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4.整枝せん定

3)幼木のせん定

 

 近年は早期増収を目指して、開園の際密植して始まることが多い。この場合当然永久樹と樹冠がうまるに従い切っていく間伐樹とがある。永久樹は名前のとおり永久に使用していく樹であるから、基本に忠実な樹形に仕上げていく必要がある。しかし、間伐樹はいずれ切ってしまう樹であるから、樹形にこだわることはなく、どんな形であろうと混みすぎにだけ気を配れば良いといえる。そこで、この項では永久樹を想定して述べることにする。

近年は早期増収を目指して、開園の際密植して始まることが多い。この場合当然永久樹と樹冠がうまるに従い切っていく間伐樹とがある。永久樹は名前のとおり永久に使用していく樹であるから、基本に忠実な樹形に仕上げていく必要がある。しかし、間伐樹はいずれ切ってしまう樹であるから、樹形にこだわることはなく、どんな形であろうと混みすぎにだけ気を配れば良いといえる。そこで、この項では永久樹を想定して述べることにする。

 

(1)樹形
X型整枝は字の形のように4本の主枝から成っており、幼木時にはまずこの4本の主枝をつくっていくことから始まる。しかし、先に述べた基部優勢が働くため、あわてて4本の主枝を選ぶと第1主枝が負けてしまうことがある。そこで、主枝の選択に当たっては慎重に行わなければならない。
ウィルス・フリー樹は枝の伸びが旺盛で、植え付けた年に10m以上も伸びることがある。こういった場合副梢も結構伸長するので、これを第2や第3主枝の候補にすることもある。しかし、この候補枝が太く勢いが強いような枝であれば、主枝候補枝としては不向きなので、翌年腋芽から発芽して出てきた枝を使うようにする。
第2主枝の分岐点は棚下50cm位のところが良く、この部分でも第1主枝はまっすぐに伸ばし、第2主枝の分岐角度は第1主枝に対して90度くらい開くようにすると良い。
第3主枝は第1主枝から分岐させ、幹から1.5〜2.0m離れた部分で枝を取る。1年目の枝が棚上で5mくらいまでしか伸びなかった時は、2年目に出てきた枝を第3主枝候補枝とすると勢力が強くなり過ぎてしまうので、無理をせずに3年目まで待って第3主枝をとると良い。なを、第3主枝は初めから1本に限定せず、数本候補枝として残しておいた方が将来確定する時に弾力性があって都合がよい。
第4主枝は第2主枝から分岐させるが、主幹からの距離は第3主枝分岐点までの距離より長くとるようにする。また、候補枝は第3主枝候補枝より1年程度遅く出てきた枝を使った方が良い。

平坦地では、第1主枝と第2主枝、第3主枝と第4主枝はそれぞれ正反対の方向に伸びるように枝をとるが、傾斜地では第1主枝と第2主枝を上方へ、第3主枝と第4主枝は下方へ伸びるようにする。
各主枝上には1.0〜1.5m間隔に交互に3本程度の亜主枝を配置する。それぞれの第1亜主枝は、主幹を中心にして時計回りでも逆回りでも良いが、同じ方向に伸ばしてお互いがぶつかり合わないようにする。

図4X型整枝傾斜地


(2)早期増収方法
ウィルス・フリー苗の場合は枝の伸びが旺盛で、1年に10m以上も伸びることがある。以前は形にこだわり過ぎて、このように長く伸びた枝でも短く切っていたが、これではせっかく伸びた枝が無駄になりもったいないことである。そこで、増産枝もできるだけ枝を長く残して早期に増収できるように工夫する。
枝を長く伸ばした場合問題となるのは、まず枝どおしのバランスが崩れるのではということである。つまり伸ばしたい主枝候補枝などが負け枝になってしまうことが考えられるのである。これを防ぐには、増産枝の基部をひもで縛り太らないようにしておくと良い。1年枝といえどもこの作業を丁寧に行っておかないと、2年目には大変勢力の強い枝になってしまい樹形作りに失敗してしまう。
次に問題となるのが、枝を長く伸ばすと頂芽優勢が働き、先端近くの芽だけ発芽して途中や元の方の芽が吹きにくいということである。これを防ぐには「芽傷処理」をしてやると良い。芽傷処理はそれぞれの芽の先5ミリ位のところを、横に木質部に達するよう傷をつけることである。コガタナで傷をつけても良いが、専用の芽傷バサミを使うと能率がよい。芽傷は樹液が動き出したときが効果が高い。ただし、誘引した枝のわん曲した部分に芽傷を入れたり誘引前の芽傷処理は、枝が折れてしまうことがあるので注意が必要である。
増産枝は1年だけ利用するのでなく、棚に空間があれば数年利用したい。前述のように元はもちろん縛っておくが、それでも全体のバランスをなるべく崩さないように追い出し枝にして使う。追い出し枝とは、基部の方の枝を切り除き先の方へ追い出して使う枝のことをいう。ただし、元が縛ってある枝は3年を限度に切るようにする。


増産枝芽傷処理



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