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3.開園と植え付け

1)開園

 

新しく開園するときは、できるだけ条件の整った場所を選びたい。
まず作業性の面である。堆肥や肥料などの搬入や収穫した果実の搬出などには、少なくとも軽トラックが入るような場所が便利で、農道や作業道に直結していることが望ましい。
次ぎに気象的条件が整っていることである。風に対しては冬の強い偏西風などを受けないところが良く、もしそのような風を受けるところであれば、防風ネットの設置や防風樹の植栽を行う。日照条件についてはできるだけ日当たりのよいところを選ぶことで、特に午前中影ができるようなところは避けたい。山や林の影、家などの建造物の影になるようなところも良くない。また、あまり強い霜が当たるようなところも避けたい。
ブドウはハウスを利用して栽培されることが多いので、この面でもいろいろ考慮する事項がある。当然のことではあるが、ある程度面積が確保できしかも四角になっているところの方が、ハウス建設費が割安となって良い。また、栽培面積を増やそうとするときは、できるだけ既存の園に近いところに開園した方が作業性の面でずいぶん楽である。

 ハウスの向きについても考えておきたい。長方形の土地ならサイド面が長くとれるようにした方が作業性が良く、しかも建設費は割安となる。次ぎに受光体制からハウスの向きを考えると、冬季に生育する早い加温栽培では東西棟が良く、4月以降が主な生育期間となる普通加温や無加温などの栽培は南北棟が良いので、将来どんな作型にするのか考えて決めるようにする。傾斜地では、温度面からみて棟が等高線に垂直になるようにした方が良い。また、強風に対するハウス負担を少しでも軽くしようと思えば、風の吹いてくる方向に妻側が向いた方が良い。平成3年の台風19号の時は吹き返しの西風が強烈で、南北棟がより大きな被害を受けた。

 

 その他特に気をつけたいのが地下水位である。一般にブドウは浅根性と言われるが、土が肥沃で有効土層が深ければ結構深くまで根が伸びるものである。しかし、地下水位より下へ伸びることはできない。この地下水位は多少高くても一定に保っていてくれるのならそんなに害はないが、これが極端に上下するようであれば問題である。つまり、せっかく根が伸びても地下水位が上がってくればその部分までの根は腐れ、再び地下水位が下がるとまた根は伸び出す。これを繰り返すことによって樹勢は弱まり、寿命は短くなってしまうのである。排水の悪い園では大雨の時にこのような現象が起き、また水田転換園では周りの水田で代かきや田植えが始まると地下水位が上昇してくる。したがってこういう園では開園時にきちっと排水対策をとっておきたい。

 排水不良園では暗渠排水を設置する。園全体に排水効果が現れるように、暗渠の間隔は10m以内とし、できれば5m間隔くらいに設置したい。理想的な方法は、永久樹の真下に排水をおくと良い。排水の位置が決まると50cm〜1mの深さにコルゲート管を敷き、目がつまらないよう管の周りを籾がらで包むようにする。土を埋め戻す際には、その土に籾がらを混ぜると排水はより速やかに行われる。

 水田転換園では、かなりの客土をする場合は別であるが、そうでない場合は明渠排水と盛り土で対応すると良い。図のように明渠の排水溝を掘り、掘り上げた土を苗の植え付け部に盛って高くする。園外から土を補ってやるとさらに有効土層を深くすることができる。樹冠面積の3分の1を集中的に土壌改良すればブドウは十分生育するので、そのことを頭の中におきながら植え付け部分の土壌改良をすると良い。

ハウスの向き台風被害



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