐらいの事業量が要るということで、そのための財源が必要だということで今回の特定財源制度の維持が政府・与党で決まったわけですね。だから、そういうものに対して、じゃあ道路は要らないんだというんなら、やっぱりそういう積み上げがないといかんでしょう。少なくともそういう作業で積み上がっておるわけですよね。それなしに特定財源制度が今まで続いてきて、早く都市部から整備が進んできましてね、都市部の方はもう大体それは要らないというところもあるかもしれませんけども、しかし、道路網というのはそういう仕組みでやってきているわけですから、そこを全部終わらないうちに特定財源制度がなくなると、整備が終わってないところは困るということですね。だから、そういう公平性という政策の一貫性、公平性という問題があるということです。

 

○毎日新聞

 今のまま暫定税率で道路財源がすべて維持されたとして、いわゆる到達するところというのは、じゃああと何年先になるかという話があると思うんですよ。

 

○溝口知事

 それは進み具合によって分かりませんからね、交通量も変わってまいりますから、今の制度では10年間、今の時点で見通すとこれこれの事業量が必要だと、そうすると財源がこれだけ必要だと、そうすると暫定税率の維持が必要だということで政策の体系ができているわけですから、それがいけないというんであれば、違うちゃんとした、そういうものがなきゃいかんわけですよ。

 

 それで、確かに暫定税率がなくなればガソリン価格は下がりますけども、じゃあ今までの必要だとされる事業量というのは本当に要らないんですかというような議論と、それから、それでもいいんだということがなきゃ困るわけですね。

 

○毎日新聞

 少なくとも10年間の中期計画で出された、この区間、期間の間は必要だという・・・・・・。

 

○溝口知事

 そういうことです。だから暫定なんですよ。だから、それは将来、いろんな変化がありますからわかりませんけども、10年間はこういう制度でいきましょうと、それでいいですかということが問われているわけです。だから、10年終わって、また今度、その次どうするかという議論が当然あるわけです。その時点でもう大体整備が終わったなといえば、それはもうその時点で縮小するとか、いろんなことがそれはあり得ると思いますよ。しかし、現段階では期限切れの前にいろんな準備を進めてきたわけですね。それでそういう政策の枠組みができているわけですから、そういう枠組みに対してどうするかという議論がないと、もう大体整備が終わったようだから要らないというだけじゃ、それはやっぱり困るわけですね。

 

○毎日新聞

 というか、見方を変えると、どっちが先かわかりませんけど、必要な道路があるから財源が必要だというのもそうですし、要は財源があるから道路をつくるというのもあって、そういう観点で何かどんどんどんどん、いろんなところに新しい道路がどんどんどんどんできているような印象も受けているんですよ。つまり道路特定財源があるから新しい道路をつくるみたいな発想ですよね。そこのところをやっぱりちょっと見直そうみたいな話で、要は小泉さんのときから一般財源化の議論になって、要は本四公団に投入してた分が余ってくるからという話ですよね。そうするとやっぱりある程度どこかで歯どめをかけないと、確かに暫定税率なんですけども、事実上、これは暫定ではなくて、もう半永久的にずっと続くようなものになってしまっているんじゃないかなというのがあって、先ほど話もありましたが、だからこそ、じゃあどこまで必要なのかとか、じゃあどこで歯どめをかけるのか、どこまでをゴールにするのかとか、そこら辺のやっぱりある程度の見通しというのは、僕は必要じゃないかなと思うんですよね。

 

○溝口知事

 それは、一つには個別の道路について、それを利用する人々から困るというような話があったりするというのが一つですよね、個別には。例えば高速道路なんていうのは割と明快なわけですよ、時間がかかるわけですから。そこは、島根以外のところは通じているわけですからね、だから、島根のようなところはまだ遅れてもいいんだということは、我々としては困るわけですね。

 

 それから、生活道路だって、歩道がないようなところはかなりありますよ、主要県道でも。そこら辺はやっぱり住民の方々は子供の通学のために改良してほしいというのがあるでしょう。それから運転者もカーブが急で見通しが悪いというのを直してほしいとか、いろんなあれが日常の中であるから整備をしなきゃいかんというのが出てくるわけですよ。みんなそうだと思いますけどもね。しかし、それはやっぱりほかと比較してというところがあるわけですね。

 

○島根日日新聞

 今、株価がずっと下がってますよね。それで、道路財源として地方にお金を配るよりも、ガソリン税を引き下げて減税した方が経済への波及効果というのは多いのではないかとは思うんですけど、そこのところをちょっと。

 

○溝口知事

 大体そう大きな変化はないと思いますね。減税の場合は個人の、あるいは法人の、個人でいえば可処分所得がふえるということですけども、道路特定財源であれするということは、今度は道路で事業が行われますから、それによる刺激効果は当然あるわけでして、だから特定財源がなくなると、道路建設のための事業費がなくなりますから、これは経済活動に大きな影響を及ぼします。

 

○島根日日新聞

 ただ、事業費、島根県でいいますと、大手のゼネコンが高速道路とかは持っていってしまうわけですよね、仕事を。なかなか県の地場の建設業にお金がおりてこないんじゃないかなと思うんですけど、その辺はどうなんですか。

 

○溝口知事

 道路の今言ったような問題は、もう少し日本全体で考えないといかんでしょうね。

 

○島根日日新聞

 何か島根県の経済にとって、道路をつくることが即時的な意味でどれぐらい経済にとってプラスに働くのかという......。

 

○溝口知事

 一つは、道路をつくるということは、投資をするということですから、その効果はずっと後まできいてくるということですね。それから例えばさっき申し上げましたように、産業の振興にも当たるという面がありますけども、生活の安全が確保されるという目的があってやるわけですから、そういう目的が実現できるということがあるわけです。経済的に支出が幾らふえるかどうかというのは似たようなものだと思いますね。

 

 要するに例えば1兆円の半分だと、仮に1兆円、特定財源がなくなったとして、それがガソリン価格の低下になれば、1兆円全体じゃないでしょうけどもね、消費が増えるというのはありますが、その分だけ今度は事業が減りますから、差し引きして考えれば、要するに経済活動に与える効果としては、要するに需要に当たる効果としては、あんまり大差はないだろうと思いますね。むしろ通常の方は減税よりは、それは事業をやる方が効果があるというのが普通の考えでしょうが、大差ないとしても、道路の場合はやはり、その道路は整備によって、要するに投資ですから、後々までも効果が及んでいくと。その効果が必要だという声があるから行うわけですね。

 

○島根日日新聞

 あと、去年の企業倒産が件数、額ともに一昨年よりもかなり増えたとして、道路ができ上がるまでに、県のそういう産業がもつのかという、その根本的な疑念、懸念があるんですけども。

 

○溝口知事

 それは、いろんなことで産業振興もやりますが、道路の建設が行われれば、それはもちろん、例えばセメント代は、それは県外に出るかもしれませんけども、あるいは雇用がふえれば、その分は雇用された人の所得になって、今度はそれが消費に回るわけですし、県自身として考える場合には、そういう短期的な効果もありますけども、やはり必要だという、長期的に必要だということが大事でしょうね、この問題を考えるときに。消費をふやすということであれば、それはほかの方法でも考えればいいわけですね。


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