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1.3社会福祉法人の合併と解散

この章では、社会福祉法人の合併と解散について述べます。

【合併】

 2つ以上の法人が、契約によって1つの法人に統合することを合併といい、新設合併と吸収合併の2つの方法があります。
(1)吸収合併
合併により1つの法人のみ存続し、他の法人を吸収(解散)することを言います。
合併後存続する法人が、消滅した法人の一切の権利義務を承継します。
(2)新設合併
合併により既設の法人の全てが解散し、新たに法人を新設することを言います。

 合併の狙いとしては、以下のケースが考えられます。

 ・零細規模の複数法人が合併し、規模を拡大し生産性を向上する

 ・事業を閉鎖したい法人を他法人が吸収し、事業拡大して承継する

 ・福祉事業を継続することが困難な法人を、優良な法人が吸収し、事業を承継することにより、問題法人を円滑に退出させる

【解散】

 法人がその積極的活動を停止し、その財産関係を整理(清算)する範囲内において、整理が終了するまで存在する姿(清算法人)となることを言います。

 

(1)合併(新設・吸収)

 

a.合併の事前準備

合併をするにあたって以下の準備が必要と考えられます。

1.合意形成

 (1)合併法人間での事前協議
合併に向けた協議を下準備として行います。合併の目的や合併後の理念、合併後の施設の存続・撤退、役員選任のあり方、職員処遇のあり方、その他互いの法人の要望などを十分にすり合わせておきます。合併の大前提となる事項については、事前協議で合意形成を図ります。
(2)理事会および評議員会での議決
互いの法人の理事会で合併の議決を得るとともに、定款で評議員会の議決を必要としている場合は評議員会においても議決を得るようにします。なお、これらの議決は議事録として記録を残すことが必要です。
(3)合併協議会の設置
新設合併にあたっては、法人の設立に関する事務を行うため、各社会福祉法人において選任した者が共同で行う必要があります。このため、合併する際の準備段階において、「合併協議会(仮称)」を相互の法人が共同で設置し、合併に向けた様々な協議を進めることが必要です。なお、設立に関する事務を行う者については、各社会福祉法人の理事会、評議員会の承認を得るなど議事録に残すようにします。
吸収合併については、合併後存続する社会福祉法人が消滅した法人の一切の権利義務を継承することになることから、特段の定めはありませんが、円滑な協議を進めるうえで設置することが望ましいと考えます。なお、協議会の構成員についても特に定めはありませんが、理事長をはじめとした経営層がメンバーになることが通常です。さらに合併協議会の下に検討会などの下部組織を設け、実務レベルの作業を行うとよいでしょう。

 (4)消滅法人の手続きについて
合併後存在する社会福祉法人は、合併によって消滅した社会福祉法人の一切の権利義務を継承することから、消滅法人の解散及び清算手続きを経る必要はありません。また、合併に伴う、基本財産の処分承認、補助財産の財産処分手続き、介護保険法等に基づく事業所指定、施設の設置等の許認可等の手続きも不要になります。

 なお、社会福祉法人は、他の社会福祉法人との合併は可能ですが、社会福祉法人以外の法人と合併することは認められていません。

 

2合併契約

 (1)合併契約書について
合併の当事者たる各社会福祉法人間において、合併にかかる事前協議を行い、法人間の合意を確認するため、合併契約が締結されるのが一般的で、書面をもって合併の方式、合併の条件、合併後存続する法人又は合併により設立する法人の定款内容、合併の期日等が定められます。

 (2)合併に関する確認書について
合併契約書を正式に締結するまでに、様々な事項を互いに協議し、調整を図ることが必要です。合併に向けた調整作業が円滑に進められるよう、合併条件の大枠を確認書の形で締結し、その上で詳細を協議するようにすれば、効率的に作業を進めることが期待できます。
確認書の内容として、例えば吸収される法人の施設を存続するか否かなど、合併の大前提となる事項を決めておきます。なお、確認書は必ず締結しなければならないものではありません。その要否は双方の法人間で話し合って決めます。

 

3役員の選任

 【新設合併の場合】

 (1)設立当初の評議員・役員の選任

 (2)新たな法人設立後の評議員・役員の選任

 (3)代表者などの変更登記(当初との変更があれば)

 【吸収合併の場合】

 (1)評議員の選任

 (2)役員の選任

 

4定款の作成・変更

 新設合併の場合は、合併により設立する法人の定款の作成が必要となります。

 吸収合併の場合は、合併後存続する法人が定款変更を行います。

 

5その他

 職員の処遇の検討および説明、利用者や利用者家族・地域への説明も必要と考えられます。

 

b.合併申請

事前準備が整えば、合併認可申請手続きに移ります。

 

1合併認可申請等

 社会福祉法人が合併するには所轄庁の認可を受ける必要があります。合併認可申請書以外にも多くの添付書類が必要となりますが、県で参考様式を定めていますので、地域福祉課担当者に相談しながら書類作成を進めて下さい。
なお、実際に合併認可申請を行うにあたっては、事前に地域福祉課担当者へ合併の趣旨目的や背景事情などを説明し、準備の進め方、書類の作成方法及び疑問点などを適宜相談しておくと、円滑な申請が行えます。

 また、定款変更(吸収合併の場合)が生じた場合は、県へ定款変更の申請を行い、認可を受けることが必要ですが、合併に伴う定款変更の場合は、合併認可申請書に変更後の定款を添付して提出することで、合併認可の申請と併せて定款変更を申請することができます。

 なお、合併に伴って施設の設置及び廃止がある場合は所轄する行政庁あてに事前に届出が必要となりますので、注意が必要です。

 

2債権者保護手続き
所轄庁から合併の認可を受けたら、その認可の通知のあった日から2週間以内に財産目録および貸借対照表を作成します。
また、定めた期間内に、異議があれば一定の期間内(2か月を下ることはできません。)に異議を述べるよう、債権者に対して公告(新聞掲載など)を行います。
把握している債権者に対しては、個別に書面で催告を行い、承諾書を取り付けます。もし、債権者が異議を述べたときは、これを弁済するか、もしくは債権者に弁済を受けさせることを目的として、信託会社もしくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託します。

 

3登記所への登記手続き
【新設合併の場合】
合併により法人を設立する場合は、合併に必要な手続きが終了したときから2週間以内に、主たる事業所の所在地において、管轄の登記所へ新設の登記を申請します。
また、登記終了後、正規の手続きで役員を選任した際、代表者等が変更になった場合は速やかに所轄の登記所へ変更の登記を申請します。
【吸収合併の場合】
合併により存続する法人については、合併に必要な手続きが終了したときから2週間以内に、主たる事業所の所在地において、管轄の登記所へ変更の登記を申請します。
【共通】
合併により消滅する法人については、合併後の存続法人又は新設法人を代表すべき者が、合併後の存続法人又は新設法人の主たる事務所を管轄する登記所を経由して合併の登記の申請と同時に解散登記を行います。
また、従たる事業所を設けたときは、合併に必要な手続きが終了したときから3週間以内に、従たる事業所の所在地において、管轄の登記所へ登記を申請します。

 

(2)法人の解散・清算

【解散の理由】

 社会福祉法人は、次のいずれかの事由によって解散します(社会福祉法第46条)。
(1)評議員会の議決
(2)定款に定めた解散事由の発生
(3)目的たる事業の成功の不能
(4)合併(合併により当該社会福祉法人が消滅する場合に限る)
(5)破産手続開始の決定
(6)所轄庁の解散命令
ただし、上記事由(1)による場合は所轄庁の認可が、(3)による解散は所轄庁の認定がなければ、それぞれその効力を生じません。また、(2)及び(5)によって解散した場合には、清算人は所轄庁への届出をすることが必要です。

 

【清算】

 解散の必然的結果として、当該社会福祉法人はその本来の活動を停止し、残務処理(清算)の過程に入ります。この清算目的のみにその活動を限定された法人が清算法人であり、その機関が清算人となります。なお、清算法人の例外をなすものが、合併と破産による解散の場合です。
合併の場合には消滅する社会福祉法人の債権及び債務は、そのまま合併設立後設立される法人に引き継がれるため清算の必要はありませんが、破産の場合には破産法第4条に特別の規定が設けられています。

 

a.解散・清算の手続き

1解散認可・認定申請

 社会福祉法人が解散(上記「解散の事由」の(1)または(3)の事由発生による解散)の認可又は認定を受けようとする場合には、所轄庁に申請しなければなりません。(社会福祉法施行規則第5条)

 なお、上記「解散の事由」の(2)または(5)の事由発生による解散においては、清算人が所轄庁に届け出る必要があります。

 

2清算人(清算法人)の就任または選任
社会福祉法人が解散した場合には、合併および破産による解散の場合を除いて、現務の結了、債権の取立て、債務の弁済、残余財産の引渡し等の事務を行うため、清算人を置かなければなりません。

 

3解散及び清算人の登記
社会福祉法人が解散した場合には、次の事項を登記しなければなりません。なお、所轄庁の命令による解散の場合には、嘱託によって登記がなされます。
(1)解散の旨
(2)解散の事由
(3)解散の年月日
(4)清算人の氏名及び住所

 

4解散及び清算人の届出
解散及び清算人就任の事実について、所轄庁に届け出る必要があります。

 

5清算手続
清算手続は次の4つに大別され、清算人の職務とされています。
(1)現務の結了
解散した法人は、清算の目的の範囲内で、なお存続します。清算人は、解散当時に着手していた業務を結了させます。
(2)債権の取立て
弁済期のまだ到来していない債権の処理については、割引換価とするか又は債権のまま残余財産とするか、清算人が状況を判断して実行することとなります。
(3)債権申立の公告及び債権申出の催告
清算人は債権者保護のために、その就職の日から2月以内に少なくとも3回の公告をなし、債権者に一定の期間内にその債権の申し述べを行う旨を催告しなければなりません。また、判明している債権者を除斥することはできず、各別にその申出の催告を行わなければなりません。

 (催告は1回で足ります。)なお、この公告には一定の期間内に申し延べのない債権については、清算より除斥される旨を附記しなければならず、定款に定める方法(官報への掲載)によって公告を行うこととなります。
(4)債務の弁済
弁済は、申し立てのあった債権者に対して順次に行います。弁済期前の債権については、鑑定人の評価による評価額を弁済します。

 

6残余財産の引渡
債権の取立及び債務の弁済が完了後に確定した残余財産について、清算人は予め定められた帰属権利者に残余財産を引き渡します。

 

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