1)全数報告感染症(1〜4類感染症)
腸管出血性大腸菌感染症が2件(雲南圏域1件、出雲圏域1件)、クロイツフェルト・
ヤコブ病が1件(松江圏域)、日本紅斑熱が2件(出雲圏域)、破傷風が1件(出雲圏域)
報告されています。
2)インフルエンザおよび小児科定点報告 ( )内は月の定点当たり報告数
○手足口病:(16)。隠岐を除き全県で大流行となりました。益田圏域(40)で特に多く、全国的にも島根県
は広島県に次ぐ流行となっています。
○ヘルパンギーナ:(11)。雲南圏域(28)で一気に大流行となりました。出雲圏域(17)、益田圏域(15)など各地流
行してきています。全国的には山口県と鳥取県の流行が大きくなっています。
○咽頭結膜熱:(0.9)。益田圏域(3.7)でやや多く、他に出雲圏域、松江圏域から報告があります。
○感染性胃腸炎:(9.7)。大田圏域(28)で増加した他は、3月以降漸減しています。
○水痘:(5.5)。例年と同規模の発生で、例年通り漸減しています。
○流行性耳下腺炎:(1.4)。例年より少ないまま推移しています。松江圏域(2.6)でやや多みられます。
3)眼科定点報告
流行性角結膜炎が出雲・浜田圏域から9例の報告があります。
4)性感染症報告
性感染症の多い状態が続いています。その中でも性器クラミジア感染症が17件、淋菌感染症は6件と多く、
罹患年齢は20歳代を中心に10〜40歳代に分布しています。
5)基幹病院報告
○無菌性髄膜炎:夏かぜが大流行してきていますが、今月は報告がありませんでした。
○メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症:57件の報告があり、今年の最多でした。1〜6月の報告(291件)は、昨年
同期(231件)の25%増となっています。
○ペニシリン耐性肺炎球菌感染症:33件の報告があり、今年の最多でした。1〜6月の報告(129件)は、昨年同期
(72件)の79%増となっています。
○薬剤耐性緑膿菌感染症:今年になって報告はありません。
ヘルパンギーナからはコクサッキーA10型が原因ウイルスとして分離されています。また、比較的大きな流
行となっている手足口病からはエンテロウイルス71型が分離されています。このウイルスは無菌性髄膜炎を併
発しますので十分な注意が必要でしょう。
感染性胃腸炎は6月に入ってからA群ロタウイルス、NV(ノーウオークウイルス:小型球形ウイルス)、サッポ
ロウイルスの検出頻度は低くなっていますが、例年あまり検出されないアストロウイルスが多くなっています。
細菌では病原性大腸菌が2例、食中毒の原因菌ともなるキャンピロバクターが分離されています。
2002年4月 から 2002年6月まで の診断名別病原体検出数:島根県(保環研感染症疫学科)
病原体名 | アデノ | 腸管アデノ | コクサッキーA | コクサッキーB | エコー | A群ロタ | SRSV | インフルエンザ | 病原性大腸菌 | サルモネラ | 合計 |
型 | 1 | 2 | 3 | 5 | 6 | 4 | 16 | 4 | 13 | 18 | Aソ連 | A香港 | B | EPEC |
無菌性髄膜炎 | | | | | | | | 1 | | 6 | | | | | | | | | 7 |
手足口病 | | | | | | | | 33 | | 1 | | | | | | | | | 34 |
咽頭結膜熱 | | 1 | 5 | | | | | | | 3 | 1 | | | | | | | | 10 |
感染性胃腸炎 | | 1 | | 1 | | 1 | | 3 | | | | 37 | 3 | | | | 1 | 1 | 48 |
ヘルパンギーナ | | 1 | | | | | 10 | | 1 | | | | | | | | | | 12 |
咽頭炎 | 2 | 3 | 3 | 3 | 2 | | 1 | | 4 | 9 | 1 | | | | 9 | 1 | | | 38 |
インフルエンザ | | | 2 | | 1 | | | | | 1 | | | | | 4 | 16 | | | 24 |