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君の名は?ゴミムシ、アカイロアオハムシダマシ
平成29年5月31日(水)曇り
新緑が日ごと濃くなるこの季節、多くの昆虫が姿を現します。
森林保護育成科では林業害虫が発生した時に、虫の鑑定を行って名前を調べる作業があります。
その回答時には世界で通用する「学名」でなく、専ら日本国内のみで通用する名称「和名」をお答えしています。
和名は種を分類する作業行程を反映していて、共通の特徴で大きく括り、その中での共通項で細分化して、
順次特徴が付加されてゆきます。
例えば、モンシロチョウですと、チョウ(蝶)の仲間で、白色が多いグループにシロチョウ(白蝶)と名付け、
更にその中で独特の紋を持つ種なのでモンシロチョウ(紋白蝶)という具合に、特徴を表す修飾が加わり名前が構成されます。
先日、鳥獣対策科職員から虫の鑑定依頼(提供)がありましたものをご紹介。
澤田主任研究員から写真1の左。種名は、ゴミムシ。日本に1000種以上いるとされる、大きなグループの「ゴミムシ」の中にあって、
本種は極めてシンプルな名前です。余りにシンプルすぎて、虫好きの間でも「ゴミムシ採った」「何ゴミ?」「タダゴミ」などと問答
が交わされます(名前に特徴等について何も付け加っていない、唯のゴミムシ(本種)を採ったという意味)。
ゴミムシの漢字表記は「芥虫」を当てます。ゴミの中にいるというわけではなく別の理由なのですが、今回は省略。
写真1左が正真正銘?のゴミムシ。右は、ナガヒョウタンゴミムシ(長瓢箪芥虫)。近縁種にはチビヒョウタンゴミムシ、ヒョウタンゴミムシ、オオヒョウタンゴミムシなど各種サイズ取りそろっております。
小宮研究員からは写真2(中央)の虫、アカイロアオハムシダマシ(赤色青葉虫騙)。
葉っぱを主食とするハムシ(葉虫)という虫がおりますが、それに似て非なる虫ということでハムシダマシ(葉虫騙)。
その中に緑色の一群がおりアオハムシダマシ(青葉虫騙)。さらにその仲間で赤色をしているのでアカイロアオハムシダマシ(赤色青葉虫騙)。
緑色の若葉を「青葉」、緑色の信号を「青」とするような日本の色彩表現が用いられており、実物と名称の食い違いに少し当惑します。
本種は前述のゴミムシに似ているけど違うということで、ゴミムシダマシ(芥虫騙)という大きなグループの一群に属します。
正確を期せば、アカイロアオハムシダマシゴミムシダマシ(赤色青葉虫騙芥虫騙)なのでしょうが、これではもう、わけ解りません。
過ぎたるは猶及ばざるが如し。和名にはゴミムシダマシの標記はありません。
写真2左はハムシの一種、キンイロネクイハムシ(金色根喰葉虫)。中央がアカイロアオハムシダマシ(赤色青葉虫騙)、右がキアシアオハムシダマシ(黄脚青葉虫騙)。いずれも名に色彩を冠する綺麗どころです。
さて、緑沸き立つこの時候。自然に恵まれた中山間地域で、明日はどんな名前の虫に出会えるのか楽しみです。
***森林保護育成科福井***
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