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1月(第1回)定例記者会見(1月11日)

道路特定財源の暫定税率期限切れに伴う影響について


■知事コメント

 

 本年、第1回目の定例記者会見でありますけども、本年もよろしくお願いいたします。

 

 本日は、道路特定財源の関連の資料を土木部の方で作成をしましたので、ちょっとこの機会に御説明しておきたいということであります。

 

 昨年の暮れの国の予算編成では、地方に対する政府・与党の配慮も一定の前進が見られたわけですね。地方部の財源を確保する、そのために税源の偏在の是正を行うという措置もとられたわけであります。もう一つ、地方部にとって大きな関心事でありましたのは、道路の特定財源、特に暫定税率が本年度末、3月末に切れますから、その後の対応をどうするかということが大きな関心事でありまして、政府におかれては、暫定税率の維持をし、それに基づいて道路の10年間の中期の整備計画をつくるということになり、島根県の大きな懸案でありました山陰道も、そういう前提のもとに整備計画の中に入ったわけであります。

 

 それで、これから法案が国会に提出をされて議論するわけですが、与野党間で、この道路財源につきましては政策の違いがあるわけでありますね。その調整がなかなか難しいということで、これからどういう調整がなされていくのか、我々もよく注視をしていかなければならないわけでありますけども、その前提として、島根県などには、仮に暫定税率が延長されなかったときにどういう問題が起こるかということは、やっぱりよく我々も知った上で、あるいは県民の方々も知った上で、この問題に対応していく必要がありますし、そういうもとに、国等に対して引き続き働きかけをしなければならないわけであります。

 

 そのための基礎のデータということを若干説明しますと、島根県内の道路事業に入る前に、国全体として道路の特定財源というのがどうなっているかというのが最初のページの上の表に載っているわけですね。19年度予算ベースでいくと、道路の特定財源は右から2つ目ですけども、合計欄cというのがありますね。その合計欄で3.4兆円、道路の特定財源があるということです。それは国の直轄事業、補助事業に充てられている分が2.7兆円、それから地方団体に交付する交付金が0.71兆円あるわけです。その3.41兆円が本則税率で幾ら徴収されており、暫定税率として道路整備のために高い税率を掛けているわけですけども、その部分で幾ら徴収されているかというのが左のaとbですね。本則税率分で1.68兆円、それから暫定税率で引き受けておるのが1.73兆円。つまり道路の整備がおくれているから、暫定的に税率を高くして財源を確保しましょうということでやってきているわけでありまして、この暫定税率が時限立法になっている関係で、今年3月末にこれが切れると、これを延長しようと。道路の整備が必要だという判断を下したわけですね。大ざっぱにいえば1.7兆円、1.7兆円、合計で3.4兆円でありますから、暫定税率がなくなれば、大ざっぱにいって事業は半分になるということですね。

 

 それを少し県のベースで細かく見たのがその次の表になるわけですね。県の事業としては、国が直轄でやっている部分ですね、高速道路とか、そういうものであります。それから2番目のページに県事業の分が書いてあるわけです。それから3番目の表は、県自身も譲与税だとか軽油引取税、自動車取得税なんかで入ってまいりますから、その分で影響が出てくる。3つの分野に即して試算がしてあるわけです。

 

 まず国の直轄事業、これは今年度の9月補正後のベースで数字が並んでおりますけども、島根県の中で行われている直轄事業としては、高速道路が260億円、山陰高速道なんかの整備に使われている分ですね。それから国道の一般改築55億円、それから維持修繕費ほか92億円があって、事業費としては407億円あるわけですね。それで、暫定税率がなくなりますと、また上の表に戻りますと、直轄補助事業については、暫定税率による部分が1兆円で、本則税率による部分が全体の62.2%を占めておりますから、暫定税率がなくなると事業量は全体としては62.2%に下がるということですね。それで407億円が253億円に下がってしまうと。高速道路、一般改築、維持補修も、維持補修は同額にして、全体が62.2%になるように計算したものであります。これでやりますと、407億円が253億円になって62.2%、つまり約4割減になるということであります。

 

 それで、例えば高速道路は260億円あるわけでありますけども、これが133億円ということになりますと、高速道路の残事業が4,000億ぐらいありますから、単純に割ると4,000割る133ということになりますから、約30年ぐらいになると、こういうことで、非常に完成がおくれるといった問題が出てくるわけでありますし、そういったことが大きな影響として出るだろうと。

 

 それから、2ページ目に行きますと、県の事業です。県の事業は、これもやや複雑なところがありますが、県事業として行っているのは434億円あるわけです。交付金事業が186億円、これはさっきの表にありました、国から県に来ます交付金に基づいてやっている事業です。大体交付金が180億のうち100億ぐらいありますね。あとは起債だとか一般財源を使って186億の事業が行われていると。それから補助事業が160億円あると。それから県の単独事業等が88億円あると。さっき見ましたように、1ページ目の表にありますように、交付金は暫定税率の分で賄っておりまして、この分が全額なくなりますから交付金事業がゼロになってしまうと。これは仮定ですけども、補助金の部分は、これは直轄補助事業の割合で62.2%で落としますと、160億円の事業が補助事業としては100億円ぐらいになってしまう。県の単独事業のところは、起債とか一般財源でやっていますので、これは同額を置くと。そうしますと、総事業費が434億円から188億円になるわけでありまして、減少額が246億円で6割減ということになるわけですね。

 

 それからその次は、今度は島根県自身に入ってくる道路特定財源、これは4つありまして、国の道路譲与税として入ってくる部分が28億円、そのうち暫定税率分が4億円、本則税率分が24億円、それから石油ガス譲与税が2億円、これは本則分だけのようですね。それから軽油引取税が65億円、それぞれ暫定34億円、本則30億円と。自動車取得税は7億円で、暫定3億、本則4億と。全体として102億の道路特定財源が直接入ってきているわけですね、島根県の方に。暫定分が42億ですから、これがなくなるということになるわけでありまして、そういうことで、下に表がありますけども、今102億円入っていたものが41億なくなると、本則の61億だけになってしまうと。

 

 それで、道路事業は70億あって、102億円は実際の道路事業として70億円、それから過去の道路事業のために起債をしていますけども、そのための公債費にも一部充てられているわけです。それが減ってしまいますと、道路事業が50億円ぐらいに減り、公債費に充てた分は32億が5億円ぐらいに減ってしまいますから、この分は県の一般財源に対しても影響を及ぼすというようなことになるということであります。

 

 こんな状況ですから、私どもとしては、県の財政の安定、あるいは産業振興のための道路整備などに大きく影響が出てまいりますから、ぜひとも暫定税率を維持し、特定財源を確保するという法案が期限切れの前に成立することを願っておるわけであります。

 

 今月の23日には県議会の方で各県の議会関係者にも呼びかけまして、東京で道路特定財源確保、暫定税率維持のための集会を開いて、政府に要請をするという行動も予定をされておるところでありますし、我々も引き続き関係方面に対しましてお願いをしていかなければならないというふうに思っているところであります。

 

 以上が私から冒頭説明する事項でありまして、その他の点につきましては、皆さんの方からの質問にお答えをしたいと思います。

 

 〔資料(外部サイト)

 

■質疑応答

 

○山陰中央テレビ

 道路財源の話なんですが、昨年末、御存知のように民主党が税制大綱を定めたと思うんですけれども、まずこれについて、暫定税率廃止というふうなことを盛り込まれておりますが、これについて具体性があるのかどうかというところも含めて、評価をお伺いしたいんですが。

 

○溝口知事

 具体性。

 

○山陰中央テレビ

 実現性があるのかどうかも含めて、知事の御見解をお伺いしたいんですが。民主党の税制改革に関して。

 

○溝口知事

 法制度的には衆議院、参議院で違う法案が可決される可能性が高いわけですね。その場合には、衆議院で3分の2で多数で可決されますと、それが一定期間後には国会全体の議決ということになりますから、最終的には道路特定財源の制度は維持されますけども、問題は暫定税率が3月末に切れるわけでありまして、切れた状況で法案が成立していないと、実際の取引等に非常な問題が生ずるんじゃないかと思いますね。

 

 石油関係の揮発油税等の税は卸から小売に行く段階で課税をされるというふうになっていると思いますが、そうすると、その段階で一定期間は暫定税率、その後はまた......。暫定税率でなしに、その後は暫定税率にかかるというようなことでは、いろんな取引も非常に難しいことになるんじゃないかと想像されますし、そこのところを国会の方でどう処理をされていくのか。やはり税制といったものは安定的なものでなきゃいかんわけでありますから、高度に政治的な問題でありますけども、国民の生活、あるいは経済の取引、あるいは地方公共団体の財政、あるいは道路の整備の必要性といったものを総合的に勘案して、国会で適切な処理がなされて、島根県としては暫定税率が維持されて特定財源が切れ目なく確保される対応をとっていただきたいというのが我々の立場ですね。

 

○山陰中央テレビ

 そうですね、暫定税率を1.7兆なくなるわけですよね、民主党案を仮にやるならばですね。これに対する知事、民主党はそう言ってるんだけれども、これに対して知事は丸かバツかぐらいな感じで、これの意見に対して、島根県として、これはちょっと反対される立場なのか。

 

○溝口知事

 我々は、特定財源を維持し、暫定税率が切れ目なく実施される必要があるという立場ですから、当然今の政府の案でやってほしいということですね。

 

○山陰中央テレビ

 民主党案は、じゃあ、となると非常に具体性に乏しいというふうなお考えですか。

 

○溝口知事

 具体性に乏しいかどうかは、それは我々が言うことじゃなくて、政策としてそういう政策を打ち出しておられるわけですね。だけど、その政策は我々にとっては適当でないということですね。いろんな今のもろもろ申し上げたような大きな影響を生じますし、県としては困ることだということです。

 

○山陰中央新報

 民主党の案では、いわゆる暫定税率は廃止するけれども、道路の整備に係る予算というのは別途用意するんだというような書き方がしてあると思うんですけれども......。

 

○溝口知事

 そこら辺は具体案がまだないでしょう。それから私どもとしては、例えば一般財源にした場合に、じゃあどういう配分になるのかとか、やはり道路の整備というのは特定財源制度をもとに、長年、必要なところから順次行われてきておって、地方部の道路整備もやっと本格的に進む、特に高速道路のネット網など、地方部においてもおくれているところをやっていくという段階でその制度を変えるということは適当でないということなんです。

 

 だから、今までは大都市部から、それは道路の交通量の多いところから順次やってきておるわけですけれども、その整備が全部終わる段階でその制度を変えるというのは不適当だと、こういうことですね。

 

○山陰中央テレビ

 一方で、原油価格の高騰で、本来、道路整備とガソリンの問題というのは別個に考えるのが筋論かなと思うんですけれども、これが今、セットで議論されていることに関して、知事はどうお考えですか。

 

○溝口知事

 だから、それを暫定税率がなくなったり、あるいは特定財源制度がなくなると、例えば島根にとってどういう影響があるかということをよくわかりませんと問題が理解しにくいわけなんで、そういう意味で、試算でありますけども、そういうことを提起をして、この問題に我々として説明もし、対処していきたいということなんです。

 

○山陰中央新報

 先ほどの話で関連なんですけれども、実際、ガソリンが下がるという話を事前に聞くと、県民の方で、そちらの方がいいんじゃないかというような考えを持つ方もおられると思うんですけれども、そういう方々にどういうふうに理解をしてもらおうと思うんですか。

 

○溝口知事

 だから、今のこれでいいますと、道路の整備というものが半分ぐらいになりますと、それはやっぱり困ることです、こういうことですね。

 

○山陰中央新報

 これを試算をされて、これをどういうふうに使っていかれるんですか。

 

○溝口知事

 だから、今回のように私からも皆さんにも御説明して、県民の方々にも説明をするということであります。

 

○山陰中央新報

 その手法を教えてもらいたいんですけど、どういうふうに、その説明される、この紙をただ単に出されるのか、何かアクションをされるのかをです。

 

○溝口知事

 いや、やっぱりこういうもので機会あるごとにいろんなところで聞かれたりしますから、説明をしていくということでありますね。

 

○山陰中央新報

 それから、この直轄事業のところで高速道路、具体的に早くても30年後にはというのもわかるんですけども、一般改築でいうと、具体的な影響というのはどういうことが考えられる......。一般改築が55億から28億になると、具体的にどういう影響があるというのが言えるんでしょうか。

 

○溝口知事

 それは、例えば橋梁とか、あるいはいろんな施設とか、あるいは歩道だとか、あるいはがけの斜面の危険なところとか、そういうものを改築するというのは随時行っているわけですけれども、そういう予算にも影響が出るということですね。

 

○山陰中央テレビ

 この問題の制度周知というのは、毎年毎年、この二、三年、ずっと非常に課題になっているわけで、非常に道路特定財源という制度は難しいですよね。一方でガソリンというのは下がるんだというふうな民主党の案というのが非常に県民生活、県民にとってわかりやすい議論ではあると思うんですけれども、そういうところを何か、いかにして、今、知事がおっしゃられたように、こういう機会を通じて周知していくというのはわかるんですけれども、本当に知らない人たちのために、いかにこの問題をわかってもらうかというのは、もうちょっとさらに頭をひねらないといけないのかなと思うんですけれども、制度のあり方を含めてですね。

 

○溝口知事

 議会の方も請願という形で請願を出されたり、国にですね。そちらの方はいわば政策論争を通じた政治活動だと思いますけども、県としては県政の立場から、こういう問題についてこういう影響が出てくるんで、我々としては特定財源制度を維持するようにやっていかなきゃいけませんと、我々も国会等にも働きかけますし、そういう声を島根から中央にも伝えなきゃいかんということですね。

 

○日本経済新聞

 まずは県民の声を聞くという知事の公約があるわけで、その辺に立ち返って、ガソリンが安くなるのと道路事業費が半減されるのと、どちらがいいのかみたいな形で、例えば県民にアンケートをするとか、そういったお考えというのはありますか。

 

○溝口知事

 道路整備の必要性については、今の総合発展計画とか、そういう過程で財政の健全化、産業の振興、やっぱり産業の振興をするためには産業の発展がおくれてきたのも社会的なインフラの整備がおくれているということでありまして、そういう意味で産業の振興をやるわけでありますから、それからさらに県全体がどうなるかということについて、我々の考えもお示ししなきゃいかんので、総合発展計画というのを、最終段階に近くなっていますけども、まとめつつありまして、そういうものについても県内で公聴会のようなものを4カ所でやりますから、またやっぱり県の発展ということでありますから、そういう場でもいろんな意見をお聞きしたいと思いますし、そういう会合においてもいろんな御意見もあろうかと思います。

 

○中国新聞

 今の国会の情勢では、期限切れ、先ほど知事がおっしゃったように、切れ間ない暫定税率の確保という、税源の確保というのがちょっと不透明な情勢だろうと思うんですが、その場合に、今手がけていらっしゃる新年度当初予算への影響ですよね、これはやはり基金の取り崩しが最も大きな要因になりそうですか。

 

○溝口知事

 今、そういうところでは、私どもとしては特定財源制度が維持をされるようにやっているわけでありまして、それが継続されないという前提では、予算は組むつもりはありません。

○中国新聞

 一時的に期限切れになる可能性もありますよね、現状では。

 

○溝口知事

 ありますね。可能性としてはですね。しかし、私どもとしては、それがないように、ぜひとも国政の場で調整をよろしくお願いしますという声を、今の段階では各方面に伝えておくということだろうと思いますね。

 

○中国新聞

 そうなった場合の、それをにらんだ編成の仕方というのは、特に構えていらっしゃることはないですか。

 

○溝口知事

 それはないですね。一般論としていえば、予算成立後、予見し得ない事態に対してはいろんな手法で対応できるわけでありまして、それはそれで考えればいいことでありまして、当初予算では当然特定財源制度が維持されるという前提で組むつもりですね。これはみんな同じだと思います。政府の予算自身がそうですから。

 


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