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春の風物詩「三瓶山の火入れ」

 三瓶山の春の風物詩と言えば「火入れ」。西の原一面に広がる枯れススキに計画的に火を放ち焼き払う壮大な行事です。草原は放っておくとノイバラやススキなどが繁茂し、すぐに藪と化してしまいます。「火入れ」により不要な草木が焼き払われ、大地に光が当たると新しい草が芽生えてきます。また、同時に害虫の駆除や山火事防止にも一役を担っている、草原の維持・回復に大切な行事なのです。

 

 昨年、「火入れ」を見学してある光景を目にしました。「火入れ」が始まるとどこからかその上空にたくさんのカラスたちが、集まってきて旋回し始めるのです。何故だろうと様子を見ていると、実はこのカラスたち、火の手に追われ飛び出してきた昆虫やノネズミを狙っていたのでした。一気に急降下してきたカラスが、目の前であっという間に獲物をくわえ飛び去って行きました。後で聞いたのですが、毎回このような光景が繰り返されているとのこと。火や煙に恐れることなく空中を旋回するカラスたち、本能的に獲物にありつけることを知っているのかもしれませんね。

 

 さて、「火入れ」作業には、細心の注意が払われます。必要以上に火が広がらないようしっかりとした防火体制が必要です。消火班は、ジェットシューターと呼ばれる水の入ったリュックを背負って火を監視します。壮大な「火入れ」、一度ご覧になってはいかがですか。

 

 山陰中央新報りびえーるH22.2.28掲載

火入れノネズミ

 火入れ、火にあぶられ飛び出してきたノネズミ

 

カラス

 獲物をくわえたカラス


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