就寝はお早めにオオゾウムシ
令和6年11月29日(金)
朝夕、しっかり寒くなりました。出勤時、通用口の扉を開けようとすると、足元の小さな塊が ゆっくり動いているようです。
見るとオオゾウムシがひっくり返っています。
漢字で書くと「大象虫」。長い吻(ふん)とよばれる口の形状を、象の鼻に見立ててグループ名が付けられています。
成虫の体長は 12-30mm ほど。日本全国に分布する、在来種としては最大のゾウムシです。幼虫は木材を食べて育ち、ときに
伐採したアカマツやスギ等の丸太を食害することから、林業害虫としても知られています。
成虫は越冬して2年程度は生きており、成虫の寿命が長い昆虫です。
暖かい日が続いている間に越冬する場所を探してウロウロしていたところ、急な冷え込みで、動けなくなったようです。
採集した昆虫を標本にすることがありますが、この時に非常に苦労します。
体が硬いのです。ゾウムシの仲間は体の硬い種類が多いのですが、わけてもこのオオゾウムシは硬く、昆虫針を刺すときに
とても難儀をします。
ゾウムシの体が硬いのは外敵から身を守るためなのですが、最近の研究でオオゾウムシは、体内にいる「共生細菌」が作る
物質を取り入れることで、体が硬くなっていることがわかりました。
ある生物が生きながらえてゆく過程で他の生物と共生するようになった、という自然の興味深さを身近に感じることができる
昆虫です。
職員通用口。毎日、気持ちを新たに出勤しています。
ゾウムシは左の隅で仰天。
体のあちこちが擦れており、 1 年以上は生きた個体と思われます。
針刺しには苦労します。私はラジオペンチを使って、針が曲がらないよう固定して刺しています。
写真は他の場所で採集した新鮮な個体。
福井
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