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ロシアIT産業調査報告書

ロシアにおけるIT産業の調査報告書

趣旨

 島根県では平成19年度よりIT産業振興に取り組んでいますが、近年、IT産業界においてはより付加価値の高いビジネス領域での利用が増えているデータ分析、画像解析、セキュリティ、AR・VRなどの技術を活用したソフトウェア開発、サービス創出が期待されています。しかし日本国内では特に高度技術を有するIT人材の獲得競争が激化しており、また、これらの高度技術の短時間での習得も困難であり、高度人材の確保に苦慮しているところであります。

 ロシアについては以前より高等教育機関で情報工学教育に積極的に取り組むことで、多くの高度IT人材を輩出しており、世界でも評価、注目されています。そこで島根県内のIT産業における各社の競争力強化を目指し、高度技術をもった豊富なIT人材を有するロシアIT市場との連携・活用の可能性を探るために同国IT市場の情報を収集する調査活動を行いました。本調査結果が皆様の活動の一助となれば幸いです。

調査報告書

◆調査概要>>>こちら(PDF:2,624KB)

 

◆調査全文>>>こちら(PDF:5,991KB)

 

◆別添資料

 ・ソフトウェア開発契約書例(Word:27KB)・秘密保持契約(Word:26KB)

 ・企業リストーComputervision(PDF:145KB)・企業リストーRoboics(PDF:93KB)

要約

 ロシアは欧米企業からのオフショア開発先として積極的に活用されており、18年度のソフトウェア開発市場に占める海外売上は6割を超える97億ドルだった。海外企業からの引き合いが多いのは、ロシアのサイバーセキュリティ分野の強みを発揮できるITインフラ・プラットフォームの開発や、先端技術の知見が求めらるR&D開発の分野である。

 ロシアはソ連時代から理系科目を中心に基礎教育に強みがあり、世界で4番目に多い年約56万人のSTEM系人材を輩出している。HackerRankのベストエンジニアランキングにおいてロシアは世界2位につけ、カテゴリー別ではアルゴリズム分野で1位、AI分野で2位を獲得している。一方で、エンジニアの給料は欧米先進国の3~5分の1程度と低水準である。インド、ベトナムよりは高いが、ロシアはそれらの国のエンジニアでは難しいアルゴリズム・AI分野の開発パートナーとして期待ができる。

 本レポートでは、ロシアにおけるロボティクス産業を取り上げており、ロシアは産業ロボットではなく、サービスロボットの分野に強みがある。セキュリティロボット、ドローン、パワースーツなどの開発でグローバルに展開する企業が存在している。また、アルゴリズム、AI開発に優位性を持つロシアは、コンピュータビジョン(CV)分野にも優れた企業が存在している。顔認識、骨格認識、物体認識、環境認識、文字認識等のCV技術をセキュリティ、交通、小売り、製造、ロボット、金融、農業、医療、ゲームなど幅広い分野に適用している。Intel、LGなどのグローバル企業や、Orbbecなどのユニコーン企業がロシア企業のCV技術を自社製品に積極的に活用している。

 日本企業は、比較的安価に高度な開発リソースを提供することができるロシア企業と協業することで、日本で慢性的に不足している高度な開発に必要なIT人材を補うことが可能である。


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