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4.整枝せん定

2)枝の性格

 

枝を長く伸ばしたい時や、主枝や亜主枝といった枝のまとまりの勢力を強めたい時などのように、将来の構想に見合ったせん定を行うには「枝の性格」を知っておかなければならない。

 

(1)切り返しと間引き
ブドウの結果習性は腋生花芽であるから、前年枝のどの部分で切っても翌年花を咲かせることができる。したがって結果母枝は切り返しせん定によってつくることになる。ところが前年枝全てを結果母枝にすると芽数が多すぎて翌年過繁茂となるため、前年枝を元からせん除してしまう間引きせん定を併用しなければならない。
せん定後に母枝に残された芽数が同じであれば、切り返しを強くして母枝数を多く残した方が新梢の生育は旺盛になる。たとえば、10芽を持った結果母枝を1本残すより、5芽を持った母枝を2本残した方が新梢の伸びは強くなるのである。

 

(2)頂芽優勢と基部優勢
母枝の先端から出てくる新梢は最も生育が旺盛で、基部の方へいくに従い弱くなっていく。このような性質を頂芽優勢といい、母枝の長さが長い場合は基部の方の芽は発芽しないこともある。
一方2年以上経った枝を見ると、同じような枝であれば幹に近い部分から発生した枝程強勢となり、このような性質を基部優勢という。たとえば主枝どうしで比較すると、第2主枝は第1主枝より基部に近いところから発生しており、第3主枝も第1主枝より、第4主枝も第2主枝よりそれぞれ基部から近いところで発生している。そこで、基部優勢によって負け枝ができないようそれぞれの主枝が占める葉面積の割合に差を付け、勢力が第1主枝:第2主枝=6:4、第3主枝:第4主枝=6:4となるようにする。
また、結果母枝の場合でも、同じ長さや同じ芽数に切った場合は先端より基部の方の枝が勝ってしまうので、図4-2のように基部の方の枝より先端の方の枝を長く残すようにしなければならない。
図4-3のように先端の方から発生した強い枝を2本とも残して結果母枝としたものを一般に「ハサミ枝」といい、翌年の時点ですでに先端のaはbの枝に負けてしまうのでこのようなせん定を行ってはいけない。
よい例悪い例

 

(3)枝の方向と分岐部までの距離
どの果樹でもそうであるが、上へ向かっている枝や上芽から出た枝は強勢となりやすく、逆に下へ垂れたような枝は弱くなってしまう。ブドウの場合も枝の強弱を少なめるために棚上から出る枝は上芽や下芽は除き、できるだけ側面の芽から発生する枝を使うようにする。
また、養分の流れは直進がよりスムーズであり、枝が曲がれば曲がるほど悪くなってくる。このため、主枝はできるだけ方向がまっすぐになるように伸ばし、亜主枝や側枝は元の太い枝に対し角度をつけて分岐させ、基部に向かって返すように誘引する。
分岐部までの距離も枝の強さを左右する重要な要素である。図4-4のIとIIの枝を比較すると、分岐部までのaの距離が長いIの方がIIより全体に勢力は抑えられる。この性質を利用して、枝の分岐部までの距離が第1主枝<第2主枝≦第3主枝<第4主枝となるようにすると良い。また、図4-4のIとIIIの枝のbをみると、距離の短いIIIの枝は分岐した枝どおしが強くなりすぎて、先に伸びているcの枝が負けてしまうことがある。bの距離が極端に短くなったものを車枝と呼び、このような枝は決してつくってはいけない。
枝の強さ



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