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瑞穂オヤニラミ生息地

  • オヤニラミ所在地

旧瑞穂町内各河川(出羽川(支流含む))(地図【マップonしまね(外部サイト)】

 

  • 地域概要

 邑南町内の各河川にはオヤニラミが生息している。オヤニラミは体長約7〜8cmの小型のスズキ科の淡水魚である。淀川・由良川以西の本州、四国北部、九州北部の限られた河川に生息し、島根県では江の川支流や高津川の中・上流域に生息しているが、河川環境の悪化で生息数は著しく減少しているといわれている。邑南町では、この希少なオヤニラミを平成2年(1990)町天然記念物に指定し手厚く保護している。

 オヤニラミを邑南町周辺では親しみを込めて「トウサブロー」と呼んでいるが、地方によってはミコノマイやミズクリセイベイ、ヨツメ、カワメバルなどと呼ばれている。また、おもしろい名前にケントババーというのがあり、おもに京都府西部地方で呼ばれているようである。いずれにしてもオヤニラミの行動の様子や愛きょうのある姿から名前が付いたのであろう。

 オヤニラミは、産卵の後はオスが外敵から卵を守ることが知られている。卵が酸欠にならないよう、ヒレを絶えず動かしながら新鮮な水を送ったり、威嚇のために顔を大きく膨らませたりする。特に産卵時期には縄張り意識が強く、卵を守るために外から侵入してくる魚などを威嚇するために顔を大きく膨らまし、激しく威嚇したりする。

 一方、この習性をうまく利用し共生しているムギツクという魚も、町内各河川に生息している。カッコウやホトトギスが他の鳥の巣に卵を産み付けるのと同様にムギツクはオヤニラミの卵に自分の卵を産み付けるいわゆる托卵をする。ムギツクは集団でオヤニラミの縄張に侵入し、それを排除しようとするオヤニラミの隙をうかがって卵を産み付けるのである。さらに、そのどさくさに紛れてカワムツがそれらの卵を失敬して食べることが研究者の調査で確認されている。托卵されたオヤニラミは、ムギツクの卵も自分の卵同様、孵化するまで外敵から守り続けるのである。このことは、オヤニラミ、ムギツク、カワムツがそれぞれの立場で共存共生していることを表している。

 近年の生息環境の悪化でオヤニラミの数は激減しているとされ、『改訂しまねレッドデータブック』で「絶滅危惧I類」に選定されている。この希少魚を適切に保護していくことが、それぞれの魚の生態系を維持していくことになる。自然は未来からの預かりものである。責任を持って未来に返していくためにも抜本的な保護対策に早急に取り組む必要がある。

 

オヤニラミ正面(卵付き) オヤニラミ2匹

 

(平成10年3月)


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