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「山笑う」

平成28年5月6日(金)天気雨のアイコン画像

 

 

「山笑うって聞いたことあります?」

 

以前、同職場の方からの質問。「申し訳ありません。聞いたこと無いです」と応えると、俳句での春の季語とのこと。

草木一斉に芽吹く明るい様を指すそうで、11世紀、中国は北宋の画家、郭煕(かくき)の言にある

「山野、春山淡冶(たんや)として笑うがごとし」が出典とのこと。

 中山間C周辺の山々は、今、笑いが止まらない状況です。

 

写真1

山笑う。新緑に先立つ一時の景色

 

 

写真2

島根県の落葉広葉樹の代表格、コナラの芽吹き

 

 

 さて、この芽吹き、思うに落葉広葉樹林の淡い緑の芽吹きの情景かと推察します。濃緑色の葉を付けたまま、

茶系の色彩を帯びた芽吹きが多い常緑広葉樹では、こうは行かないでしょう。

20〜30年の短い周期で伐採利用されていた「里山」と呼ばれるかつての山は、明るい落葉広葉樹林が維持されて

きたと思います。

しかし、山に人手が入らなくなると、落葉樹の林の中は、だんだん暗くなり、こぼれ落ちた種の芽生えにとっては

光不足で育たず、耐陰性のある常緑広葉樹に置き換わってきています(標高の高い地域では、葉を付けっぱなしの

常緑広葉樹には冬が寒すぎて生育できず、落葉広葉樹林が維持されますが)。

 

写真3

常緑樹の芽吹き。色あせた旧い葉も着生しており、新鮮味に欠けます。

 

 

 この頃の里部では落葉広葉樹が常緑広葉樹に置き換わり、山がだんだん笑わなくなってしまったように思います。

人手の加わらぬ自然度の高い林。という点では望ましくもある状態でしょうけれど、鬱蒼としすぎて、なんとなし

入る気が失せるように感じる方は少なくないと思います。

全ての山を伐るわけに行かないでしょうが、適度に山に人が入って、木を伐って有効に使うことで、人と山に笑いを

戻せないものでしょうか。

 

 

写真4

常緑樹・竹の侵入。里山、まさに荒れなんとす。

 

 

***森林保護育成福井***

 

 

 

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