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ホタルの観察

 

(1)ゲンジボタルの飛翔観察

 
例年6月10日前後が最盛期。しかし、その年の2月ごろからの気温、水温、あるいは白鹿池の貯水量などの状況により、一週間程度前後します。
時間配分や事故の予防のため、必ず明るいうちに見学地の下見をしましょう。観察ポイントはホタルの里公園が最適。時間は午後8時ごろに現地へ着き、15分ごろから飛び始めを観察。9時には終了するのが理想です。メスは8時半ごろまでに低いところを直線的に飛び、草むらでオスを迎えることが多いようです。発光しながら飛ぶのは多くがオスで、交尾は9時前後に草むらで行われます。懐中電灯を使う時には、発光部に赤いセロファンを貼って利用したいものです。

 

(2)ゲンジボタル終令幼虫の揚陸観察
  

草むらのコケなどに産みつけられた卵は、7月中〜下旬ごろにふ化して川に入ります。幼虫はカワニナを食べて成長。冬越しをして3月末には終令期になり、尾部の一対の発光器が活動を始めます。4月中〜下旬にかけての雨模様の夜、午後8時から9時ごろの間に岸辺に揚陸し、沈水しない土手の土中に入って「土のう」を作ります。10日前後で「さなぎ」になり、後に羽化して飛び出します。
このような揚陸行動は、伊吹山の北山麓やホタルの里公園の周辺で観察できます。観察地点は、水際に砂や砂れき部分が15〜20cmあり、続いて草むらになるような場所やコケむした石垣などで、その上が草むらになっているところで発見しやすいでしょう。幼虫の発光力は弱く、注意しないと見逃してしまいます。懐中電灯を直接当てると、発光を途中で中止したり、再び川の中に落ちてしまいます。
雨が降りそうで降らないような時には、ほとんど揚陸しません。湿度計が100%の場合や気圧計が下降気味の時には揚陸します。小雨の日は間違いなく観察できます。

 

(3)ヘイケボタルの観察

  
ヘイケボタルは、ゲンジボタルに比べて小型のホタル。光も少し小さく、飛ぶ高さも低いようです。一般に乾燥した風の夜や気温が低いときは、川の端や草むらにひそんでいます。また、大雨のときは後部のはねがぬれて飛べなくなります。生息場所は田んぼやその周辺の溝などが中心。伊吹山の北山麓やホタルの里公園上流の山すそあたりが多いようですが、ゲンジボタルに比べると少ないです。飛翔期はゲンジより長く、8月中旬まで見られます。
ヘイケボタルのエサはカワニナ、モノアラガイです。一般的にゲンジボタルと比べて強いようですが、個体数の回復は遅れています。

 

(4)ヒメボタルの観察

  
陸生なので川の周辺でなく、湿っぽい谷間のようなところにいます。白鹿谷では、ヒメボタルの生息地が6箇所以上あります。生息範囲は20mほどが普通で、まれに50mのところもあります。毎年少しずつ生息範囲が移動する傾向も見られます。ホタルの発生量は、20から300匹くらい。青白色にパチッと瞬発的に発光するのでよく目立ち、ほかのホタルとの区別もつきやすいでしょう。胸部の紋はV字形をしています。
空中で発光するのはすべてオスで、1cm弱のスマートな体をしています。メスは7mm程度で、ややずんぐりした体形。後ろはねがないので、飛ぶことができません。メスは林床の枯葉の上や草むらで、まれに見られます。しかし、小さくつぶれやすいので、用心して観察しましょう。
交尾後、20〜30個の卵を朽ち木の下などに産みます。ふ化した幼虫は、陸生のオカチョウジガイ、ベッコウマイマイの仲間を食べて成長します。幼虫は2年生で、15mmぐらいになります。成虫が飛翔する7〜9月にかけて、1m前後の草や低木の先で夜間に発光しているのが見られます。発光の量はごく小さく、時間も短いので、注意しないと見逃してしまうでしょう。白鹿下池の水の手付近ではよく発見されています。
   


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