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昆虫類

 

ガのなかま

 
昆虫の中でガは非常に多くの種類があり、隠岐島では現在までに396種類ものガが見つかっています。
 
・オキナワルリチラシ:大満寺山などで見られるオキナワルリチラシは、南方系のガとして非常に珍しいもので、改訂しまねレッドデータブックでは、準絶滅危惧種として掲載されています。
・クスサン:幼虫時代には全体が白っぽい毛におおわれ、シラガタロウの別名もあります。幼虫は6月ごろ現れ、夏にはマユをたくさん作り、9〜10月ごろ成虫になります。冬期には抜けがらになったマユがよく見られます。

ガのなかま クスサン
オキナワルリチラシ クスサン
(写真:野津幸夫)

カメムシのなかま

つかむと臭いカメムシの仲間には、ナガメ、クサギカメムシ、マルシラホシカメムシ、ツノアオカメムシなどがいます。

川の中の昆虫たち

 
谷川の石を拾い上げてみると、カメ型のものがくっついています。また、水の中に沈んでいる葉や枝にミノムシのようなものがありますが、こえはトビケラという幼虫の巣です。ほかにもカゲロウ、ドロムシ、トンボ(ヤゴ)、などが見つかるでしょう。また、生きた化石と言われるムカシトンボのヤゴを見ることができるかも知れません。
 
アカトンボ:アカトンボというのは、トンボの種類の名前ではなく、赤いトンボの仲間の総称です。県内では、アキアカネ、ナツアカネ、マユタテアカネなど、十数種が知られています。
・オニヤンマ:黒と黄の横島模様が特徴で、トンボ界のトラのような感じです。水面から少し高いところを上流・下流に飛んでいます。
・クサカカゲロウ:黄緑色がかった透明のはねを持つ美しい昆虫。マタタビに引き寄せられる性質があり、また対の枝を置いておくと、たいへんな数のクサカゲロウが集まってきます。
・グンバイトンボ:6〜7月ごろ見られる、少し変わったイトトンボ。雄の脚の一部が相撲の軍配のように白く広がっていて区別できます。丘陵地のきれいな水がゆるやかに流れている水域しか発生しません。湯水路が整備された現在では、全国的に減少が著しい種です。
 
グンバイトンボの写真
 グンバイトンボ
 

甲虫のなかま

 
カブトムシ、カミキリムシ、コガネムシなど外側のはねがかたくなっている虫を一般的に甲虫と呼んでいます。甲虫の中で最もよく調べられているのは、長いヒゲを持つカミキリムシの仲間です。その他、花に集まるハナムグリ、コアオハナムグリなどやハナノミ類、葉を食べるマメコガネ、ヒメコガネ、コガネムシやハムシ類、オトシブミ、チョッキリゾウムシ、樹液に集まるクワガタムシ、カナブン、伐採地にいるゾウムシ、コメツキ、キマワリ、地上を歩くオサムシやゴミムシなどが普通に見られます。

オサムシのなかま


甲虫の仲間。飛ぶことができず、地上をはい回ってミミズやカタツムリなどを食べて生活をしています。オサムシの仲間は飛べないため、行動範囲が限られ、昔の生息分布がそのまま残されています。近年になり、その分布が注目され、各地で研究が進められています。

・マイマイカブリ:オサムシという甲虫の一種。ほかのオサムシの仲間と比べて頭の部分が細長いのが特徴です。マイマイとはカタツムリのことで、この虫はカタツムリを主食にしていることからこの名が付けられました。細長い頭をカタツムリの殻の中まで差し込んで中身をすっかり食べてしまうのです。

オトシブミの仲間


体長5〜6mmの甲虫の仲間。葉の上で産卵した後、その葉で卵を包み地表に切り落とすので、この名前が付けられました。オトシブミは30種類以上が知られていますが、種類によって卵を産む植物が決まっています。
オトシブミの写真
 オトシブミ

カミキリムシのなかま

 
コナラやクリの倒木にはウスイロトラカミキリ、カタシロゴマクカミキリ、ナカジロサビカミキリなどが、ネムの枯れ枝にはアオスジカミキリ、ヨモギにはヘリグロリンゴカミキリ、カラムシには美しいラミーカミキリなど多種類のカミキリムシを普通に見つけることができます。また、全国的にも珍しいトラフホソバネカミキリもアカメガシワの枯れ枝から発見されています。カミキリムシの仲間は、枯れ枝によく集まりますが、これは産卵のためとも、羽化脱出してくる新成虫と交尾するためとも言われています。カミキリムシの仲間は生態、形態とも興味深いものが多く、今後の調査が期待されるグループです。
 
・ヒメハナカミキリ:カミキリムシの仲間で、5〜6月ころ、カエデ類、サワフタギ類、ウツギ類、アジサイ類などに集まります。なかでも白っぽくて小さな花をたくさんつける種類を好むようで、木漏れ日の差すような場所でよく見られます。これは羽化後、成熟するため花粉を食べるからだと言われています。体長はいずれも数mm前後と小さく、よく似た種類がたくさんいます。
 

セミのなかま

 
ニーニーミーミーと鳴くニイニイゼミ、大きな体のクマゼミ、最も一般的なセミの声で鳴くのはミンミンゼミとクマゼミです。カナカナと鳴くのはヒグラシ、ツクツクホウシの声は、夏の終わりを感じさせます。

・エゾゼミ:晴れた日中、ジーと低い音でさかんに鳴いているのがエゾゼミです。北方系のセミで平地には少なく、山地に多く見られる種類です。
・ヒグラシ:朝や夕方の涼しい時に、カナカナカナとかん高い声で鳴くのがヒグラシです。日照に敏感で、日中には鳴き声を聞くことはできません。
 

チョウの仲間

 

(1)アゲハチョウの仲間

 
大型で美しい黒、黄、青などの色とはねの模様に気をつけて観察しましょう。親は自分の食草以外には産卵しません。卵は普通4週ほどで親になります。黄色のものはは明るいところ、黒色のものは林を好んで飛びます。

 
・アオスジアゲハ:前はねから後ろはねを通して青い縦縞があり、食草はニッケイ、タブノキなど。
・カラスアゲハ:体は黒く、後ろはねに赤色の弦月紋があります。
・キアゲハ:はねの地が黄色で、縁に黒色の条や紋。幼虫の食草はニンジン、ミツバなど。
・ギフチョウ:アゲハチョウの仲間である美しいチョウ。アオイの仲間を食草にしていますが、近年その生息地が破壊され、絶滅の危機においやられています。
・クロアゲハ:体は黒く、紺色の光沢があり、後ろはねの縁に空と赤の環班があります。
・ナミアゲハ:キアゲハに似て、地は浅黄で斑紋の色も地味。
・モンキアゲハ:体は黒く、後ろはねに淡黄紋と赤い半月紋があります。
 

 

アオスジアゲハ カラスアゲハ キアゲハ
 アオスジアゲハ   カラスアゲハ     キアゲハ

ギフチョウ ナミアゲハ モンキアゲハ
 ギフチョウ    ナミアゲハ    モンキアゲハ


(2)モンシロチョウの仲間

 
中形で白または黄色の地色をしたチョウ。足のつめが2つに分かれています。

 

・キチョウ:地が黄色で、前はねの前縁が黒く、食草はカワラケツメイ、メドハギなどのマメ科です。
・スジボソヤマキチョウ:珍しい種類のチョウですが、島根県では八重滝周辺が有数の多産地になっています。これは食樹のコバノクロウメモドキがたくさん生えているからです。このチョウは成虫で越冬し、雪解けまもないころ新芽の吹き出たこの木に紡鐘型の真っ赤な卵を産みつけます。

・モンシロチョウ:前はねに2つ、後ろはねに1つの黒紋があり、食草はダイコン、カブ、ナズナなど。
キチョウ スジボソヤマキチョウ モンシロチョウ
キチョウ     スジボソヤマキチョウ  モンシロチョウ 


 

 

(3)ヒカゲチョウの仲間


中形で、地色は薄黒褐色。前後のはねの表裏に眼紋があります。

・ヒカゲチョウ:前後のはねに、各1つの薄い眼紋があります。日陰を好み、イネ、ススキ、タケ、ササを食草にしています。
・コジャノメ:前はねに2つ、後ろはねに1つの眼紋があります。

ヒカゲチョウの写真
ヒカゲチョウ


 

(4)タテハチョウの仲間


この仲間にはたくさんの種類がいます。ヒョウモン類は、黄どう色の地色に、黒色の豹のような斑紋があります。
・ウスイロヒョウモンモドキ:ウスイロヒョウモンモドキは、草原性のチョウです。国内では、中国山地の東部(岡山、鳥取)に点々と生息地が残されているのみであり、県内では、三瓶山女三瓶山山頂付近にのみ生息が確認されています。
以前は適度な放牧により維持されてきた三瓶山の草原で広く見ることができましたが、その生息に適した草原が減少したことにより個体数が減少したと考えられています。
・オオムラサキ:日本の国蝶。エノキの葉を食草としているため、伐採によるエノキの減少にともない数を減らしています。そのため各地でエノキや樹液を吸うためのクヌギの植栽といった保護運動が行われています。
・ゴマダラチョウ:エノキの葉を食草にしているチョウ。エノキの減少に比例して、数を減らしています。
・ツマグロヒョウモン:雌の前はねの前縁に、黒色地に白紋があります。スミレやイチゴを食草にしています。

・メスグロヒョウモン:雌は青黒色なので雌雄の区別ができます。豹紋が3列に整然と並んでいます。
・テングチョウ:中形で黒褐色地にだいだい色の紋があります。口器が前に突き出し、天狗のような鼻のように見えます。春から夏に多発し、エノキを食草にします。

・アサギマダラ:日当たりのよい、草地などで見られる大形の美しいチョウで、名前の通り、はねには美しいマダラ模様があります。観察する時には、驚かさないように静かに見守りましょう。一度驚かすと空中高く飛び去ってしまいます。
薄青色の地に、紫褐色の条が目立ちます。後ろはねの後ろあたりは赤茶色でぼかしになっています。食草はガガイモ、クワ科のイヌビワ、イタビカズラなどです。

 

ウスイロヒョウモンモドキ   オオムラサキ   ゴマダラチョウ
ウスイロヒョウモンモドキ  オオムラサキ    ゴマダラチョウ
 
メスグロヒョウモン   テングチョウ   アサギマダラ

ツマグロヒョウモン   テングチョウ    アサギマダラ


 

(5)シジミチョウの仲間


小形で触角に白黒のまだら模様があります。幼虫は扁平の楕円形をしています。

 
・アイノミドリシジミ:ブナ、ミズナラ林を代表するミドリシジミの仲間。森の宝石にたとえられる美しいはねを持つチョウです。
・アカシジミ:前はねの地色は黄赤色、黒斑があり縁も黒色をしています。後ろはねの縁には赤黄斑があります。食草はカシワ、コナラなど。
・ウラクロシジミ:マンサクを食樹とするチョウ。5月ごろ、丸い穴をあけた若葉の近くを捜すと、緑色の愛らしいワラジ型の幼虫を見つけることもできます。

・ベニシジミ:地色が黄紅色で、前はねの前縁に黒色部があります。ギシギシ、スイバなどを食草にしています。
・ミドリシジミ:ハンノキを食樹とする、親指ツメほどの小さなチョウ。雄のはね表は、緑色に輝いていますが、雌は黒地に赤や青などの斑紋をもった4型があり、メンデル式の遺伝をすることが知られています。
ミドリシジミは年に一度しか発生しません。夏に母チョウがハンノキの小枝に産んだ卵はそのまま冬を越し、春に卵からかえった幼虫は新芽や若葉を食べて成長します。小枝の伸長がとまる7月ごろ、羽化してチョウになります。

・メスアカミドリシジミ:6〜7月ごろ、こずえの先で日光浴をしているメスアカミドリシジミは、ほかの個体が近づくと追い払い、またもとの位置にとまります。これはなわばりを守るためで、雌との出会いを獲得しようとする意味があると考えられます。

・ルリシジミ:地色は瑠璃色で、裏面に黒点列が3條あります。カタバミを食草にしています。

 

ベニシジミの写真
ベニシジミ


(6)セセリチョウの仲間

 
小形で触角は紡鐘状に曲がり、蛾と同じく食草で繭をつくります。

 
・イチモンジセセリ:黒褐色で後ろはねに4つの白紋がほぼ一列に並んでいます。イネ科の植物を食草にしています。
・ダイミョウセセリ:前はねが黒褐色で大小いくつかの白紋があります。食草はカタバミです。

 
イチモンジセセリ ダイミョウセセリ
イチモンジセセリ   ダイミョウセセリ


 

つかむと臭いカメムシの仲間には、ナガメ、クサギカメムシ、マルシラホシカメムシ、ツノアオカメムシなどがいます。


お問い合わせ先

自然環境課

島根県庁 自然環境課   〒690-8501   島根県松江市殿町128番地 東庁舎3階
   Tel:0852-22-6172/6517(自然公園管理係)
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   Fax:0852-26-2142
   E-mail:shizenkankyo@pref.shimane.lg.jp(代表)
           shizen-koen@pref.shimane.lg.jp(自然公園許認可担当)