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クリプトスポリジウム症
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塩素消毒が無効なクリプトスポリジウム原虫による下痢症

クリプトスポリジウムのオーシスト
発生状況
 原虫性の人獣共通感染症であり、家畜、イヌ、ネコ、ネズミ、イノシシなどにも感染がみられ、 特に子牛の感染率は高く、ヒトへの重要な感染源となります。
 感染は水道水、プール遊泳による集団感染あるいは、散発性の感染性胃腸炎としてみられ、 発症年齢は乳幼児を中心に全年齢にみられます。
病原体
 クリプトスポリジウム(Cryptosporidium parvum
 オーシストは一般的な各種消毒剤では死滅せず、塩素系消毒剤でも全く無効です。 また、水中、湿潤な環境下では数週〜数か月間は感染性を保持します。 しかし、乾燥や70℃ 2分程度の加熱で死滅します。オーシストは自然界や体外で増殖することはありません。
感染経路
 患者、感染動物は糞便中に1g当り数百万〜数千万個のオーシスト(約5μmの球形)を排泄し、 飲料水、環境水、生鮮食料、手指などを汚染し経口的に感染します。 オーシストの感染力は非常に強く、1〜数個の摂取で感染が成立し、発症します。
 下痢症状が消失した後でも、2〜3週間は感染性オーシストを便中に排泄します。
潜伏期
 細菌性下痢症に比べやや長く、潜伏期間は4、5日とされています。
臨床症状
 水様性下痢、腹痛、嘔吐、脱水、軽度の発熱などが主要症状で、血便、呼吸症状はみられません。 健常人では自然治癒しますが、抗生物質に反応しない1日数回〜10数回程度の下痢が6日ぐらい(2〜20日)続きます。 免疫不全者では慢性腸症状に加え胆管炎、膵炎、呼吸器症状を併発し、下痢は難治性で重症化します。
検査室診断
 検査材料は一般には糞便ですが、糞便を直接あるいはショ糖遠心沈殿浮遊法による精製塗抹標本を 直接蛍光抗体法、抗酸染色法によりクリプトスポリジウムのオーシストを検出します。
治療と予防
 確実な駆虫薬はありません。必要により補液で脱水症状改善などの対症療法をおこないます。
飲料水、生鮮食品のオ−シストによる汚染防止、70℃ 2分程度の加熱、乾燥による感染性オーシストの除去をおこない、 手指は流水で洗浄します。
感染症法での取扱い
 5類全数把握感染症として、診断した医師は7日以内に最寄の保健所に届出ことになっています。
また、食中毒の場合は食品衛生法(第27条)により24時間以内に最寄の保健所に届出ます。

クリプトスポリジウム症
リンク
島根県感染症情報センター