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中山間地域研究センター職員研修会

2月7日(木)曇りのち雨

 

 

2月5日(火)、中山間地域研究センター職員研修会

「たたら製鉄に由来する奥出雲の循環型経済システムから学ぶ」を開催しました。

 

(写真1)

講師の奥出雲町農林振興課谷山氏(右)と同教育委員会宍戸氏(左)

 

(写真2)

1300年前に編纂された「出雲国風土記」にも奥出雲の鉄づくりについて記載

 

 

「世界農業遺産・日本農業遺産」をご存じでしょうか?

世界農業遺産とは「社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承され、将来に受け継がれるべき伝統的な農林水産業が営まれる地域」これを国連食糧農業機関(FAO)が認証する制度で2002年に創設されました。また、日本農業遺産は、農林水産大臣が認証する同様の制度で2016年に創設されています。

 

 こうした中、奥出雲町では「たたら製鉄に由来する奥出雲の資源循環型農業」をテーマとした遺産認定を目指して精力的に取り組まれ、昨年6月に認定申請書を農林水産省に提出、今年1月に2次審査を終えられたところです。

 

 当センターも、認定申請にあたり研究機関としての意見書作成や農・林・畜産業に関する記載事項の確認など、側面的な協力をさせていただきました。

 

 申請書には、奥出雲町のみならず中国山地全体の歴史・文化・自然環境の成り立ちや資源循環の仕組みが詳しく解説されており、素晴らしい内容でした。

 

 さて、「たたら製鉄」と「資源循環型農業」がどの様に繋がり、奥出雲町における現在の農・林・畜産業に受け継がれているのしょうか?
両者の繋がりを簡単に整理すると次のようになります。

 

  • 鉄穴流し跡地を棚田として再生したプロセスと棚田で育まれる「仁多米」。
  • 和鉄や木炭の運搬を担うために飼養されてきた役牛の品種改良と「奥出雲和牛」。
  • 燃料用木炭を生産するために循環利用されてきた森林資源と「奥出雲椎茸」。
  • たたら製鉄に由来する鉄穴残丘が棚田の中に点在する独特で美しい「農村景観」。

 

☆詳しくお知りになりたい方は、是非、奥出雲町のホームページ(外部サイト)にアクセスしてください。

 

 

☆最後に嶋田所長から一言
昨年11月に奥出雲地方を走るトロッコ列車に乗車しましたが、車内から眺める「棚田」や「鉄穴残丘」などの独特な景観は、その歴史的背景を知っているかいないかで全く見え方が異なるものであると感じられました。また、農業遺産認定が木次線存続の大きな鍵を握っているのは間違いないとも思いました。
「故きを温ねて新しきを知る」ということわざのとおり、我々が取り組んでいる中山間地域の再生に向けて、たたら製鉄の歴史の中から、何か気づきやヒントを見つけていただくことを期待しています。

 

 

農林技術田部

 

 

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