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ハッチョウトンボ:湿地の妖精
平成28年7月26日(火)天気
「近くにハッチョウトンボのいるところ見つけましたよ」
県有林にお勤めの林さんからのお知らせ。
ハッチョウトンボは体長2cmに満たない、日本最小のトンボです(世界的にも最小種)。
明るく、草竹の低い水深の浅い湿地に生息する種で、全国的にも島根県内でも生息地は局地的です。飯南町には
このトンボが生息する赤名湿原という有名な場所があります。
ご厚意に甘え案内していただいた場所は、中山間Cから8kmほど離れた場所。かつて、マサ土(花崗岩風化土)
を採取した跡地とのこと。車を降りたすぐの道脇、山裾から染み出した水が浅く、緩く流れている所に生えた草の
上方に、赤い小さなものが点々と見えます。います、います。
見つけたのはオスのみ。実に美しく赤化した成熟個体。半径5mくらいの一角に10頭くらいいます。改めて
じっくりと見れば見るほど、その小ささに驚きます。
写真1種名は、本種が発見された地名、名古屋市の八丁に由来しているそうです。
オスは成熟すると美しい赤色に。メスは黄色、褐色、黒色のまだら模様。
写真2手をかざすほど至近距離まで近づいても飛び立つ素振りなど見せず、実にゆったり(堂々と)として、
その姿を余すことなく見せてくれます。
耕作放棄された水田が数年を経て、このトンボの生息に適した条件が揃い、大発生することがあるそうです。
しかし、この好適な条件は長続きせず、丈の高い草が増えてくると姿を消してしまいます(耕作放棄地が増えれば
貴重な生物の生息地が増える。と喜ぶのは浅慮のようです)。
案内された場所は、継続して発生しているように感じました(個人的印象ですが)。栄養分の少ないマサ土の採土
跡のため、定着する草丈も大きくならず、好適な条件が長期に保たれているのかも知れません。
その小ささから、あまり遠方まで飛ように思えない印象を受けますが、一時的にでも生息に適した場所を求めて、
積極的に移動するタフな面を持っているのかもしれません。
写真3改めて、五円玉とのツーショット。
余録:飯南町には「八丁蜻蛉」というヤマトイモを材料にした焼酎があります。余り癖の無いすっきりした
味わい。二十歳以上の方、お試しください。
筆者の知る範囲でトンボの名を冠したお酒は、
兵庫県の「極楽とんぼ:日本酒」、鹿児島県の「赤とんぼ・青とんぼ:芋焼酎」なる銘柄がありますが、
実存するトンボの名前を冠しているのはこの八丁蜻蛉のみ。
***森林保護育成科福井***
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お問い合わせ先
中山間地域研究センター
島根県中山間地域研究センター 〒690-3405 島根県飯石郡飯南町上来島1207 TEL:0854-76-2025 FAX:0854-76-3758 Mail:chusankan@pref.shimane.lg.jp