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12.栄養診断と対策
4)無機成分の過不足の判断基準とその対策
新梢の伸長が極めて不良となり,葉が小さく,場合によっては淡黄色となる。特に,結実が判明し,果粒肥大第I期頃から基部葉の黄変がよくみられる。これは,新梢生長応じた根からの吸収が十分できない場合に,一時的に基部葉から窒素を先端の方へ転送してしまうからである。
(対策)
根からの吸収が十分行われない場合には,尿素の0.3〜0.5%か市販の葉面散布剤を用いて,5〜7日間隔で10a当たり300l程度の葉面散布を行う。また,新梢基部葉の黄変は,土壌中の窒素はある程度含まれていることが予想されるので,摘心等を行って新梢生長を抑制させる管理を行う。
(2)カリウム欠乏
(症状と原因)
近年,超早期加温栽培など早い作型で,開花期前に発生をみる。症状は,葉縁から黄変し,甚だしい場合には褐変して落葉する。また,成熟直前になって果軸が褐変して,果粒が脱粒する場合がある。これもカリウム欠乏の一種と考えられる。
(対策)
元肥に十分加里肥料を施用し,排水不良園では排水対策を講じておく。また,炭酸ガス施用は樹体内のカリウム含量を高めることが認められており,対策としては有効である。
(3)苦土欠乏症
(症状と原因)
基部葉の葉脈間が黄変し,次第に先端の葉に広がっていく。開花期前後から発生し,特に早期加温栽培では発生が多い。生育期に入ってから発生した場合には,生育期間中に回復させることは極めて困難である。一般的に,苦土は生育期間中の吸収は緩慢である。
(対策)
前年の礼肥施用時に苦土肥料を十分施す。生育初期の発生では,硫酸マグネシウムの0.2〜0.5%を5〜7日間隔で数回散布する。症状が軽い場合には回復するケースが多い。
(4)マンガン欠乏症
(症状と原因)
苦土欠乏とほぼ同様な症状が見られるが,新梢上の葉位にはあまり関係なく発生する。‘デラウェア’の果房ではゴマシオ症状と称し,混在型の着色障害となる。一般的には,土壌pHが著しく高く,特に砂質土壌などで発生が多い。
(対策)
土壌pHが高くならないように,石灰質肥料の過剰施用はさける。また,砂質土壌では有機物の施用を徹底し,肥沃化に努める。
ゴマシオ症状には,4〜6水塩の硫酸マンガンを0.5%になるようにジベレリンに加用して,後期処理時に果房浸漬をする。
(5)ホウ素欠乏症
(症状と原因)
開花期にホウ素が欠乏すると,花冠(キャップ)が離れなくなり,花振るいを助長する。果粒肥大期頃から果粒の中心部が褐変し,これを「あん入り」症状という。また,新梢伸長期に一時的に土壌が乾燥してホウ素欠乏が発生することがあり,この場合は新梢の節間が著しく狭くなることがある。
(対策)
応急処置としては0.4%程度ホウ素の葉面散布を行うが,実際には効果が低い。土壌水分が不足しないように潅水に心がけ,砂質土壌では水分保持力を強めるように有機物施用を行う。
(小豆沢斉)
お問い合わせ先
農業技術センター
島根県農業技術センター 〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380 nougi@pref.shimane.lg.jp <携帯・スマートフォンのアドレスをご利用の方> 迷惑メール対策等でドメイン指定受信等を設定されている場合に、返信メールが正しく届かない場合があります。 以下のドメインを受信できるように設定をお願いします。 @pref.shimane.lg.jp