平成16(2004)年
1.県内各地で市町村合併が進み、新市町が誕生
県内各地において、合併協議会が設置され、市町村合併に向けた取り組みが進められてきたが、県内においては35年ぶりとなる合併が行われ、今年10月1日には新「安来市」、新「江津市」、「美郷町」、「邑南町」、「隠岐の島町」、11月1日には新「益田市」、「雲南市」が合併により誕生しスタートを切った。
平成17年も、続いて、新市町が誕生し、県内市町村の有り様は大きく変わる。
2.中期財政改革基本方針の策定
昨年末の地方交付税の大幅削減、いわゆる「地財ショック」の影響をまともに受け、約450億円の構造的な財源不足が見込まれる状態に陥った。
このままでは平成18年度にも財政再建団体転落が危惧される非常事態を回避するため、平成14年度に策定した「財政健全化指針」に替わる中期的な財政改革の基本方針として「中期財政改革基本方針」を10月に策定し、行政内部の徹底した改革に加え、人件費総額や公共事業費はもとより、医療・福祉・教育の分野を含めあらゆる事業について、かつてない大胆な財政改革に着手した。
3.「中国04総体」などスポーツの祭典での活躍が与えた多くの感動
「中国04総体」をはじめとするスポーツの祭典での活躍が与えた多くの感動「君の輝く一瞬が今伝説となる」のスローガンのもと、平成16年度全国高等学校総合体育大会「中国04総体」を、7月28日から8月24日まで島根県(県内20市町村)を主会場として中国5県で開催した。
8月1日に県立浜山公園陸上競技場で開催した総合開会式には、皇太子殿下御臨席のもと、選手、役員、観覧者など約1万6千人が参加し、島根らしさを盛り込んだ高校生による公開演技などを披露して、全国からの参加者を心から歓迎した。
島根県勢は、卓球女子シングルスで出雲西高校の高斉選手が本県初となる優勝を成し遂げたのをはじめ、準優勝に輝いた男子ホッケー、3位入賞を果たした剣道、なぎなた、陸上、登山など優秀な成績を収めた。
大会の準備・運営には、県内の2万5千人の高校生が「一人一役」を合い言葉に、競技補助、草花装飾、手作り記念品製作などに積極的に取り組み、大会を成功に導く原動力となった。
一方、第59回国民体育大会は、埼玉県で開催され、本県選手団は大いに健闘し、ホッケー競技少年男子(横田高校)が初優勝したのを筆頭に9競技22種別で入賞し、総合成績順位を昨年度より一つあげ45位になった。
さらに、4年に1度のスポーツの祭典第28回オリンピック大会がアテネで開催され、本県出身の土江寛裕(ひろやす)選手が陸上競技(100m、4×100mR〓4位入賞)、山本由佳理選手がホッケー競技(8位入賞)、和田毅選手が野球競技(銅メダル獲得)に出場し、優秀な成績を収めた。
続いて開催されたパラリンピック大会には花田裕治選手が水泳競技に出場し、銀3個・銅1個のメダルを獲得する大活躍であった。
これらのスポーツにおける活躍は、県民に感動と元気を与えるとともに明るい話題を提供した。
4.島根県総合計画策定
島根県総合計画策定本県の自立的・持続的発展の指針となる「島根県総合計画基本構想編」を策定した。総合計画レベルでは全国初の施策の優先順位付けを行い、「選択と集中」により新しい時代に対応する効率的な県政運営への転換を目指すこととなった。
5.着々と進む道路ネットワークの整備
『自立的に発展できる快適で活力ある島根』の実現に向けて高速道路を主軸とした幹線道路ネットワークの整備を進めている。
10月16日には、平成9年から整備が進められてきた島根県八束町江島地区と鳥取県境港市渡町を結ぶ江島大橋が開通した。これにより中海圏域の一体化が強化され、物流の拡大や観光振興に寄与し、島根・鳥取だけでなく中国地方全般の広域ネットワークの一翼を担うことが期待される。
また、新直轄方式により整備されることになった『中国横断自動車道尾道松江線』、及び国道9号バイパス『仁摩温泉津道路』『浜田三隅道路』が今年度から事業着手となり、本年4月から5月にかけて、それぞれ杭打式が相次いで挙行され、整備が進むものと期待される。
このほか、昭和57年に着工した雲南地域を南北に結ぶ「飯石ふれあい農道」が、本年10月、総延長50キロ(雲南市木次町里方〜赤来町上来島)の全線が完成した。中山間地域を縦断している農道の完成により、沿線の農業関連施設間の連携や農産物の流通、人的な交流が図られ、雲南地域の振興に大きく寄与するものと期待される。
6.地域医療の充実に向けた取り組みの進展
初期臨床研修の義務化などにより深刻な医師不足の状況にあることから、県では本年4月に「しまね地域医療支援センター」を設置し、医師確保対策を積極的に展開してきている。この事業の中の専門医養成プログラムは「しまね方式」として全国でも注目を集めている。
一方、県・地元市町村が一体となって国(独立行政法人国立病院機構)に要望してきた浜田医療センターの移転新築、また松江赤十字病院の整備方針が共に11月に決定し、県が整備を支援している松江市立病院、済生会江津総合病院などとともに医療機関の整備充実が着実に進むことになった。
7.地域課題の解決に向けて、25年ぶりの新税導入を決定
今、県民を取り巻く身近な生活環境をみたとき、大きな課題として浮かび上がってくるのが荒廃した森林の再生と産業廃棄物の適正処理の問題である。
これらの課題を解決するため、25年ぶりに新税として「水と緑の森づくり税」及び「産業廃棄物減量税」を平成17年度から導入する。
【水と緑の森づくり税の目的】
県民が等しく享受している水源かん養、県土保全など県民の安全で安心な生活に不可欠な公益的機能を持つ森林を県民共有の財産として次世代に引き継いでいくことが今を生きる私たちの責務であるとの認識に立ち、県民と県とが協働して水と緑の森づくり事業を行うため、この税を導入する。
【産業廃棄物減量税の目的】
産業廃棄物の排出事業者や処理業者に市場メカニズムを通じた経済的なインセンティブを与えることにより、産業廃棄物の減量化を促進し、県民が強く希望する環境への負荷の少ない循環型社会を構築するため、この税を導入する。
8.「テキサスとの技術交流」や「企業立地」の取り組みの進展
本県が自立的に発展していくための原動力となる産業の振興について、産業競争力の強化や新産業の創出等に全力を挙げて取り組んでいるところである。
平成16年1月には、澄田知事がテキサス州においてペリー州知事と会談し、それぞれの地域での産業振興と雇用の創出を目指し、産業・先端技術を基盤とした共創関係を構築することで合意した。
その合意に基づき、両地域に実行委員会が設置され、10月5日、島根県側の実行委員会から知事に対して、次のような提案がされた。
◯成果の期待できる交流分野として、電子・情報通信分野、太陽エネルギー分野、環境分野などを選定
◯新産業創出プロジェクトの推進、技術導入と保有技術の提供による県内企業の体力強化、大学間交流などに成果をあげることが期待される。
等今後は、この提言に基づきテキサスとの共同研究や技術導入などの幅広い交流が進むことで県内産業の活性化が図られることを期待している。
また、企業立地については、本年、(株)りそな銀行のコールセンター業務の出雲市への新規立地や、本県が特許を持つプラズマ技術を活用した金属の表面処理技術を実用化する日立金属表面改質センターのソフトビジネスパーク島根への進出が実現するなど、本年中の企業立地認定件数が年間で21件となり、過去最高だった平成2年を超え最大となった。このことにより計画上の新規雇用計画数は900人余となった。全国的な景気の回復により、企業の設備投資意欲が高まっているので、来年度以降も引き続き企業誘致活動を強力に進める必要がある。
9.「しまね花の郷」開園(県内初の指定管理者制度を導入)
「しまね花の郷」は、出雲市西新町に島根県花振興センター花ふれあい公園として平成12年度から工事を進め今年4月24日に開園した。
この公園は、本県の花き産業の振興を図ることを目的に、県内で見られる花や植物を中心にした花壇など、島根らしさを最大限に表現するとともに、魅力ある公園となるよう工夫を凝らしている。
また、管理運営については、県内で初めて指定管理者制度を導入し、NPO法人による運営を行っている。
開園後、多くの皆様に来園いただき、11月には入場者が10万人を超えた。
10.「しまね教育ビジョン21」を策定
県教育委員会では、平成15年6月に島根県総合教育審議会に対し、「今後10年間を見通した島根県の教育のあり方について」諮問し、基本理念及びその実現のための施策の方向性についてご審議頂いた。審議会では、県民の皆様からの様々な意見を参考にしつつ、幅広い見地から審議を重ねられ、同年11月に答申として取りまとめられた。県教育委員会では、その答申を踏まえ、平成16年3月に「しまね教育ビジョン21」を策定した。本ビジョンには、「しまねの教育」の理念や目標、施策の基本的な方向などが示してある。これを、学校、家庭をはじめ県民の皆様に明らかにして、学校、家庭、地域社会、行政が相互に役割を分担し、連携を図って進める県民総参加の取組につなげていくこととしている。
特別.中海の諸課題解決に向けて島根・鳥取両県大筋合意
島根・鳥取両県知事は、12月22日東京都内の都道府県会館で、中海を巡る四つの諸課題について総合的な解決を目指して話し合いを行い、大筋で認識を共有のものとした。
会議においては、信頼と共助に基づく中海圏域の発展を期すという立場から、中海圏域の振興を両県が努力していくことについても言及があり、その認識を共通なものとした。
○四つの会談項目
・本庄工区の堤防開削問題
・国営中海土地改良事業の後処理に係る両県の負担割合
・中海における漁業秩序の確立
・大橋川改修の取扱い
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