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2.高品質安定多収技術

(1)‘西条’の好適樹相

b.新梢の生長

新梢の伸び

 

どのような長さの新梢が葉面積を早期に拡大するのかを明らかにするために、新梢長別の葉面積の拡大曲線を図3-5に示した。各新梢の葉は4月下旬から展葉を開始し、5月中旬に7cmの新梢は約45%の葉面積が拡大するが、23cmでは35%、53cmでは25%が拡大している。葉面積の拡大が終了するのは、7cmと23cmの新梢が7月上旬で、53cmの新梢は8月上旬である。このように、短い新梢の葉ほど葉面積の拡大が早期に完了し、成葉として機能する期間が長い。したがって、物質生産を増やすには、充実の良い短い新梢の割合を多くして、早期に葉面積を拡大する必要がある。

 ‘西条’の新梢長と新梢乾物重の関係をみたのが図3-6である。新梢長が長くなるにつれて生体重と乾物重は二次曲線を描いて増加する。このように、長い新梢ほど茎にとられる養分が多くなり、果実生産効率の悪い枝となる。ちなみに、長さが20cmと100cmの茎乾物重を比較すると、20cmは2.4gであるが、100cmでは30.8gである。このように、長さでは5倍しか違わないのに乾物重では13倍も違うことが果実分配率に大きく影響を与えている。したがって、強勢な新梢は遅くまで生長が続き、新梢乾物重も多いので、せっかく生産された糖の多くが、葉や新梢の生長に分配され、果実への供給が不十分になる。逆に、短い新梢は成葉としての期間が長く、光合成生産された物質が茎などに分配されるのはわずかでその多くが果実に分配されるので光合成生産上効率の良い枝である。

 以上のことから、かきの収量を高めるためには、成葉になるのが早く、果実生産効率の高い25cm以下の新梢の割合を高めて、早期に葉面積指数を確保して、果実分配率を高めることが必要である。

 



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