5.果実障害と対策
(2)生理落下
生理落果は,着果過多を防ぎ,樹体を健全に維持するために柿樹が自然調節するといえる淘汰現象といえよう。生理落果は7月下旬〜8月上旬を境にして前後期に分けられる。前期の落果は開花後10日頃〜20日にかけてみられる。また,後期の落果は収穫1か月前頃から成熟期にかけて起こるものである。基本的には,果実の養分競合が関与している。すなはち,結果枝上の果実と落果率との関係をみると,基部側の果実ほど落下しやすく,さらに1結果枝上に受粉果と不受粉果が混在するとすべてが不受粉果の場合より落果率が高まるといわれている。また,植物ホルモンの検討もされているが十分解明できていない。また,土壌乾燥や遮光などは果実中のエチレン発生量を増加させるが,エチレン生成阻害剤を与えても後期落果は軽減されないことからエチレンが直接落果を引き起こす原因物質ではないとされている。これまでの落果に関する研究報告から原因をまとめてみると次のようになる。
- 品種による単為結果性と種子形成力に差があることからこれらが関係しているものと考えられている。
- 種子ができれば落果は少なくなるが,果実の生長過程における植物ホルモンの消長が関与している。
- 長雨や曇雨天によって日照不足が続くと落果が助長される。
以上のことが考えられるが,受精不良と栄養条件が大きな引き金になっており,栽培環境条件のうち気象の影響が大きい。
お問い合わせ先
農業技術センター
島根県農業技術センター 〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380 nougi@pref.shimane.lg.jp <携帯・スマートフォンのアドレスをご利用の方> 迷惑メール対策等でドメイン指定受信等を設定されている場合に、返信メールが正しく届かない場合があります。 以下のドメインを受信できるように設定をお願いします。 @pref.shimane.lg.jp