• 背景色 
  • 文字サイズ 

4.果実障害と対策

(3)果面障害

 果面障害の発生原因は,湿害,日焼け,風による損傷によるもの,また炭そ病,灰色かび病,スリップスやダニなどの病害虫によるものがある。
‘西条’は,表皮に亀裂ができやすく,しかも果皮が薄く弱いために,果実表面が長期間にわたって降雨などで濡れたままであったり,薬剤の成分が浸透することによって汚れ果が発生しやすい.汚れ果は図3-23に示したように,破線状(A),雲形状(B),溝状(C)の4種類ある。状況によってはこれらが併せて発生する場合がある。
最も多い破線状の障害は,園内の排水が悪く,空中湿度が高い場合に発生する。特に,ハウス栽培では,室内の湿度が高まりやすく,温度格差によっては果面に露結することがあり,破線状の障害発生うぃ助長する。また,下枝に着果している果実に多く,雑草が繁茂している場合にも多発する。後期肥大型をしている果実では,果皮のひび割れが原因で障害が多くなる。
対策としては,果樹園内の風通しをよくし,樹冠全体に太陽光が当たるように新梢の誘引を徹底する。さらに,着色始期からは葉の擦れを少なくするように,果実周辺の摘葉も必要である。園内の湿度を低下させるためには,反射シートを設置するが,高温障害を避けるために9月以降とする。例年本症状の発生が多い園では,7月以降の銅剤の使用は避け,ダイセンを用い,クレフノンを加用し,展着剤を基準以上に加用しない。また,摘蕾や摘果をできるだけ早めに行い,果実肥大を前半に促進させ,後期の肥大を抑制させ,追肥の際に窒素の施用量を少くなめるか控える。
雲形状の汚れは,夏期の直射日光が果実に直接当たり,高温障害によって日焼けを受けた部分に主に発生する。その部分が,その後長期間の長雨などで濡れたままの状態が続いたり,薬剤散布によって薬剤の成分が果皮に浸透することによって,果面が黒変する。
対策としては,日焼けした果実の摘果を行うとともに,園内の通風をよくし,果実表面が乾きやすいようにする。また,薬剤散布もできるだけ控える。
黒点状の汚れは,果頂部から赤道部にかけて黒い細かな斑点が多数分布する。黒い斑点は隆起したものが多い。この障害は梅雨期から発生し,9月の着色期に入ってから雨が続くと増加する傾向がある。対策としては,下枝や樹冠内部の枝葉が繁茂しないように夏季せん定を行い,太陽光が樹冠内部まで進入するようにする。
溝状の汚れは,‘西条’の4条溝が黒変あるいは褐変しているものであり,亀裂があるものとないものとがある。発生原因や対策は破線状の汚れとほぼ同様と考えてよい。

 

図3の23汚れ果と主な果面の障害



お問い合わせ先

農業技術センター

島根県農業技術センター
〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440
 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380
 nougi@pref.shimane.lg.jp
  <携帯・スマートフォンのアドレスをご利用の方>
  迷惑メール対策等でドメイン指定受信等を設定されている場合に、返信メールが正しく届かない場合があります。
   以下のドメインを受信できるように設定をお願いします。
  @pref.shimane.lg.jp