• 背景色 
  • 文字サイズ 

葉隠れ:アケビコノ2013/12/3(火)

天気曇りのアイコン画像

 

 

 初冬、落ち葉舞う候となりました。

 センター構内。木々の間、落ち葉を踏みながら歩いていると、枯れ枝からポテッと

落ちた物があります。その方にしばらく目を凝らすと虫がおります(写真1)。

 写真1

 どこにいるか、おわかりでしょうか。

 

 拾い上げたものが次の映像(写真2)。

 「アケビコノハ:通草木葉」という蛾の一種ですが、実に見事な「木の葉隠れ」です。

 写真2

 つぶらな瞳がかわいい。

 

 幼虫は名に冠するアケビなどを食べて育ちます。成虫は5〜10月に発生し、秋に

発生したものは成虫で越冬します。成虫は果実を吸汁することから、モモなどの果樹

害虫に名を連ねています。翅を閉じていると枯葉そっくりなのですが、開くと後翅の

黄色と目玉模様が現れ、第一印象とのギャップにびっくりします(写真3)。

 

 目玉模様は「眼状紋:がんじょうもん」と呼ばれ、その役割には二説あります。

 一つは自分たちを餌としている鳥類から身を守るため、これら鳥の天敵であるフクロウ

やヘビの目に似せて脅かすという説。

 もう一つは模様の付いた翅を頭と見せかけて、天敵の攻撃をこちらにそらし、大切な

頭部を守る。という説です。

 

姿形や色を周辺の物や動植物に変えて、天敵などから身を守ることを擬態といっており

ますが、アケビコノハはこの典型。しかも、はじめは周辺の環境に溶け込む「保護色」で

身を隠し、次いで身の危険が迫ったときに目玉模様を見せ相手を驚かせて難を逃れる

という二段戦術を持つ、なかなかの知恵者です。

 

写真3

恥ずかしがって、後翅の全体を見せてくれませんでした。

また、今回紹介出来ませんでしたが、幼虫も趣のあるイモムシで眼状紋をお持ちです。

 

 

***森林保護育成科福井***

 

 

 

前回のコラム

 

 

 

 


お問い合わせ先

中山間地域研究センター

島根県中山間地域研究センター
〒690-3405 島根県飯石郡飯南町上来島1207
TEL:0854-76-2025 FAX:0854-76-3758
Mail:chusankan@pref.shimane.lg.jp