津和野奥筋往還
津和野奥筋往還は、津和野藩にとって頻繁に行なわれた藩主の巡在をはじめとして美濃・那賀・邑智三郡の津和野領の飛び地を支配するため大変重要な意味を持つ道です。また、石見銀山大森代官所の役人が、大森から都茂を経て、日原・畑迫にあった幕府直轄領、いわゆる天領を往来する大切な道でもありました。要所で山陰道や石見安芸道に接続していますが、先に紹介した津和野廿日市街道のようにいわゆる参勤交代の通行はありませんでした。しかし、直線にして約60Kmの往還は津和野廿日市街道のときと同じく、ほぼその長さ通りの真っすぐな経路をたどっています。山裾の平野部に道を作らなかったのは、道の短縮はもちろんのこと、貢祖の基になる農地や田畑を損させないことや渡船などが必要になる河川部分を避けるためであったともいえます。この奥筋往還をたどるとき、職業集団「村下(むらげ)」以下多くの人が働いたタタラの存在と、津和野藩、浜田藩の経済を支えた和紙や、その原料の楮(こうぞ)や三椏(みつまた)の輸送をした人々など、歴史の表面にでなかった数々の物語が潜んでいることも忘れてはなりません。 |
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