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メロン
マグネシウム欠乏症(Mg欠乏症、葉枯れ症)
○症状等
メロンのマグネシウム欠乏症状には3つのタイプがある。ひとつは多くの作物でみられる一般的症状で下位葉の葉脈間が黄化するもので、メロンでは着果期以前に、まれに発生する。メロンに多いのは果実の肥大成熟に伴って葉のマグネシウムが果実へ転流し、その結果生ずる欠乏症である。このうち収穫間近になって結果枝の葉の葉脈間が黄化し、やがて黄褐色に枯れるタイプのものは、成熟の目安にされることもあるほどで収量、品質にほとんど影響しない。被害が大きいのは、上位葉から発生し1週間から10日ほどの短期間に着果節より上の葉が枯れ、果実の肥大や糖度に深刻な影響を及ぼすタイプである。これはアムスなどの一本仕立て2果どり栽培で、果実が急速に肥大する時期に多発し、まず葉脈間の組織が斑点状にうすくなる。この段階では、葉裏から太陽光に透かしてみたときに黒い斑点として識別できる程度で分かりにくい。しかし、この部分はすぐに褐変し面積が拡大して葉全体が枯死する。
○発生要因
土壌中のマグネシウム濃度が低いために欠乏症が発生することは少なく、上述したように果実1果当たりの葉面積が小さく着果負担が大きい栽培様式で、根の発達や活性が劣りマグネシウムの必要量を円滑に吸収できないときに発生しやすい。また、土壌や養液栽培の培地中にカリウム、カルシウムなどが多量にあるとマグネシウムの吸収が抑制され欠乏を助長する。
○分析データ
一般に下位葉の濃度が上位葉より高い。健全葉(葉身)のマグネシウム濃度はおおむね0.5〜2%で、0.2%以下で欠乏症の恐れが大きい。なお、‘アムス’で着果後1〜2週間目に第16〜18葉の濃度を調べ、0.4%以下に低下している場合は、葉枯れ症発生が予想されるので下記の葉面散布を行う。
○対策
進行が非常に速く、症状が肉眼で認められてから葉面散布を行っても手遅れになる場合が多い。土壌環境に恵まれ根の活性を高く維持できるような圃場以外では、着果負担の少ない1本1果または2本2果どり栽培が望ましく、1本仕立て2果どりの場合は、予防の意味で着果後1〜2週間頃に2%硫酸マグネシウム水溶液を数日おきに1〜2回葉面散布する。葉面散布は温度の高い日中を避け、早朝もしくは夕方に行い、葉の裏表にまんべんなく散布する。
定期的に土壌診断を行い、肥料成分の過剰蓄積が生じないように注意する。
○関連資料
伊藤淳次・藤本順子・山根忠昭:メロン‘アムス’の葉枯れ症とその原因,島根農試研究報告,25,1991
藤本順子・古山光夫:メロン‘アムス’における栄養障害の発生経過,島根農試研究報告,27,1993
藤本順子・古山光夫・山根忠昭:ハウスメロンにおける葉枯れ症の診断と防止法,日本土壌肥料学雑誌,64,1993
お問い合わせ先
農業技術センター
島根県農業技術センター 〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380 nougi@pref.shimane.lg.jp <携帯・スマートフォンのアドレスをご利用の方> 迷惑メール対策等でドメイン指定受信等を設定されている場合に、返信メールが正しく届かない場合があります。 以下のドメインを受信できるように設定をお願いします。 @pref.shimane.lg.jp